マキシマ オランダ・プリンセス物語
(Maxima) 2024 , Nederland
制作/Jurriaan van Nimwegen 、Millstreet Films (Nederland)
プロデューサー/Rachel van Bommel
演出/サスキア・ディーシング、ヨーシェ・デュク
原作/Marcia Luyten
第1話 #1
脚本/Ilse Ott (イルセ・オット)
監督/Saskia Diesing、Joosje Duk
【STORY】
■2001年1月 オランダ ハーグ The Hague, Netherlands
ウィレムはマクスに対して叫ぶ。
「僕も最近まで知らなかった」
「僕だってこんなこと望んでない。聞いたときは怒った」
「流石だわアレクス」
「マキシマは何故今まで黙っていたのか?」と問う。
「頃合いを見計らっていた。大ごとにしたくなくて」wi
「それでは私の父が結婚式に出られないのは大ごとじゃないわけね」max
「君に要らぬ心配をさせたくなかった」
「いいえあなたは傲慢なのよ。なんでも思い通りに出来ると思ってる」
(スペイン語で)「顔も見たくない」
「政治的な駆け引きだ」
「政治なんてクソくらえよ。私に隠し事をしていた。」
■1999年4月 スペイン セビリア Sevilla, SPAIN
●春祭り(フェリア・デ・アブリル Feria de Abril)
スペイン南部・アンダルシア州セビリアにやってくる
マキシマ・ソレギエタ。男性はトラヘ・コルト、女性はフラメンカ
という伝統衣装を身にまとい歩いている姿が目に付く。
タクシー(プジョー405)に乗るマキシマは運転手(Manuel Navarro Díaz)
から問われる。
「春祭り(フェリア・デ・アブリル)は初めて?」
「はい、友達に会いに来たんです」
「良い時に来ました。どんなに悲しい心も喜びでいっぱいになる。
本当です」
マキシマは通りかかる馬車を見たり、祭りの為に開かれた屋台や
街並みを見ながら撮影する。
タクシーから降りるとマキシマは花飾りを購入し、そして行きかう人
たちを撮影していく。
●ラフォント邸
タクシーは大きな邸宅の前で止まる。
荷物は従者が持ってくる。
大学時代の学友であるシンシア (Paula Gala)、フィリップ
(Sébastien Corona)と再会する。
シンシアはマキシマに気が付くと熱烈なハグをする。フィリップも
また彼女が来たことを喜ぶ。
「本当に来たのか」
「あなたとフラメンコを踊る絶好のチャンスだもの」
部屋の中からフィリップの妻・アナ(Ivette Balaguer)が出てくる。
「我が家へようこそ」
アナからの提案でパーティーの間写真を撮ってもらえないか?と問われ
マキシマは快く了承する。
・客室
マキシマはベッドに座り靴を脱ぐと深呼吸をする。
そんな状況の中、外では警備が慌ただしくなっていた。
「オランダ人を乗せた車が到着した。各自警戒を・・」
マキシマは窓からそっと車から降りるオランダ人の姿を目にする。
・パーティー会場
マキシマは祭りで歓談するものたちを撮影していく。
4人組の若者を撮影しているとブロンドの男(ウィレム)から撮影は
辞めて欲しいと言われる。
「みんなプライベートな時間を楽しんでいる」
「嫌な感じ」(原語)
「2店舗あるうちホセ・イグナシオの店の方がお勧め。ラ・マンザの店
はいつ行っても凄く混んでいるから。テーブルについたらイカを
注文してね」
マキシマは客人と会話しているとシンシアに呼び出され、会わせたい
人がいると言われる。
シンシアはウィレムに対してマキシマを紹介する。
「彼はウィレム・アレキサンダー。オランダ王国の王子様よ」(Cynthia)
「ミス・パパラッチか」(Willem)
「ミスター・イヤな感じ」(Máxima)
「マキシマは私の親友でアルゼンチン出身」
「同じ学校に通い、今はお互いニューヨークに住んでいる」(Cynthia)
「彼女はドイツ銀行にいるの」(Cynthia)
「ウォール街のバンカーか」(Willem)
「企業向け販売部門の部長です」(Máxima)
「彼女は数字にかけては誰にも負けないの」
先ほどの無礼を互いに謝罪する。
「私のことパパラッチに見えます?」(Máxima)
「とんでもない」(原語)(Willem)
「君は賢過ぎる」(Willem)
彼はどういう経緯でアルゼンチンの女性がウォール街に行きついた
のかに興味を持つ。
「話と長くなるから・・」と断るも彼は聞きたがる。
「私はニューヨークに移る前はボストンセキュリティーズで働いていた。
ブエノスアイレスの。その後ニューヨークに移ってHSBCに勤めて
そして今は・・・」(Máxima)
「ここに居る」(Willem)
「アルゼンチンは懐かしい?」(Willem)
「もう慣れたし、長い休みには帰省する。家族全員集まり
バーベキューそしてスキー。87年にはノースランズスクールで
一番のスキーヤーだった」(Máxima)
「奇遇だ。僕はブラックダイヤモンドの王者だ」(Willem)
そこにフィリップが話に割って入る。
「2人が知り合ったのは喜ばしいが、公爵夫人のご機嫌が最悪」
「君に話したいことが有ると」
・夜も深まる パーティーは盛り上がる
マキシマはシンシアと踊る。
視線の先には再びウィレムの姿。そして二人の踊りの中に入って
くる。
・翌朝
客室でマキシマはシンシアに昨夜の踊りのことを話す。
「踊りの下手な男はお断り」(Máxima)
そこにウィレムがやってくる。
「ブエノスディアス」
今日はみんなで闘牛場にいくのだけど一緒に行かないかと
誘ってくる。
●闘牛場 PLAZA de TORUS
みんなでウィレムの車(メルセデスベンツ)で闘牛場に向かう。
スペインガイドの男性(Nico Seijo)から闘牛場についての説明が
有る。
「1797年に建てられそして闘牛が様式化されたスペインで最も重要
な競技場の一つ。1809年 闘牛場はある困難な・・」
そこに子供のアンナが走りヘルマンは追いかけて戻るよう告げる。
アンナはウィレムにサインを求める。
優しい対応を見せるウィレム。「僕のファンだ」
ここは9000人の観客を収容でき、入口は12か所あり、
3つの桟敷に繋がっているというガイド。
王族やゲストには専用のプライベートな入口が有り、直接
気品席にいけるようになっている。絶景を見ながら観戦
出来る。
「女性の闘牛士はいるのか?」(Máxima)
「いないです」と鼻で笑う。
「なんで?」
「大抵の場合、男の方が恐怖にうまく対処できるから」
「家の一族は違うよ」(Willem)
闘牛の牛を見て美しい生き物だというマキシマ。
「牛は草を食べる動物。顔の側面に有る女で両側を見る。
私たち人間は正面に目が有りますがムレータをこのように
構えてください。牛がここを目指して突進する」(闘牛士)
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■感想
「この物語は実際の出来事に着想を得て脚色したフィクションです」
と冒頭に出てくる。
Marcia Luyten著のベストセラー「Máxima Zorreguieta: Motherland」
(マキシマ・ソレギエタ:母なる祖国) をドラマ化したもの。
アルゼンチン出身の女性とオランダ皇太子が如何にして出会い、
恋愛・結婚へと発展していくのか。
ドラマ性になりそうなものと言えば、なんといっても身分の差だ。
国籍が違うだけでも大変だが、そこには身分の違いが明らかに存在
する。
生まれながらにして王族のものにとっては慣れていることでも
民間人が王室に入ることの難しさというのは確実に有り、それが
決断に於いて必ず付きまとうものだと思う。
王室制度が残っているのは現世界で27か国ある。
オランダの王室と日本の皇室はその中でも縁が深く、現皇后の雅子さん
が適応障害だった2006年に、ベアトリックス前女王の招待によって
2週間オランダに滞在されたのは記憶に新しいところ。
アルゼンチンの田舎から出世してファーストレディになる
物語というと私は映画「エビータ」(1996 Evita)を思い出す。
Alan Parker監督、主人公はMadonnaとAntonio Banderasだった。
このドラマを時代の流れと共にシナリオの順番を追っていくと
2001年1月 オランダ ハーグ (結婚式直前、喧嘩している)
1999年4月 スペイン セビリア (アナの招待で春祭りの為の渡西)
1999年5月 アメリカ ニューヨーク (マキシマの日常、ウィレムと再会)
1999年7月 アメリカ ニューヨーク (マキシマの親へ近況報告)
1999年8月 オランダ ハーグ (結婚報告の為、渡蘭)
という流れだった。
●オランダとアルゼンチンの印象
オランダのハーグといえば国際司法裁判所がまず思い浮かぶ。
更に言えば英語表記がHolandaから気が付くとNetherlandsになっていた。
アルゼンチンと言えばサッカーか、
国自体は債務不履行が繰り返されていて信用度は低い。
特に2001年にはアルゼンチン政府発行の円建て外債(サムライ債)が
紙屑となるかどうかで日本の投資家も相当尻に火がついていたことが
印象に残っている。
日本もこの頃、バブル崩壊から不良債権が爆発的に増えて処理しきれず、
銀行や証券会社が次々潰れる(公的資金の導入)事態が発生しており、
就職の氷河期真っ只中で、私も日本という国や企業から捨てられた。
社会のゴミのような扱いを受けていた頃なので相当ひねくれた性格と
して育ったが軌道修正するには相当な苦難だったし、今でも今後の
事を考えれば安泰とは言えない。
アルゼンチンはスペイン帝国によって植民地化された経験がある
ので公用語はスペイン語。主人公の一人のマキシマはスペイン語と
英語を悠長に話すし、外資系のドイツ銀行に勤務しているので、
その辺の言語も話せるかも知れない。稀に愚痴る時などはスペイン語
などが飛び出す。
逆にウィレムはオランダ語が公用語だが地理的にフランスやドイツ語
を話す事が多く、言語的には英語に近いので英語を話せる人も多い
そうだ。
■無味無臭
ドラマ的には波乱万丈といった流れは今のところない。
なるべくして男女の関係が出会いから健全な恋愛へと発展していく。
出会いのシーンでは、皇太子はカメラ(ニコン製)を持つマキシマ
のことをマスコミかパパラッチ程度に見ているものだが、
誤解していた割には、軽い皮肉程度のやりとりによってその場は
収まる。
その後はほぼ平々凡々とした流れで、王族の子息だからと
言っても態度が傲慢になることもないし、印象づいたエピソード
もない。
ニューヨークでの再会の流れも電話で長距離恋愛が続いている様に
見せかれていたが、私は絶対に彼女の住むアパートの近くから
ウィレムが電話してきているのだろうなと思っていたので、予想を
裏切らない展開だった。
意外なことと言えばタバコを吸うところだろうか。
マキシマだけでなくウィレムやベアトリクス女王も愛煙家である事かな。
●マキシマ
彼女は現在こそドイツ銀行の行員としてアメリカのニューヨークで
暮らしているが、そこに至るまではブエノスアイレスBuenos Aires
のボストンセキュリティーズに勤務し、アメリカに来てイギリス系
商業銀行のHSBCに勤務。そして現在に至る。
アメリカを襲った「アメリカ同時多発テロ事件」(2001年9月11日)
と年代的にはかなり近いことも有り、どうなるか不安な感じも
するが、寧ろ前述したようなアルゼンチンはかなり経済的には
不安定な側面が有るので、その為に彼女は経済学を選んで勉強・
就職したのではなかろうか。
長期の休みにはアルゼンチンに帰国して家族とバーベキューをする
事を語る。
姉妹が4人と兄弟が2人も居る。
母親はフェミニストだと言っていたがどうなのか。
父親についての言及は冒頭での衝撃的なやりとりが物語っている感じ
だ。
結婚式に父親は呼ばれないこと。
当たり前だが王室に入るに辺り身辺・身上調査は相当厳しく行われる
ハズであり、マキシマの家庭は丸裸にされるであろう。
●ウィレム
ウィレムは長男。現在皇太子の身だ。
マキシマもウィレムも二人ともスキーをするようだ。
マキシマが「1987年にはノースランズスクールで一番のスキーヤー
だった」と自慢する。するとウィレムは
「ブラックダイヤモンドの王者」であることを語る。
そういえば王家の元にいった際にゴルフではなくゲートボールの
ようなことをしていたよね。
「おはよう!ゲートボール」は80年代の週末の朝に流行ったテレ朝
の番組だったけど、最近お年寄りの間でゲートボールをしている
人は居るのだろうか?
■その他
・special guest star Sebastian Koch
クレジットを見る限り、彼がスペシャルゲストとして登場する。
オランダの王配、クラウスを演じていたSebastian Kochはドイツの
俳優。詳しくは日本のwikipediaにも掲載されているのでそちらを
参照して欲しい。
ドラマだと「HOMELAND」のシーズン5から6にかけて登場する
ドイツの慈善財団の代表・オットー・デューリングを通して
主人公キャリーに協力したり・・しなかったりした役を演じていた。
映画だと「ダイ・ハード/ラスト・デイ」(2013 A Good Day to Die Hard)、
「ある画家の数奇な運命」(2018 Werk ohne Autor)
等に出演している。
クラウスは王配との事で、外部から王室に入った人物だ。
ドイツ人外交官だったクラウス。
そしてドイツ銀行に勤めているマキシマ。
その繋がりはあるのだろうか?
クラウスはオランダ国民から受け入れられるまでには相当苦難な
道を歩んできたようで、マキシマがオランダ王室に訪れた際に
は”先達の助言”として彼から「一日でも早くオランダ語を話せる
ようにしろ」とのアドバイスを受ける。
・オランダ vs ニューヨーク
「オランダの空気はNYのより10倍綺麗だって知ってた?」
「でも年に195日も雨が降る」
・声の出演
マキシマ・・坂本真綾
ウィレム・・神谷浩史
■使用された曲
・KREZIP
■出演者
マキシマ・ソレギエタ (Delfina Chaves) 現オランダ王妃
ウィレム・アレクサンダー (Martijn Lakemeier) オランダ皇太子
クラウス王配 (Sebastian Koch) ウィレムの父、元ドイツ人外交官
ベアトリクス女王 (Elsie de Brauw) ウィレムの母
ホルヘ・ソレギエタ (Daniel Freire) 店を経営
マリア・パメ (Valeria Alonso) マキシマの母
シンシア・カウフマン (Paula Gala) マキシマの親友
ヴァレリア・デルジャー (Agustina Palma) マキシマの大学の頃の友人
フィリップ・ラフォント (Sébastien Corona) アナの夫、フェリペ
アナ・ラフォント (Ivette Balaguer) パーティー会場
(Nico Seijo) スペインガイド
(Manuel Navarro Díaz) セビリアのタクシー運転手
(Doron JéPaul) ドイツ銀行の同僚
(Bart Willemsen) ウィレムのボディガード
(Elijah Cats) ウィレムのボディガード
(Isabella Evers) オランダ人女性
アンナ () ウィレムのファンの子
ヘルマン () アンナを止めようとする
フリーゾ () ウィレムの弟
マルティン () マキシマの弟