FBI：特別捜査班
(原題 : FBI)
第1話 ブロンクス爆破事件 Pilot
脚本／Dick Wolf、Craig Turk
監督／Niels Arden Oplev
【ストーリー】
兄クリス(Gerald Jones III)と弟のエメット(Destin Khari)
はアメフトごっこをしながら学校から帰宅する。するとアパ
ートの前でクリスのガールフレンドのジニー・ハート
(Drew Olivia Tillman) の姿が有った。エメットはふてくさ
れながらアパートの家に入る中、クリスは彼女とアパート前
で会話する。一緒に代数の宿題をしようという事になるが、
次の瞬間アパートは爆発する。
FBI捜査官のマギー・ベル (Missy Peregrym)と相棒の
“O.A.”・ジダン (Zeeko Zaki)は近くを車で走っている際
に無線で事件の騒動を聞いてやってくる。
消防司令長消防司令長(Tom Day) は二人に現状を報告。
消防士によると一階の角部屋が爆発したという。
ジダンは爆発の中に釘や金属片が入っていたのか確かめるが
それは無いという。爆発したのは4時3分。
ベルは緊急車両は規制線の外で待機させて住民を避難させる
ことを優先する用告げる。しかし既に消防士も市警も
爆発の原因特定や調査にあたっているとしてそれは出来ない
という。
そこにクリスとエメットの母・ケイシャ・グラント
(Melanie Nicholls-King)が走って規制線を破って入ってく
る。
「息子たちが中に居る」
そう訴える中、クリスは救急士に運ばれながらエメットは
室内にいると告げる。それを聞いた母は急いで中に入ろう
とするが、まだ安全が確認されていない為にベルがそれを
止める。揉めようとする中で再びアパートでは爆発が発生
し、なんとアパート全体が崩壊してしまう。
辺りは崩壊時の砂埃でまともに見ることが出来なかった。
近くで爆風を浴びたベルは意識がもうろうとする中、
頭の中で状況を整理する。
そんな状況の中、特殊車両がブロンクスにかかる橋を渡っ
て列を成してやってくる。
FBI主任特別捜査官のエレン・ソルバーグ (Connie Nielsen)
は周辺の20ブロックを封鎖し、ブロンクスに繋がるあらゆる
交通機関や人の足を入れないように措置を執る。
ベルに対してアパートの中には何人居たのか尋ねるが、
正確には把握していなかった。市警の話だと大勢居たみたい
だという。
「犯人は?」「目的は?」
と尋ねてくるが、ジダンは二度目の爆発直前に来たために
把握していない事を語る。
市の半分を閉鎖したので安全が確認出来るまでは解除は
解けないというエレン。
市警(NYPD)、消防局(FDNY)、危機管理局(FEMA)、
火器及び爆発物取締局(ATF、国土安全保障省(NSA)が既に
捜査している事を告げると、FBIが今後の対応を決めると
語る。
救急車で呆然としているキーシャに声を掛けるベル。
しかしベルは彼女から子供が居ないならば理解出来ないこと
だとし、エメットは小さい子だが賢かったと言う。
一方ジダンは爆発したアパートの管理人(Juney Smith)に
話を聞く。角部屋に住んでいたのはフェルトン・エイムズ
という人物で麻薬の売人だったという。一年前から出て行っ
てもらおうとしたこと。リーダー格で普段から大物ぶって
いたこと。赤いシルクのスーツを着て銃をチラつかせて
いたという。
爆発したアパートの跡地のがれきを調べていると遺体が
見つかったとの連絡が入る。がれきから引き出してみると
赤いパンツを履いていた。そして携帯電話が足に巻き付けて
あった。
・FBI NY支部
ジェバル・バレンタイン (Jeremy Sisto)はボードを使い
二つの爆発事件について分かっている情報をまとめて推理
する。NSAからの情報は?と尋ねると職員
(Anthoula Katsimatides)は72時間通話やCHATを調べている
が怪しいことは見つかっていないとのこと。テロなら犯行
声明は出ているだろうとはジェバル。
現場での推察はギャング”Mac Ballers”のフェルトン・
アーサー・エイムスをターゲットにしたのではないかとの
こと。市警からの情報を尋ねるとトニー・スウィート
(Chris Carlock) はフェルトン(33歳)の情報の詳細を語る。
“Mac Ballers”の上の人間が消えた後にリーダーに昇格した
こと。メンバーの独房で看守が見つけたリストによると
フェルトンは他のメンバーほ差し置いて一気にトップに
ついたという不自然なところが有った。
ベルとジダンが支局に戻ってくる。
ベルは携帯電話が遺体に付着していた事を告げ復元する
よう語る。ラボスタッフのイアン・リム (James Chen)に
渡すと、コアメモリが無事ならいけるだろうことを告げる。
■事件
ニューヨークの最北端ブロンクス地区のアパートで一度なら
ず二度の爆破事件が起きる。その一室にはギャングで麻薬の
売人の一人・フェルトンが住んでいた為に、彼が属する
ギャング”Mac Ballers”の内部抗争か、その周辺で暗躍
する他のギャング団との抗争かに思われたが・・・
■感想
刑事もの大好きなDick Wolfさんが企画、制作。
初回から派手にドカンドカンと爆破させましたね。
そもそもFBIと市警の違いなんかを見せつけなければならない
訳だけど、色々と捜査条件が振り分けられており、何処まで
がFBIの領域なのか分からなくなりそうだ。
大抵捜査の管轄争い的なことが面倒になったりするんだけど、
意外とこのドラマでは捜査機関との連携的には上手く機能し
ていて淡々と容疑者・重要参考人を調べては、敵が一歩先に
手を下していたりして一筋縄ではいかない。
冒頭の二度にわたる爆破の光景を見ると、アカデミーが舞台
だった「Quantico」っぽい所があるし、「HOMELAND」も
派手にシーズン前後して施設が破壊されたことがあったよね。
また砂煙に包まれるシーンを見ると現実に起きた911の時の
ようなものを感じる。
初回にしてヘイト的要素も絡んできたけど、捜査官の
“O.A.”・ジダンは名前からしてイスラム圏の出身ですよね。
アメリカでは白人至上主義が根強いところがあるにせよ、
イスラムに対するアメリカ国内での偏見は無くなったのだ
ろうか?
メキシコ系や黒人のギャングが出てきたり、エルサルバドル
人が関与してきたりで人種的坩堝にあるニューヨークらしい
一面を描いているが、民族的・立場的性格なんかも台詞の中で
色濃く出ていた気がする。
お約束ではあるのだけど、ラボのイアンは
「誰にものを言っているのか」の如く、こんな仕事は簡単
とばかりに語っていた。
上司のエレンは立場を気にしていたよね。
主犯格のロバートは生放送というものを利用してアリバイ
を成立させようとする。
「哀れなのは私たちを出し抜けると思った事ではない。
大勢が死ぬのを楽しみにしていたその顔よ」
■キャラクターたち
まだ一話を見た段階で殆ど内容は知らないしキャラクター
の特性についても書くほど知識は無い。一話目はパイロット
版なので二話目で人物配置が微妙に変わったりすることが
あるので、実際には二話を見てから書いた方が良いのかも
知れないが・・一応。
・マギー・ベル
FBI捜査官。
現場捜査官としてメインキャラとなりそうな人物。
なんと言ってもやはりデスクの中に入っていた旦那さんの
写真が気になるところ。
過去のことについてはまだ殆ど語られていないが、インディ
アナ州からやって来て3年目みたいだ。
ジダンは彼女の抱えている旦那さんの死のことで話し合おう
としていた。
ハロウィンの人混みにトラックが突っ込んで来て亡くなった
みたいだが・・
・オマル・アドム・”O.A.”・ジダン
FBI捜査官。
元陸軍出身の人なのかな。
マギーの相棒でかなりのひげ面である。
心の中の葛藤的なものを今回ロバート・ローレンス
(Dallas Roberts)は掴んでいて、聞き取りに行く際に揺さ
ぶられてしまった。
・ジュバル・バレンタイン
FBI捜査官。
FBI支部で情報を精査して色々と指揮しているような役柄。
情報は少ないけど鋭い視線・思考で見極める能力がある
ようだ。初動の段階で犯人像を見極めていた。
「ギャングの抗争なら爆弾ではなく銃だろう」
「テロリストならば今頃犯行声明を出している」
まだバックグラウンド的なものはよく分からない。
分析官のチャザルと絡むことが多い。
・クリステン・チャザル
FBI捜査官。
分析官でありコンピュータを利用して証拠を追ったりして
いる。主にデータ捜査が得意で今回の捜査では麻薬の製造
コストの面からどのギャング/組織も当てはまらないという
ことを語っていた。
・エレン・ソルバーグ
FBI主任捜査官
パイロット版はデンマーク出身のConnie Nielsenさんが
演じていたけど、今後はこのポジションにはSela Wardさん
が演じるデイナ・モージャーという人物と変わるみたいだ。
Sela Wardさんは「CSI:NY」でも活躍されているので安定感
はあるだろう。
・イアン・リム
FBI TECH班。
どちらかというと証拠分析の中でもコンピュータとか携帯
を使った情報の収集を行う役割かな。
今回は壊れた携帯電話から通信記録やメールを取り出す為に
細かい作業をしていた。CSIで言うところのアーチーみたいな
役かな。このポジションはアジア系が多いね。
またもう一人血液を調べていた(Josh Evans)が演じる役名の
分からない人がラボで働いていたな。
■ギャングの抗争を利用したもの
この界隈では5つのギャングが暗躍していて、それぞれ
人種が違う。
「G Shine」「Bloodhound Brims」「Sex Money Murder」
「Murda Moore Gangsters(MMG)」「Dymes Are Us(RUS)」
そこに更にMS-13とか入ってくるのだからね。
「the Mac Ballers」
元々このギャングのリーダーが殺害されたのでライバルの
ギャングか内部の抗争かで意見は割れた。
ただNO.1のフェルトンはアパートで殺されていて、NO.2の
ウェインはマキシーズというストリップクラブの外で車に
乗った後に爆発して亡くなった。
そして刑務所ではMS-13の重要参考人であるベルナルドが
殺害される。
■第二、第三の爆弾
市民センターでバスケの練習している会場でバッグが見つ
かった。そこを管理しているのはブリックだが、大抵第一
発見者は色んな面で怪しい。爆弾処理班のカーラ
(Carmen Lamar Gonzalez)によると、手榴弾6個が携帯電話
で起爆するように出来ている。これはアメリカ陸軍の工作員
が使う手法。しかし最新のものではなくエルサルバドルで
既に処分したもの。MS-13のメンバーが関与しているのかが
疑われる。MS-13のメンバーは自己主張が強いのでタトゥー
も派手だが近くに居ない。
しかしウィルマーという人物がエルサルバドル人で、この
市民センターの雑用係として働いている。
■取り調べ
今回のドラマの中でも取り調べシーンは何度となくあった。
主演のマギー・ベルさんのインタビューの中で、彼女は
取り調べのシーンの撮影が好きだという。マギーの中にも
色んな人格的・性格的なものがあるけれど、
容疑者の性格なども人それぞれのものが有り、台本の必要が
ない気がすることを語っている。
マギーはウィルマーがエルサルバドルのMetapanに住む家族に
送金していることを知ってそれを差し止めると脅してみたり
ジダンは首が切られる絵を見せて自白させていた。
■決定づけるもの
ベルナルドのアパートで見つかった工具に付着していた血痕。
DNAは一致しなかったが表現型解析(genomic phenotyping)
をする為に、生物情報ソフトウェアで遺伝情報を抽出
した。血液のDNAだけで人の外見を予測出来るというものら
しい。
また起爆装置に使われている携帯電話はHandsma 2600
という10年以上前にアジア中心で売られていたもの。
温度センサーが無いので簡単に火がついてしまうというもの。
そして昨年シナゴーグで爆破未遂が有った時と同じ。
ローレンスのシンクタンクは資金不足で3つの銀行から資金
を借りている。
・犯罪の役割分担
日本でも詐欺事件に関連すれば、役割分担が決まっている。
受け子や出し子など・・それぞれに独立した働きをしていて
予測は付くのだろうが詳しい事は聞かずに自分たちの目の前
の仕事をこなす。
このドラマでも爆弾をつくるものや調達するもの、仕掛けを
施すものなど複数人によって構成されていた。
ただ日本でもなかなかその犯罪を統括しているものにたどり
着くことは難しい。
犯人たちの愚かな点は色んな足跡を残しすぎたところでは
ないか。処理した携帯、爆弾・起爆装置など、その流れは
把握されていて調べればある程度絞れる。
・犯罪者にもファミリーを守る心は有る?
市民センターのセンター長のブリックはフロリダでの生活
をしたいが母は40年間食堂をしている。
世話をしている序でなのか、その店の地下倉庫に食料品に
混ぜて手榴弾を隠し持っていた。
「犯罪者の共通点は・・母親が大好きなの」(ベル談)
ウィルマーも家族・兄妹の為にアメリカで出稼ぎしている
輩だ。彼はウェインから爆弾を受け取っている映像が
バッチリと写っていた。
■使用された曲
・Stand Together by Becky Shaheen
・Wonderwall by Ex Makina
・The Open by Becky Shaheen
■出演者
マギー・ベル (Missy Peregrym) FBINY支局・捜査官
オマル・アドム・”O.A.”・ジダン (Zeeko Zaki) FBIマギーの相棒
ジュバル・バレンタイン (Jeremy Sisto) FBI特別捜査官アシ
クリステン・チャザル (Ebonee Noel) FBINY支局・分析官
エレン・ソルバーグ (Connie Nielsen) FBI 主任特別捜査官
ロバート・ローレンス (Dallas Roberts) 財団
ブリック・ピータース (Mac Brandt) 市民センター所長
ケイシャ・グラント (Melanie Nicholls-King) 二児の母親
ジリー・ピータース (Dorothy Lyman) ブリックの母”Li”
ウィルマー・リヴァス (David Zaldivar) FBI ラボ
イアン・リム (James Chen) FBI ラボ
カーター・ポープ (Matt Walton) テレビショー司会者
(Tom Day) 消防司令長消防司令長
ベルナルド・フエンテス (Joaquin Maceo Rosa) MS-13
トニー・スウィート (Chris Carlock) NY市警
(Juney Smith) アパートの管理人
アンドレア・トムズ (Kenya Brome) テレビショー司会者
クリス・グラント (Gerald Jones III) 長男
エメット・グラント (Destin Khari) 次男・7歳
ジニー・ハート (Drew Olivia Tillman) クリスのガールフレンド
(Maceo Oliver) メトロポリタン矯正センター(MCC)看守
(Anthoula Katsimatides) 国土安全保障省(NSA)リーダー
メアリー (Natasha Murray) 緊急対応部隊(ERT)リーダー
(Josh Evans) ラボテック
カーラ・フローレス (Carmen Lamar Gonzalez) 爆弾処理(ATF)
JT (Derek Hedlund) 若手のFBI
(Brandon Cusma) 後方支援捜査官
(Mark McKinnon) SWAT リーダー
(Jason Kaufman) SWAT オペレーター
(Ashanti Brown) Heavy Woman
(Angela Polite) Matron
ウェイン・クリントン (Rosario Salvador) Mac Ballers NO.2
フェルトン・アーサー・エイムス () Mac Ballers NO.1
チャールズ・ジョンソン 夫、爆発事件で死亡
エマ・ジョンソン 妻、爆発事件で死亡
アシュリー・グリーン 捜査官・殉職