ドライブ in ウクライナ IN HER CAR
彼女は「告白」を乗せて走る
(原題:Pereviznytsya)
脚本 : Eugene Tunik (イエヴヘン・トゥニク)
演出 : アルカディー・ネプタリュク
プロデューサー : Andreas Bareiß
製作総指揮 : Sabine de Mardt、Sidonie Dumas
Rainer Marquass、Christophe Riandee
(c)Starlight Media/Gaumont/Roman Lisovsky
第3話 額に月がある少女 Das Mädchen mit dem Mond auf der Stirn
【STORY】
・イントロ
『ある母親に一人の息子が居た。息子は成長して
ある少女に恋に落ち、家に連れてきた。少女は優しく
挨拶し母親に水を求めた。しかし母親は少女を恐れ
た。少女の額に月が付いていたのだ。そして少女
は姿を消した』
『ある日母親は窓辺に来た鳩に水をやった。
すると鳥は息子の花嫁に返信する。母親にとって
も大切な娘になった』
■運転中
・ラジオからの声
ロシア軍は巡航ミサイル等でミコライウを爆撃。
死者8名、行方不明者8名、負傷者19名。
マンション群に命中し一棟は全焼、四棟は部分的な
損壊する。
リディアの元にディマから電話が鳴るが無視する。
娘のダシャからの電話に出る。
娘は母が家に帰っているのか確認すると、くれぐれ
も気をつけてと語る。インガはベルリンで元気にして
いる。ダシャは彼女が例の女なのねと問うと、
リディアはそれを認めつつ、彼女は良い子だとして
頼むことを語る。
ディマの電話に出るリディア。
彼はインガに重要な書類を持たせたとし、彼女は俺
の話をしたかと問う。何も話していないが、あなた
の危機は自業自得だと語る。
・リディアは弁護士のナディア(Oksana Cherkashyna)
と電話で会話する。
「私は夫の愛人を車に乗せた」
「夫は私のサインを偽造、書類は押さえた」
「基金にロシアから多額の送金が有り、送金者や
目的は不明」
「夫は妹(ナタリア)が乗るバスが危険だと知って
いた。彼の罪を追求しないといけない」
しかしナディアは現在裁判所は閉まっているし
現在戦時中だという。リディアは弁護士ならば
手伝ってというと、ナディアからは証拠を集めて
時機が来たら告発するので良いか?と告げる。
外は雨が降っていた。
車の中で一息付く彼女。
自然と車のシートで寝てしまう中、電話の音で目覚
める。
・オクサナ(Kateryna Shenfeld)からの電話
リディアは当初誰から電話が鳴ったのか分からず
誰7日と問う。ルハンシクの劇場にいたとして、
ビデオ通話にして欲しいと言われる。顔を見ると
リディアはすぐに彼女が誰だか分かる。
互いに変わらないねと語る。
オクサナはSNSでリディアが人を運んでいる事を知り
頼みを聞いてほしいという。義理の両親を送って
欲しいとのこと。
現在ビンニツァの病院を出るとし、フランスに戻る
のでハンガリー国境まで運んでほしいとの事だった。
私と義理の両親には複雑な事情がある。
■車に乗せる
オクサナの義理の母・レア(Karina Beuthe Orr)
と義理の父・クリスチャン(Antoine Herbez)を
乗せて走る。
レアはもっと平らな道を通ればどうかというが、
高速道路は大渋滞だというリディア。
クリスティンは体調を崩していた様で元気がない。
心臓発作を起こした後だという。
レアは十分な治療を受けたとするが、それは疑問
だというクリスチャン。それならぱ後3日赤十字の
到着を待てと言うのか・・
そんな状況の中、上空に飛行機が飛んでいく音を
耳にする。
「何なのか?」
「戦争です」
■E50号線 ハンガリー国境への道
(E50)
クリスチャンは運転してくれているリディアに対して
フランス語は喋れるのか尋ねる。ほんの少しだけだ
とし会話するならば英語の方が良いことを語る。
逆にクリスチャンにも質問をする。
何故ウクライナに来たのか?
ウクライナで働いている彼は支援コーディネーター
として赤十字で働いていた。仕事でウクライナに
到着したのはロシアが全面侵攻する一週間前の
ことだった。レアは息子・シモン(Adrien Rob)に
会いに来ただけでなくこの地獄から救い出すために
来たことを語る。
侵攻が始まり赤十字が我々の緊急避難を手配したこと。
しかしそのタイミングでクリスティンが突然の心臓
発作で起きてしまいビンニツゥで一週間の入院を
していたこと。回復したというにはまだ難しいもの
がありフランスに帰国して治療するとのこと。
その為にも一刻も早く帰国したいことを語る。
【impressions】
リディアは弁護士のナディアと協力して夫のディマ
との離婚はもちろんのこと。彼がロシアからの
不正な資金の流れがあることを知り証拠を集めて
告発することを考えていた。
そんな状況の中、同郷のルハンシクの劇場で働いて
いたオクサナから電話が有り、義理の両親が
ビニンツァの病院を退院するのでフランスに帰国する
ためハンガリー国境までの道を走ってほしいと頼まれ
る。夫のシモンの両親とは複雑な関係・事情がある
ので一言では何とも言えない状況にあるとのことだ
が・・
戦争が事態を大きくしているのは勿論だけど
それを抜きにしても色々と難しいところがある。
ドラマの主人公・リディアとインガの関係も微妙
だったけど、今回もなかなかどうして・・人間関係
には色んなケースが存在する。
今回のケースは息子のシモンの心配をしている
両親の話だが、リディアの場合は娘が母親の心配を
している。
今回国外に脱出させようとしているクリスチャン
には心臓に病気を抱えているので、フランスまでの
道を耐えられるのかどうかという問題もある。
シモンは通信者の特派員としてキーウに駐在している。
侵攻が始まって以来キーウにもロシアからの攻撃が
続いている。
外務省のウクライナの基礎データを見ると
ウクライナという土地は日本の1.6倍も有り、
人口はクリミアを除くと4159万人とある。
首都キーウを含む近郊には350万人。
民族的には、
ウクライナ人(77.8%)、ロシア人(17.3%)で全体の95%。
残りはベラルーシ人、モルドバ人、クリミア・タタール
人、ユダヤ人などの少数民族だ。
ドラマを面白くしているのは、個々のエピソードを
通して少なからず2014年のことがクローズアップ
されていくこと。リディアとしては妹を亡くした
原因の中には予期されたものが有ったのではないか
と考える。
先日から言葉に出てきたように、ルースキー・ミール
思想とそれに反発する人たちの間でイデオロギーの
対立の構図がある。
リディアの夫のディマはロシアから金をもらって
反ロシア派の情報を流す見返りに寄付金の形で金
を受けていたのではないか。
色々と過去のそんな事情がミステリーを生み、当時
の事情を知る人との交流を通して真実・真相に近づ
いていく様が面白さと不気味さを持つ。
■人生のタイミング
今回のエピソードでの母親の気持ちはよく分かる。
よく分からないのは男性陣とオクサナとの関係
や状況かも。
オクサナは元々8年前に父親のクリスチャンが仕事・
赤十字の関係でウクライナに渡った事に遡る。
8年前のウクライナのドンバスに居たクリスチャンは
民間人の避難の誘導をしていて、主に担当したのが
学校、図書館、劇場関係者だとしている。
そこで娘を連れたオクサナを見つけて救い、フランス
に連れて行く。
クリスチャンとレアにはシモンという息子がいる。
経歴としては、2015年当時のパリで大学を卒業し、
ジャーナリズム科で最優秀学生となり、通信社
の研修生になり、将来は安泰だ。
レストランで両親と乾杯するが、そこで母親が
衝撃を受けたのは、シモンがオクサナと結婚の
報告をした事だった。
●結婚への障壁
前提としてオクサナはシモンよりも10歳年上で娘が
居る。
そして彼女は滞在ビザが切れるところで難民申請
を行わなければならない状況が迫っていたこと。
レアはその後の言葉を察していたのか、「長く滞在
するとホスピタリティに影響がある」として牽制
の意味を込めて語る。
結婚するというシモン。
母親としては彼女は滞在を目的として近づいたのだ
としている。
オクサナがどんな人物なのかは分からない。
生きるためにシモンに近づいたのか。
8年前に父親がオクサナをフランスに連れてきた
とのことだけど、そのタイミングとシモンが彼女と
恋愛に落ちるスパンの短さは母親が疑う理由にも
繋がる。
オクサナには子供が居るが、その夫はどうしたのか?
当時の攻撃で命を失われたのか。
ウクライナでもロシアでも戦争が始まれば成人は
国から出ることは法律で許されなくなる。
まだ存命しているならば重婚にもつながってしまう。
●フランスから追い出す作戦が失敗
オクサナのことを移民局に密告して追い出そうとした
レア。その後シモンも一緒に付いていくとは思わなか
ったことだろう。
シモンがボランティアの取材中に取材先にミサイル
が飛んできて、マンションは破壊される。
消防隊や救命士らが現地でその地域の救出に当たる。
更にその息子の安否を心配して両親が赴いた先では
今度はクリスチャンが心臓を悪くし入院する事と
なる。
●不幸の連鎖とそれを断ち切る一筋の光
これは誰が悪いのか。
リディアは個人的な質問として二つの選択肢を持って
尋ねる。
どちらが大事なのか?
「レアが過ちを認めること」
「家族が和解すること」
シモンが居たとされるマンションが崩れ落ちている
光景を見たレアの気持ちは、恐れ、絶望感、怒り
そして許し、へと変わる。
近くでは亡くなったものが袋に入れられ運ばれて
いく光景を見れば誰もが同じ気持ちになるのかも
知れない。
オクサナに向けたレアの言葉は相当殺意が込められた
ものが有る。
シモンが瓦礫の中から見つかるが父親が逆に再び
心臓の病気で倒れてしまった。
■恐怖のトイレ
よく海外のyoutuberは日本のトイレを絶賛し、自らの
国のトイレを卑下する。
公衆トイレは特に管理しないところも多いだろうし
危険なところは有るはず。
ウクライナは国土も広いし管理も大変だと思う。
日本も私が知る限りでは90年代に入る前にはトイレ
はあまり綺麗ではなかった。特に駅のトイレは鼻が
曲がるほど汚かった。公園のトイレに行くやつなど
は余程の緊急性を持つ人以外は居なかった。
■その他
・ウクライナ語表記
「ЛуГАНСьК」
このように書いてルハンシクと読む。
オクサナの名前のところにこの文字が書かれていた
ので名前なのかなと思って調べたらルハンシクと
書かれていた。因みにオクサナの表記は
「ОКСАНА」。
・攻撃されたバスに乗ったものたち
バス乗員全員が分離主義に反対していた人物だと判明。
偶然とは思えない。果たして真相は明らかにされる
のか。
オクサナは当時バスに乗る場の近くにいた。
芸術監督のスタスが何故か出発を急がせて、緊急招集
していた。
スタスとの連絡は付くのか?
【SOUNDTRACKS】
・
【出演】
リディア・モナスティルスカ (Anastasiya Karpenko) 心理学者
ドミトロ・マズール(ディマ) (Igor Koltovskyy) リディアの夫
ダシャ (Kateryna Hryhorenko) リディアの娘
ナタリア (Nadiya Levchenko) リディアの妹
オリガ (Khrystyna Fedorak) 妹、ネイリスト(1話)
ヴィカ (Dana Kuz) オリガの妹(1話)
ガリヤ (Nina Naboka) 隣人、ヴィカを助ける(1話)
インガ・スヴィストゥン (Olena Oleynikova) ディマの浮気相手、ミス農科大学(2話)
マルコ () ダシャと共にベルリンから・・(2話)
ゾリャナ・レクス () ミス協同組合大学
(Rusnak Larysa) インガの母 (2話)
スタス (Maksym Maksymiuk) 元ナタリ劇場芸術監督 (2話-)
レア (Karina Beuthe Orr) シモンの母 (3話)
シモン (Adrien Rob) AFP通信フランス特派員(3話)
クリスチャン (Antoine Herbez) 赤十字・シモンの夫(3話)
オクサナ (Kateryna Shenfeld) リディアの旧友・元女優(3話)
ニキータ (Mykhailo Dzyuba) ボクサー (4話)
Tetyana (Plena Hal Savalska)
ソーリャ (Anna Lagodna) 兵士ハリナの娘(6話)
タラス (Oleksander Yatsentyuk) 兵士
アナトリー (Viktor Zhdanov) 元副官、ディマの側近(5話)
Glib (Mykhailo Korzhenivskyi)
タマラ (Lesia Ostrovska) スタスの妻
ナディア (Oksana Cherkashyna) 弁護士(3話)(7話)
(Volodymyr Hurin) 軍人