キャシーのbig C ~いま私にできること~
The Big C : Hereafter (シーズン4)
制作/Darlene Hunt
第5話 死のにおい Quality of Death
脚本/Jenny Bicks
監督/Richard Heus
プロデューサー/Elicia Bessette 、Melanie Marnich
音楽/Maecelo Zarvos
エディタ/Byron Smith
【STORY】
●前回までのあらすじ
天井に貼られた写真を見て”宝地図”だという。
目覚めに見ると治癒を助けるらしい。
化学療法をやめて好調の内、物を整理しておくキャシー。
アンバーはポールに航空券を渡す。
原稿は先方に送ったとのこと。
俺も親だ。
それはズルイ。親の楽しみを独占ね。
ポールはキャシーに「俺たちは心が離れすぎていた」
「どうにかしてまた通じ合いたい」と語る。
アイザックはアンドレアに最近のデザインを見ると心配だという。
友人が死にそうなんだと語るアンドレア。
先生はそれを聞いてエジプトのファラオ/ツタンカーメンの写真を
見せて派手やかな服を見せる。
キャシーもアンドレアがデザインしているその服で墓に入りたい
と語る。
ショーンはネットで物を譲ろうかと思っているとし、その物とは
腎臓のことだった。
アダムはキャシーの脚が麻痺していることを知る。
キャシーはカウンセラーの前で歩けなくなるのが怖いし、失明の
可能性も怖いこと。
ある朝、キャシーはポールを見て「あなたは誰?」と問う。
■キャシー
1月 January
2か月後 / Two Months Later
キャシーは目覚めると少しずつ天井が視界に入る。
ベッドで寝ていることを認識し、ソファで寝ているアダムに声を
かける。
アダムは薬の時間だとして寝過ごしてしまったと語る。
痛みは10段階で幾つくらいか?
6強かしら、でも待って・・10が一番酷いんだっけ?
・そこにポールもやってくる。
痛みは10段階でどのくらいか?
薬は7時のハズだろう。(Paul)
アダムは寝過ごしたと語る。
役目は果たせ、痛がっているだろう。(Paul)
ポールに6程度よ。
問題だ。
じゃあ4よ。
だったら父さんが朝の担当になればいい。
朝も夜もな。
二人が言い争うことにキャシーはうんざり。もう出て行ってという。
●キャシーはベッドから立ち上がる
杖を突いて家中を見て回る。
食器も食べたままの状態で置かれていてキャシーはがっかり。
■家族で車で移動
博物館前の交差点。
なんてことなのか、スパム博物館に行ったことがないなんて。
こんな近所なのに。
謎の肉に興味ない?
スパムはエロ広告メールの代名詞にされても怒らないほど寛大よ。
アダムはキャシーに「なんで今笑えるの?」と問う。
こんなの意味が分からない。なんで諦めるの?
なんで家を出るんだよ。
キャシーは運転しているポールに車を止めてくれと頼む。
キャシーはアダムに言ったでしょ。私はもう回復しないの。
脳の腫瘍のせいで夫の顔を忘れた。腫瘍が1mm動いて思い出したけど
次は何が起きるかしら。あなたたちには本当に感謝してるけど
振り回したくない。もう十分。疲れて授業を休むのも親子喧嘩も
おしまい。ホスピスなら安心よ。
諦めじゃない。私たちみんなの為の選択よ。
奇跡が起きずに死ぬとしたら家を”母の死に場所”にしたくないの。
幸せな思い出を残したい。幸せだけ。
アダムが涙するとみんなもつられて涙ぐむ。
キャシーは勘弁して。最後のドライブを楽しみたいのに。
・キャシーは再び車を止めてと語る。
私が運転する。会話を楽しめないならせめて最後の運転を楽しむ。
心配しないで、中央線は分かるから。
スピードを出すキャシー。
ポールは焦るがショーンらはノリノリ。
次々と車を抜かしていく。
・警察官によって止められる。
アンドレアは落ち着いて、礼儀正しくしよう。笑顔で。
黒人は愛想よくしないと。
警察官は免許証の提示を求める。
止められた原因は?
分かるけど遠慮するわ。それを言うの好きでしょ。
60kmオーバーだ。
同乗者全員の命を棄権にさらしたんですよ。
実際殺したいと思ったことはあるわ。
茶化してるのか?
ええ完全に盾突こうとしてる。
治安紊乱行為だ。
ショーンはそれなら俺にもキップを切ってくれ。
不機嫌そうなのは生まれつき?サングラスのせい?
幼い頃いじめっ子だった?
こっちはスピード違反だとキップを切られる。
こっちは反抗的態度。
一か月後に出廷して。
私ホスピスに入るの。罰金の徴収頑張って。
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■感想
キャシーとポールは仲を取り戻したものの、翌朝台所にいた
キャシーは彼が誰なのか分からなくなり、その直後に倒れて
しまう。
彼女は気が付くと自宅のベッドで寝ていた。
ポールの事は思い出すも、家族順番でキャシーに必要な薬を
飲ませる為、ベッド脇で交代で待機する。
しかしその為、アダムとポールの生活リズムは乱れてしまい
二人の仲は悪くなる。それを見かねたキャシーは目的を言わず
みんなでドライブにいく。彼女が向かったのは家族の手のかから
ないホスピスだった。
シーズン4の5話。アメリカ版では3話の前半部ですね。
1話の時には9月。
2話の時には11月。
そして今回3話になり年を跨いで1月となる。
フォード・エスケープ車に乗って全員で出かけた際にわずかに雪が
積もっているのが見える程度だったが、このドラマが始まった時と
ほぼ変わらないような感じもする。
ドラマではクリスマスとか大晦日、そして年明けのような重要な
イベントを飛び越えてしまった。アメリカではかなり珍しいのでは
ないか?
まぁクリスマスを描けば奇跡を生むようなイベントを用意しなければ
ならないし、アメリカの正月がどういう状況なのかは分からないが
新年といえばポールが主張する「スイッチを押す」的ポジティブ
思考が強く出るので、今の状況には合わない感じも受ける。
しかしポールの不整脈、心臓病の件はこのシーズンに入って殆ど
言及が無くなってしまった。
今回のエビソードを見ると書類にサインを求められるシーンが
至る所にあることに気が付く。
スピード違反切符を切られた時、ホスピスに入る時、
臓器移植を同意する時など・・
契約すればそれを履行しなければならない。
ショーンやキャシーは今の気持ちを聞かれて、「後ろめたい」と
いう表現を使った。ショーンは一度行った手前引けない状況に
あることをそのように表現し、キャシーは家族に迷惑をかけずに
楽に過ごせる状況に対する気持ちとして素直に表現する。
「自分の決断」
■それぞれに与えられるダメージ
キャシーの現状は全員に何らかの精神的ダメージを与えている。
キャシーが主導でドライブに出た際には、彼女だけが盛り上げようと
するも、それ以外のメンバー、ポール、アダム、ショーン、アンドレア
は意気消沈している。
アダムは母が治療を諦めたことにショック。
特に脳の腫瘍によってポールの顔を忘れた事実はキャシー自身の中でも
ショックを受けているハズであり、そしてポールの中でも強いダメージ
が有った様子。
キャシーはもう治らないと諦め、このまま家に居ても周りの人に迷惑を
かけるだけだと考えた。
朝、家中を歩いて回った際に、部屋の中から見えるそれぞれの異変に
気が付いたのだ。
「諦めではなく私たちみんなの為の選択」
「家を”母の死に場所”にしたくない。幸せな思い出を残したい」
しかし悲しみの感情がそう簡単になくなるわけではない。
面白いのはキャシーがポールと運転を変わり、ハンドルを握って
暴走する。
キャシーは警察を馬鹿にした態度を取る。
「スピード違反」は当然のこと。法定速度を60KMオーバーしている
のだから。
「治安紊乱行為」「反抗的態度」。
一か月後に出廷を命じられるが、このエピソードの4話は三月。
果たしてこの広げたエピソードは回収されるのか。
●気の迷い
ショーンは人の為になろうとしてインターネットで腎臓の病気で
困っている人に自分の腎臓を譲ろうとした。
移植コーディネーターにも先日相談しに行ったがマッチする人が
沢山いる。
しかしここに来てショーンの中では腎臓手術に対する恐怖心で
溢れる。白衣恐怖症だというショーン。
ショーンは手術することを恐れ色々と話を誤魔化そうとする。
「手術は義務じゃない。心変わりしてもいい」
●ホスピス
・施設にはベサニーという猫が住み着いている。
「9つの命を持つ動物の猫」
このフレーズは「ザ・ラストシップ THE LAST SHIP」の7話の中でも
出て来る。
私は過去に愛犬を残して亡くなった隣人のマーリーンが言ってなかった
っけかと思っていたが違ったようだ。
・同室の隣のベッド
心臓病でベッドで休んでいるナンという女性との出会い。
旦那さんの名前はヒロ。
彼女のベッドの上にはまるで赤ちゃんをあやすときに使う
ベッドメリー・モビールのようにして千羽鶴が飾ってある。
彼女は自ら心臓病でここにいる事をつげ、名前も自ら語った。
そしてキャシーに対する質問で、
「あんたは?」
という問いかけにメラノーマ(黒色腫)と語ると、ノーマという名前
がついてしまった。
・千羽鶴
幸運の象徴。千羽折ると願いが叶うとされると語っていたが
基本的に日本人は数を数えて折る訳ではない。
●それぞれの朝
アダムがサプライズしたところは良かった。
キャシーの部屋の天井の写真を剥がして、ホスピスの天井に貼りに
いったこと。
ポールは一日無気力状態。
キャシーの朝は怖かったね。
突然ナンが目の前にいてキャシーを窒息させるためにビニール袋を
被せに来たこと。そしてナンが倒れた時にいた猫・ベサニー。
そして海外ドラマ「ゴースト ~天国からのささやき」
(Ghost Whisperer , 2005)の如く、幽霊が離脱していった。
■その他
●皮肉
・スパムはエロ広告メールの代名詞にされても怒らないほど寛大
・盛りだくさんね。船旅みたい。(ホスピスにあるアクティビティ
を指していったこと)
(ここはタイタニック号か? ショーン談)
・昔親父と狩りに行った。見事に仕留めたよ(千羽鶴の話を聞いた後
に得意げに語るポール)
・今から人格を帰るのは難しいから・・(いい子に育てたねという語り
に対してキャシーが返す言葉)
・千羽鶴は嫌い。奇跡を求める夫に作るなとは言えない
・デスニーとは? ベサニーのこと デス=DEATH。死期が近い人間を
かぎつけてベッドに座る。
・ラザニアが美味しい・・飽きるよ・・飽きるほど居たい
(キャシーと看護師ホセとの会話)
・私の名前はキャシーよ。”12号室”じゃない。
(キャシーと看護師ホセとの会話)
・千羽鶴のことを語るのに俳優は日系の俳優さんではない。
●ホスピスにて
・毎週火曜はビンゴ大会
・木曜日は動物セラピー
・電子ピアノを弾くキャシーの姿もある
因みにホスピスの施設を案内してくれたピンクの服を着た髪の毛が
カールの女性を演じたのはこのドラマでも脚本や制作に関わって
いるDarlene Huntさんだ。
●ウッドストック
1969年8月にNY州で開催された、ロックを中心とした大規模な
野外コンサート。ナンは大学時代にこのコンサートで踊って
歌ったようだ。ヒッピーたちが好き勝手した時代で古き良き時代
としてそれを拠り所として語る人が多い。日本でいう所の
「昭和」を語る人たちと似ている。
■使用された曲
・Game Called Life by Leftover Cuties (Main)
・Great Northern Stop
・Bob Mould Keep believing
・Vassy It´s all right
・The Cinematic OrchestraTo Build a Home (Edit) [feat. Patrick Watson]
・Admiral Fallow Beetle in the Box
・William Elliott Whitmore There’s Hope for You
・Sun Kil Moon Among the Leaves
■出演者
キャシー・ジェイミソン (Laura Linney) 43歳、妻、高校の教師
ポール・ジェイミソン (Oliver Platt) キャシーの夫
アダム・ジェイミソン (Gabriel Basso) 高校生、15歳
ショーン・トルキー (John Benjamin Hickey) キャシーの兄
アンドレア・ジャクソン (Gabourey Sidibe) 生徒、デブ
*Dr.アティカス・シャーマン (Alan Alda) がん治療医師
本人出演 (Isaac Mizrahi) サー・アイザック・ミズラヒ、デザイナー
(Kathy Najimy) キャシーのセラピスト
ナン (Dana Ivey) 心臓病、ホスピスでキャシーと同室
リディア・ハイ (Samantha Futerman) ウェストヒル高校・成績優秀
アンバー (Liz Holtan) ポールの新しいアシスタント
(Darlene Hunt) ホスピス管理者
*アンヘル (Michael Ray Escamilla) 漁師 “Angel”と書いてアンヘル
スーザン・ランド (Bianca Amato) 臓器移植コーディネート
(Angela Lewis) 日勤の看護師・黒人女性
(Tijuana Ricks) 日勤の看護師・黒人女性・食堂で会話
ホセ (Kyle Beltran) 看護師・若い黒人男性・食堂で会話
ヴァレリー (Jennifer Mudge) ブロンド美人・看護師
(Lee Aaron Rosen) 警察官
ヒロ (Les J.N. Mau) ナンの夫
シド (Tom Morrissey)
(Emily Mechler) 若い頃のナン