レジデント・エイリアン
Resident Alien (2021年アメリカ)
https://www.nhk.jp/p/residentalien/ts/5LXJQJJL9L/
制作 2020 Universal Content Productions LLC.
All rights reserved.
制作 Amblin Television、Dark Horse Entertainment、
第9話 宇宙人との遭遇 Welcome Aliens
監督 Shannon Kohli
脚本 Nastaran Dibai
音楽 Noah Sorota
原作 Peter Hogan、Steve Parkhouse
【STORY】
■前回までのあらすじ
エイリアンは人類を滅ぼす気だ (Logan)
装置を見つけてくれ (Harry)
氷河の上にある、行くな危険すぎる (Max)
キャサリンはマックスの事を調べる為にケイトと
レストランで接触。
「装置を取り戻したら私は人類を抹殺する」 (Harry)
私は地球外生命体・・エイリアンだ (Harry)
敬意は己の行動で求めろ (Mike)
マイクの助手・リヴはサム殺害事件ののチャード図を
作成し、検査結果から毒殺されたと断定する。
敬意を払わないので保安官事務所は辞める (Liv)
私は諦めない、助ける (D’Arcy)
脚を切り落とさないと私は死ぬ (Harry)
●30年前のニューヨーク
妊娠してもうじき子供が生まれる夫婦はバスに乗り
出産後の準備をする。
突然バスは停電し、外は青い光に包まれていた。
「何が起きているのか」
バスの中では妊娠した夫婦だけが動き、周りのものたち
は全て時間が停止していた。
そんな中で妻は破水したかと思うと突然意識を失い宙に
浮く。
次の瞬間、また時間が動き出して日常に引き戻された
かに思われたが・・奥さんのお腹から居るべきはずの赤ち
ゃんの姿が無くなっていた。
■ペイシェンス、ハリーの自宅
ハリーは暖かくてふわふわとした感覚に、自分が死んだ
ものかと考える。
「これが死後の世界というのか。人間の天国。
だとしたら死んでしまいたい」(Harry)
目が覚めると彼はベッドの中に居た。
アスタが打ったモルヒネが効いており、ハリーが目が覚め
てもそれが現実のものだとは思えない。
「ここで何をしているのか? 君も死んだのか?」
アスタは彼が足を切断した後、一人にして置けずに
様子を見る為に彼の家にいた。食べて体力を戻さなけれ
ばならないとして彼女は食事を用意する。
すると突然彼は牛乳を瓶ごと掴んで一気に大量に飲み
干す。彼女は冷蔵庫に60リットルの牛乳が入っていた
事に納得する。
飲み終えた後、彼女は包帯を変えようとし、周りに
探られない為にも義足を探しているという。
しかし彼の足は順調に再生していた。
「我々の種族はタコの子孫だ」
「もう少し伸びたら分子を再構築して人間の足の形に
する」
ハリーは目を向けた先に「装置/無線機」があるのを
知ると、急にアスタを家から追い出そうとする。
「寝ずに看病したのにお礼も言わない気なのか?」(Asta)
「頼んでいない」(Harry)
「人間はお互いに助け合うもの」(Asta)
アスタも装置に気が付いてハリーより先にそれを取る。
ハリーは“黒いボタン”だけは押すなとし、まだ仲間に
連絡する準備が出来ていないことを語る。
しかしイニシアチブは彼女に有りボタンを今に押しそう
な勢いで、
「ありがとうは?」
半ば強引にありがとうを言わせた彼女は装置を彼に渡す。
また仕事後に立ち寄ることを言って彼女は職場の病院
へと向かう。
ハリーは計画通りに行けば「あとで」はもうないと呟く。
■病院
アスタはダーシーから電話が鳴るがスマホの画面を見た
だけで無視する。ダーシーは病院内に既に居たことも
有りアスタに対して「何で電話に出ないのか」と不満を
述べる。
「夕べ助けに入ったけどあなたとハリーは消えていた」
アスタはこの病院にはMRIが無かったので大病院に運ん
で検査したことを語る。
「あんたのことは分かる。嘘をついているね。嘘を
付くときの癖が出ている」(D’Arcy)
「CIAで働けるのではないか」(Asta)
「履歴書は送って返事待ちよ」(D’Arcy)
そこにエレンがやってくる。
先生の指示でハリーのMRIについて問い合わせたが、
そもそも撮影した記録がない事をアスタに告げる。
アスタは手違いだとするもダーシーが怪しげにアスタ
を見ている事を知り、「何をしたのか」と尋ねる。
ダーシーもその会話を聞いて、アスタに対して
「見張っているからね」
と語る。
■ハリーの自宅
装置が壊れていることが分かる。
この装置は5千年分のエネルギーを蓄えられるが剥き
出しの状態でクレバスに落ちて耐えられる程には
頑丈には作られていなかった。装置を直す為には
部品が必要。エイリアンの中には人体に送信機を
埋め込み観察している種族が居る。その送信機の部品
を使えば再起動できるかも知れないと彼は考える。
・マックスがハリーの家にやってくる。
ハリーが探しているという無線機は見つかったのか。
それを尋ねるとハリーは壊れているので修理が必要
だという。マックスは自分がその修理を手伝う事を
語る。
アスタのお陰で助かりはしたが、彼女に正体を知られ
たことを語る。マックスはハリーがエイリアンの事
は僕らだけの秘密だと思っていたという。しかし先に
話したのはお前の方だとして頭に”カバー”を付けている
あの子に秘密を喋ったことを指摘する。
「サハルは誰にも言わない。アラーにそう誓ったから」
そう告げるとハリーはアラーという人物にも話したと
勘違いする。
【感想】
シーズンも佳境に入り、色んな所で興味深い綱引きが
行われている。その中心は町の人たちの日常にスパイス
をかけるようにして起きているちょっとしたトラブルを
通して見えて来る人としての本質的なもの。性格で
あるとか相対的な関係性である。
今まで信頼し合っていたものが突然一方が不審な行動
を取り始めて、信頼を壊すような行動を取り、今一度
その関係を見直す機会に恵まれる。
また不審者だと思っていたものとの間に突如として信頼
関係に近いようなものが芽生えて新たな関係が築かれ
ようとしている。
これだけだと信頼を結ぶ行為と時間的概念の間には関係が
ないように見えてしまう。
「秘密を共有する」という事は意外とその関係を良い
意味でも悪い意味でも両者を繋ぎ止める。
また味方であると認識する相手に対する献身的で執着
するような行動も見られる。
しかしそれも相互的であればこその話で有り、一方的
な愛情の形というのは破綻する事をいつでも秘めて
いる。
ハリーの心の声を知る視聴者としてはなかなか信頼
出来るものでは無いけれど、ドラマの中で共通する敵が
生まれて利害関係が一致すれば協力するだけの関係と
なる得ることも有る。
最近のエピソードを見ているとエイリアンにも複数の
種族があり良い種族や悪い種族、汚い種族など様々
居る事が分かる。悪い種族が現れた時、ハリーは地球人
に味方してくれるのではないかという一縷の希望・期待
を持って見守ってしまう。
また他人の性格なり本心を知るのは容易な事ではない。
人となりを知る方法として、その人と付き合っている
人物を観察して見るというのもまた一つの方法ではある。
今回人間関係として整理すれば、今起きている
綱引きは以下のものが挙げられる。
・ハリーとマックスとサハル
・ハリーとアスタとダーシー
・アスタとダーシーとジュディ
・ケイトとベン
・ケイトとMIBなキャスパー
・マイクとリヴ
・地球外生命体と人間
・第三者
意図したものかどうかは分からないが色々と面白い
仲介・介入者が居る。
●看護師・エレンは今回その一人だった。
エレンはアスタの信頼性が揺らいでいる所で、更にその
信頼性を落とすような行動をとる。
アスタとダーシーの間でちょっとしたトラブルを察して
気遣いに欠けるようなことをする。
大抵この手の役割を担うのはアジア系のキャラクター
にも思う。
●秘密の共有者としてのマックス
アスタがハリーの正体・秘密を知る事になると、唯一
その正体を知っていたマックスとしては気分が悪い。
「僕らだけの秘密だと思っていたのに・・」
両者の間・・ではなくマックスの中に気が付くと
ハリーに対する感情の変化が見られる。
先日ベッドに現れたハリーに驚きもしなかったし、
ハリーが危険なことをしようとしている所を止める
ような行動も見せる。
そこに現れたアスタという存在。
更にはハリーが指摘したように、サハルもまた自ら
二人だけの秘密を話してしまうような行動を取った。
サハルのハリーへの指摘は的確であり、またユーモア
もある。
「乗って来た宇宙船で帰れないのか?」
「あなたは政府の組織に追われている。機関は色々と
あるけどこの場合はメン・イン・ブラック(MIB)ね。」
「”黒服の男たち”は地球上のエイリアンを極秘裏に
監視している」
●アスタとダーシーの信頼に罅が入る
二人の間に歪みが出来てしまい、その隙間に入り込み
接近してきたのは意外にもジュディだった。
単純にただ酒を飲みたいだけなんだろうけど、その
図々しさが素敵だ。
ちょうどジェイがダーシーにインタビューと称して
色々と聞き出そうとした所に彼女が現れ、心配した
振りをして、酒を飲む。
●マイクの父・ルイス
マイクのわがままなところは父親譲りのようで、ルイス
が妻から愛想をつかされた理由として自分本位に
物事を貫き通してしまうところがあるようだ。
ルイスはリヴのそんな一面を嫌って職場から立ち去る。
しかしリヴはこれまでマイクが知らないところで
数々の貢献をしていた。
殺人事件での彼女の貢献。更に私生活に於いても
彼女はルイスの話を聞き役として毎週付き合っていた
ことが分かる。
二人は仲直りするけど、それがまたカラオケ店で
リヴがBette Midlerの「Wind Beneath My Wings」を
熱唱し始める中やってきてマイクとデュエットする。
■地球外生命体
今回はドラマの中で「UFOコンベンション」というもの
が開催される。
「Dulce New Mexico UFO Convention」
本物のエイリアンがコンベンションに参加するのだから
ハリーとしても突っ込まずに居られないのではないか。
「キャッスル」のS3 E9 「宇宙人との遭遇?」でも
似たようなものが有ったな。
ここでのメインは実際に超常現象研究家としてテレビ
や出版業で活動している哲学者のジョルジョ・A・ツォ
カロスが登場したこと。
彼が「古代の宇宙人 /Ancient Aliens」について言及
していたが、実際に放送していた「The History Channel」
の番組名でもある。
そして何よりも想像できていた部分もあるが30年前
のニューヨークで起きた出来事に精通している人物の
一人ピーター・バック (Terry O’Quinn)は「LOST」で
ジョン・ロック役を演じていたテリー・オクィンが
出演して盛り上げている。あの時連れ去られてしまっ
たお腹の中の子供は男の子だった。名前はJackに
しようかJohnnyにしようかと話していたわね。
現在生きているかどうかは分からないが、その体を
乗っ取っている可能性もある。
ハリー型のエイリアンの場合、人型の分子を構築できる
ような事を言っていたが、実際には殺害してからその立場
を乗っ取るような事をしている。
そのハリーの足は分子の再構築によって再び再生して
来た。
●経験者は語る
・ピーター
上述したピーターは普段POD CASTでこの手の話を行って
いるようで、「エイリアントラッカー」との異名を持つ。
カール・セーガンの元で地球外知的生命体探査に
携わり15年は政府機関の顧問も務めていたという。
その彼が実は30年前のニューヨークの夫であることが
判明する。赤ちゃんを盗まれた彼だけど、妻はどう
してしまったのだろうね。
問題となるのは”その赤ちゃんは誰に該当するのか”と
いうこと。ドラマの性格からして割と身近な人物だとは
思うけどね。
・女性A・・「ある夜、車で帰る途中、突然青い光が差し
込んで来た」(Kemi Mathers)
・男性A・・「目が覚めると三角形の傷が腹と背中に無数
に有った」
・女性B(金髪)・・「恐ろしかった。化け物、人間を殺し
に来ている」
・男性B(薄毛)・・「奴らに縛り付けられた。冷たくて
硬い金属の台に・・」
・女性C・・「頭にこびりついて離れない」
・アスタ・・「何か月か前のこと、別れた夫と喧嘩に
なり耐えきれなくなって家を飛び出した。その時空に
輝く炎を見た。まるで私を導く光に思えて、前に進む
勇気を持てた」
・女性D・・「目覚めた時、自分が何処に
いるのか分からなかった。家のベッドで寝ていた筈が
道端の用水路に横たわっていた。腕に何か埋められた。
アイツらは私を見張っている」
レントゲンの画像を持っていたが中に入っていたのは
BB弾。(Arianna McGregor)
(Kemi Mathers)(Sandra Medeiros)(Tiffani Timms)
(Richard Yee)(Ryan Egan)
【殺人事件】
今回の保安官事務所ではやはりリヴの存在感が際立った
形で現れた。マイクの無粋な行動。リヴの意見は聞かず
に聞いたかと思えば自分が考えたような行動を取る。
常にイニシアチブやマウントを取らなければ自己を
保つことが難しいようだ。
そのマイクはリヴのチャード図を元にして通話記録を
調べた結果、殺されたサムのインスリンの中にボツリ
ヌス毒素を入れたのはサムの妻であるアビゲイルだと
判明する。
彼女はトーマス・ホフマンと密会していて、夫が
邪魔になったというところだろうか。
サロンで勤務中の彼女を逮捕した。
彼女はコスメチックでボツリヌス注射を行っている。
「妻(夫)が犯人に決まっている」
「Major Crimes」のプロベンザ先生みたいだな。
【気になる流れ】
ダーシーはハリーの家に侵入して、地下室の冷凍庫の
中からハリーの遺体を発見した。
MIBのローガンとキャスパーがホーソン家に接触する。
そしてキャスパーは息子のマックスの部屋を勝手に
探しまくる。エイリアンに関するものが何かないか。
マックスの凄いところは自動的に侵入に対するセンサー
セキュリティを仕掛けていたことか。
【その他】
● エイリアンの種類
()内はハリーが持つ印象
・グレイエイリアン the Greys
(狡猾なクソ野郎)
・アルクトゥルス人 the Arcturians
(嫌な奴ら)
・リトル・グリーンマン Little Green Men
(彼らはカワイイ)
・マンティス the Mantis
(金を貸している奴がいる)
・ブルーエイビアン the Blue Avians
(気の良い連中)
● 歴史
「デルファにある移籍とクスコにあるサクサイワマン遺跡
の石造りのスタイルがとても似ていてどちらも「世界の
ヘソ navels of the world」と呼ばれている。空から紙
とか降りて来て地元の人々に知識を授けたと言われている。
地球の反対側に位置するそれら二つの場所で同じ話が
語られているのは何故なのか。考えられるとすれば
どちらも同じ存在の訪問を受けたこと。」
「the masonry style of Delphi, Cuzco or
Sacsayhuamán are virtually identical」
● 事件
ペイシェンスでは1800年代以来の殺人
● 月面着陸
「月面直陸は嘘。キューブリックがスタジオで撮影した」
度々疑惑として浮上するネタ。
そういえば先日のエピソードに於いても都市伝説化して
いる話を匂わせるような展開が有ったな。
「宇宙戦争」のラジオドラマ版で放送を聞いていた人
が宇宙人の襲来が起きたと信じてパニックになった
と語り継がれているが、いまだにそれを信じている人
が居る。
【SOUNDTRACK】
・Starman by David Bowie
・Heavy by Ocha la Rocha
・Long Road Ahead by C.S. Armstrong
・The Future Is Ours by Production Music Library
・Cyborg Chart by Production Music Library
・All is Fine by Johanna Samuels
・Close to You by Hummingbird Hotel
・The Wind Beneath My Wings by Resident Alien Cast
・No Aloha by The Breeders
【CAST】
ハリー・ヴァンダースピーグル (Alan Tudyk) エイリアン
アスタ・トゥエルブトゥリーズ (Sara Tomko) 看護師
マイク・トンプソン (Corey Reynolds) 保安官
ダーシー・ブルーム (Alice Wetterlund) バーテンダー
ベン・ホーソン (Levi Fiehler) 町長
マックス・ホーソン (Judah Prehn) ベンの息子
ケイト・ホーソン (Meredith Garretson) ベンの妻
リヴ・ベイカー (Elizabeth Bowen) 保安官助手
*ジェイ (Kaylayla Raine) 町の若者、アスタが仕事を与える
アビゲイル・ホッジス (Deborah Finkel) サムの妻
*Dr.サム・ホッジス (Jan Bos) 町唯一の医者だった
ダン・トゥエルブトゥリーズ (Gary Farmer) アスタの父
リサ・キャスパー (Mandell Maughan) 政府機関の女性
デビッド・ローガン (Alex Barima) 米軍中尉
ピーター・バック (Terry O’Quinn) エイリアン研究の権威
サハル (Gracelyn Awad Rinke) マックスの友達・ヒジャブ
ジュディ・クーパー (Jenna Lamia) バーテンダー、”尻軽”
エレン・チョ (Diana Bang) 看護師
本人出演 (Giorgio A. Tsoukalos) UFO CONの主催者の一人
ルイス・トンプソン (Alvin Sanders) マイクの父
*Dr.イーサン・ストーン (Michael Cassidy) 国境なき医師団の退役軍人
(Michael McIntyre) ヒゲの男
ジェニー・バック (Kayla Deorksen) 妊娠した女性
(Arianna McGregor) 女性拉致被害者、BB弾
スタンリー (Corvin Mack) カラオケタイム
レイ (Ray G. Thunderchild) アスタに忠告する
(Veronika Hadrava) 口数の多い女性
若い頃のピーター (Dylan Sloane) 30年前