ドライブ in ウクライナ IN HER CAR
彼女は「告白」を乗せて走る
(原題:Pereviznytsya)
脚本 : Eugene Tunik
プロデューサー : Andreas Bareiß
製作総指揮 : Sabine de Mardt、Sidonie Dumas
Rainer Marquass、Christophe Riandee
(c)Starlight Media/Gaumont/Roman Lisovsky
第2話 文字が読めないお姫様
Die Prinzessin, die nicht lesen konnte
【STORY】
●昔の物語
『昔々遠い国に一人のお姫様が居た。お姫様はとて
も美しかった。多くの騎士がお姫様に選ばれることを
臨んだがお姫様の心を掴んだのは一人だけ。ある日
お姫様は愛する騎士の手紙を受け取った。でもお姫様
には字が読めなかった。学ぼうとしなかった。
涙を流すお姫様には知る術が無い。騎士はお姫様を
愛しているのか。あるいは別の女性を偉らんだのか』
■現在の国境
ウクライナとポーランドの国境の渋滞は30kmに及ぶ。
リディアは犬のエクレールを連れたインガ
(Olena Oleynikova)と電話する。電話の相手・ディマ
(Igor Koltovskyy)は結婚すると言ってくれていたのに
曖昧な返事を聞いて激怒する。肝心のディマはインガ
の連れている犬の吠える声を耳障りだと考え、
黙らせるように告げる。
●ハルキウ州ペチュニヒ方面
激しい戦闘が行われて敵の進軍を阻むためにダムが
破壊された。ハルキウの郊外・デルハチではウクラ
イナ軍が堅い防衛線を維持している。
州の重要な鉄道の分岐点・クプヤンシクでは陸橋の
爆破を行う。
■ハルキウ KHARKIV
リディアはアパートの一室に居るディマの元にいく。
ディマはリディアの夫で有り、現在インガという
女性と同棲していた。インガはディマに対して
色々と説明を求めるが拉致が明かない状況だった。
リディアは室内に飾られている写真を見る。
その中には「ウクライナ家族基金」と書かれた賞状
が飾られていた。
リディアはディマに対して問う。
私が来た理由は分かるだろう。車で人を運ぶことに
したこと。人の役に立ちたいという彼女。
ディマはその行動はリディアらしいことを語る。
気高く人を助ける、そして妥協しない。それは夫婦
問題でもそうだ。
リディアは本題に入り「離婚したい」ことを語る。
「財産は全部あげる」
「ルハンシクの家か?」
「私は車だけもらえれば良い」
「基金のことはどうするのか?」
「私はこの町を離れて1年避難民の仕事はしていない
し書類も見ていない」
「ウクライナ家族基金の共同設立者だろう」
「家族の居ない家族基金なんて茶番ね。もう関わり
たくない」
リディアは何が問題なのかと問うと、監査後に私の
拠出金は引き揚げる。離婚と並行して手続きをしよ
うというが、裁判所は閉まっているぞというディマ。
逆にインガの送迎を頼みたいとし、彼女をポーランド
の空港のある町まで頼むという。
自分でやれば良いとし、インガも途中で降ろされると
して恐れていた。
しかし現在のウクライナでは男性は出国を許されて
いない。他の人に頼んで欲しいというが、ディマから
はこれが俺の条件だと言われる。
・娘から電話
リディアの元に娘のダシャから電話が鳴る。
現在ベルリンを出た所で、私とマルコで向かうと
いうダシャ。明日にはポーランドに着くので
国境で落ち合おうという娘。
■M03号線ポーランド国境への道
リディアは犬を引き連れたインガと来るまで出発する。
【impressions】
ウクライナの北を通るM03号線。
この道をハルキウまで向かったかと思えば今度は
ポーランド国境までの道へと出発する。
ハルキウにはこれまで住んでいた彼女の自宅が有り
そこには夫であるディマが居る。
彼と離婚したいリディアはある提案を受ける。
毎回おとぎ話の一篇とか何らかの芸術をベースに
して物語を構成しているところがあるのかな。
美人だということに胡坐をかいて字の勉強をして
来なかった彼女は、目の前に差し出された文章も
自国や他国で起きている事情も何一つ分かってい
ない。
親が事業の成功者で、その両親の元で育った娘が
無知なままに外の世界に放り出されるという
ようなドラマはたまに目にする。
日本のその手のシナリオでは、悲劇的に物事が進む
のではなく、寧ろ彼女の中の利点を使って人生を
上手く立ち回っていく物語になるけれど、ここでは
ひたすら無知である程に悲しい現実を突きつけられる。
しかしそこはドラマだ。
実は何もないと思っていた人の中に少しずつ
その人となりの強点を見つけていく。
男性・女性に関わらず。結婚詐欺が最近は横行して
いるけれど、まさにインガはそれに該当する。
何故ディマがそこまでモテるのかまるで理解できない
が、地元では有力者なのだろうか。
リディアにとっては旦那の浮気相手を助けていくと
いうのだから不思議な物語だ。
更に物語が進むと二人の中に共通点が有ったり、
無知だと思っていたインガによってリディアが助け
られるところがある。
インガとかディマはウクライナの情報を売ってロシア
から利益を得ている悪党だと思っていただけに驚きの
行動だった。
彼女はパンクしたタイヤをジャッキで上げて予備の
タイヤに取り換えるスキルを見せる。金持ちだった
が意外と泥臭いこともやっていたんだなという感じ。
父親が自動車関係の仕事をしていたようだ。
そしてリディアとインガに共通する過去が存在して
いたことに視聴者は驚くことになる。
■このドラマに関して・・
製作が終わった後にこのドラマは欧州各国向けに
Youtubeで全話公開されていたみたいですね。
国際向けに作り直しているのかわからないけど、
クレジットが微妙に違うような気がする。
また出演者に関しては個々のエピソード別ではなく
全ての出演者をまとめて書き出しているようなので
一話の段階ではまだその名前に該当する人が居ない。
■リディア周りの人々
今回色々とリディア周りのことが明らかになって
来た。
親だと思っていたダシャだけど実際にはリディアの
娘であり、マルコは彼女の彼氏だった。
折角最後に国境で再会するが、結局またウクライナ
側に戻って行ってしまうリディア。
2014年のルハンシクがロシアに攻撃された際に妹
の乗ったバスが襲われたのか。そしてインガの母
もまたそのバスに乗っている。
ただ運命を分けたのはインガとその母は同じバス
には乗ることが出来なかった。ディマとその仲間
たちが割り振りしていたようだけど、あそこで
活動していたのはリディアも同様だったのか。
・インガ
2014年のコンテストの楽屋裏ではディマと彼女が
性行為に及んでいるシーンが既にある。
「結婚を約束した・・8年待った」
「ディマは優しいの。ルハンシクで誕生日に101本の
薔薇をくれた。巨大な花束」
一方インガの母はこの地にとどまることを望んでいた。
彼女はウクライナ語の教師であり、ルースキー・
ミールを嫌っていた様だ。
その関係かどうかわからないがインガはウクライナ
語やロシア語のどちらか理解できないのか。
(18歳の彼女は英語の通訳を目指しているとコンテスト
の中で語られていた)
そして物語の最後に彼女が妊娠していることが分かる。
■ウクライナ家族基金
この手の基金って絶対に当人に渡らないよね。
2014年の頃にはその基金も権利者に対してうまく
運用・活用されていたのかも知れないけど、
社会が機能を失い人々がその土地から居なくなった
際にその金はどう活用されていくのか。
現在キプロス行きを頼まれたインガ。
パスポートと一緒に書類が入っていたので、それが
気になり彼女が車外に出た隙に少し見てしまう
リディア。
基金の規約が書かれていてロシアから送金されて
いる証拠も入っていた。
契約のサインにはリディアのものが書かれていたが
本人は書いた覚えもないもの。
ディマはインガを使い、彼女にキプロスでオフショア
口座を開くために(ロシアから金の受け皿にする)
遣わされるところだった。
■ラジオの世界
ロシアの世界ではないけど、情報はとても大切な
もので、人々を困惑させるようなことをせず、
事実だけを淡々と語ってほしいものだ。
ラジオから聞こえてくるウクライナの現実。
「ポーランドはウクライナ避難民の為、国境付近に
支援センターを開設。子供を含む避難民を援助して
いる。プシェミシル駅にも支援センターが設けられ
ボランティアによる物資の支給が行われている」
「過去24時間でロシア郡はハルキウ州を84回攻撃。
応戦するウクライナ軍はロシア軍の隊列を破壊。
敵の巡航ミサイルを撃墜しました」
「解放者としてロシア兵が歓迎される光景は
実現しませんでした。地元住民は領土防衛隊の抵抗に
合いロシア軍は街から排除されました」
・アレストビッチ
整形が云々と女性同士が車の中で会話していた。
ウクライナでの戦況をYoutubeで伝えていたのは
アレストビッチ大統領府顧問、
■怖い検問所
どの国でもそうだけどスパイが紛れ込んでいたり
工作員が紛れ込んだりシているので国境付近には
検問所が設けられている。
本当に通れるのかどうか疑われれば厳しいことになる。
■その他
・”ロシアの世界”(ルースキー・ミール)
Русский мир
“ロシア(ルーシ)の世界は、ロシア語を話し、
キリスト教ロシア正教会を信仰する人々が居住する
地域を独自の文明圏とみなすロシアの世界観、思想、
イデオロギーである”
以上:wikipediaからの引用。
インガの母はウクライナ語の教師だった。
“ロシアの世界”に慣れなかったという。
2022年3月29日付のNHKで「ルースキー・ミール」思想
について取り上げられている。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220329/k10013557301000.html
・メンター
度々インガはメンターの存在を口にしている。
「精神とカルマについて教えてくれる。5つの願掛け
を指導されたが3つ目がかなった。ディマの離婚よ」
「前進せよ、全てはカルマが決める」
・ハルキウ住民
戦争前ハルキウ住民の80%がロシア語話者だった。
【SOUNDTRACKS】
・
【出演】
リディア・モナスティルスカ (Anastasiya Karpenko) 心理学者
ドミトロ・マズール(ディマ) (Igor Koltovskyy) リディアの夫
ダシャ (Kateryna Hryhorenko) リディアの娘
ナタリヤ (Nadiya Levchenko) リディアの妹
オリガ (Khrystyna Fedorak) 妹、ネイリスト(1話)
ヴィカ (Dana Kuz) オリガの妹(1話)
ガリヤ (Nina Naboka) 隣人、ヴィカを助ける(1話)
インガ・スヴィストゥン (Olena Oleynikova) ディマの浮気相手、ミス農科大学(2話)
マルコ () ダシャと共にベルリンから・・(2話)
ゾリャナ・レクス () ミス協同組合大学(2話)
(Rusnak Larysa) インガの母(2話)
レア (Karina Beuthe Orr) (3話)
シモン (Adrien Rob) AFP通信フランス特派員(3話)
クリスチャン (Antoine Herbez) 赤十字・シモンの夫(3話)
オクサナ () リディアの旧友・元女優 (3話)
ニキータ (Mykhailo Dzyuba) ボクサー (4話)
Tetyana (Plena Hal Savalska)
ソーリャ (Anna Lagodna) 兵士ハリナの娘(6話)
タラス (Oleksander Yatsentyuk) 兵士
アナトリー (Viktor Zhdanov) 元副官、ディマの側近(5話)
Glib (Mykhailo Korzhenivskyi)
タマラ (Lesia Ostrovska) スタスの妻
ナディア (Oksana Cherkashyna) 弁護士(7話)
(Volodymyr Hurin) 軍人