相棒21 第5話 眠る爆弾

相棒21
(2022年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋本一(1)(2)(3)(4)、権野元(5)
脚本:輿水泰弘(1)(2)、川﨑龍太(3)、光益義幸(4)、岩下悠子(5)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第5話 眠る爆弾

【ストーリー】

■城南大学・理工学部

校庭内を警備員が自転車で巡回する。
その過程で「サワルナ キケン」と書かれた箱が置かれていることに
気がつく。警備員は取りあえずそれには触れず連絡を取ろうとして
電話しようとした所、後ろで爆発する。学生達は警備員に怪我が無い
かとして心配して声を掛ける。

ネットで犯行動画が送られてくる。
自ら犯人だと名乗る人物は、この動画がイタズラではない事の
証拠だとして爆弾の事を語る。

「爆弾を置いたのは城南大学の3号館脇、30cm四方のダンボールに
入れて起きました」

芹沢ら捜査一課は中園に対して爆発と同時にこの動画がおくられてきた
とし、証言と場所は一致したという。

動画は更にもう一つある爆弾が爆破するだろう予告の内容でも有った。

「何のために顔まで晒して犯行予告したのか?」

という中園。

すると捜一の捜査官は、現場が城南大だと考えると先月の自己と関係が
あるのかも知れないことを口にする。

出雲は土師が携帯/動画の発信源を特定したことを語る。

その頃犯人は男を後ろ手に三沢准教授を縛り床で気絶させていた。
「悪い奴ほどよく眠るというのは本当だ」

■容疑者・平山の部屋

投稿してきた人物は平山翔太、城南大理工学部・応用化学科の4年生。
2000年5月13日生まれの22歳。
東京都立川市にあるメゾン光原302号室。

室内には目立つ所に学生証が置かれていた。
犯行声明が撮られたのはこの部屋で間違いない。
出雲は本棚に置かれていた写真立ての前に気になるものを見つける。

「何かの部品なのか?」

・特命係の右京と亀山が平山の部屋にやってくる。

特命係が来たことを知ると露骨に嫌な顔をする伊丹。
右京は本棚を見ると部屋主が勉強熱心だったことが覗えるという。
工学系の専門書がズラリと並び、それも読み込まれていること。

右京は出雲が持っていた部品を見せてもらう。
これはチェックバルブ(通称:逆止弁)
気体・益体の逆流を防ぐ為にポンプや配管に取り付ける部品

亀山はこれは第二の爆弾に関するヒントなのか?と問うと、右京は
ヒントあるいは何らかのメッセージかも知れないという。

■城南大学・理工学部

多くの刑事たちが大学にやってくる。
建物内には今のところ爆発物が確認出来ないが、引き続き構内を
捜索していることを野々村利夫に語る。

・野々村研究所

教授:野々村利夫
准教授:三沢龍之介

野々村の携帯に電話が鳴る。
声は平山だが、携帯は三沢のものだった。
野々村は何故三沢の携帯から電話しているのかと問うと、本当は
三沢先生に電話して欲しかったが気絶させたら目を覚まさないことを
語る。

「何をしようとしているのか?」

すると平山は爆弾はもう一つある。仕掛けた場所を知りたいのであれ
ば教えても良いが条件があると語る。

■捜査本部

・城南大学爆破事件

として帳場が立つ。

伊丹たちは中園に現状を報告する。平山は事故に関係していたこと。
女子学生の一人・森原真希が死亡していた。
先月10月8日(日)の夜、城南理工学部の実験室で同学部の森原が実験
を行っていた所、装置にガスを供給する容器内で爆発が発生。森原は
衝撃で崩落した天井の一部と倒れて来た器具・棚の下敷きになった。
平山によって救助されたがその後に死亡。
被害者は一人で実験していた。
しかし担当教授に提出された実験計画書には平山の名前も書かれていた。
平山からの話では、何故自分の名前が書かれているのか分からず、
彼女が勝手に僕の名前を書いたもので、あの日実験なんて僕は聞いて
いない。しかし供述の不自然さから所轄では平山による殺人を疑う声も
有ったとのことだった。

■事件

大学の研究室で熱心に研究をしていた未来ある若者は、有る時
大学構内で爆弾を爆発させる。幸いその爆発で死人こそ出なかったが、
動画で第二の犯行を予告する。彼によると他にも爆弾があるとし、二度目
の爆発では死人が出るとの事だった。

すぐに動画公開の人物は特定されると共に、爆発が起きた大学では先月に
同学部の女子学生が一名死亡していることが分かる。

■感想

相棒のそれぞれのキャラクターの役割を決定づけるような使われ方をして
いましたね。右京は事件真相の目印となるヒント的アイテムを視聴者の為
に手にしており、亀山は動的な働きをして右京らに情報を送る。
角田の使い方が完全に特命係のお使い役なのが辛いが、青木が異動して
いなくなってしまったサイバー斑は土師の固定。端末の特定ならば
そう時間もかかるまいと思わず小一時間だったけど。

人と人とが信頼関係を築く事への難しさを改めて感じるシナリオだった。
人は心の中に少なからず相手に対して警戒心も有れば、時間が経つに
従い、色んな感情が育んでいくものだけど、負の感情を育ててしまう
ような場には少なくとも居たくは無いものだ。

怒りと疑惑の感情の引き金となってしまったのが、好意を寄せる人の死
だった。

ドラマを見ていると研究室に於ける同プロジェクトのチームは、私生活
でもそれなりに付き合いがあるものだったし、同じ方向性をもっ
て未来に向けたプロジェクトの為に実験を重ねて、互いの関係性を確認
し有っていた事を思うと、これまでの地道に築き上げて来たものが
何だったのかということになる。

「准教授と被害者の間には不倫関係に有ったのでは無いか」

そんな噂が耳に入る程に距離を無視した関係だっただけに、色々と可能性
は有ったけど、不倫とか爆弾とかバルブにしてもやたらと目立つ所に
存在している。
最終的に問題となるのは、まるで自己犠牲のようにしてウソを付き、爆発
騒ぎを起こして世間の目を引こうとした被害者そのものに有り、嫉妬心が
盲目的な作用を起こして、新たな事件を引き起こす。
この二人は研究畑の人とはいえ、その性格は色々と似すぎている。

そこまで研究に没頭し、そして被害者に対して好意を抱いていたので
あれば、今回の犯人の男は、被害者が書く研究ノートくらい一度は
目を通していても良さそうなもの。
そして准教授のPCに入っていた謎の動画。
「自分が殺した」とするものだったけど、一体誰がそれを撮影したのか、
そして何故動画を残して置いたのか。

・窮状を訴える人は数多く居る。

この世の中、大なり小なり窮状を訴える人は少なくないが、それが他人の
耳には届くかどうかは運次第な所がある。耳に届いた所で助けられるのか。

その運をより確実に引き寄せる為には、目立つ所で目立つことをするのが
一番だ。そうしてこれまで社会に何かを訴えたいものたちは犯罪を犯して
来た。
理工学系のスキルを持つものは、老朽化を装った事故と言う名の
事件を起こして逆に身内に迷惑を掛けてしまう。

更に形を変えた窮状を持つ平山もまた同様のことで世間の目を引こうと
する。

今回のドラマでメインとなる平山の動画による犯行声明だが、
一連の流れは結局身内だけで流されただけという違和感が
有り、学生は決して殺人を犯させまいとする事も有っての事なのか
効果には疑問を生じ、中途半端な印象さえ有る。

・それぞれに持つ悪

過去のドラマの中でも、悪に加担した人物一人一人に復讐していく内容の
ドラマが有った。今回の「相棒」でもそれぞれの人の中にある悪が
何なのかを引き出し、それをつなぎ合わせて真実を明るみにしようと
する。

それぞれに持つ悪・・それは・・

女子学生死亡事故は、チェックバルブの不都合さが原因で起きた
ものだが、それを意図して世間を欺こうとする悪意が存在していた。

准教授もまた彼女の死を無駄にさせまいとして、事実の隠蔽を行う
ことにより、実験の継続が出来るのでは無いかという微妙な行動を起こす。
勿論本人は金銭的心配を生徒にかけたことへの罪悪感も有ったのだろう。

教授は殆ど監督していない立場だが、報告だけは受けていた様子。
事故の全容は把握していたのだろうか。知っていたとして、それを
口にしたところで得することはない。自己保身の為だとされていたが、
生徒たちがやったことなので、正直に話した所で、そこまで影響を受ける
だろうか。

そしてメインは、女子学生の死の真相を探るために起こした爆破事件。
幸いにして被害者は出なかったが、相当な数の罪を重ねたことになる。

・暴走を止める為に・・

今回のテーマはこれに尽きるのだろうか。

人は弱い生き物なので何処かで悪さをする可能性が十分に有る。
その時に必要なのはチェックバルブのような事件を犯す可能性を持つ
人物の特定である。
人の感情・行動を極限値にまで至らせない為に制御する緩衝的なものが
必要だが、身近にいるものたちにとってはそれどころでは無い。
やはり上に立つ教授らの監督不行届なのか。

社会に対する不満が何時爆発するかは誰にも分からないが、その着火点
の大半はその人にとって大事な何かを失い自暴自棄になる状況の時が
最大だけど、海外ドラマ「Person of Interest」くらいの
予知・感知システムが必要か。

今回のドラマで日本語での「爆弾」が広義に使用出来るものだと改めて
感心するが、人は誰でも爆弾を抱えて生きているものではないか。
自分自身を蝕む病気・疾病を患えば「爆弾」とすることも有るし、
感情の高ぶりが、物理的な火力を使う爆発以外の方法論で他人の身体に
ダメージを与える事も有る。

・視聴者として

今回は単純に見ていると、恋愛感情、パワハラ、浮気のいずれかが関係
していて、不都合になった人間を殺害したようなシナリオの様だった。
脚本もそのように誘導していたかのように思える。

ただそれだと余りにありきたりなシナリオなので色々と疑って見ている。

犯人が狡猾なのは自分が直接手を下したように見えないようにする事
だった。麻袋のようなものをかけている意図は、「クラッシュシンドロ
ーム」の名前が出た時点で想像できるものがある。

ワンパターンに見えたのは、携帯の追跡を多様したこと。
携帯の追跡などもっと早くに出来るだろうし、それを使った攪乱や、
ネット動画を利用した犯行というのが多い気がする。

サイバーでは土師が大活躍だが、やはり「冠城亘」との関係で面白さを
出していた青木の存在は大きく、土師にも天敵のような人物が必要の
様な気がする。
現在空調のCMで「斎藤工&山本耕史」の二人がフルネームで呼び合う
ものが好きなんだけど、青木は冠城の事をフルネームで呼んでいたね。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (1と5代目相棒、)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長・警視監 警察庁のキャリア官僚)
亀山美和子 …… 鈴木砂羽 (フリージャーナリスト)
土師太 …… 松嶋亮太 (サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官)

平山翔太 …… 山本涼介 (城南大学理工学部4年)
三沢龍之介 …… 山崎潤 (城南大学理工学部准教授)
野々村利夫 …… 佐藤誓 (城南大学理工学部教授)
森原真希 …… 大坪あきほ (城南大学理工学部4年)
三沢史子 …… 松下恵 (三沢の妻)
谷川 …… 草野大成 (城南大学理工学部学生)
工藤 …… 西本まりん (城南大学理工学部学生)
…… 松嶋健太 (爆弾処理班員)

保科光志、新虎幸明

スポンサーリンク
レンダグル大336
レンダグル大336

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レンダグル大336