相棒20 第15話 食わせもの

相棒20
(2021年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋下一(1)(2)(3)(4)(6)(15)、守下敏行(5)(7)(8)
蔵方政俊(9)(10)、権野元(11)(12)(13)
脚本:輿水泰弘(1)(2)(3)、神森万里江(4)、池上純哉(5)、
森下直(6)、山本むつみ(7)(15)、瀧本智行(8)、川﨑龍太(9)(13)
根本ノンジ(10)、太田愛(11)、斉藤陽子(12)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第15話 食わせもの

【ストーリー】

●繁華街のゴミ集積場

男性の遺体が発見され、鑑識、そして捜一が現場で捜査を
する。遺体は心臓付近を刺されていた。
財布と携帯電話はなく身元が分かるものは何も無かった。
そして何よりも目撃情報が無い。強盗殺人事件か、それとも
喧嘩が引き金となったのか。伊丹は遺体のはだけたシャツの
下から入れ墨があることを目にし、善良な一市民ではなさそう
だと語る。

●第一城谷レジデンス (板橋区・城又町)

・ゴミ集積所

マンションの管理人の平井貞夫は捨てられたゴミを見て分別
していない住民たちに苛立ちを覚える。更に敷地内で禁止
されているスケボーをする青年・守岡修人を見て注意する。

そこに住民の一人の村山佳枝がやってくると、管理人として
辞めさせるよう語る。飛び出して来て危ないと。

更にそこには住民の一人、桜田美月が走ってゴミを持ってくる。
平井は美月に仄かに恋をしていて鼻の下を伸ばして顔が緩む。
収集車くらい私が止めておくので慌てなくても良いという平井。
村山はそんな二人のやりとりを見て面白くないゆえに嫌味を
言ってその場から立ち去る。

しかし次の瞬間彼女の悲鳴が鳴り響く。
そこには臙脂色したジャケットを来た男性が倒れて死亡して
いた。

・特命係

青木が動画投稿サイト(YourLIVE)を見ていると右京から何か
有ったのか尋ねられる。一昨日マンションの敷地内で転落死体
が発見され、その時の様子を住民が撮影したものだという。
“ふじこんぶチャンネル”に掲載されていたが、撮影を止めようと
する男を目にする。角田や右京らには見覚えのある顔。
「NPO法人・青空らくだの会」の詐欺師の平井だった。
(シーズン15、4話「出来心」より)
https://itawind.web.fc2.com/2016/aibo1504.htm

過去に青木は平井によって騙されていた。

「たとえ出来心でも姦淫は大罪です」
「犯した罪は善い行いをする事であがなうしかない」

青木は愚弄した人物を許さないとして憤怒する。

彼は出所し、そしてこのマンションで働いていたが、
そこで人が亡くなったというものだった。
右京は動画の中の女性の顔に何処か見覚えが有った。
住所は板橋区城又町。特命係は現場に行くことにするが
冠城は自殺案件ではないのかと問う。

●第一城谷レジデンス (板橋区・城又町)

えりも不動産の工藤丈治はマンションの一室に客を連れてきた
としてやってくる。平井は話は聞いているとしてアパート内
へ通す。5階の空き部屋。しかしそこにあるべきはずの荷物が
届いていない。相川達彦は確かにここに送ったのかとして
工藤ににらみを利かせる。置き配達指定・配達予定の通知メール
(ホエール宅配便)も届いているのだという。ドアを無理やり
開けようとしていると隣の住民である桜田成一が出てて何を
しているのかと憤怒する。更にその娘である美月も出てくると、
父親の興奮を抑えて、ドアを叩いていた相川と工藤に何かあっ
たのかと尋ねる。
相川は間違って荷物が届いていないかと尋ねるが、美月は
何もないことを語る。

・管理人室

工藤はそこで管理人の平井に荷物のことを尋ねようとする。
すると二人は顔見知りであることが分かる。工藤は平井が
管理人とはついているというと、彼は相川に同業者である
事を告げる。工藤は空き部屋に荷物を送ったことを告げ、
その荷物は見つかるとヤバイものであることを告げる。
工藤は白い粉・末端価格は3千万で、元売りから空き家に送る
ようにしていたのだという。
それを聞いた平井は工藤に対して薬で稼ぐなんて下の下である
事を告げる。
相川が回収した荷物をヤクザに届ける運び屋であること。
何でうちのマンションでそんなことをやるんだとして嘆く。
管理が甘く住民の意識が低いところは仕事がし易いとの事。

「何でそんなヤバイ話を打ち明けるのか」

巻き込まれたくない平井だが、相川はあんたに荷物を探して
もらうとして、送り状の品目は人形で、腹の中には白い粉が
入っているのだという。

「住民はあんたが前科持ちであることを知っているのか?」

と言われ平井は黙って従うしかなかった。

・特命の二人がやってくる

工藤と相川がマンションを出るのと入れ替わるようにして
特命係の二人がやってくる。
年季の入った築40年くらいの物件。

・平井はその頃管理人室で防犯カメラ映像を見ていた。
2022年2月8日(火)、午前10時のもの。

「勝手に見るのは規約違反なのに・・」

そこに特命の二人が窓を叩く。転落事故の現場を見せてほしい
と語ると平井は案内する。
駆け付けた時には亡くなっていたこと。
夜明け前に飛び降りたらしいこと。
屋上には手すりを乗り越えた形跡が残っていたので自殺であろう
ことなどを平井は語る。
しかし問題は亡くなった人物はこのマンションの住民とは無関係
であったことだった。

■事件

繁華街でヤクザの構成員が殺害され発見される。
更に同時期に第一城谷レジデンスで転落事故が発生する。
青木が転落事故の現場の投稿動画を見て、かつて詐欺を働いて
いた平井貞夫を見て右京に報告。一見すると事件性はない
かに思われたが、右京は動画の中に何かを見つける。

■感想

一つの現場に色んな犯罪者が集結。

金の匂いがするところには必ずそういった輩が増えるの
だろうし、逆に老朽化した場所にも犯罪者が集まる。
そこは人種の坩堝ならぬ犯罪者たちの坩堝。異種格闘技戦の
様相を呈している。
最後に残る一個の椅子をめぐって椅子取りゲームのような
事が密かに行われ、これまでのドラマの中でも形を変えて
この手のエピソードはいろいろなバリエーションを以て
描かれている。

今回の案件の中には「昭和のローテクな詐欺と昭和の人情」
テーマとして含まれており、ある種の犯罪の進化・分業化と
同時に手口にしても犯罪の種類にしても決して真新しい
ものではない。
昭和を強調するかのようにして、犯罪の現場は築40年のマン
ション。口うるさいおばさんがマンションに住んでいたり
するのも何処か懐かしさも有る。

ドラマでは色んな形の詐欺案件が含まれるが、それぞれの犯罪者
が持つ犯罪者としてのプライド的ボーダーが存在している事が
分かる。
そしてそれが人情として描かれ、程よく角を取れるような内容と
して伝わってくる。

それだけ今どきの犯罪にはエグさというものがあるのかもしれな
い。

昔の任侠映画とか、映画「ゴッド・ファーザー」で見るコルレオ
ーネファミリーの間ではマーロン・ブランド演じるドンは
薬物に手を出すことだけはしなかった。しかし時代や世代の
変遷の過程でその考え方の違いが顕著に表れ、犯罪者は犯罪者
でしかないという善と悪の完全なる分化として発展してしまって
いる。

■登場人物すべてが怪しく映る

この手の内容は、見ていればすぐに全員が容疑者であることに
気が付く。
犯罪は犯罪で有っても、ドラマとして安心して見られるのは、
テーマの趣旨から見て、悪人だけが罰せられ、そして善人は
最小限の被害しか与えられないこと。

また分かりやすいのは一番善人の顔をした人物が最後になって
“必要なもの”を持っていることが描かれることだ。

今回の件では桜田成一の娘に成りすました梅田真知がそれに
該当する。

ドラマではそれぞれの登場人物が、人を脅したり、人を騙し
たり、人を欺いたりする。

そして桜田成一のことを娘だとして欺いていた梅田真知は
騙しているつもりであったが、実際には騙された振りをして
いただけだった。

■事件解決の後に・・

この手のドラマを見ると考えさせられるのは、犯罪者の更生
の問題である。
犯罪が誤りであることに気が付いたところで、それを世間が
いつまでも許さなければ生活していく上での稼ぐ手段がない。

都会や世間の喧騒にまぎれて、一般市民としての生活を振舞う
ことが出来るのか。

それを違う形で体現しようとしたのが、一人は平井であり
一人は梅田真知である。ただし梅田の場合、警察官から逃れる
為に一般市民を装うもので、必ずいつかは見つかってしまう
ものだ。

また詐欺師にもプライドがあるように今回は刑事の間でも
プライドが強く存在している。
刑事のメンツにかけて「闇カジノ摘発事件」で捜査官に成り
すまして金を盗み取った女を逮捕した。
それが判明するのは防犯カメラと顔認証ソフトによるところが
大きい。

捕まったことで態度を急変させた彼女だが、騙されていた
桜田成一の言葉が心に突き刺さる。

「偽物で何が悪い?」

「仕事より大事なものを失った・・それは恋だ」(by 冠城亘)

しかし今回、出雲役の篠原ゆき子さんがほとんど出演しなか
った。なりすまし詐欺をした関谷奈津美さんは何処となく
篠原さんに似ているなと、闇カジノ摘発時の刑事的演技で
そう思えた。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (警視庁組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (警視庁サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)

平井貞夫 …… 風間杜夫 (詐欺師)
梅田真知/桜田美月 …… 関谷奈津美 (なりすまし詐欺)
桜田成一 …… 樋浦勉 (504号室の住民、娘は美月)
工藤丈治 …… 玉置孝匡 (不動産詐欺師)
村山佳枝 …… 大高洋子 (住民、口うるさい人)
相川達彦 …… 垣雅之 (覚醒剤の運び屋)
守岡修人 …… 大塚悠斗 (住民、スケボー青年)
大原 …… 荒澤守 (所轄署の刑事)
田淵 …… J.K.Goodman (七ツ金不動産の社員)
目黒昭夫 …… 本多摂 (46歳、覚醒剤の中卸、死亡)

東条誠 …… (44歳、翁門会・構成員)
市原恭輔 …… (51歳、翁門会・幹部)
小西章太 …… (18歳、翁門会・売人)
清水憲一 …… (22歳、所持者)

畑山歌奈子、前田成壱、西沢智治

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