相棒20 第7話 かわおとこ

相棒20
(2021年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋下一(1)(2)(3)(4)(6)、寄下敏行(5)(7)
脚本:輿水泰弘(1)(2)(3)、神森万里江(4)、池上純哉(5)、
森下直(6)、山本むつみ(7)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第7話 かわおとこ

【ストーリー】

●奥武蔵野町・武蔵野川

辻浦悠太は川岸で花を摘むと母の千夏にそれを渡す。

「ママは頑張って居るからあげる」

その言葉に母は喜び子供にハグかると一緒にベンチの上で寝転
がり心地よい気候を満喫する。時折吹く風は睡魔を誘うのに
十分。
千夏は悠太と寝そべっていたハズだが、起きた時には息子が
居ないことが分かる。急いで悠太の名前を呼んで探すが、何処
からも見付からなかった。

・料理店

冠城は右京を食事に連れて行く。
ここなら右京に気にいってもらえるとし味は保証するという
冠城。特に生春巻きは絶品だと。

その店の外で女の子(辻浦百花)と大人の男性・安田秀人が
言い争いしている光景を目にする。
百花は、「返して!」と主張するが、安田の方は「知らないと
言っているだろう」として話は平行線へ。

そこに特命の二人が間に入って話を聞こうとすると、なんと
二人は親子で、妻とは離婚して親権こそないが本当の親だと
いう。やりとりを見ていると特命の二人も確かにその通りの
様だと語る。

●特命係

テレビ番組「NewsNetwork」を見ていると武蔵野川が起きた男児
行方不明事件の続報が入ってくる。男児は見付かるが意識不明
の状態で見付かっていること。

・角田がやってくる

川で居なくなった子は見付かったのかとし、釣りに来た人が
流木の影で発見したそうだという。ただし意識不明の重体。
幼い子の事件は特にやりきれないものがある。
保護者が目を離した隙に発生したもので、親は溺れていた事に
気がつかないものなのか?と。
右京によると子供の場合静かに御ばれることもあるという。

internetの「匿名掲示板長」でも話題になっていた。
親の責任を問う書き込みで溢れているが、角田は子の生き死にが
かかっている時によくバッシングする気になるなとして軽蔑する。
よってたかって石を投げつけているみたいだと。
更に個人情報が特定され写真付きで掲示板に掲載されていた。

奥武蔵野団地の住人。シングルマザー。
写真を見ると百花の姿が映っていた。この子は昨日喧嘩して
いた子ではないかとし、父親が連れ出したものと思ってあのよう
な言葉を言っていたようだと合点する。

●奥武蔵野町・武蔵野川

悠太が居なくなった辺りを探す特命係は、地元の住民に話を
聞いて回る。「川を守る会」の住民がテントを張って川沿い
に居た。彼らは城西エレクトロニクスの事を監視していた
ものだが、特命係の二人を見てそこの社員かと尋ねる。
しかし和久井倫代は水質調査で来た人では無いかとし、役所
の人でしょ?と問う。スーツを着ていたこともあり工場の人
には見えなかった。

彼女たちは「また魚が死んだ事を聞いてますか?」と尋ねる。
3年前に工場排水の汚染のせいで魚が大量死した事があり、行政
検査が入り有害物質は直接川には流せないようにしたハズなの
にここに来てまたそれが起きたこと。役所が動かないからこっち
で水質を調べているという。

ここの所この辺ではトラブル続きだとし、水難事故も起きたばか
りであることを語る。町の人たちも悠太くんの事は知っていた。
特命の二人はどの辺りで母親と離れてしまったのかを尋ねると
倫世が教えてくれる。ここから少し上流に行ったところ。
しかしそこでは4ヶ月前にも一人亡くなっている。
川は穏やかに見えて危ないのだとか。
亡くなったのは(株)笹沼硝子の若い社員の萩野義彦。
結局事故
だったという。警察が発見し、釣りをしていて足を
滑らせたのではないかという。少し物騒な噂も流れたこと。
また魚の死骸が上がり始めた時期で城西エレクトロニクス
と揉めているので何か関係があるのかも知れないとのことだった。

■事件

武蔵野川に散歩に行った母・千夏と子・悠太。
母親が疲れて寝ている隙に4歳の子供が居なくなる。
男児は発見されるが意識不明の重体だった。
既に掲示板では顔写真や住所まで公開されているのを発見。
その写真を見ると先日冠城が右京を連れて行った店の外で喧嘩
していた娘・百花であることが判明する。
居なくなった周辺にいくと、三年前にこの周辺の川で魚が大量
死する事故が発生しており、最近もまたそれが起きていたこと
が分かる。更に調べていくと4ヶ月前にも人が亡くなっている
ことが判明する。

・事件に於けるポイント

百花から話を聞こうとすると、悠太は川男によって川に引きずり
込まれたのだと主張し、目撃したとされる川男の絵を描いて
もらう。川男とは一体何なのか。
更に魚が大量死した事と四ヶ月前に人が亡くなったことに何か
関係があるのか。

■感想

今回の事件は過去のウソの詐欺事件を元にして、日本風にアレ
ンジしたような格好だった。途中で右京が語るけれど
それは「コティングリー妖精事件」を踏襲したものだった。

百花ちゃんが「同情するなら金をくれ!」と言っても違和感は
無かった。令和の「家なき子」の安達祐実さんみたいだったぞ。

ドラマでは二つの企業「城西エレクトロニクス」「笹沼硝子」
と地元の川を守る「川を守る会」の構図がある。
更に「匿名掲示番長」というものが存在していた。

地域社会で悪人から子供を守ったり市民を守る為の存在が
不在で、それぞれに役割があるとはいえ弱い子供や母子家庭
を守る姿が町には無く、出てくる言葉は嫌みばかり。
人の苦労は他人には如何に外面的印象でしかなく、時に想像
しては曲解して伝わってしまうのだからやるせない。

「想像」と「噂」、これはどっちが悪いものなんですかね。

誰もが少しでも他人に対する気遣いがあれば、防げる事件で
あることは言うまでも無い。配慮とは名ばかりで配慮に書いた
地域社会の構図というものがそこにはある。

正直離婚した父親が犯人だと思わせるには存在感がゼロ。
「城西エレクトロニクス」とか「笹沼硝子」の社員が有毒物質
を隠蔽して、それを明かそうとしたという事なら誰にでも
想像が出来る。

そして過去に検視解剖した内容が間違っているということは
これまでのこのドラマの中では殆ど無い事なので、4ヶ月前
に亡くなったとされる荻野義彦の死因は事故による溺死という
ことに変わりが無いところがあるんだな。

シーズン20の相棒はネット社会とは切っても切り離せない所が
あるんだね。ネットからの情報が実に多い。

また最後の方まで右京たちは警視庁の刑事であることは決して
名乗らなかったですね。

■現場百遍

・高部

現場には笹沼硝子の高部行人が手をあわせていた。
亡くなった萩野義彦とは上司と部下の関係だとか。
何かを知っている感じ。

・川男

百花の話では川男がいるという。
意外と右京さんは子供の心を掴むのが上手い。

「どちらかというと妖怪に近いのは右京さん」(by 冠城)

・産業用ガラス企業”笹沼硝子”

水難事故の件で社長の笹沼と会う。大量の水を流しているが
廃液はタンクに貯めて有料物質は取り除いて再利用している
とのこと。

・現場に落ちていたもの

【釣り用の靴跡】がある。フェルトの靴底は滑らず靴底にピンを
打つ。グリップを利かせるというもの。

【採水ボトルのキャップ】
何者かが水質調査をしていたことが判明する。

■捜査の分担

・冠城は今回高部行人の死の真相を追究していく。

解剖所見では肺に残った水の成分は河川水と合致。

転倒した際に意識を失い溺死したのではないかと推察。

・「川男」の正体

右京は百花が語っていた「川男」の正体について見つけ出して
行く。

【倭訓栞】・・江戸時代後期の国語辞典。

『かむをとこ』
「高山の流の大川に居るもの」
「表甚だ高く色甚だ黒し」
「美濃などにて夜網に往きて逢いにきたる者多し」

妖怪図鑑という少年少女児童出版に川男が書かれていたので
それに掲載しているものを百花は見たと推察。

・「城西エレクトロニクス」

青木が何かないかを調べる。
三年前に確かに工場排水になる汚染が問題になるがその後は
除去装置で上手く処理している。

・食堂「和久井」

河を守る会の一人倫世が経営している店。
倫世はそこで目撃したとの情報。しかし倫世はただの釣り人を
見たという。子供があちこち聞いているので不憫に思ってウソ
をついたという。

■15日

今回の共通点は15日だった。
荻野が亡くなったのは4ヶ月前の15日。
女将さんが怪しい人影を見たのも15日。
悠太がいなくなったのは15日。

15日というと月の満ち欠けの周期が約15日だ。

あの場所は定期的に水質調査をしていた場所。
荻野は三ヶ所で調査をしていた。

悠太が溺れた時にも高部が現場にいた。

一つ話で違和感を生じたのは、救える命を救えたという話の流れ
荻野はピンスパイクをつけて水質調査をしていたことだ。

・疑問と演技

一芝居打つことになった。
これは面白い流れだったけど、本筋の流れは既に飽きていた
のであまり心に響かなかったのは残念だ。
荻野が亡くなった日に社長が現場を通りかかった防犯カメラ
映像が有る。
社長が被害者を突き飛ばして岩に頭をぶつけ、そして水の中
に押しつけて溺死させたのではないかということ。

こうなると当時の検視が多少狂ってくる。
工場の廃液に含まれる有害物質のテトロエデンが工場の下流
からのみ検出。しかし荻野が溺死したとされる淵の辺りには
その物質があるが、肺の中にはその物質が含まれてい
ない。つまり殺したのは上流地域でのこと。
淵まで運んで事故死を偽装したのではないかということ。

冠城も語っていたが、皮肉にも有害物質が犯罪性を立証した。

■その他

・妖怪について。

日本では河童や川姫
中国では河伯
ライン川にはローレライ
英国ランカシャーには緑の歯ジェニー

『コティングリー妖精事件』
英国北部の小さな村、100年前、その村でエルシーとフランシス
という二人の少女が妖精の写真を撮る。写真は5枚。
「シャーロック・ホームズ」の作者アーサー・コナン・ドイル
はその写真を本物だと認めたので妖精の実在を巡り大論争が
起きた。しかし一部は詐欺事件だと判明。写真は年を取った少女
が偽者だと告白している。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (警視庁組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (警視庁サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁長官官房付)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警視庁警務部首席監察官)

小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)

辻浦百花 …… 米村莉子 (小学4年生・千夏の娘)
辻浦千夏 …… 黒坂真美 (シングルマザー・百花と悠太の母)
高部行人 …… 佐藤貴史 (笹沼硝子社員・荻野の上司)
笹沼敏夫 …… 三波豊和 (笹沼硝子社長)
安田秀人 …… 土居正明 (千夏の離婚した夫)
荻野義彦 …… 辻大樹 (笹沼硝子社員・4か月前に水死)
和久井倫世 …… 重田千穂子 (食堂「和久井」女将)
「武蔵野川を守る会」会員 …… 佐野美幸、北林悌、 岡部恭子
アナウンサー …… 松木研也
辻浦悠太 …… 晴瑠 (千夏の息子)

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