相棒18
(2019年10月期・テレ朝・水曜21時枠)
監督:橋下一(1、2)(5)、権野元(3)(4)
脚本:輿水泰弘(1、2)、神森万里江(3)、児玉頼子(4)(5)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広
https://www.tv-asahi.co.jp/aibou18/
第5話 さらば愛しき人よ
【ストーリー】
「目を背けたくなる程の眩しい光の中で感じた温もり
なんてすぐに跡形もなく消えてしまう・・まるで香りの様
なもの。」
紙にそう綴った紙を破る石川真悠子。テーブルには
“詩集 闇を往く (著:スノウ)”が置かれていた。
◆事件
・被害者は石川真悠子(37歳)
・死亡推定時刻は昨夜の21時から23時。
・青酸カリによる中毒死。
・カップの指紋など殆ど拭き取られている
という芹沢。伊丹はあの男が発見したのか?と問う。
・第一発見者はロジェ出版の社長・三次隆志。
彼の話によると石川さんは”あの”スノウだったという。
しかし伊丹はスノウが何かを知らず、芹沢は思わず
「本を読みなさい!」と告げる。人気の「覆面詩人」だった
という。その本を手に取る伊丹は中から【一枚の写真】が
出てくるのを拾う。
◆特命係
角田・・そして伊丹と芹沢がやってくる。
“色男”冠城に対して石川を知って居るなと尋ねては写真を
見せる。そこに映っていたのは冠城が喫茶店でコーヒーを
飲む光景だった。
◆現場へ
冠城と右京を連れて捜一の二人は現場に行く。事件の詳細
そして写真を拾ったまでのことを聞かされる。スノウの
詩集に入っていた写真。そしてスノウはプロフィールを
発表していない詩人。そのスノウこと石川真悠子が青酸カリ
を飲まされて死んで居たこと。すると冠城は驚くべきことを
語る。
「スノウの正体は別の人ですよ」
出版者の社長・三次隆志から直接聞いたものでもうすぐ
新刊が出るハズだったという。しかし冠城は別の女性な
のは確かだとし、スノウは竹田ユキという人物
だという。
芹沢は聞き込みの証言と一致するとのこと。被害者は
ユキと呼ばれる女性と一緒に住んでいてその名前を聞いて
いたこと。竹田ユキは何処に居るのかと問うと既に冠城は
データを消去していた。彼女が俺の写真を持っていたなん
て信じられないという。何故か・・冠城は右京にだけ聞こ
える声で話す。
「振られた」
それにしても別れて5年以上経つのだと語る。
◆鑑識
益子に写真から指紋の採取を頼む。
コーヒーミルからも青酸カリが出たのか?検出したのは
カップからだけだという。そのコーヒーミルは冠城が彼女
と付き合っていた時にプレゼントしたものだった。
■感想
この主人公を渋く見せる感じ・・かつてもこんな感じの
演出を見た気がする。長いこと相棒を見ているのでどの
話だったのか忘れているけど、その時は右京ベースの
エピソードだったかな。
今回のドラマの世界観は小説を読んでいるかのよう
な感覚に陥らせるものがあり、それは恋愛に於ける男女の
機微さを繊細かつ幅広い選択筋を持って殺人事件へ繋げて
結末へと導いていった。
人が亡くなっているドラマなので秋には丁度いいシナリオ
と言って良いのか分からないけど、夏から秋に変わる際に
感じる肌寒さの中に妙に感じる切なさみたいなものが、
人生模様として現れ、恋愛に於いても成就しなかったで
あろう事情も相まってなんとも言えない気持ちにさせ
られる。冠城の身の引き方や何処かで彼女のことを信じ
たい気持ちが興味深く現れていた。
右京との意見の相違から単独で動くシーンが有ったりする。
その間に彼女との過去の回想シーンが垣間見られる。
そこに見える幸せな時の二人の映像と、それでも身を引か
ねばならなかった冠城の繊細さ。気持ちを共有した関係で
あるからこその彼女が犯人ではないとする確信に近い状況
での冠城の捜査。
何よりも出会いは突然現れた。
そして恋愛成就を育んだであろう場所を提供した喫茶店。
素晴らしい場所では有ったが、人は外見や雰囲気に惑わさ
れてはいけない。
店主の中には裏と表の顔が有り最後になって全てぶち
こわしてでも自分のものにするという不条理さがある。
この流れはユキにとっては15歳の時にも経験している
家庭内DVに於ける一連の顛末である。
ただ残念なのはドラマ好きなら誰でも感じたであろう
気持ちを代弁してみたい。
「水橋研二さんが出た時点でかなりの高確率で犯罪の加害者
である。」
ユキという女性は本当に幸薄かった。
両親の裏切り。本来なら幸せになってもおかしくない家庭
であり傲慢な父親さえいなければ幸せに成長したハズ。
そして成人になってもまた彼女変質的に愛する男によって
彼女自身も殺害されてしまった。
ドラマとしては上述した様に選択肢が非常に広かった。
よくあるドラマの展開の一つとしてはスノウという匿名
小説家が本物と偽物がすり替わる内に逆転してしまう現象
である。それに憤りを感じたユキ自身が殺害した可能性は
排除出来ない。
またそのような匿名性という秘密は色々と脅しのネタに
なりがちだ。過去に傷が有るならば尚更である。
流石にSNSからIPを割り出すのは難しそうだけど、殺害日時
とネットの書き込み、銀行の口座から1千万円を下ろす流れ
(他人の口座をそう簡単におろせるとは思えないが・・)
などの物証を揃えて最後は自供を引き出した。
最後になって和解した母と娘の流れが有ったことを知って
少しだけ暖かさを感じるところは良かった。
そして最後は右京さんの一喝が有ったけど、誰の為にやっ
たのかと言われれば、彼のような執着性をもつものにとっ
ては「自分の為にやった」のだろうね。
■出演者
杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
南侑希 / 竹田ユキ …… 佐藤江梨子 (37歳、冠城の元恋人)
金子慎也 …… 水橋研二 (コーヒー店オーナー)
三次隆志 …… 金田誠一郎 (出版社”ロジェ出版”社長)
南郷平 …… 上川路啓志 (当時39歳、侑希の父、市議会議員)
南麻紗子 …… 富沢亜古 (侑希の母、郷平の妻、武蔵野市)
石川真悠子 …… 小林由梨 (37歳、作家、侑希の同級生)
山下芙美子 …… 志水季里子 (麻紗子の姉)
15歳の頃の侑希 …… 山本麗美 (1997年9月19日に父親を殺害)