相棒18
(2019年10月期・テレ朝・水曜21時枠)
監督:橋下一(1、2)(5)(6)(11)、権野元(3)(4)(8)(9)、
片山修(7)(10)
脚本:輿水泰弘(1、2)、神森万里江(3)(8)(9)(11)
児玉頼子(4)(5)(12)、斎藤陽子(7)、根本ノンジ(6)(10)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広
https://www.tv-asahi.co.jp/aibou18/
第12話 青木年男の受難
【ストーリー】
・特命係
右京は紅茶、冠城はスマホを眺める中、角田がやってくる。
おまえらが平和なら世間も暇だろうなと嫌みを言う。
そこにサイバーセキュリティ対策本部の土師太がやって
くる。青木の同僚でライバル。
青木に頼まれて右京さんにこの本を返しに来たという。
「蟻地獄図鑑」。
青木からの電話で、
「僕はこれから緊急手術をするのでしばらく休むことになる。
それで僕のデスクの一番右に置いてある本を大至急特命の右京
さんに返しておいてほしい。あの人、約束を守らないと鬼怖い
から・・今すぐに・・」と。
しかし右京には貸した覚えが無いとのこと。しかも冠城は青木
に電話するが繋がらない。そもそも緊急手術を受ける人が電話
をかける余裕があるだろうか?と冠城。
土師にGPSから青木の居場所を調べてもらう。青木ならすぐに
調べられるが君には難しいのか?というとライバル心に火がつい
てすぐに取りかかる。
あんなやつに負ける訳が無い・・彼は外部のパソコンからLOGIN
しているという。青木がアクセスしているのは「神田北署で
起きた事件の捜査ファイル」だと。神田北署ではパスワードが
設定されているので解析に苦労しているようだと土師は喜ぶ。
・青木のアパート
右京たちはアパートを調べると定時に出勤していることが分かる。
そしてマンション近くの植え込みには青木のバッグが落ちていた。
・刑事部長のオフィス
内村、中園を始め捜査一課の面々に青木が拉致された可能性に
ついて報告する。外部から捜査資料にアクセスしていること。
犯人の目的は内部情報の入手ではないかというもの。そして
青木がサイバーセキュリティ対策本部の人物だということを
知っている人物による仕業だ。内村はすぐにアクセス権を止めろ
というが、右京はそれだけはやめた方が良いとし、その理由
として警察に勘づかれたと分かると青木の命が危ないこと。
犯人の正体、目的が分からないので、先ずは相手の動向を探る
べきだという右京。青木は命を狙われれば内部情報をホイホイ
渡しそうだという芹沢に、寧ろ青木は素直にいうことは聞かない
のではないかという。実際に異変に気がつくように右京に電話して
いること。屁理屈で相手を説き伏せたに違いないという。もしも
犯人が情報を得たら青木は用済みになる。ファイルパスワード
の解析に時間をかけて時間稼ぎをしているのだろうと。
内村は外部に情報は漏らすなとし、伊丹たちは拉致現場を調べる
とし、右京たちはアクセスデータからのアプローチをするという。
神田北署で起きた事件関係者の可能性が高いとのことだった。
■感想
今回はひねくれ者の捜査官・青木年男が失踪してしまうというもの。
相棒によくある「正義」に対する捜査官としての心情なり、その人
となりの信念・見解というものを見せられるものだった。
正義に関してはそもそも右京が警察組織と対立することはあるの
だけど、今回の首謀者はどちらかというと陣川君のような暴走型
の正義で、それこそ成宮くん演じた三代目相棒の正義のそれと
似たようなところがある。
推定無罪という言葉が日本ではなかなか通じないところがあり、
有罪が確定するまでは偏見の目で見てはいけないものなんだけど
日本の場合マスコミが主導で有罪っぽい嫌疑がかけられると一気
に有罪視線で報道するからね。その点では今話題の人である
カルロス・ゴーンのことを意識しているような流れだった。
月曜日に放送されている「絶対零度」と似たようなところは、
IT捜査にかなり頼っていること。アナログ的捜査の流れには
人の圧力がかかったり感情のぶつかりなども有って正確な状況を
精査することが難しいところもある。特に捜査機関である警察組織
はえん罪など認めるはずは無いので、彼のようにえん罪を疑う気持
ちが生まれるのも無理はなさそうだ。
自供頼みの有罪がいかに危ういかということを示すものが有ったし
きな臭い事件がいくつか絡んできたのでカムフラージュとしては
ロジックの組み立てを手こずらせるところがある。
ドラマでは主に「金狼会幹部刺傷事件」と「千代田区男性会社員重
過失致死事件」が浮上し、そして今回の「青木拉致失踪事件」が
重なった。ヤクザの世界に於ける正義と警察や一般人のそれとは
違うからね。
色々と「上司と部下の関係」に関してはどの事件の流れにも共通
するものとして存在している。
ヤクザの世界では未だに組織から抜けることに犠牲が伴うし、
警察に於いても一度解決した事件にはなかなか踏み込むことは難し
い。そして会社員の事件でもパワハラなどの上下関係に於ける気む
ずかしい人間関係が存在する。
捜査の鍵は防犯カメラにあったりネットアクセスに有ったのだけど
過去の事件はともかく、パソコンでアクセスしている限りは
すぐに青木の居場所など最初のアクセスの時点で分かったのでは
ないのかって感じだね。まぁその辺は右京さんが真相を掴む為に・・
とは語っていたけど・・。
ドラマでは人情が大きな要素として含まれている。
舎弟の代わりに身代わりに自供したり、会社員重過失致死事件に
於ける石井直久もまた控訴しなかったのは人の命を奪ったことによ
る自ら罰した格好だったのだろう。正義の証明の仕方を誤った
木村巡査もまた基本的には間違っていないし、石井琢也は最後まで
一人での犯行だとして巡査のことをかばっていた。
■出演者
杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
衣笠藤治 …… 杉本哲多 (警視庁副総監・警視監)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁長官官房付)
土師太 …… 松嶋亮太 (サイバーセキュリティー)
木村信士 …… 中村優一 (神田北署・巡査)
後藤嗣昌 …… 津村知与支 (神田北署・係長)
相良治夫 …… 荒谷清水 (63歳、銀龍会・変わり身)
梅本康平 …… 吉成浩一 (神田北署・署長)
広瀬 …… 小森敬仁 (金狼会幹部)
黒川龍蔵 …… 鈴木隆仁 (銀龍会・会長)
黒川龍臣 …… 黒石高大 (銀龍会・若頭)
石井直久 …… 神林茂典 (51歳、重過失致死事件・加害者)
石井琢也 …… 広田亮平 (慶明大工学部3年生、直久の息子)
千葉義人 …… 久田悠貴 (30歳、重過失致死事件・被害者)
浜崎洋介 …… 石黒鉄二 (千葉の部下)
戸川季史 …… 相田真滉(千葉の部下)
河野 …… コガケースケ (銀龍会、父親になるので故郷へ)
関本巧文、南瀬嵩、宮下忠人