相棒20 第13話 死者の結婚

相棒20
(2021年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋下一(1)(2)(3)(4)(6)、守下敏行(5)(7)(8)
蔵方政俊(9)(10)、権野元(11)(12)(13)
脚本:輿水泰弘(1)(2)(3)、神森万里江(4)、池上純哉(5)、
森下直(6)、山本むつみ(7)、瀧本智行(8)、川﨑龍太(9)(13)
根本ノンジ(10)、太田愛(11)、斉藤陽子(12)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第13話 死者の結婚

【ストーリー】

●中野区・鷹原町

比較的人通りが多い夜道を服装が乱れ、裸足で歩く女性。
その女性がようやくたどり着いた家は多岐川の表札が掲げて
ある。家のチャイムを鳴らすとインターホン越しに女性・
愛子が対応に出る。

「どちらさまですか?」
「お母さん・・会いたかった」

そういうと彼女は家に通される。
彼女はこの家の娘の未来。ずっと監禁されていたという。
父・直樹は警察に知らせようというが、しかしそれを止める
のは未来だった。

・杉並区・西條家

母の知代は祖母の家に一人で住んでいる息子の西條雅弘の
様子を見に来る。すると背中にハサミが刺さっており、
亡くなっていた。

■警視庁

伊丹は元警視庁に勤めていた似顔絵師の黒瀬和成からある
ことを頼まれていた。行方不明者を見かけたという黒瀬に
対して、伊丹は確認したが保護したという報告が未だに
ないこと。伊丹は黒瀬に対して、「世の中には同じような
顔をした人が三人いる」
と言われていること語る。

そこに特命係の2人がやってくる。
右京は黒瀬が持っていた似顔絵を見ると「綺麗な女性」で
あることを語る。伊丹は特命係がこの件に突っ込むことを
止めようとするが、出雲がやってきて殺人事件が起きたとの
報告を受けると一緒に行ってしまう。

・喫茶店

特命係の二人は場所を変えて改めて黒瀬から話を聞く。

「この絵の女性は何者なのか」
「生きて帰ってきたのではないか」

女性は多岐川未来だというと、右京は事件について知って
いた。13年前に失踪した事件であること。

(松尾紗月ピアノ教室・2009年・第三回発表会(3月15日))

事件当時未来は10歳。学校からの帰り道に忽然と姿を消した。
ランドセルはごみ置き場で発見されるも事件は未解決だった。

この絵は未来の「冥婚絵」
亡くなった人を結婚させるもので、冠城は携帯/ネットで調べ
る。

冥婚とは・・
「未婚のまま若くして亡くなった人に対して遺族が死後で
の幸せを願い仮想の結婚式をあげるという風習。」

冥婚絵はその様子を描写したものだった。
警察を辞めてから依頼があればボランティアで描いている
という黒瀬。亡くなったと決まったわけじゃないのでは
ないか?という疑問に、両親の希望だったこと。
どんな青春を過ごし、家族と思い出、どんな女性に成長した
のか・・23歳時の彼女を想像して一か月をかけて描いたもの
だという。いろいろと迷いも生じてこの両親の元を訪ねた際
に未来の姿が在ったがその時には聞けなかったのだという。
それで無事に保護されたかどうかを聞きに来たとのこと。
何か公表できない事情でもあったのではないかと。

■事件

フリーターの男性が殺害されて発見される。
被害者は西篠雅弘(30歳)。高校中退後、祖母の家で一人暮らし
をしていたが、背後から裁ちバサミでめった刺しにされていた。
物取りではなく怨恨の線で捜一は聞き込みを開始しようとする。
しかしその家にはなぜか女性の画像がHPからプリントアウト
されていたが、伊丹はその画像の女性を元警視庁の似顔絵師の
黒瀬から聞いて知っていた。
13年前、小学校の帰りに失踪した当時10歳の少女・多岐川未来。
多岐川家の両親に話を聞くと未来は戻ってきていないとし、
その家には代わりに従妹である菅原遥香という女性が住んで
いた。

■感想

伊丹刑事の個人的な流れから派生する物語。
口うるさい伊丹刑事だけど義理は通すとばかりに最後は
「こてまり」で特命係に食事を奢るというところが良いよね。
もちろん財布の中身を気にするところもあるが、
この一連のお約束こそ特命係と捜一の現状・関係を確かめられ
るというもの。

シナリオは色々と容疑者が現れ、的を絞らせない作りなのは
良くできていた。事件の真相に関しては三つかそれ以上の
可能性が用意されていた感じだけど、脚本家は数々の場面
で1-2-「三!」を意図していたのかもしれないなと感じさせる。

この世の中には「三人の似た人物が存在する」という伊丹刑事
の前振り。
ガールズバー嬢の梶本彩奈が成りすましていたのは、未来では
なく彼女の従妹である菅原遥香であり、まさに三つの名前を
持つ人物像としてなり替わる。

また未来という名前の付け方と今回の冥婚の流れが妙に
作為的なものを感じるが、この風習は日本というよりも
中国のものではないのかな。中国を題材にしたドキュメンタ
リーなどでも何度か目にしたことがある。一人っ子政策時代、
とても大切に育てられた為に子供に対する溺愛っぷりは中国で
は特別なものなのかも知れない。

「三」にこだわりがあると書いたのはいくつかある。

彼女が10歳の時のピアノ教室に貼ってあるポスターは
第三回であり、その発表会は3月だった。
黒瀬が西篠家を訪ねたのが事件の3日前である。
容疑者は30歳の男性。そして今回13回忌だ。
未来のカナ文字で書けばミライとなったりもする。

まぁこじつけかもですけどね(^o^;

■嘘なのかそれとも想像なのか

今回の脚本家の川﨑龍太さんは9話「生まれ変わった男」
を担当した方だけど、比べてみると面白く、たぶんこういう
シナリオが得意な方なんだなと思わせる。
9話は20年前に起きた事件に於いて、自分が刺された被害者
自身ではないかという物語だった。

相棒20 (2021年10月期・テレ朝・水曜21時枠) 監督:橋下一(1)(2)(3)(4)(6)、守下敏行(5)(7)(8...

今回のドラマに於いても殺されたかどうかわからない13年前
の事件が関係している。

誰が嘘をついているのか。

記憶となると自分に都合よく捻じ曲げられている可能性が
あり、時間的流れに乗じて記憶の中の事実を都合よく書き換え
ている可能性もある。

そもそも目の前にいる女性は本当に13年後の未来なのかと
いうところから始まる。段取りがあまりに未来だという事を
断定させるような作りになっているので、嘘をついて匿って
いるのは両親ではないかという疑惑が先に立つ。
匿っている理由もハッキリしていて、同時期に西篠雅弘が殺害
されたわけだが、この人物によって拉致監禁されて逃げる際
に刺したのではないかという動機付けがある。
ただ正直渡英したとする従妹のことを調べれば自然と嘘だと
分かる気がするけどね。

そして黒瀬も先入観が大きくかかわり、工藤雄一郎という
性犯罪の事件の前科のある人物だと半ば決めかかってしまった。
更にその彼から「面影がある」と言われると人の顔を何度も
描いてきているがゆえに説得力が生まれる。

目撃証言があり、それは帰宅が遅いとして探しに出た未来の
母・愛子のものだった。愛子はフードを被った男を目撃して
いるが、実際には相手の姿を朧気に目にしているだけで
ハッキリと目にした訳ではないこと。

■事件解決

西篠と未来の接点が判明した時点から一気に犯人特定までの
道筋を立てた。
西篠殺害現場に落ちていた女性の髪の毛未来の冥婚絵
そして10歳当時にピアノ教室で落としていた未来の手編みの
手袋

その手袋がまた西條の家から見つかり、ランドセルこそ
ごみ箱に捨てたが、その手袋だけは捨てられなかった。

罪悪感からその後の生活がおかしくなってしまった。
人を殺して黙っていて精神がおかしくならない奴はよほどの
人物だと思う。
故意に殺害したものではなかったものの、今回の事件に於いて
は色々と噓をついたり知っている事実を話せなかったことに
よって無駄に時間が経過してしまった。

西篠があの時警察に知らせることが出来ていればその後の
人生は変わったはずだ。
そして未来の父親に絆されて未来の従妹を演じた遥香も
当初は金が得られるという理由こそ有ったが次第にこの
両親・家庭の良さに触れて嘘に付き合うことを了承した。

未来の母は末期がんで余命いくばくもない。
その彼女も嘘だと分かりつつ一連の芝居に付き合っている
流れの中には、これまで体験出来ずにいた娘との家族生活と
いうものに酔いしれる部分が在ったのかもしれない。
そしてそこに上述した遥香も感じ取った部分だ。

しかし冥婚相手という意味では見つからなかったですね。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (警視庁組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (警視庁サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)

梶本彩奈/菅原遥香 …… 山本舞香 (21歳、ガールズバー”Milky Warp”)
多岐川愛子 …… 宮田早苗 (未来の母親)
多岐川直樹 …… 筒井巧 (未来の父親)
黒瀬和成 …… 勝部演之 (元似顔絵捜査官・伊丹の所轄署時代の先輩)
松尾紗月 …… 街田しおん (「松尾紗月ピアノ教室」講師)
西條雅弘 …… 横井翔二郎 (30歳、フリーター)
多岐川未来 …… 加川心菜 (10歳、直樹と愛子の娘・13年前に失踪)
工藤雄一郎 …… 伊藤風喜 (未来失踪事件の容疑者)
西條知代 …… 今井あずさ (西條の母親)

木村浩也 …… (父)
木村広美 …… (母)
木村彩 …… (享年25歳)
富田勉 …… (父)
富田春恵 …… (母)
富田優紀 …… (享年20歳)

荒川浩平、黒川昌信

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