相棒20 第16話 ある晴れた日の殺人

相棒20
(2021年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋下一(1)(2)(3)(4)(6)(15)(16)、守下敏行(5)(7)(8)
蔵方政俊(9)(10)、権野元(11)(12)(13)
脚本:輿水泰弘(1)(2)(3)、神森万里江(4)、池上純哉(5)、
森下直(6)、山本むつみ(7)(15)、瀧本智行(8)、川﨑龍太(9)(13)
根本ノンジ(10)、太田愛(11)、斉藤陽子(12)、徳永富彦(16)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第16話 ある晴れた日の殺人

【ストーリー】

●ビルの屋上

ヘリポートにもなっているビルの屋上で男性の遺体が横たわり
捜査一課、鑑識が捜査に入る。

現場には規制線が敷かれる中、一人の男が野次馬としてこの
捜査を見ていた。彼は内心で「俺が殺してやったんだ」と語る。

鑑識らの見解では腹部に刺された傷口が三か所。
死因は腹部大動脈損傷による出血性ショック死。

何度も刺しているがその意味は何だ?という芹沢の問いかけに
出雲は恨みを持つ犯人の可能性に言及する。

死亡推定時刻は昨夜22時から24時。
凶器はハサミ。益子はその凶器が現場に落ちており、特徴と
しては刃渡り22cmで、柄に指紋はなく、遺体の傍にはハンカチ
が落ちていたが指紋を抜いたのだろうことを告げる。
ハンカチにはイニシャルが刺繍として刻まれていて「T」と
書かれていた

被害者の社員証も発見される。
被害者はネオスペック(neospec)のクリエイティブ部・新規
事業開発室の中松誠。このビルに入っている広告会社だという。
しかし中松だとイニシャルが違うこと。社員から話を聞き込み
しようという。

現場に特命係の二人が来ていて色々とみているのを伊丹は
目にして声をかける。冠城の通勤路でパトカーが集まっている
のを見てその写真を右京に送ったことから始まったもの。

右京は現場に有った請求書に目を通す。
これはいったい何なのかと尋ねる。破られていた書類を
テープで貼り合わせてあった。

・ネオスペック・クリエイティブ部

話を聞きに行く捜一と右京。そこには山村拓也が居た。
亡くなった人物がいると噂を聞いていた彼はやはり中松誠さん
だったのですねと語る。連絡もなく出社していなかったので嫌な
予感はしていたという。警察側の質問に対して、彼は殺意・動機
の反論をする。
入社以来世話になって来たとし才能が有り、いろいろとヒット
させていたという。

2月22日(火)の終業は午後6時までとホワイトボードにあるが残業
はしなかったのかと問うと、山村自身早退したのだという。中村
のところには会議室D(19時20分)と書かれていた。
山村は早退した理由として昼間に体調が悪くなったとし、許可
を得たのだという。

「中松のことを恨んでいた人物はいなかったのか」
を問う出雲。
すると山村は恨まれてはいないが逆に恨み言は言っていたとい
う。この部屋を見てくれという山村は警視庁の面々に何かを
感じないかと尋ねる。右京は新規事業部としては質素な部屋
で席は2つで窓も小さいと指摘する。元々ここは物置であり
新規事業部と言っても実際の仕事はなく、「追い出し部屋」
と言われていたという。今の部長の田川浩は、中松とは同期
であり昭和時代の出世競争を行っていた人物。2年前に田川が
部長になった途端にこの扱いだという。
捜一は何かに気が付く(イニシャルT?)とすぐに部長の元に聞き
込みにいく。

一方右京は一つだけ山村に質問が有るという。
ホワトボードに中松は会議室Dを抑えているが仕事がないとは
言っていたが誰と会議していたのか?。
しかし山村は早退していたので分からないという。
また冠城は破れて貼り合わせた書類を見せる。

・捜一は田川のオフィスへ

中松が亡くなったことは田川の耳にも届いていた。
中松について尋ねると、彼は優秀なクリエーターだったが、
最近は時代に合わないことも多く、本人も苛立ってもめごと
が多くなっていたこと。

「あなたの同期でライバルではないか?」

と問うと、彼は競争相手な負けた側が恨むのはともかく勝った
側が恨むと思うのかと言われる。

・そこに特命係が来る。

右京らは中松の遺留品の中にあった書類・企画書を見せて
そのことについて尋ねる。
更に中松は亡くなる前に会議をしていたが総務部に聞いた所
予約していたのは田川であることを語る。
しかし田川はあくまで業務上の報告だとしか言わなかった。

冠城は明らかに動揺していたことを告げる。
右京は書類のホッチキスの跡が気になっていた。
穴はテープの上から空いていること。つまりホッチキスは
繋ぎとめた跡のものだと指摘する。

■事件

働いていた会社の屋上で中年社員の男性・中松がハサミで
刺されて遺体として発見される。死亡推定時刻は午後22時
から24時。話を聞いて回ると、次々と怪しい人物が出てくる
が、どれもこれと言った殺すほどの動機が見つからずに
いた。そんな中、捜査を見守る犯人らしき人物が常に右京
たちの後を尾けていた。

■感想

最近このドラマを見ると、冠城はどんな形で「相棒」を
去っていくのかということばかり考えていたりいなかったり
するのだけど(どっちだ)、こういう内容の中にもヒントが
隠されているのかな。

中年になった際に、現役の仕事から外された人には何が残って
いるのか。
これは絶対に人生に一度は考える時期が来るはずで、何も仕事
だけに限らず、自分と社会のかかわりに於いて、自らの立ち位置
というものを確認する作業が求められ、それが嫌でも突き
つけられる。人間関係がうまくいっていればそれはそれで
良いのだろうけど、それさえもうまくいかずにいた場合、
このドラマの被害者のように生きた屍の如く、いつまでも浮遊
する様なものとしての登場していくのかも知れない。

ドラマの被害者である中松が所属しているのは
「窓際部署」とか「追い出し部屋」と言われている場所で
実は、「相棒」における「特命係」とそっくりなのだ。
昭和の人ならば「ショムニ」とかあげられそうだけど。

このドラマで言うなら亡くなってしまった中松が右京で、
部下は山村ということになる。
才能が有って優秀なクリエーターならぬ捜査官であり、
右京のように時代に沿った感覚と才能が有れば、例え人間関係
が上手くいかずともそれだけの存在感を示せる。

・テーマは何か?

テーマを示せば、上述したことにもつながるが主人公が広告業
なだけに発信力が考えられるが、面子を含めた「顔」とか
その人を構成する「存在」ではないだろうか。

冒頭から遺体の顔写真がなかなか出てこない。
これにはこのドラマのトリックに関わるものなので明かす事
は無く進行する。
生きていても死んでいても彼のように彷徨い歩いて居る光景。

右京はその存在に何処か気が付いていて、違和感を生じている。
やはり彼の才能は霊界と繋がっていて考えが天から降りてくる
のか(嘘)

・容疑者像

どの人物にも一通りの容疑をかけて視聴者を惑わす。
あまり派手なシチョエーションではないし、一つの建物の
企業内で起きている事件。

結論から言えば自殺案件なので、特命係が担当するにはピッタ
リなのだけど、今回は限りなく他殺を匂わせるという意図を
感じるので捜査一課も参入した。

このドラマでは結局のところなぜ他殺に見せたのだろうか。
クリスチャンなのか。自殺することにはプライドが許さなかっ
たのか。
全員に復讐がしたかったのだろうか。自分の存在や才能を
他社に知らしめたかったのか。それとも反省を促したかったのか。

自殺だと保険が下りないので妻に残すべき支払いが出ないとか
気遣ったのかと2秒くらい思ったけど、妻の態度を見るとそう
良い感じの関係でも無かった。

自分で自分を殺してしまうほどの怒りを覚えていた彼はなんだ
かんだ言っても責任感が強そうにも思える。しかし同時に
彼は全方位的に怒りを放出しているような感じだ。

■残念な内容

アイデアは面白いがいまいち感情を揺さぶられるほどの
流れがどこにもない。

同僚は出世によるマウント取りに走り、企画書の流れでも
隠ぺいすることを求めた。部下は尊敬心が揺らぎ勝ち馬に
乗り換えようとしている。妻はうだつがあがらない
夫を見限り、夫の死を目にしても金と不倫相手を気にしている。

それら人物に対する復讐心だが、自分自身にも罰を与えるような
流れがある。
このトリックは誰にも分からないと言い続けていることから
見ても、才能を過信しているところがあり、何処か同情心が
失われる。

ただ他殺と自殺では分析すれば色々と違いは分かるのではない
のか。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (警視庁組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (警視庁サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)

中松誠 …… 高橋和也(広告代理店”ネオスペック”新規事業開発室員)
田川浩 …… 白畑真逸(”ネオスペック”クリエイティブ部部長)
中松陽子 …… 冨樫真(中松の妻、旧姓高木)
山村拓也 …… 成田瑛基(”ネオスペック”新規事業開発室員)
天野 …… 金原泰成(”ネオスペック”経理部員、メガネ)
後藤 …… 守谷勇人(”ネオスペック”社員・山村の同期)
島原隆三 …… (“西葉ホールディングス”広報宣伝部)
竹下 …… (“ネオスペック”スタッフ。陽子の対応をする)

相馬一貴、原田大輔、海老原恒和、林田一高
大林佳奈子、鯨井智充、福田真由

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