相棒20
(2021年10月期・テレ朝・水曜21時枠)
監督:橋下一(1)(2)(3)(4)(6)、寄下敏行(5)
脚本:輿水泰弘(1)(2)(3)、神森万里江(4)、池上純哉(5)、
森下直(6)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広
https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
第6話 マイルール
【ストーリー】
●東京都世田谷区の住宅地
大きな邸宅で腹部を一刺しされた男性が書斎で殺され発見
される。
【被害者の名前】は福山光一郎(66歳)。
【死亡推定時刻】は昨夜22時から24時の間(10/18)。
この間彼はテレビの中で、
『財布の中にはいつも100万円は入っていると豪語』
『自分は現金主義』
だと言っていたミステリー作家だった。
人気作品の『運命の来たる日』が、月刊誌「ジャパン・ミステ
リー」に掲載中で、テレビのワイドショー「帝都イブニング」
に出演していた。
・捜一や鑑識が現場を調べる。
遺体の周りには財布が見当たらないという芹沢。
しかし麗音は暫くして財布が庭の埋め込みの影に捨てて有った
が中身はカラだったと報告する。
家政婦の久本さつきによると先生の財布で間違いないとのこと。
彼女は通いの家政婦で今朝伺った時には玄関の鍵が開いていた
という。執筆に集中すると食べること、寝ること、風呂に入る
こと、閉じまりすることなど疎かにするので「危ないです」と
日頃から注意していたという。しかしその度に「五月蠅い」と
いう返事が有り怖くて強くは言えなかった。
・伊丹は特命係が来たことを知り嫌な顔をする。
しかし伊丹の見解では「金目当ての強盗だ」として、聞き込み
に行ってしまう。
右京は被害者のパソコンを見ると『運命の来たる日』の結末
はどうなっているのかと尋ねる。
福山は普段は手書きで書き上げられる原稿はいつもこの引き出し
にしまっていたという。昨日は帰宅する時にもまだ執筆して
いたという久本。
「近年稀に見る波乱に富んだミステリーで、その最終回の原稿が
持ち去られている。」
犯人が金と共に原稿を持ち去ったということなのか・・
●早元出版
福山は月刊誌「ジャパン・ミステリー」に『運命の来たる日』
を一年にわたって連載していた。
内容は
『14歳の少女がコンビニの帰り道に何者からよって殺され
犯人を名乗る人物”アンノウン(unknown)”から警察に挑戦状が
届く。主人公は捜査一課のベテラン刑事。正義感に燃えて
執念の捜査を続ける。そして同じ手口で連続殺人事件が発生
し、アンノウンの魔法の手はベテラン刑事の仲間や身内に
まで及び彼を苦境に立たせる。ベテランの刑事は心身に
傷を負いながらもアンノウンの潜むカルト集団を突き止め、
単身乗り込み有る人物を刺して叫ぶ。
「アンノウンはお前だ」』
そこで最終回に続くというものだった。
この手の小説にはありがちな手法。
最終回の掲載前にこんな事になるとは・・右京さんならその
アンノウンが誰かを推理出来そうだという冠城。
しかし右京はそれは買いかぶりだとし、ミステリーの味わい方
として犯人捜しに終始するのは間違っていることを語る。
この小説は人間の業をえぐり出す文学小説でもあるという。
「人間、業の究極は殺しだ」
と冠城は呟く。
そこに編集者の森川誠がやってくる。
福山の担当をしていた人物。
先生はミステリー界の第一人者で、この20年間ヒットを連発
している大御所だったこと。それ故に扱いにくい作家でも
有ったとのことだった。
●釣り堀
前任の川波出版社の担当の布田房江から話を聞く。
酷い屈辱だったとし、元々はこの小説は早元出版社ではなく
ウチの川波出版社で連載するハズだったこと。
■事件
人気ミステリー小説作家が殺害される。
不況にあえぐ出版界には救いの人物が殺害されたことで痛手
を負った形だが、逆に出版社は非業の最期を遂げた事を利用
して過去の再版を検討していた。
拘り故に出版界内にも彼に恨みを持つ人物が居てもおかしく
はないが、福山が寄稿したエッセーには、
「事実を元にした完全なフィクションを書く」として
おり、その中では「完結した際には失われた事実があぶり
出される」との一文が書かれていた事から小説の内容を調べて
いくと、22年前に起きた事件が浮上する。
・事件に於けるポイント
22年前の事件。
福山がサラリーマン時代で44歳の頃に一人娘のしおり(14歳)
が殺害されている。犯人は17歳の少年で金目当て。
口を塞いだことによる窒息死。
少年法によって犯人の人権守られている中、人物の特定を
急ぐ。
■感想
自分の書いている小説に事実を込めて過去の事件をあぶり
出そうとする。迷宮化された事件ではないんですけど、
やはり小説という性格上、人の心理や状況の細かさなどが
詳細に描かれて興味深いものになりそうだ。
ただ身内が殺されたとなれば何時まで経っても踏ん切りが
付かないのは仕方が無い事で、時が解決してくれる人も居れば
死ぬまで許さない人も居るのだろう。
その過程は多分現実と連動しているとなれば、世間が
騒ぎ出して興味深いことになりそうだけど、今の世の中、
事件が起きるとすぐに場所が特定され、加害者・被害者の
家族構成なども警察さながらにネット上に顔写真付きで
あぶり出されてしまうのだからある意味怖い。
加害者は二度と社会に復帰する機会を与えられず、社会から
あぶり出されるしかない。
タイトルにあるマイルールは、今回の主人公の小説家の持つ
ルールとか法則的なものではあるけれど、それぞれ各キャラク
ターの中にはルール的なものがある。
それぞれに持つルールは性格とか人物像を想像させる。
亡くなった人のルールと言う名の性向を知る事で小説にかけた
思いというものも浮かび上がってくることだろう。
■福山光一郎に恨みを持つものたち
福山が恨みを持つ人物は単純だが、逆に彼に恨みを持つ
人物は誰なのか。
そして被害者は何故殺されなければならなかったのか。
14歳の娘は金目的の少年によって殺害された。
福山は自らを囮のエサとして犯人をあぶり出そうとしていたの
か。
不思議と日本ドラマのロケ地としては何度も利用されている
市ヶ谷の釣り堀が出てきたけれどね。
原稿が無くなっている事から、少なくとも最終話を公表したく
ないと思って居る人物の犯行だ。そうなるとかなり容疑者と
いうのは最初から絞られるところがあるのではないか。
小説家が最終話は出さないとか言い出して、出版社の人物が
説得した挙げ句に殺害して出版してしまうなんて事はドラマ
の設定ではありそうだけど・・
・布田房江
川波出版の元担当編集者。
作品の『運命の来たる日』は当初彼女が担当するハズだったが
小説の中の登場人物を間違えたことにより、あっさりと鞍替え
されてしまう。一応恨みはある。
・アンノウン
一番の容疑者ではある。一連の事件が暴かれることで
刑期を終えて更生しても、世間からは再び批判の嵐によって
居場所を失う可能性が高い。
アンノウンの正体は野間口健一だが、名前は結婚したことに
よって変わっている。
彼が潔白である場合、アリバイを証明するにはどうしたら
良いのか。
・村上由梨
実はアンノウンの妻。夫の事は一番妻が知っており、更生
して穏やかに生活していることも知っている。
いつまでも追いかけてくる遺族の親に対して、止めに入る
際にその弾みで殺意が無くとも殺してしまった可能性はある。
■それぞれの誘惑
今回のエピソードは個人情報の扱いの難しさというものが
カギでも有った。少年法は加害者の更生の機会を守る為のもの。
知っている人は限られるのだろうし、それを知るにはそれ
なりの人物との接触は必要不可欠。
今回その情報に触れられる人物は何人か居た。
冠城は元法務省の役人故にコネがあり、それを知る事が
出来る立場だった。
少年院法務教官は最善を尽くしたものの、結局2年前に
福山が尋ねてきた時に少年Aの事を話してしまった様だ。
また今回は”こてまり”の女将さんも他では知り得ない情報
を持っている。花町での会話には重要なことが含まれている
ことが多いけれど、その会話自体は墓まで持って行くのが
暗黙のルールではある。
少年Aの妻も覚悟の上で結婚した訳だが、彼が殺人を犯して
服役したことを知った上で結婚しているのであれば、既に
反省しているという事は明らかではないのかという気がする。
■出演者
杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (警視庁組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (警視庁サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁長官官房付)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警視庁警務部首席監察官)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
福山光一郎 …… 菅原大吉 (ミステリー作家)
村上健一 …… 斉藤悠 (フレンチシェフ・22年前、しおりを殺害)
少年期の健一 …… 武藤悠真
村上由梨 …… 佐久間麻由 (健一の妻)
三上彰 …… 大川ヒロキ (少年院法務教官)
布田房江 …… 瀬尾智美 (川波出版編集者)
久本さつき …… 上原奈美 (福山の家政婦)
森川誠 …… 脇知弘 (「ジャパン・ミステリー」編集部員・福山の担当)
福山の母 …… 岡内美喜子
福山しおり …… 林谷まいか (福山の娘・22年前、殺害される)