レジデント・エイリアン
Resident Alien (2021年アメリカ)
https://www.nhk.jp/p/residentalien/ts/5LXJQJJL9L/
制作 2020 Universal Content Productions LLC.
All rights reserved.
制作 Amblin Television、Dark Horse Entertainment、
第4話 秘密の代償 Birds of a Feather
監督 Jay Chandrasekhar
脚本 Tazbah Chavez
音楽 Noah Sorota
原作 Peter Hogan、Steve Parkhouse
【STORY】
●前回まで・・
キャスパーはエイリアンについて遭遇したというロイから
話を聞こうとする。しかし本を出版すると聞いてキャス
パーは彼から原稿を奪い取る為に駐車場で殺害する。
同行者のローガンは何故殺したのかと呆れる。
ケイトはハリーの家に行くと、息子・マックスの精神状態
を相談する。マックスはハリーのことをエイリアンだと
し、更にリヴを引き入れ似顔絵まで描かせていたので
ある。
エイリアンの件でマックスは学校で爪弾きにされる。
唯一サハルは彼のことを信じるという。
高校生のパーティーでドラッグを売る青年。
彼はサムが処方した薬を売っていたが、その処方箋は
彼が亡くなった後に出ていた。
パーティーに来ていたジェイは泥酔していたので介抱す
る。その姿を見てアスタは16歳で妊娠したが育てられず
に養子に出した時の事を思い出す。
リヴはサム以外にもまた遺体が出たことを語る。
マイクはこの湖には足以外にもあるので徹底的に捜索
すると語る。
■コロラド州ペイシェンス / PATIENCE , Colorado
ハリーは待ちに溶け込む。
喫茶店にいけば町民と会話し、道で行き交う人とも挨拶
をしたり子供(Kaiel Barreiro)が投げたボールに反応
してスポーツをしたりする。
喫茶店「59」では客全員と挨拶する程だ。
自宅ではエイリアンの女と結婚しその彼女との間に子供
を授かる。配達員(Herbert Duncanson)はそんな彼の元に
荷物を運ぶ。中身は人間を殲滅させる為の道具だった。
自動的にそれは作動し、人々は粉々になる。
町を歩く家族(Ries Fowler)(Carly Buhler)(Ellexis Wejr)
犬を連れた女性(Maria Christina Fernandes)、自転車に
乗った男性(Samuel Francisco)・・・全ては衝撃波と
共に分子レベルで破壊される。
しかしそれはハリーが見た夢だった。
ついに夢を見るようになった。
●湖
朝から大々的に捜索隊が調べる。
ハリーの家の傍に人が居るので冷凍庫の遺体が処理出来ず
にいた。
ハリーはマイクに犬の鳴き声が五月蠅くて眠れないこと
を語る。リヴはマイクの代わりに対応する。
「遺体が打ち上げられている筈なので捜索している」
ハリーは何故打ち上げられていると思うのかを問う。
湖の水流を調べた結果・・根拠はそれと保安官の”タマ”
がうずくということだった。
「水流は当てにはならないし、タマはたまに嘘をつく」
●喫茶店
『人間は哀れ。孤独を恐れ犬を飼う。食事も仲間と
群れたがる。私は一人の空間、スプーンとパイがあれば
それで良い』
ベンが食事中のハリーの元にやってくる。
彼はもうすぐ新しいドクターが見付かりそうだという。
ベンは今夜の予定を尋ねる。夕食にあなたを招待したい。
マックスが相変わらず貴方のことをエイリアンだと言い
張っているので顔合わせさせて怖がらなくさせたい。
NOとは言わせませんとし、今夜6時に来てくれと語る。
隣の席にはダーシーとアスタがパーティーでドラッグ
が出回っていることを話し合う。
あそこに居た誰かが処方箋用紙を盗んだという。
ダーシーはジェイだろうというがアスタは否定する。
17歳の子はそういう馬鹿なことをする。
あなたも身に覚えがあるでしょうというダーシーに
アスタは反論する。
「グレッグのトラクターを盗んだのはあなた」
「レンの魚を盗んで身の代金を要求したのは誰?」
「シーリングファンオリンピックceiling fan Olympics」
「涙の偽タトゥー」
「ジミー」
その言葉でアスタは負けたと語る。
その会話中にハリーはアスタの元にやってくると今夜、
町長の家に招待されたので一緒に来てくれと頼む。
しかしアスタは今夜はパパの手伝いで忙しいことを語る。
ダーシーならば行ってくれるのではないか?
「私ならその時間大丈夫」
「売春婦じゃないから金を払う気はなかった」
というハリー。その言葉にダーシーも落ち込む。
●診療所 / Health Clinic
アスタは診療所にいく。
エレンに挨拶し、寝ているジェイを起こして買って来た
軽食を渡す。
夕べの話になるとジェイは謝罪する。
アスタも昔は同様でありダーシーと連んで悪さばかりして
いたことを語る。
ダーシーは盗んだトラクターでスピード違反。
アスタはバイト先で彼氏のためにビールを万引きした
ことがある。
ジェイにも悪さしたことについてやんわり尋ねる。
夕べのパーティーで出回ったドラッグの件でサムの
処方箋用紙が使われていたこと。
疑われていることにジェイは憤怒。
後から入ってきたハリーもまた統計的に見てキミが犯人
だろうことを語る。
●ホーソン家
ケイトとベンは息子のマックスが帰宅するのを待ってい
た。そして帰宅した彼に話を仕様とする。
クッキーと牛乳が用意されているのを見て「悪い話だね」
と見透かす。
マックスは覚悟は出来ているとし、二人が離婚するで
あることを想定した会話をする。
「愛は儚いものだからね」
それを否定する両親はハリーを今夜家に招待したことを
話す。
「離婚の方がずっとマシだ」
・マックスの部屋
荷造りしながらマックスはサハルと無線で連絡を取る。
「家にエイリアンが来るので僕の命はない。」
しかしサハルは逆にチャンスであり良い考えがあること
を語る。
「エイリアンの家を捜索したくない?」
・夜6時
ハリーはダーシーと一緒に食事に来る。
予想外に玄関まで迎えに出てきたのはマックスだった。
待っていたとしてハリーに自らハグする。
彼が虚を突かれた顔をしている間にポケットの中を
まさぐる。
しかし鍵は無かった。それをサハルに告げると彼が
乗ってきた車(赤いDodge の Power Wagon ’61)にあるの
ではないかと語る。
サハルがダッシュボードを探るも無い。
探している最中にクラクションを鳴らしてしまう。
神様に謝罪すると、報われるようにして頭上のサン
バイザーの裏に隠してある鍵が落ちてくるのだった。
【感想】
今回のエピソードは異種交流によってハリーがこの
町を心地よく感じ始めているのではないかと思うと
共に彼に課せられた絶対的任務が彼にとってどれだけ
心の負担になっているのかということを探るような
内容だった。
冒頭での流れはその象徴的なもので、エイリアン同士が
地球で結婚して子供を授かり、家を持ち生活している
光景が夢の中に映し出される。町の人たちとの間に信頼
関係も生まれて、人間関係の煩わしい軋轢はなく、
何処にいってもハリーに挨拶してくれる。とても良い
環境ではないか。そんな彼に突きつけられている数々の
現実との闘い。
女性エイリアンがいる夢を見ると過去にもエイリアンは
この地球に降り立っているのではないかと感じさせる。
一瞬キャスバーの冷徹な振る舞いを目にすると、彼女こそ
エイリアンなのではないかと疑うところもあるし、
その辺はまだまだ分からないが、彼女の行動を見ると
エイリアンと何ら変わりが無く心を感じない。
今回はそんなハリーとキャスパーはニヤミスしている。
ガソリンスタンドに立ち寄った際にトイレでローガンと
ハリーが並んで用を足すシーンが有る。
ローガンとキャスパーはトレーラーハウスで移動してい
るようだ。
更にハリーが今までに感じたことの無い人間の行動習性
なり習慣なりを通して、今までにない自分の中の感情に
戸惑いつつも学習していくという流れも有り、この辺は
当面は楽しい要素となっていくのだろう。
マニュアル対応しか出来ない彼はずばり思った事を口に
して話してしまう。
ダーシーとの関係もそうだし、人間特有の空気が読め
ない所は至るところで存在するが、彼のキャラクター
からして「変な人」って形でスルーされるところは
便利だ。時々ジョークと称して乾いた笑いをするところ
もあるんだけどね。
そういうところは大抵シュールな感じに作られている。
気になる要素は幾らでもあるけれど、最後に登場した
彼の妻だと言うイサベル (Elvy)はどのような役割を
果たすのか。上述したようにエイリアンが家庭を築く
夢を目にしていたのでその通りの流れになっていくのか。
●人間社会/コミュニティの次なるステップ
仲間として受け入れられれば色んなことを話さなければ
ならない。例えばハリーの過去・・出身地を尋ねられ
るシーンがある。
このドラマに於いてはジェイとかアスタも一部話せない
ことが有るし、誰にでも話せないこと・隠したい事は
あるのだろう。
「あなたの出身は?」
「出身はニューヨーク。あそこには法と秩序がある。
LAW & ORDERの街なんだ」
・LAW & ORDER オープニングの台詞の一部引用
「重要な2つの独立した組織がある。犯罪を捜査する警察、
そして容疑者を起訴する検察」
「女たちはSexとCityを愛している」
後者は「SEX AND THE CITY」を意識したのか。
一体いつのドラマを見て学習しているのかって感じ
ですけど・・。
彼は自分の欠点を理解していて話すことが苦手な為に
アスタやダーシーに助けを求める。
・ダーシーとアスタ
この二人は若い頃から同じこの街で育ったからか
良いことも悪い事も共有しているところがある。
色々と互いにしていた悪い事の言い合い(暴露合戦)が
楽しかった。
今の世の中ならば恐らくネットのSNSに投稿されて一生
を棒に振るなんてこともあるのかも知れない。
親しさが伝わってくる言い合いは逆に仲の深さを感じ
られるのだけどね。
■複数の流れ
●子供たちの流れ
「グーニーズ」(The Goonies ,1985)とか
「ホーム・アローン」(Home Alone , 1990-)を思い出さ
せる流れがある。
鍵を盗んで合鍵を作り、ハリーが居ない間に家に
入り込み、エイリアンであることの何かを見つけよう
とする計画。
合鍵を作りにいけば保安官がいるし、ハリーの家に
向かう途中には、またしても保安官の車によって止めら
れる。
「何故止めたと思う? (Do you Know why I Pulled
you Over?)」(Corey Reynolds)
「スピード違反? (Speed?)」(Max)
「暇つぶし? (Boredom?)」(Sahar)
また山奥に向かう理由として
「ビッグフットを探している (We Heard BIGFOOT was
on the Loose)」
「あのクソッタレが逃げたのはシアトルでの話だ
Everybody know that damn BIGFOOT up in Seattle」
「リフレクターを直してオールウェザータイヤに変えろ
よ!」
・合鍵
また合鍵を作り終わるまでマックスはハリーを引き留めて
於かねばならない。
引き留める為に父親と作ったという太陽系の模型を
見せていた。ビー玉で作った火星の二つの衛星。
※ビー玉と宇宙人というと「ドラえもん」を思い出す。
のび太くんが無駄に何度も宇宙人を呼び出した為に
あわや戦争になりそうになったが、ビー玉を見て
宇宙人は驚き、機転を利かせて、それを友情の証として
プレゼントしたというエピソードが有ったね(笑)
・ハリーの家の地下室
アメリカにはよく収納の為か地下室があるよね。
ここでよく監禁事件とか悪さをする人たちのドラマが
多数見られる。
地下室に入る込むことには成功したが、冷凍庫には
南京錠が新たに付けられていた。その鍵は盗んだ鍵の中
には無かったのだろうか?
室内には彼が集めている宇宙船のパーツが多数有り、
雪山の全景を標す詳細な地図が貼られている。
そして「装置」もまた存在していて、リンゴが宙に
浮いている。触れた途端に二人は気絶してしまった。
●アスタは実家へ
アスタは複数の問題を抱えている。
A)
一つはサムの処方箋用紙が勝手に利用されていたこと。
薬はJames Harrisに処方されたことがラベルに貼られて
いるが、問題はサムが亡くなった後に処方されているので
誰が処方したのかということ。
B)
祖母のルースは腰痛持ち
父のダンが娘の診療所に来た。
ルースの腰痛はステロイド注射で痛みを抑えている様で
今回もそれを求める。
今回ちょっと驚いたのはアスタは先住民族ユテ族の
血を引いているのかな。「南部ユテ族居留地」と書かれた
看板が有った。
(Entering Sothern Ute Indian Reservation)
C)
アスタが産んで養子に出した子はハッキリとジェイで
ある事が判明した。勿論まだジェイ本人には知られて
いない。彼女の耳に届くのは時間の問題と思われ、
その時二人の関係はどうなるのか。
■それぞれの過去
●ダーシーの過去
ダーシーはスキーヤーだった。
この町を有名にしたのも彼女。イタリアのトリノオリン
ピック(2006)では選手として出場した様だ。
●アスタの過去
父のダンとジェイのことで話をしていた際に、幾つか気に
なる話に言及された。
アスタはダンから追い出されたと思っているが、寧ろ
出て行ったのは彼女の方で、バイカーだったジミーと
アスタは罪悪感で一杯。
「血のつながりのない子供を育てるなんて私一人で十分」
●ハリーの過去
色々と気になる反応がある。
一つはホーソン家で食事を呼ばれた際に、マックスの部屋
で見た太陽系の立体的全天星図。
天王星について言及した際にダーシーは、
「クソッタレが住んでいる星でしょ」
と語るがハリーは彼女のジョークだろうとしていた。
またユタ族居留地に行った際に、7人の若者たちとバスケ
をした後、疲れて夜空を眺めた際に、アスタに秘密を
話したことを謝罪した事と同時に、故郷が恋しいと
して「妻が居たが死んだ」ことを語っている。
そして彼の住んでいた故郷は46光年離れた場所にある。
因みにダンが運転している車はFord F250 Pickup(1979年)。
そして帰り道にアスタやダンが聞いていた曲は
ネイティブアメリカンの歌「ブージーネイティブ
/Boujee Natives」という曲のようだ
●昔の人の名前がよく出て来る
この町は人口1000人程度。昔の人の名前を出せば、この
街に今でもいる可能性が高い人物だ。
・グレッグ(ダーシーがトラックを盗んだ相手)
・レン(アスナが魚を盗んだ)
・フィルワース (教師、あだ名は”おならブーブー魔人”)
・ベニー (ケイトとダーシーはかつて付き合っていた?)
【その他】
●今回のオープニングの絵
・GSでピックアップトラックに給油。
(ライターでガソリンに火をつけてたダメ。)
・トイレで用を足す。
(人がしている後ろでしてはダメ)
●死後硬直だ
ハリーがダーシーを送る際にキスするシーンがある。
そのキスがもう舌を使ってなめ回す感じ。
「酷いが最下位じゃない」
どんだけ酷いキスの仕方があるのか。
その直後にハリーの下半身は反応する。
「死後硬直だ、ペニスが死にかけている」
(It’s rigor mortis! My penis is dying!)
●リヴは不当な評価を受ける
設定にも書かれていたけど保安官からは正当な評価を
受けることが出来ない彼女。
「仲間が欲しい」
これは今回のテーマの一つではある。
先日のエピソードでマックスにハリルが出来たように
理解してくれる人が必要だ。
リヴは湖の中からドアノフを見つける。
しかし証拠品にはなりえないとしてマークは彼女の
話を聞こうともしない。
●マイクの趣味?
サハルが合鍵を作る店で彼と出くわしてしまう。
サハルは生理用品を購入しにきたとしてマイクが
詮索しないように上手く追求を交わした。
その際マイクはミニカー(65年式のFORD社製Mustang)を
購入している。(e-bayなどのサイトでも普通に売って
いるシリーズのようだ)
その人にとっての物の価値観を示しているワンシーン
かも知れない。リヴにしてみればそんなくだらないもの
に目を向けるよりも自分の意見を聞けと思っていること
だろう。
【SOUNDTRACK】
・Bilgewater by Brown Bird (テーマ曲)
・Where Everybody Knows Your Name (Cheers Theme)
by Gary Portnoy
・Feet Get Me out of Here by Bobby sykes
・I’m Your Brother by 5 Alarm Music
・It’s Too Soon to Say Goodbye by Terri Hollowell
・NDN Kars by Keith Secola
・Blue Delta Home by Cary Morin
・We’ve Been Found by Samantha Crain
・Calling All Dancers by DJ Shub
・Boujee Natives by Snotty Nose Rez Kids
【CAST】
ハリー・ヴァンダースピーグル (Alan Tudyk) エイリアン
アスタ・トゥエルブトゥリーズ (Sara Tomko) 看護師
マイク・トンプソン (Corey Reynolds) 保安官
ダーシー・ブルーム (Alice Wetterlund) バーテンダー
ベン・ホーソン (Levi Fiehler) 町長
マックス・ホーソン (Judah Prehn) ベンの息子
ケイト・ホーソン (Meredith Garretson) ベンの妻
リヴ・ベイカー (Elizabeth Bowen) 保安官代理
ジミー (Ben Cotton) バイカー、アスタの元夫
ジェイ (Kaylayla Raine) 町の若者、アスタが仕事を与える。
**アビゲイル・ホッジス (Deborah Finkel) サムの妻
**Dr.サム・ホッジス (Jan Bos) 町唯一の医者だった
ダン・トゥエルブトゥリーズ (Gary Farmer) アスタの父
リサ・キャスパー (Mandell Maughan) 政府機関の女性
デビッド・ローガン (Alex Barima) 米軍中尉
ケイラ (Sarah Podemski) アスタの従妹
エレン・チョ (Diana Bang) 看護師
(Keith Arbuthnot) エイリアン・ハリー
セージ (Roman Legend Jimmie) ケイラの娘
イサベル (Elvy) ハリーの妻
サハル (Gracelyn Awad Rinke) マックスの友達・ヒジャブ
シェーン (Eugene Brave Rock) ケイラの夫
ヴァル (Glenda Klassen) 合鍵を作る人
ルース (Edna Manitowabi) アスタの祖母
(Kaiel Barreiro) 隣人の少年、ボールをパス
ビル (Herbert Duncanson) 配達員、夢
ジョー (Elijiah Noskey-Auger) 居留地でバスケ
(Ries Fowler) 夢の中の父
(Carly Buhler) 夢の中の母
(Ellexis Wejr) 夢の中の少年
(Samuel Francisco) 夢の中のバイクライダー
(Maria Christina Fernandes) 夢の中の犬の散歩女性