犯罪捜査官アナ・トラヴィス
Above Suspicion (2011)
第1話 消された顔 Deadly Intent: Part 1
脚本/Lynda La Plante、Noel Farragher
監督/Gillies MacKinnon
製作総指揮/Liz Thorburn、Lynda La Plante
ブロデューサ/Hugh Warren
(c) La Plante Productions Limited
【STORY】
■メキシコ モントレー Montrrey , MEXICO
・整形外科
顔の整形だけで6時間かかる。
すると患者は自ら持って来た薬(フェエンニル Fentyl)を差し出す。
危険性はご存じですか?
「承知の上だ」として分厚い札束を差し出す。
脂肪吸引で局所的に使うのならともかく顔全体のリフトアップ
には死なれたら信用にかかわる。
私が良いと言っているとして患者の要望に応えて手術する。
手術が終わるとタクシーでホテルに送られる。
経過は順調。しかし執刀医に対して患者は耳元の後ろに注射針
を刺す。
■イギリス ロンドン London , England
・一年後。
マイクは昼食会に出席するラングトンの元にいく。
警視正になんてなるものじゃないな。
警部補一人つけてくれと言ったらアナが同行してくる。
ラングトンはアナに対してまた一緒にやることになったな
と語る。
■犯行現場 ウォーレンアパート
the Warren estateの19号室
「銃弾をラボに持っていき弾道検査だ」
スタッフとやりとりしている鑑識のジェンキンス (Richard Clothier)の
元にマイクは訪ねて来ると、簡単にラングトンたちを紹介
する。
マイクによるとよくある麻薬取引によるもつれが原因での
銃撃戦/遺体。犯人は慌てて逃げていったのでドラッグが
残っていた。
銃弾は二発。一つは回収。もう一つは体内だろうとのこと。
・ポールが遅れてやってくる。
アナは被害者は常連客には見えないが身分証はあるのかと
尋ねるとラングトンは見なくても分かるという。
マイクはアナとポールで通報者を調べてくるよう命じる。
52号室のウェブスター夫人(Marjorie Yates)はしょっちゅう
苦情の電話をかけていた。
被害者はフランク・ブランドン(Callum Sutherland)。
「なんでこんな事になったのか」
「最後会ったのは?」
「一年前に自分から辞めた。追い出される前にな」
●ウェブスターの部屋(52号室)へ
アナとポールはウェブスターから話を聞く。
ベッドに居たが音楽をかけられて眠れるわけがない。
音楽と呼べるものではなく大音量で喚いているだけの騒音。
・銃声を聞いたとの事だが?
銃かどうかは分からない。ただものすごく大きな音だった。
例えるなら花火のようなもので、「バンバンバン」と
・3発なのは確かか?
間違いない。それでジェレミー(Geoffrey Streatfeild)も
起きたのだという。
・息子さん本人に会えるか?
ダメ。今は眠っている。疲れやすいから休まなければならない。
壁のボードには細かい献立表が貼られていた。
●フランクの遺留品
財布を調べると中に写真が入っていた。
奥さんと子供が一人映っていた。
ラングトンは子供がいたことを知らなかった。
彼はコニーと婚約していた。先ほどみた写真の女性ではない。
コニーは庶民的な人で気が重い。
■コニーの元へ
フランクが殺されたことを報告にいくラングトンとマイク。
「犯人は絶対に見つける」
「結婚することになっていたが、ここ何週間か何処かに行き
連絡が取れない状況だった。大きな仕事が入ったと言って
お金が入るとしていたという。仕事の内容は分かないが、
2、3週間して戻ったら結婚だと。新居の為のお金が必要だった」
「依頼主を知らないか?」
「ダニーなんとか。イタリア系の名前だがイタリア人っぽく
なかった。ダニー・ペトロッツォだ。同棲せず、結婚するまで
は母親の元に居てやれと言われた」
■警視庁
ジョーンの元にフランクの所持品を持ち帰るマイク。
・捜査会議が行われる。
ラングトンは署内にいる殺人課の刑事を集める。
今回の捜査先任者にはマイクが就くことになる。
陣頭指揮は初めてなので協力して欲しい。
事件はみんなが注目している。何故なら被害者は我々の仲間
で元警部補のフランク・ブランドンだからだ。
ラングトンは何度か捜査で組んだこともある。
経験豊富なベテラン刑事。キャリア25年。
そこにラングトンのスマホに連絡が入る為、マイクが代わりに
話す。
最終的な検視報告はまだだが被害者は二か所に被弾。
一発は顔、一発は胸。
問題は元ベテラン刑事が何故ドラッグハウスで殺害された
のか。
捜査手順として、調べるのは最近の人となり。
敵は居たのか。被害者を運転手として雇っていた男が
ダニー・ペトロッゾ。
アナは聞き込みの結果を報告。
「ウェブスター夫人が聞いた銃声は3発だ」
「聞き違いかも知れないぞ。鑑識が現場を詳しく調べている
が3発目は確認していない」
「同居の息子にも話を聞きたかったが・・」
「ちょっと変だった。壁の予定表に通院している神経科への」
アナとポールが話している最中にラングトンが戻ってきて
話を遮ってしまう。
「他の住民はだんまり。聞けるところから聞いてくるんだ」
「一つ気になる事が有る。被害者の最期の通話先はジュリア
という人物。日誌と書類によると最後の記入は三か月。
ナイツブリッジで客を乗せているがその客の番号が最後の通話
相手と同じ相手。名前はジュリア・ラーセン」
■ジュリア・ラーセン邸へ
ポールとマイクが彼女の家を訪ねる。10
この二、三カ月運転手としてあなたが雇った相手が殺されて
捜査中であることを語って話を聞く。
すると私の主人であるというジュリア。
彼の財布の中に有った写真も彼女と息子のウィリアムの写真
だと確認する。息子は寄宿舎に入っている。
フランクの「ドラッグの件」で質問する。
「有名なドラッグハウスで見つかった」
「心当たりはないか?」
また彼は彼女の運転手だったこと。
知り合ったのは今年の4月で結婚したのは5月。
彼にはコニー・ショートという婚約者がいたことについて
尋ねると知らなかったというジュリア。
・回想?
夜にダニーら二人の人物がフランクの元を訪ねる。
窓の覗き穴から室内に発砲する。
■ウェブスター家
アナは息子さんから話を聞きたいとして再度尋ねる。
「様子を見て具合が良かったらね」
「病気なのか?」
「いいえ、病気ではない。ただストレスに上手く対応できない
だけ。ちょっとしたことで動揺してしまう」
「昔のこの辺りは良かったが町はすっかり変わってしまい、
今はジャンキーだらけの酷い有様。毎日が悪夢。引っ越せば
良いという人もいるが、今の作業療法士を変えたくない」
母は息子の部屋に静かにノックして呼びかける。
母と息子の取り決めで入口にある白線からは勝手に入らない
ということにしているようだった。
アナは室内に入れてもらうとジェレミーは窓の外を眺めて
いた。
ジェレミーにアナは警察バッジを見せた後に質問する。
「夕べ銃声を聞いたか? お母さんは三発聞いたと言って
いること」
何も話そうとしない彼になんとか話をさせようとするアナ。
「文章を書くのが好きなのか? 何を書くのか」
「来客・・住民用の駐車場に来客は車を止めてはいけない
んだ。許可証なく車を止めるのは法律違反。犯罪者を
見張って書き留めている」
ノートを見ようとするが、彼は「触るな」と激高する。
「夕べここに来た来客リストはあるか?」
「違法駐車している連中をなんとかしてやっても良いわよ」
「私を助けてくれたらあなたに協力する」15
NM07PML フォード・フォーカス 赤 Ford Focus
LR57UYA 日産・ナバラ 黒 Nissan Navara
F264NGM レイランド・マエストロ 白 Leyland Maestro
X654LXO ボクスホール・キャバリエ グレー Vauxhall Cavalier
BN04RXZ トヨタ・カローラ シルバー Toyota Corolla
Y6O5EHH プジョー306 グリーン Peugeot 306
YX52FIO マツダ360 Mazda360
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■感想
シーズン3の放送。
よくみるとwowowのオンデマンドで全てのアーカイブが残って
いるのでwowowと契約している方はシーズン4まで見られる。
ただ個人的にこのシーズンを見たら少し気分転換に別のドラマを見る
予定は未定です(死語)
シーズン2からは一年後という設定で良いのかな。
それぞれの捜査官の肩書・階級の変更が行われている。
・アナの階級がDCからDI
・ラングトンの階級がDCIからDCS
・マイクの階級がDIからDCI
・ポールの階級は現状維持。
冒頭でラングトンは表彰者の昼食会に警視正という立場で出席しなけれ
ばならず、マイクに対して愚痴っていたけど、その事からも階級が
変わったことが伺える。
また今回はマイクが捜査の陣頭指揮を執る立場になっていて、アナとは
捜査方針の違いから衝突するところが有る。
マイクの置かれた立場というのはこれまでのシーズンではラングトンが
努めていたところだ。昇格したばかりのマイクにとっては、未成熟な一面
を見せる。冒頭からその立場ゆえのプレッシャーなのか、何処か
落ち着きがないし、不機嫌そうな姿が有る。
上に立つものとしてはやはり部下への気遣いや配慮も必要なんだろう
けどね。
マイクは奥さんとの関係もなんだか雲行が怪しい感じで、二度くらい
奥さんのネタが挿入されていた。これも昇進したことによる弊害が
訪れているのだろうか。
●捜査方針
上述した終盤での捜査方針に関してマイクが容疑者逮捕を命じる流れが
あるが、未解決であるいくつかの事象を無視して結論付けるような
決断をしたマイクをアナとポールが皮肉を語るようにして、質問責め
にする。
そんな二人に呆れたマイクは以下の言葉を投げかける。
「お前ら探偵ごっこが好きなのか?」
これは吹き替え版なのだが、原語版で見ているとこのシーンは
10代のアマチュア探偵「ナンシー・ドリュー」に例えられている。
このナンシー・ドリュー NANCY DREW MYSTERY STORIES
(CAROLYN KEENE著)に関しては日本でも映画、ドラマが放映されている
ので耳にした人も居るだろう。
残念なのはこのシーズンにバーバラが出ないこと。
シーズン4にはまた復帰するみたいですけど、どんな事情が有ったのか
な。
●シリーズを通して楽しめるネタ
このドラマのシリーズを通しての面白さの一つとして、
マイクがつぶやくセリフの中にこれまでのラングトンとアナの関係
を皮肉っているのではないかと思われる流れがある。
シーズン2までの流れを見るとラングトンとアナの年齢差は
恋愛関係に於いては違和感が有るように見えるし、別の角度から
見れば興味深くも有る。
マイクが捜査の過程で出会う事件関係のあるカップルが結婚している
事実に関して語るセリフは、年齢差を意識させるものがあり、
まるでラングトンとアナの関係に言及したのではないかと思わせる。
当の本人たち(ラングトンとアナ)からしてみると、ちょっぴり気まずさ
故に顔色が少し変わったように見て取れる。
そして何よりもベテランとして君臨しているラングトンに関して、
今回はラングトンと捜査を組んだことのあるフランク・ブランドン
が被害者となる。
フランクは元刑事だが現役時代に何かしら問題を抱えていたのだろう。
自分の方から辞めたみたいなことが言われているが、刑事・捜査官
たちのメンタルは相当厳しいものがある筈で、ついついやりとりも
刺々しくなる。
ラングトンも一つ間違えばフランクの立場になることはあるのだろう
し、それ以外の捜査官も仕事を辞めれば、そのリスクは存在する。
今回は取り分けそのリスクに晒されているのがマイクである。
●意外と短気なアナ
前のシーズンでは捜査にトップに立つリー警視長がアナの話を
全く聞かずに捜査を進めることでアナは癇癪を起していた。
自販機のコーヒーが出てこないことも有ってガンガンと自販機を
サンドバックにしていた。
今回もその流れは健在であり、マイクはアナの話を聞こうとして
いない。
実際には前シーズンのリー警視長も、今回のマイクもアナのこと
を意図的に無視したというよりも別の対応を優先したが故の
ことでその後に話を聞かなかっただけのことでもある。
その為に捜査の流れは組織としての統率を乱れる格好となり、
今回は麻薬がらみの捜査ゆえに殺人課の刑事と麻薬捜査官との
間でも軋轢を生む格好となり、益々複雑化していきそうな流れ
にも繋がる。
■事件について
まだシーズン3の初回なので事件の予想をしても2話辺りに出てくる
人物が本命っぽい感じがするし、言及しても意味がない気はする。
冒頭メキシコで整形手術を受けて顔を変えた男の姿が有り、この
男のことをシーズン3では追い続けていく流れなのか。
それとももっと大きな流れが有るのか。
気になったのは、このドラマは2011年に放映されたものだが、
フェンタニルに関して刑事の中でもあまり情報が浸透していないところ
がある点か。
フェンタニルの危険性についてはアメリカのシカゴの例が取り上げら
れていて最近まで薬物中毒者がいる映像を撮影し続けている人が
youtubeにいた。アメリカだけでなくカナダにも似たようなドラック
地帯が有る。
一般的によく聞くのがこのフェンタニルは中国からメキシコや
カナダを経由してアメリカに入っているということ。
中国はアヘン戦争の影響から、麻薬の製造・所持に関しては相当
厳しく規制が取られて処罰されているという歴史があるのだけど、
輸出するものについては大丈夫なのか。
メキシコで整形手術をするというのは、足が付きづらい所があるの
だろうけど、フェンタニルを使う理由というのがいまいち分からない。
医者も評判については気にしていたくらいだし、闇の医者ではない
気がするけど、相当量の札束を渡されていた。
■事件に関係して居そうな人物
犯罪を匂わす細かい流れ・人物について軽く言及する。
●エディ・コート
窃盗、万引き、麻薬所持での逮捕歴があり。
麻薬の売人だが小物感が強いので主犯ではないだろうし、事件に関わ
っていたとしても全容は知らない感じ。まだ若い人物だが、意外と
こういう人物が主犯として躍り出てくると驚くべきものがあるよな。
彼の乗る車が当日ドラッグハウスで目撃されている。
車種はレイランド・マエストロ。この車のことをあまり知らないの
だけど、彼の家の前に停まっていた白い車がそれに該当するみたい
だ。
彼の目撃証言で一つ気になるのは、フランクと共に居たとされる
長身のブロンド男。この男がメキシコで整形手術をした人物だと
思われるのだけどね。
●ジュリア・ラーセン
フランクが最後に電話をかけた相手。
麻薬の件に関わり合いはなさそうだけど、結婚詐欺・保険金詐欺には
関わって居そうな女性。
前の夫にはアンソニーという人物がいて、次に結婚したのはフランク
だけど、フランクはコニーという女性と婚約している。
最後にその計画を手伝った弁護士?に元に戻すよう話し合っていた。
●ダニー・ペトロッゾ
被害者フランクの雇い主。
20年前から逮捕歴が多数。重罪は無いが盗品の売買や麻薬所持で
刑務所を何度も出入りしている。
ダニーの事は比較的早くから名前は出て来ていたが、生きて居る彼を
見る機会は少なかった。
事件の夜ドラッグハウス前で目撃された車の所有者でもある。
彼の所持する四駆がハックリー Hackneyという場所のトンネル内で
見つかる。そのトランクの中で彼の遺体が見つかる。
●サイラス・ローチ
黒人の麻薬密売組織のリーダー格。
エディは彼の姿をドラッグハウスで目撃している。
凶悪犯故に連行するときも相当ゴツイスキンヘッドの
刑事が二人で取り押さえていた。しかも麻薬捜査官の
サムが気を反らしている間にね。
■その他
・チキンサンドベーコンを。トマト抜きな
終盤で捜査方針で捜査官同士でいがみ合う中、ジョーンに対して
ラングトンが要求したもの。普段ならバーバラに頼むのだけど
このシーズンは不在だ。
食事ネタといえば、フランクのガレージが発見された際に
食事の最中に行かねばならない事情が出て来て、一口も食べて
いないピートが切なそうだった。
・タバコを吸うラングトン
マイクとアナの言い争いを取り持った後にラングトンは一服と
ばかりにタバコを吸うのだが、ライターの蓋を親指であける
時の音が良いね。タバコが世界的に禁止されていく傾向にある
けれど刑事ドラマには悲しい事かも。
タバコの煙で警報が鳴り響くオチは笑える。
・拍手喝采すれば良いのか?
アナが自閉スペクトラム症?のジェレミーから車の目撃者リスト
を入手する。捜査官の誰もがジェレミーから話を聞けなかった
がアナはジェレミーの心を掴かみ交換条件の形で教えてもらう。
その車の目撃リストから二つの犯歴者と結びつく。
その結果をラングトンに話した結果、上述したセリフが彼の
口から出て来る。
■使用された曲
・
■出演者
アナ・トラヴィス (Kelly Reilly) DI 警部補
ジェームズ・ラングトン (Ciarán Hinds) DCS 警視正、”ジミー”
マイク・ルイス (Shaun Dingwall) DCI 警部補 殺人捜査班 金髪
ポール・バローリ (Daniel Caltagirone) DS 刑事巡査部長
*バーバラ・マッドドック (Michelle Holmes) DC 刑事
ジョーン・ファウクランド (Amanda Lawrence) 捜査官・内勤の女性
マーシャル (Richard Brake) 手術
ピーター・ジェンキンス (Richard Clothier) 鑑識
ジュリアン・ダントン (James Clyde)
サム・パワー (Ray Fearon) DCI 麻薬特捜班、警部
サイラス・ローチ (Robbie Gee) 指紋検出、ドラッグハウス、黒人
エディ・コート (Ashley George) 前歴者
(Marko Lens) 外科医
ジョシュア・ホワイト (Kirris Riviere) 弁護士
ダニー・ペトロッゾ (Enzo Squillino) フランクを雇った
ジュリア・ラーセン (Stine Stengade) フランクの最期の通話相手
ジェレミー・ウェブスター (Geoffrey Streatfeild) 息子、精神病
Mrs.ウェブスター (Marjorie Yates) 52号室住民
フランク・ブランドン (Callum Sutherland) 被害者、運転手
コニー・ショート (Natalie Walter) フランクの婚約者
デヴィッド・ラシトン (Andrew Woodall) 法律事務所弁護士
(Yezid Jimenez) コロンビア人
ウィリアム・ラーセン () ジュリアの息子、クリケット大会2009年
アンソニー・コリンウッド () ジュリアの前夫