相棒16 第5話 手巾(ハンケチ)

相棒16
(2017年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

EXプロブューサー:桑田潔
チーププロデューサー:佐藤凉一
プロデューサー:高野渉、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第5話 手巾(ハンケチ)

脚本/浜田秀哉 監督/内片輝

【ストーリー】

(樋口真紀は5年生の頃、父兄参観の際、「私の親」についての
作文で警察学校の先生で、鬼教官と呼ばれているが、優しい父
だと語る。)

23年後、真紀は父親に対してあなたを父親とは認めないと語る。
その直後父・樋口彰吾は屋上からのテラスから落下する

真紀はビジネスホテル変死事件の真相が見えてきたと連絡する
とみれは自殺ではなく殺人だと語る。

■警視庁警察学校
右京たちは米沢に呼び出されて学校に行く。現場で鑑識作業を
指示している米沢を見た右京や冠城は現場に復帰した?として
昔に戻ったみたいだという。冠城は米沢に現場に戻りたいので
はないかと語る。今回の件、右京やそして何よりも冠城が気に
なるかと思って連絡したという。冠城にとってはつい一年前
教官だった人が墜落したのだから。

樋口彰吾教官は現在意識不明の重体。幸いにも下が草木が生えて
いてクッションになったとのこと。自殺・・殺人未遂も十分に
考えられるという。
米沢によると最上階テラスから転落したのはその樋口彰吾(57歳)
で20年のベテラン教官だという。どういう教官だったのかと
右京は尋ねると、冠城は”マシン”だという。警察不適格者を切り
捨てるマシンで通常1クラス35名で平均退学者は5名だが、樋口の
場合平均10名だったとのこと。疑わしい生徒のプライベートを
洗い出して不適格者の証拠を突きつけるのだという。
警察の不祥事は警察学校の責任だという考えの持ち主だったとの
こと。右京に何処か似ているという。
「我が道をいく。往々にして周囲に理解されがたい」と冠城。
転落したのは10月23日の午前24時から25時の間。事件なら場所的
に考えても内部のものではないかと。しかし敷地内の構造を知って
いれば侵入も可能だという。

あの人は自殺などする人じゃない。
敵が多いのは確かでその敵は生徒・・退学者や卒業生となれば
膨大な数だという。意識が戻ってくれると良いが・・と。

病院に行く。
ICUの外で樋口のことを見守る女性が居た。
右京たちはその人物に話を聞くと、彼女は吉祥寺北署の刑事で
樋口彰吾の娘の真紀(26歳)だという。

病院内の喫茶店で話を聞く。
父は全身打撲による骨折、内臓破裂で危険な状態だという。
これは事件ですよね?と問う真紀。意識が戻るのは5分5分だと
いう。そんな真紀は自分は署に戻るという。家族は私だけだが
帳場に入っているので・・と。冠城は確か吉祥寺北署は伊丹さん
が関わっているビジネスホテル変死事件の現場だという。手がかり
が見えてきたので解決するという。

冠城は右京に彼女をどう見るかと問う。クールと言っても父親
が命を落としそうな時に冷酷過ぎはしないかと。
そんな右京に対して中園から連絡だという。冠城は怒られ役は
右京に任せるので自分は関係者から話を聞いてくると言って
立ち去る。

■感想

23年前に起きた事件を絡ませた事件の流れが有り、
現在のドラマの中で発生した教官転落事件とビジネスホテル
変死事件の流れも繋げて、色んな意味で連鎖的流れを描いた
ものだった。

責任の所在に関して特命係を引き受けて責任の所在をハッキリ
させようとしていたこのシーズンの初回の流れが、今回ドラマ
の中でも描かれ、警察学校の教官は警察の不祥事は警察学校が
責任を持つことを口にしている。捜査するなと言われた際に
「はい」と言わなかった右京。その件で内村と中園が責任の
所在について擦り付けているところもまた笑えるところ。

ただこれまでにも何度も同様のこととして取り上げられている
けれど、組織の論理と個人の正義は必ずしも一致させる事は容易
ではない。どれだけ情熱を傾けてもその正義を貫かせることの
難しさを体現させられるのが相棒だ。

蛙の子は蛙というように、犯罪者の子は犯罪者として継承され
捜査官としての子供は捜査官の道を歩む。
そんな因果関係の面白さは存在していたし、人が生きる意味の
一つとしては、何かを残したいと感じる本能的要素
のようにして、自らの意思を引退していく教官が娘や冠城にも
継承していってもらいたいとするところは何とも憎いところだ
った。そして何よりも厳しい目を向けて父親に対して教官の
資格はないと一蹴した娘の姿に複雑な思いがしただろうけど、
自分の世代では解決出来なかったことを次の世代では解決して
もらいたいとする願いなんかも込められているところも有った
のではないかな。

一番気を引いたのは教官が青木や冠城について調べていたこと。
青木にしても冠城にしても教官が評価していたのは組織の論理
にはめられない人材だということを評価しているところが
有ったのではないか。青木は常に怪しさを醸し出しているけど
教官が私生活を調べて大丈夫だと太鼓判を押しているとしたなら
ば、反逆を起こして何かする人物ではないということにもなり
そうだしね。

今回のテーマは日本人に合ったものだと思う。
哀しい時にもあまり人前では表情を出さない日本人だが、
秘めたる闘志がそこには有り、悲しみにもハンカチを握りしめて
次なる事件解決への糧とする。

真紀の犯行説がミスリードの流れとしてではなく、リアルに
実行犯としての可能性として見られたのは真紀が養子であること
が分かった辺りだろうか。

裏の顔があるのは人間の表情や心情だけでなく、悪党達は
フロント企業に隠れて銀龍会という暴力団に属している。

警察官の意思を継ぐ者も居れば悪党側にもその意思を継ぐ者が
いて、そのいたちごっこだ。敵を知るには敵の懐に入って
その情報の詳細を把握する。そんなことが可能なのかって感じ
がするけど、それを考えるとちょっと怖いところだね。
裏の裏は表。「最高の犯罪養成学校」だとする手塚のことを
見抜けなかった時点で教官の限界を感じるところだったのか。

戸籍を変える人が多く、この人は実は23年前の被害者/加害者
の子供だったという因果関係がまたなんとも言えない。

右京が真紀の犯行説を否定する辺りの説得力が有って流石は
右京って感じだったかな。

米沢さんがこれを機会に戻ってくれると良いのにね。
米沢さんが出たので短編小説ではなく落語/小噺がネタになる
のかなと思っていた。かつては亀山くんだって一度は交通課に
左遷されて戻ったしね。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目”花の里”)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー対策本部特別捜査官)

米沢守 …… 六角精児 (警視庁警察学校教官)

樋口彰吾 …… 佐戸井けん太 (警視庁警察学校教官)
樋口真紀 …… 南沢奈央 (26歳、吉祥寺北署刑事)
(幼少の頃の真紀:渡邊詩)
手塚英雄 …… 羽場涼介 (警察学校の生徒)
桟原誠一 …… 志貫徹 (曙ケミカル研究員・変死、真紀の本当の父)
野田啓介 …… 中田勇樹 (35歳、ネイコム研究員・変死)
野田翔太 …… 湯川颯 (5歳、一人息子)
久保田武士 …… 森谷勇太 (25歳、オールウェイズ・エステート、銀龍会)
手塚正敏 …… 鈴木隆仁 (帝都アセットマネジメント社長、英雄の父、詐欺)
赤松建彦 …… 宮澤和之 (帝都アセットマネジメント、久保田の兄貴分)
上田明子 …… 夏秋成美 (看護師)
樋口亜美 …… (彰吾の妻)
桟原響子 …… (誠一の妻)

桜庭啓丞、玉置康二、成田貴典

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コメント

  1. いっしん より:

    志貫徹は「桟原誠一」です(ノンクレジット)

    https://twitter.com/kondokeiichi1/status/930975805533908992

    • イタ より:

      いっしんさん毎度有り難うございます。
      ちょっとブログをチェックするのが遅れて訂正もまた遅れてしまい済みません。
      訂正して置きました。有り難うございます。
      また相棒が始まる時期ですね~楽しみです。