ドライブ in ウクライナ IN HER CAR 第5話 バイオリンになった少年 Der Junge, der zur Geige wurde

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ドライブ in ウクライナ IN HER CAR
彼女は「告白」を乗せて走る
(原題:Pereviznytsya)

脚本 : Eugene Tunik
プロデューサー : Andreas Bareiß
製作総指揮 : Sabine de Mardt、Sidonie Dumas
Rainer Marquass、Christophe Riandee

(c)Starlight Media/Gaumont/Roman Lisovsky

https://www.nhk.jp/p/ts/XK4RXQY54G/movie/

第5話 バイオリンになった少年 Der Junge, der zur Geige wurde

【STORY】

■・イントロ

『ある母親が居た。息子はバイオリンに夢中。母親は
楽器にイライラ。母親は怒って言った。「バイオリン
になるが良い」。すると息子はバイオリンになった。
母親は呪いを悔いて嘆いた。母親は遠くへ去った。
バイオリンになった少年は家に残された独りで』

『何年も経って子供の居ない老女が家に住み着いた。
バイオリンは彼女に話しかけた。”ママになって”』

『老女が子守歌を歌うとバイオリンは突然可愛い少年
に姿を変えた。二人は仲の良い親子になった』

■E95号線 オデーサからキーウへの道

リディアはテティアナ(ターニャ) (Plena Hal Savalska)
を車に乗せて走らせる。口紅をするターニャ。
走行中に車から異音が聞こえる。

「2日前からノッキングが発生している」

ターニャは途中で故障しないか心配していた。

リディアは彼女のことをテティニアと呼ぶが、彼女
は堅苦しい呼び方は好まず”ターニャ”と呼んで欲しい
と語る。

今回の依頼はミロスラヴという男性からの依頼だが
時間は聞いていないことを語る。
(依頼内容は兵役で前線に向かう孫の見送り)

「出発は15時45分。最初に隊列を組む。
その後に点呼して荷造り。そして戦線へ行く」

「この戦争は何処から来たのか?連中には十分な
領土があるのに何故私達の国に来るのか?」

「どうして孫が戦地に行かねばならないのか」

そのような疑問を吐き出すとターニャは涙する。

・修理工場

ノッキングしていたが車が故障してしまう。
仕方なく修理工場に行く。
リディアは弁護士・ナディアと電話で会話する。
リディアはまだ夫に会いたくないことを語ると
ナディアからは彼女に弁護士抜きで会わないでくれ
と言われる。

リディアは劇場の芸術監督・スタスが仲介して
くれて夫の副官だったアンドリーと話す事ができる
という。

ナディアは幾つか質問する。

「その人はあなたの娘の代父か?」
「彼はバス爆撃に関係があるのか?」

リディアは分からないとするが、皆をバスに誘導
したこと。特に妹のナタリアをバスに乗せた人物
だという。

「確証は無いでしょ?」

調べたらまた連絡するというリディア。

ターニャは修理工場前の道でヒッチハイクしよう
としていた。修理は一時間で終わることを告げる
が、ターニャは二時間かかるかも知れないし軍隊
はまってくれないことを語る。
見送りは出来る時間はある。約束するというリディア
は屋内でコーヒーでも飲んでと語る。

パヴロは音楽専攻だった。
しかし陸軍士官学校を選んだというターニャ。

「楽器を持ち込むことは許可されるのか?」

としてバイオリンのケースを持つ彼女に質問する
リディア。
孫は25歳で上級中尉であること。それは他人に許可
を与える立場だという。

「子どもの頃から軍人志望だったのか?」

彼はタフな男に育ったとし、市場で私を困らせた悪党
を退治したこともある。

古本を売っている事について尋ねると、ターニャは
オデーサに来たら寄って欲しいとし、大したコレク
ションだと語る。心に良い本が見つかるから・・と。

コレクションはいつからなのか?
ソ連時代に司書をしていたこと。図書館が閉鎖した
際に何冊か価値ある本を”借りた”という。どうせ
捨てられる運命だったこと。私はウクライナ文学が
好きなのだという。

【impressions】

このドラマが前・後編に分かれているかどうかは
分からないが、取り敢えずこれで前半5話分のエピソ
ードが消化された。
5話の段階なので全ての疑問が解決した訳ではない。
そもそも戦況も2024年現在に於いてもロシアとウクラ
イナの関係は泥沼化していることも有って何一つ
解決していない。ただ当事国だけにとどまらず世界
中が何らかの間接的な影響を受けて苦しい生活を
強いられている事は確かだ。

今回はオデーサからキーウに向けて車を走らせる
エピソード。

これまでのウクライナ関連のニュースを見ていると
キーウに次いでよく耳にする地名の一つがオデーサだ。
世界遺産の街であるこの街を執拗に狙って攻撃を
繰り返してきたロシアの軍事侵攻。
ウクライナ正教「救世主顕栄大聖堂」を狙う行為は
まさに民族の精気を奪うものに等しいものがあり
あまりに情け容赦がない。
そしてこれを書いている前日には「オデーサの城」
がロシアの爆撃に有り破壊されている。

軍事や戦争と言えば、問題に上がる一つはジェンダー
のことがあるのかな。

「G.I.ジョー」ならぬ映画「G.I.ジェーン」(1997)
マスキュリズム運動/男女差別雇用撤廃法案を巡り、
女性が男性の中に入って戦地で戦う物語を描いて
見せた。
そしてトランス系の場合はまた別の差別意識を
持たれてしまう。日本は徴兵制ではない
ので軍における過酷な実態は分からないが
韓国やアメリカ発の記事を見ると仲間で有っても
差別の対象になってしまい何が敵なのか分からなく
なる。

今回登場するのは祖母であるターニャ。孫である
パブロ。そしてその恋人である同姓のミロスラヴだ。
パブロの母親リタは息子の出産を快く思わず、
アメリカ・シカゴに渡ると子供も母親も捨てて
二度と戻らないとの連絡をしてくる。
そしてターニャも同様に近いものがある。
孫がゲイだと分かった途端に態度を変えてしまった。

この中には孫のことを心配する意識も多く含まれて
いるので憎めないところはあるんだけどね。

先日のエピソードは「男らしさとは何か」を問い
かける物語だった。いじめを受けて涙する人物が弱い
ものなのか。そして戦争に行かないことが人として
男性として弱い人物なのかを問う流れだった。
そして今回はゲイの男性が戦場へと向かう物語で、
見送る段階になってようやく祖母の意識が変わり
始める。

●ラジオで戦況

「前日我が国の防衛部隊が敵軍の航空機十四機
を攻撃。空中戦の勝利により敵の戦闘機一機、
攻撃機一機を撃墜した」

「ハルキウの詳細は後ほどお伝えします。西側専門家
の予想に反してウクライナは持ちこたえています。
我が国の軍隊と勇敢な国民のお陰です。国家に貢献
する人をゲストに招きました」

■時代が前後する

このドラマを見ていると年単位ではあるが色々と
時代を細かく設定して描いている。
パヴロの母・リタからの国際電話が掛かってきた
のは1998年の事で、その時リタは息子を母親に任せて
家を出てしまった。

そして2021年オデーサにあるディスコでターニャが
清掃員として働いている際に初めて孫の本当の性別
性的指向を知ることになる。

話を聞けば女性と付き合っていたのは隠すための行為
で昔から男性好きであることを語る。

同性愛に関してターニャは「ヨーロッパの価値観」
だとしていた。

ただターニャの心配も分かる。
芸能人や普通に暮らしている状況ならば同性愛でも
問題はない。しかし軍の中に入ることで何が起きる
か誰にも分からない。

リディアは15歳の時に娘からバイセクシャルだと宣言
された事を語り、慰めるような行動を見せる。

男性と女性は違うとして軍に入るか入らないかの
問題を取り上げた。

リディアが帰宅するとカレンダーには2022年2月23日
(水)に赤い丸で印が付いていた。

■お婆ちゃんは悪くない?

お婆ちゃんの思考は悪いものなのだろうか。
「私が悪い?邪悪な考えを拒否したからか?」
世代によって徐々にLGBTについては認知が広がった
ので、祖母世代では難しい気がする。
ウクライナ正教会ではどう定義しているのか気になる。
しかしこの祖母の可愛いところは、孫が軍の中で
差別を受けてしまわないように銃をプレゼント
しようとしておもちゃの銃を持って歩いていることだ。
逆に何故それをあの場所まで持っていったのかが
気になる(笑)

この問題で酷いのは娘の方だ。
子供を育てる気がないのであれば何故産んだのだ
ろうか。その背景は一切描かれていない。
そもそも彼女の両親がどうなっていたのかも分から
ない。

■内緒

キーワードのようにして内緒という言葉がセリフの
中に何度となく出てきたように思う。
大切な人の為に内緒で色々と画策したり、傷つけたり
しないように内緒で物事を運ぶ。

■先手を打つ

ディマはリディアの先手を取るようにして
テレビ出演して自分の行動の正当性やら活躍度を
示していた。

しかしその裏でアンドリーから連絡が入る。

「君の妹を殺せと命令したのはディマだと思う」

アンドリーは彼に脅されていたと主張する。

■その他

○ウクライナ文学

古書店を経営しているターニャ。
「オデーサの愛国者」と呼ばれていた。
ターニャがウクライナ文学であげていた人物は
以下の人だった。

・ヴァシル・ストゥス
・ミコラ・フヴィリョヴィー
・ルィルスキー

○ボルィースピリ方面へ

軍が派遣されようとしている地。
ここには国内最大の国際空港であるボルィースピリ
国際空港がある。ロシアが攻撃しようとしている
ところだったのか。ここへの侵攻を食い止める事が
戦略上重要だったのか。ただ激戦地だとされていた
ので多分いけば戻ってくるのは困難な筈だ。

【SOUNDTRACKS】

【出演】

リディア・モナスティルスカ (Anastasiya Karpenko) 心理学者
ドミトロ・マズール(ディマ) (Igor Koltovskyy) リディアの夫
ダシャ (Kateryna Hryhorenko) リディアの娘
ナタリア (Nadiya Levchenko) リディアの妹

オリガ (Khrystyna Fedorak) 妹、ネイリスト(1話)
ヴィカ (Dana Kuz) オリガの妹(1話)
ガリヤ (Nina Naboka) 隣人、ヴィカを助ける(1話)

インガ・スヴィストゥン (Olena Oleynikova) ディマの浮気相手、ミス農科大学(2話)
マルコ () ダシャと共にベルリンから・・(2話)
ゾリャナ・レクス () ミス協同組合大学
(Rusnak Larysa) インガの母 (2話)
スタス (Maksym Maksymiuk) 元ナタリ劇場芸術監督 (2話-)

レア (Karina Beuthe Orr) シモンの母 (3話)
シモン (Adrien Rob) AFP通信フランス特派員(3話)
クリスチャン (Antoine Herbez) 赤十字・シモンの夫(3話)
オクサナ (Kateryna Shenfeld) リディアの旧友・元女優(3話)

ニキータ (Mykhailo Dzyuba) ボクサー (4話)
イラ (Daryna Fedyna) ダニーロの娘(4話)
ダニーロ (Yakov Tkachenko) イラの父(4話)
詐欺師 () 国境で偽造IDを売る
ニキータの母 ()

テティアナ(ターニャ) (Plena Hal Savalska) 祖母 (5話)
アンドリー (スタニスラヴ・シチョキン) 副官 (5話)
パヴロ (オレクサンドル・ジウ) ターニャの孫 (5話)
ミロスラヴ (ロベルト・フェルドマン) パヴロの彼氏 (5話)
タラス (Oleksander Yatsentyuk) 兵士 (5話)
リタ () ターニャの娘。パブロの母。子育て放棄 (5話)

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ソーリャ(ソロミア) (Anna Lagodna) 兵士ハリナの娘(6話)
ヴォロディミル ()
ゾリヤナ・イグナテンコ () ルーツクの前市長の娘、検察官(6話)
アナトリー (Viktor Zhdanov)
Glib (Mykhailo Korzhenivskyi)
タマラ (Lesia Ostrovska) スタスの妻
ナディア (Oksana Cherkashyna) 弁護士(3話)(7話)
(Volodymyr Hurin) 軍人

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