マキシマ オランダ・プリンセス物語
(Maxima) 2023 , Nederland
制作/Jurriaan van Nimwegen 、Millstreet Films (Nederland)
プロデューサー/Rachel van Bommel
演出/サスキア・ディーシング、ヨーシェ・デュク
原作/Marcia Luyten
第2話 #2
脚本/Marnie Blok マルニー・ブロック
Marcela Guerty マルセラ・ゲルティ
演出/Saskia Diesing サスキア・ディーシング
Joosje Duk ヨーシェ・デュク
Iván López Núñez イバン・ロペス・ヌニェス
(c) 2024 Millstreet Films Francesca Pagani
【STORY】
■1999年9月 アメリカ ニューヨーク
■会社へ出勤する FOSUN PLAZA
出勤の途中で多数のパパラッチ/カメラマンによって撮影される
マキシマ。
カメラマンは一番の写真を撮ろうとして彼女を何とか振り向かせよう
として声をかけるが「やめて」と顔をしかめる。
「ベンイェメット ウィレム・アレキサンダー?」
●ドイツ銀行 Deutsche Bank
建物内までマスコミが来ることは無かった。
マキシマは急いでウィレムに電話する。
「プレスに追い回されている、どうしたらいいか?」
「君さえその気ならそこから抜け出せる」
・3か月前 (1999年6月)
マキシマとウィレムはダイナーで会話する。
マキシマの家族構成は複雑だった。
「父は母よりも16歳も年上。しかも離婚していなかった。
カトリック教徒だから。でも愛し過ぎて何とかするしか無かった
結果、2人はパラグアイに行き法律違反の結婚をした」
「お義父さんには妻が2人いたってこと?」
「5人の娘と息子も2人?・・素晴らしいよ」
「子供は欲しい?」
「子供は好きではないが選択の余地はない」
「君はどんな子供だったのか?」
「外にばかりいる子だった。元気の塊。大草原で遊ぶのが
最高に好きだった」
■1976年3月 アルゼンチン
馬を走らせる父ホルヘ(Daniel Freire)と娘マキシマ
(Olivia Monaco)。
空き缶をターゲットにして発砲する父。
娘も撃ちたいというとママに内緒という条件で父から銃の
撃ち方を教わる。
一発目、二発目と的には当たらず落胆するマキシマ。
そんな娘に対して父は言う。
「お前の名前はマキシマ・ソレギエタ。ソレギエタは絶対に諦め
ない。名前通りマックスを目指せ。最高を狙うんだ。分かるな?」
三発目についに真ん中の缶にヒットする。
木の下で缶詰の食事。
帰宅したマキシマは弟マルティン(Emiliano Burgues)と一緒に馬の
毛の手入れをしていると、妻のマルタ (Ana Garrido López)と共に
姉ロリ/ドロレス(Irene Ercolani)が帰省する。
テーブルには継母のマリア(Valeria Alonso)と祖父のタタ(Emilio Macias)
の姿も有り食事をしながら子供は絵を描く。
タタはみんなの前で一言いいたいとしてグラスを叩く。
「我々の国は現在歴史的に難しい時にある。独善的であり
かつ汚職にまみれたかつての政権に対抗するただ一つの方法は
軍事力を使う事だった。今日はこの機会にみんなで乾杯しよう。
義理の息子、我が友の為に。彼は新政権において農務大臣として
我が国の復興の為に重要な役割を果たす。ホルヘおめでとう」
「必ず約束する。祖国の為に全力を尽くして働くこと。
アルゼンチンが次のキューバにならないように」
踊ったり、カードゲームをしたり一族は楽しむ。
・現在
「素敵な家族だ」
しかしウィレムは会話していると周りにマスコミがいることに
気が付く。ボディカードのプスッに対して行ってくれと頼む。
ウィレムはマキシマに対して後ろに座っている男が見ているので
マキシマは一分経ったら出て来てと語る。
あれはオランダのジャーナリストのマックス・ウェスターマン
(Jeroen van der Wees)。
外に出て来るマキシマはどういう事か尋ねる。
「あと少しの間、僕たち二人だけの時間を楽しみたい。
一度プレスに捕まったらもうコントロールが利かなくなる」
「いいじゃない、私に秘密はない」
二人は車に乗る。
・昔
車(フォード車)で帰宅する
父ホルヘと母マリアと娘マキシマ。
家政婦のグロリア(Natalia Peralta)が迎えに出て来る。
ホルヘはフアン(Mariano Panelo)と会う。
ホルヘは大臣故に邸宅に防弾ガラスの設置が行われていた。
爆弾に耐えられるほどの強度。
マキシマは何故それをつけるのか疑問をぶつける。
ボディガード。
来月学校が始まったらフアンが送り迎えをする。
「ビデラ大統領は反政府武装集団はほぼ排除されたと発表」
「この爆発は散発的なテロ攻撃の模様です」
ラジオで国内情勢を知らせる。
マキシマは母にスカートの大きさが合わなくなったことを語る。
グロリアはホルヘの元にコーヒーを淹れる。
グロリアの活躍にホルヘも感謝する。
制服を着て喜ぶマキシマ。
ボディガードのフアンは彼女の着こなしを褒めて、学校が
楽しみかを訪ねる。
フアンは大臣に対して上着のワッペンは外すべきだと進言する。
標的になりかねないからだった。
それを受けてホルヘから娘にワッペンを外すよう告げる。
しかし気に入っているマキシマは嫌だという。
フアンの指示だとして父も外すよう求める。
マキシマは何故外さなければならないのか質門する。
「今時ワッペンなんて流行遅れですよ」
母マリアからは
「学校でスペイン語は話さないのよ」
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■感想
マキシマの2話。
このドラマは前回にも書かれているように、
「この物語は実際の出来事に着想を得て脚色したフィクションです」。
マキシマとウィレムだけの関係を見ているといまいちピンとこない
内容だが、時代背景と共に見ていくと、アルゼンチンという国の歴史
を知らないものにとっては、学習するいい機会にもなるし
興味深いのではないかな。
前回個人的に懸念していたのはオランダ王室とアルゼンチンの女性
の恋愛関係の流れの中にマスコミが介在することによって
その関係がねじ曲がって世間に伝わり、徐々に二人の関係が険悪な
ものになっていくのではないかという事だった。
オランダ側のウィレムは幼い時から王室育ち。
アルゼンチン側のマキシマは、マスコミに追いかけまわされ、彼らが
取り上げる記事から派生して世論の好奇な目に晒されていくことに
よって、彼女が疲労・疲弊感から、険悪な関係になってしまうのでは
ないかと想像させるものがあった。
しかし今回のエピソードを見れば、マキシマの幼少期からの流れの
中にも、決して自由に行動を取ることの出来ない国情と世界観が
待ち受けている。
ドラマを見るとアメリカでは「1999年」。
アルゼンチンでは「1976年」「1978年」が取り上げられている。
マキシマが誕生したのは「1971年」の事なので5歳と7歳と28歳
の頃の話ということになる。
その二つの世界を行ったり来たりして物語を構成する。
幼少期のマキシマのことや、家族構成の事をウィレムによって
質問される。自然な会話の流れの中で彼女をより知りたいが
故のの純粋な好奇心から出た質問だ。
それを話す際には1976年の世界に遡り、映像として描かれ、
視聴者にも分かりやすく理解させようとする。
マキシマの父・ホルヘの当時の立場によってマキシマには知らない
世界が待ち受けている。
ホルヘは娘の成長にとって悪い面は見せない様に努めてきた。
元々ホルヘは農場経営者として成功を収めており、お金には不自由
していない。
二人で馬に乗り草原を駆け抜け、そして銃の撃ち方を教わる光景が
ある。そして二人で大きな木の下で缶詰の食事を取る姿はマキシマに
とってはいつまでも記憶に残る父との思い出だろう。
■ホルヘは政治の世界へ
ビデラ政権の下で農林大臣に就任した父のホルヘ。
大規模な農場経営が評価されたのだろうか。
ただビデラ政権は独裁政権であり、軍事政権であり、その体制に
反対するものたちを拉致して強引に抑え込もうとしていた。
このドラマの中でも子供が居なくなった親たちは、顔の広い
ホルヘを頼りにして何とか探そうとする光景が何度かある。
ビデラ政権下の中でも、デモを行いいなくなった子供を返すよう
求める母親たちの光景がある。
■学校(NORTHLANDS)に通う
マキシマが学校に通う姿も取り上げられた。
地元の公立校のようなところではなく、インターナショナル
スクールのような場所だ。
ボディガードをつけなければリスクの高い政権下で学校に通う
子供の姿は、オランダ王室がマスコミによって追いかけられる
光景とダブるし、それ以上に緊迫感のあるところである。
学校では子供たちがアルゼンチンの国歌を歌う光景があった。
「民衆よ 神聖なる叫びを聞け 自由よ 自由よ 自由よ。
鎖の壊れし音を聞け 王座に座りし崇高な平等を見よ」
「その栄光なる王位は・・」
他国の国歌はなかなか耳にしないので聞いても分からないし、
ましてやその歌詞の意味までは分からない。
初めての登校の際に学校に行くまでラジオで情勢が流れて来たり、
同じ政権の政治家同士が情報を共有しあって反体制派・ゲリラ
などに遭わないようにしている。
マキシマは何が起きているのか知りたくて色々と親に質問を
するが、父は子供たちに歌を歌って話題を反らす。
「Let’s call the whole thing off.you like potato and I like
potahto.You like tomato and I like tomahto.
potato , potahto , tomato , tomahto
Let’s call the whole thing off」
1937年 ミュージカル映画 「踊らん哉」(原題:Shall We Dance)
Fred Astaire と Ginger Rogersが歌っていた曲
「Let’s call the whole thing off」。
この曲は二つの英語(アメリカとイギリス)の発音の違いなどを
指摘するような内容のようだが、彼女が通うNORTHLANDS学校は
イギリス系の学校。
しかし彼女はアルゼンチンの大学後にアメリカに移住する事に
なる。そして現在に於いてマキシマはマスコミ対策で支店の
異動を余儀なくされる。ベルギーのブリュッセルにある
ドイツ銀行の支店。オランダのハーグとは2時間で行き来できる
ようになり色々と二人が会うには便利になる様子。
そこで再び発音の違いが指摘される。
オランダ人の“どうぞ(Please)”に該当する言葉は「フラーハ」
と発音するが、ベルギー人のは「ヒュラーフ」だという。
■1978年(第11回目) FIFA WORLDCUP アルゼンチン大会
今回マキシマがアルゼンチンにいた頃の映像が流れる。
国内の不安定な情勢を背景に、異母兄弟たちとの交流・生活や
学校生活なども描かれて、その時からの親友が今でも健在で
あることを示す。
1976年とは別に1978年のアルゼンチンで起きた事と言えば
ワールドカップが開催されたということ。
更にいえばアルゼンチンはこれまで強豪国でありながらも
優勝の経験がない。
決勝戦はアルゼンチンとオランダだった。
皮肉にも幼少期の頃からウィレムとの国とはある種のライバル関係
がある。
今の大会形式とは違うので、ワールドカップ本大会でも2度の
グループリーグが有った頃の話で、両チームとも決勝戦に行くのは
絶望的な状況にあったところを勝ち残ってきている。
決勝戦は延長になり、3-1でアルゼンチンが勝利する。
マキシマはこの時2得点を入れたマリオ・ケンペスが得点王に
なることに10ペンス賭けていた。
サッカーどころではない父親。
イギリス・ロンドンに出張するとのことで娘からの電話があるも
国内情勢が緊迫を帯びていたので大変そうだった。
ホルヘは優しくていい人そうだったけど、農業関係者は叩かれる運命に
あるのだろうか。全ては大統領が悪い・・とか。
■その他
・ストロープワッフル
ワッフルというとベルギーのイメージがあるが、ストロープワッフル
は、オランダ発祥の洋菓子の一種。格子状模様の薄くて円形のワッフル
生地の間にシロップを挟んだもの。
ウィレムがそれを彼女と食べようと持ってくる。
・ロリ(ドロレス)がマルタと共にやってくる。
ホルヘは重婚していたみたいで、マリアとマルタが妻に該当する。
ロリはマキシマの義理の姉ということになる。
二人が乗って来た車体が黄色の車は恐らくルノー4キャトルという
可愛いコンパクトカーだ。
・映画館デート
張り込みしているマスコミを避ける為にアパートの非常口から
出ていく二人。アメリカ都心部のアパートってこういう非常口の階段が
ついているよね。外にはちゃんとキャデラックが待っていて二人を
映画館に連れていく。
しかし途中から見ても楽しいものなのか?
・親友の家にマスコミが写真を盗みだす
・1978年6月、ビデラ大統領の演説
アルゼンチンのブエノスアイレスでテレビで見る光景。
ビデラ大統領の主張は以下のもの。
「統一性と多様性を両立させ共存することが平和を築く
ただ一つの道である。だからこそ私は我が神に祈る。
この出来事が平和に貢献すると親愛なる主が保証してくださることを。
我々は全ての民と地球上に住む全ての人々の平和を願う」
・マドリード工科大学
・学校の近くで家が焼かれる。
学校では演劇会があるという事だったので、その演技をしながら
国外逃亡を図るのではないかと一瞬思ったが違った。
それだと映画「サウンド・オブ・ミュージック」か。
■使用された曲
・Music For Máxima by Krezip
Krezip – Tomorrow Starts Today (Lyric Video) 主題歌
Krezip – Got Me Falling (Lyric Video)
Krezip – Attention (マキシマがマスコミの前に出る際の曲)
Krezip – Lost In The World (Lyric Video)
Krezip – I Will Go There (Lyric Video)
Krezip – Really Know Me (Lyric Video)
Krezip – This Is My Time (Lyric Video)
Krezip – I Will Go There (Piano Version)
Krezip – Really Know Me (Piano Version)
Krezip – This Is My Time (Piano Version)
■出演者
マキシマ・ソレギエタ (Delfina Chaves) 現オランダ王妃、
ウィレム・アレクサンダー (Martijn Lakemeier) オランダ皇太子
クラウス王配 (Sebastian Koch) ウィレムの父、元ドイツ人外交官
ベアトリクス女王 (Elsie de Brauw) ウィレムの母
ホルヘ・ソレギエタ (Daniel Freire) マキシマの父
マリア・パメ (Valeria Alonso) マキシマの母
シンシア・カウフマン (Paula Gala) マキシマの親友
ヴァレリア・デルジャー (Agustina Palma) マキシマの大学の頃の友人
フィリップ・ラフォント (Sébastien Corona) アナの夫、フェリペ
アナ・ラフォント (Ivette Balaguer) パーティー会場
マキシマ (Olivia Monaco) 5歳から10歳のマキシマ
マルティン・ソレギエタ (Emiliano Burgues) 4歳から8歳 、弟
ドロレス・ソレギエタ (Irene Ercolani) 11歳から14歳 “ロリ” 姉
トリスターナ・マッシオ (Annick Durán) 18歳から30歳 “トリース”
ヴァレリア・デルジャー (Carla Reifs) 5歳から10歳、マキシマの同級生
フローレンシア・デ・ココ (Naia Ruiz) 5歳から10歳、マキシマの同級生
サマンサ・ディーン (Luna Michel) 5歳から10歳、マキシマの同級生
フアン・ソリア (Mariano Panelo) ホルヘのボディガード
マルセラ・セルティ (Mercedes Cech)
タタ・セルティ (Emilio Macias) ホルヘの義理の父
カーメンザ・セルティ (Laura González) ホルヘの義理の母
グロリア (Natalia Peralta) 家政婦
マルタ (Ana Garrido López) ドロレスの母
(Josefina Fay) 教師
(Caltana Soledad) 子供が失踪する母
(Diego Ercolini) 子供が失踪する父
(Thomas Rueb) ジャーナリスト
プスッ (Bart Willemsen) ウィレムのボディガード
(Mauro Raposo) 3歳の子供
(Chadwick Sutton) ドイツ銀行受付
(Pablo Castro) Technician
マックス・ウェスターマン (Jeroen van der Wees) オランダ王室パパラッチ
ティツィアーノ (Ivan Lapadula)
(David Peter White) Commuter in Subway Stairwell
マリナ・クライン () マキシマの同級生
フェデリコ・クライン () マリナの父
ポーラ・クライン () マリナの母