相棒21
(2022年10月期・テレ朝・水曜21時枠)
監督:橋本一(1)(2)(3)(4)(7)(10)、権野元(5)(6)(8)(9)(11)
内片輝(12)
脚本:輿水泰弘(1)(2)、川﨑龍太(3)、光益義幸(4)、岩下悠子(5)
瀧本智行(6)(10)(11)、山本むつみ(7)、森下直(8)、根本ノンジ(9)
櫻井智也(12)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広
https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
第12話 他人連れ
【ストーリー】
・石窯パン工房・コムギノホシ / 光原町
亀山はそこでホットドッグを2つ購入する。
右京の分ではなく一人で2つ食べる為に買ってきた彼。
昨日彼は美和子と喧嘩したので朝飯を作ってもらえなかった
のだという。
相手に対する思いやりに欠けていたことが原因で、
美和子からは
「私は美味しいと思うものは薫ちゃんにも食べてもらいたい
と思う。それが思いやりで愛情」
「私の中に帰るちゃんは居るのに薫ちゃんの中に私は居ない。
そこに愛はあるのか?(by 三上博さん)」
車内で食べようとしていた所、ドアを叩く少年・武志が居た。
彼は乗せて欲しいとし父・南野浩一が財布を落として帰れ
ないのだという。家まで乗せて欲しいというと、快く引き受
ける。二人はお腹が空いていたらしく亀山が購入したホット
ドッグを食べてしまう。
自宅アパートにつくと二人はお礼する。
武志は現在これしかないとして亀山の手に有り金すべてを
渡すがそれを帰す。
学校には現在事情が有って行けていないこと。
そこで今日は気分転換の為に連れ出したのだという。
右京は亀山に対して光原町に親子で楽しめる場所が有ったか?
と尋ねる。
■事件発生現場
アパートの一室(201号室)で殺害事件が発生する。
現場には凶器に使われたと思われる血のついた刃物が落ちて
いた。
・芹沢は伊丹に対して現状を報告する。
被害者は安田幹夫(33歳)。
部屋の住人で腹部を刃物で刺されたこと。
伊丹は部屋が荒らされていてドアが開けっ放しであったことを
確認すると、物取りが被害者と鉢合わせしてもみ合いの末に
刺し殺してそのまま逃げたのかと推察する。
隣の202号室は空き部屋だった。
・出雲が報告に来る
被害者の安田は5年前に窃盗容疑で捕まっている。
泥棒が泥棒に入られて殺されたのでは格好がつかないと伊丹は
語る。
■警視庁・特命係
角田は昨日殺された安田の情報を持ってくる。
昔組織犯罪対策五課で追っていたもので、「渋谷ポイズン」
という半グレグループだったこと。安田はこのクループの
リーダー・中山昭二(43歳)の使いっ走りのような立場だった。
右京も半年前に中山が逮捕されたことを覚えていた。
【当時5千万の押し込み強盗】で捕まったが、その時の金が
一円も出てこなかった。中山は全部ギャンブルに使ったと
自供したが怪しいものだという。中山は3週間前に刑務所内で
死亡した為に真相はやぶの中。死因は急性心不全だった。
安田はこの時共犯で逮捕されたが証拠不十分で不起訴になって
いた。安田はこの事件絡みで殺されてしまったのか。
角田によると伊丹らが殺されたアパートの住民から妙な証言を
得たらしい事を告げる。
「現場から逃げ去る子供連れの男」
を見ているとのこと。
右京と亀山は昨日車に乗せた親子は現場から近かったことを
口にする。
・事件発生現場のアパート
203号室に住み証言をした岡村という人物から話を聞く。
彼は夜勤なので寝ていたが201号室で大きな音がして目が覚めた
という。外を見たら男が子供の手を引っ張り階段を下りる後ろ姿
を目撃したとのこと。子供は赤色の上着だとされる。
■南野家
二人は先日車で届けた親子のアパートを尋ねる。
そこで昨日起きた事件につすい語り、あなた方に似た親子連れ
が目撃されている事を告げる。不審なものを見聞きしたりは
していないか?
そもそも光原町には何の用事で行ったのか。
南野はあの辺に料理が美味い店があると聞いて行ってみた
のだという。財布についてはまだ見つかっていないこと。
あの辺りの交番には遺失届が出されていない事を告げ、亀山
はこちらで提出して置くという。その為に氏名、電話番号、
職場の名前、住所、電話番号を書いて欲しいという。彼は
左利きだった。
・
立ち去る二人はあの二人は本当の親子に見えないと意見が一致
していた。亀山に対してあの親子を見張って欲しい事を告げ
右京はこれから彼の勤める会社に話を聞きに行くという。
■リフォーム会社「豪原工務店」/ 三鷹市桐井町
島津という社員が対応に出る。南野は昨日から休んでいること。
この会社は完全歩合制であり本人のやる気次第だという。
島津は露骨に右京を仕事名目で追い出そうとする。
会社は訪問営業によるリフォーム会社。
消費者センターにリフォーム詐欺ではないかと苦情が寄せられて
いるとして改めて話を続ける。
「南野に子供は居るのか?」
居ないという。
右京は会話しながらホワイトボードに書かれた担当営業地区を
見るのだった。
・学校
一方南野は学校に転校の手続きに行く中、尾行していた亀山は
警備員によって取り押さえられる。自分は警察のものだといって
も信じてもらえず、視線の先では子供が意図して亀山から
の尾行を避けたであろうことを知るのだった。
■感想
正月SPからレギュラー放送になり最初のエピソード。
日常的にどこかで起きているであろう事件なので、
意外とストーリーは入り込みやすい形で描かれている。
半グレグループやリフォーム詐欺に近いような事をして
利益を得ている企業。そして悪徳で傲慢な弁護士。
金が欲しいのは誰もが同じだと思うが、それを得る為の
流れが少々エグイ。
5千万の金を目にした時に、人は目の色を変えてしまう。
日常起こり得るかも知れない状況の中で人となりにある欲望
という名の試練を試された結果なのかも知れない。
●気遣い
自分の事ばかり考えている人で世の中は溢れている。
全ての事に目を配る必要はないけれど、やはり身近な人に
対する気遣いは欲しいところ。
この所、ドラマでは子供が被害者、大人を含めた社会その
ものがそんな子供を生産(言葉が悪いな)してしまっているような
主張が多いけど、昔からそんなもんだよな。
冒頭でのホットドック店で亀山が語る夫妻の喧嘩エピソードは、
ある意味今回登場する家庭・家族・個人のケースの象徴的
なものだった。
勿論亀山家では本気で喧嘩したわけではないが、それも積もりに
積もると爆発するだろう。
弁護士一家の夫婦は子供が居るにも関らず、夫は弁護士だ
という理由だけで妻を卑下して一方的に追い出した。
半グレグループはもちろん、企業も詐欺すれすれの所で
活動していて叩けば埃が出て来そうなブラック感がある。
右京が揺さぶりをかけただけで情報を流すところなどまさに
それだ。
南野はうだつが上がらない人物では有るが、根は優しい。
一瞬そんな彼を見て子供が不幸だという理由でコントロールされ
ているのかと思ってしまうけれど、そのようなひねりが無く
そのままの形で描かれた。
彼は本当に不器用で、特命の二人に何度か遭遇し会話を
繰り返すがその都度簡単にばれる嘘しか語らない。
嘘が上手い人ほど悪い印象があるけどね。
そしてその男は長年一緒にいた三雲亜紀という女性から見捨て
られる形となる。弁護士一家と男女の立場を変えて描かれた
のかと思えば、彼は臆病なだけだった。
●目撃者が犯人だった件
第一発見者が犯人である確率というのはドラマでは多い訳
だけど、今回もそれが当てはまる。
都合の良い情報を流布出来る立場に居ること。
最初の段階で彼の部屋にある「猫のエコバック」と「ウルフ警備
保障」の制服を見た瞬間に、任天堂のファミコン探偵倶楽部なら
不気味なBGMが流れた筈だ。
聞き込みをすると必ず捜査線上に浮上する人物の痕跡がある。
写真を見せれば必ず接触したことを証言する人たちが居る。
●都会のスポットライト
今回は犯罪が起きているのは割と市民が生活する身近な所で
起きたものだった。
202号室は空き部屋となっていた。
そこを利用して弁護士を監禁し金を奪おうとしていたであろう
安田幹雄の姿。
弁護士はトランクルームの契約書が有りそこに金を隠し持って
いた。しかも契約したのは中山が獄中死した3日後の事。
そして最後に犯人の岡村が金を得るために関係者を監禁して
いた場所は彼が日常の仕事の中で警備している場所の中でも
人気のない場所だった。
そもそも金が存在しなければ一連の事件は存在しなかった
のではないかとふと考えてみる。
■その他
・子供と親
今回は毒親に対して、子供の方がしっかりとしていたという
流れでは有った。あの弁護士(父)が悪い事をしているのでは
ないかと考えた子供は警察に話すのを止める。
しかしその事が事件解決を遠回りなものにしたことは言うまで
もない。
武志は母親が連れて行った。
・二度目のチャンス
南野は恋人が妊娠したことに怯んでしまい、それを察した亜紀
が彼に嘘をついて自分一人で子供を育てようとする。
南野は子供の頃に武志と似たような状況だったので、子供の
親になることへの不安感を持っていた。他人への配慮どころか
自分の面倒を見られない状況の中で子育てすることへの不安感。
それでも一つの命が出来たのである。何もせずに最初から
あきらめるようなことをするだろうか?余程の特殊なケースを
除いては妊娠したことを相手に言わないというのは酷いと思う。
武志という疑似的な息子を持ったことにより、相当勇気が
ついたようだ。誰でも失敗したり選択を誤ったりすることが
あるが、そうなった時にやり直すチャンスがあるというのは
恵まれているのかも知れない。
そういう意味では犯罪者・前科者が社会復帰することの難しさ
という問題はあるのだろう。
・倒れる演技
ちょっと強引なのは妊婦なのに倒れるような演技をして
南野と武志を逃がす流れがあること。本当に倒れただけなら
気を付けて!
・ここの所、単純なギミックに引っかかる特命係
右京が居ながらも重要証人的な事件関係者を見逃す事例が
繰り返されている。先日(10話)の中でも橋本マナミさん演じる
黒いコートの女性を見逃す結果となった事がある。
10話
https://dramatimez.sakura.ne.jp/jp/2023/01/06/post-1873/
「昔の君なら追いついたのではないですか?」
「昔の右京さんなら騙されなかったんじゃないですか?」
■出演者
杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (1と5代目相棒、特命係)
伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
**内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
**中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
**益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
**衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
**甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長・警視監 警察庁のキャリア官僚)
亀山美和子 …… 鈴木砂羽 (フリージャーナリスト、”こてまり”見習い)
**土師太 …… 松嶋亮太 (サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官)
南野浩一 …… 駒木根隆介 (リフォーム会社「豪原工務店」営業部員)
三雲亜紀 …… 土井玲奈 (南野の元彼女、BAR経営)
工藤武志 …… 潤浩 (小学生)
岡村 …… 今里真 (安田のアパートの住人・「ウルフ警備保障」社員)
島津 …… 武智健二 (リフォーム会社「豪原工務店」社員)
工藤秀久 …… 木下政治 (武志の父親・弁護士事務所経営)
吉村照子 …… 星野園美 (工藤家の隣人)
鮫島 …… 並木愛枝 (工藤法律事務所・事務員)
安田幹雄 …… 川並淳一 (33歳、半グレグループ「渋谷ポイズン」)
半グレ …… 佐織迅、 山内昭宏 (麻雀アフロ)
工藤 …… 成瀬樹理 (武志の母親)
小学校の職員 – 岡野友紀 (小学校)
体育教師 …… 黒藤結軌 (小学校)
中山昭二 …… 福田雄基 (43歳「渋谷ポイズン」のリーダー・獄中死)
金田湊大 …… (45歳、ヤクザ元締め)
寺田 …… (リフォーム会社・鶴波地区担当)
大田 …… (リフォーム会社・下高井戸地区担当)
羽川宗沿 …… (半グレ)
三井秀次郎 …… (半グレ)
鳥羽裕也 …… (半グレ)
松木増一 …… (半グレ)
山本龍之介 …… (半グレ)