マキシマ オランダ・プリンセス物語
(MÁXIMA) 2023 , Nederland
制作/Rachel Van Bommel
原作/Marcia Luyten
第6話 #6
脚本/マルニー・ブロック Marnie Blok
監督/サスキア・ディーシング Saskia Diesing
イバン・ロペス・ヌニェス Iván López Núñez
製作/ Millstreet Films (オランダ)
【STORY】
●オランダ
スケート靴を履くマキシマ。
オランダでは早かれ遅かれ練習して置いた方が良いと言われた事も
あり庭の池が氷で分厚く固まった場所で練習する。
「あなたはできる。あなたはできる」
マキシマは自分に言い聞かせる。
ウィレムが手に手を取ってくれる為マキシマは少しずつ上達する。
・オランダ語でスケートをするは何という?(Máxima)
・スハーツェン(Willem)
・赤ちゃんと同じ?(Máxima)
・似た発音だ(Willem)
マキシマはウィレムに上手く出来たご褒美をおねだりする。
「温かいココア」
ウィレムは近くに置いてあるシャンパングラスとボトルを
持ってくるが、それは結果的にカモフラージュとなり
ウィレムは隠しておいた指環のケースを取り出すと、
彼は跪いてマキシマにプロポーズする。
「生まれて初めてするんだけど最後でありますように・・
マキシマ・ソレギエタ 結婚してください」
ウィレムはこれから起きることについて国の承認が無くても
気にしないという。求めるのはマキシマ本人だ。
しかしマキシマは自分の為に王位を諦めることは出来なかった。
生まれてからウィレムは王室に居て、そして王位を継ぐ為に
育てられてきたのである。
ウィレムは何とかうまい方法を見つけることを約束した上で
如何にマキシマを愛しているのかを語る。
マキシマはついに彼のプロポーズを受けることを決める。
すると彼から一つだけ約束して欲しいことを言われる。
「今のままでいること。決して変わらずいつも踊り続けること」
指環をはめてキスする。
「僕がデザインしたんだ」「とてもきれい」
●屋敷
2台の車がボディカードと二人を乗せてくる
バウト教授は南アフリカの情勢を分析した結果を語る中、ウィレムと
マキシマのことをいち早く察したコック首相が挨拶に向かう。
そこにはファン・デル・ストゥール大臣もいて、ホルヘの件で
話し合いとなる。
「報告書が上がっていた」
その中身は、1976年から1983年までの間のアルゼンチン
における軍事政権の本質と歴史的背景についての洞察を提示する
もの。
既に結論は出ているようなもので、ホルヘの結婚式の出席は
無理だということを証明するようなものだった。
ホルヘの軍事政権について知らない・やっていないで済まされる
ものなのか否か。
マキシマが幼少期の頃にホルヘの元を頼ってきた親子がいたこと
を思い出す。彼らは娘と連絡が取れなくなって三週間が経過した
為に地元の地主であり農務大臣として活躍しているホルヘに
助けを求めるが、彼はそんな彼らに
「前にも申し上げたように私にできることがあるかどうか・・」
と語る。
マキシマも父親が直接関与したかどうかはともかく、行方不明に
なった子供たちがどうなったのかは理解しており、それを
マキシマもまた薄々は勘づいているのだろう。
流石のウィレムも大臣や首相、教授らに容易に反論できない。
寧ろそんなことは気にしないというくらいしかできなかった。
そしてマキシマには代替案を語り始める。
国をあげる結婚式には出席させられないが、市民結婚式とディナー
に呼ぶという事でここはひとつ収められないかということ。
しかしマキシマはそんなことはあり得ないとして聞く耳を持たない。
●電話する
12:33
・ヴァレリアはマクスにokしたんでしょ?
・もちろんokした。(Máxima)
・すごいじゃない。本当におめでとう。嬉しいわ。ワクワクする。
・どうしたの?あんまり幸せそうじゃないけど・・
・彼らが調査をしたの。(Máxima)
・元カレなら最低でもティツィアーノは調べたね。
・軍事政権で父が何をしていたかよ。父を結婚式に出席させない
って(Máxima)
・どういうこと?お父さんきっと死んだ方がマシと考えるわ。
マジ信じられない。未来のお妃様のお父さんにそんな仕打ちをする
なんてどうかしてる。彼らに何が分かるのよ。あんたのお父さん
は良い人よ。私たちに自立することを教えてくれた。
憂鬱なマキシマ。
マキシマは父とのことをおもいだす。
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■感想
オランダ皇太子がアルゼンチンの元大臣の娘・マキシマと結婚する
前にオランダでも内密にマキシマの身上調査が行われていた。
調べていたのは、ビデラ政権下に於けるホルヘの行動。
ビデラ政権時代のアルゼンチンは軍事クーデターで政権を奪取し
軍事独裁政権を築いていた。
強硬派で反対派勢力の者たちを力でねじ伏せ、その方法も
虐待、拷問、殺害など人権にかかわる非道なものだった。
ホルヘはそのビデラ政権内で農務大臣をしていたが、果たして
その事実を知って加担していたのかどうかが問われていく。
最近の世界の国々を見回してみると、政治家のトップが権力を持ち
すぎるとロクな国にならないということを実感する。
ロシアのプーチン政権、アメリカのトランプ政権、中国の習近平政権
はその良い例で、反対するものには平気で他人の人生を狂わせる
ようなことをしてしまう。
当時のアルゼンチンもそういった人物がいたりしていたのだろう。
反対するものには有無を言わせない圧力があり、ホルヘが善人だった
としてもどの程度ビデラに異議を唱える事が出来たのか。
直接手を下したことは見ていない。
しかし政権に入閣するに辺り書類にサインをした証拠がある。
圧力によってサインが押された契約書にどれだけ効力がある
のか。その判断は非常に難しいものがあるが、これまで見て来た
家庭でのもホルヘの姿を見ると非道な人物とは程遠い。
そして今回のドラマの中でも、彼は繰り返しこう唱えている。
「やましいことは何もない。やってもいない事をどう謝れという
のか」
ただ政権に属しているだけで世間の目は明らかに黒になる。
人々は過程や背景はあまり興味がない。印象や結果だけで黒だと
決める。
そもそもやったやらないの問題がそう簡単に解決・決断を下す
ことが出来ないことは明らかだろう。
冒頭での展開は、ほぼ結婚が決まっている状況だと言えるが、
まだ正式にはプロポーズしていなかったのねと思わせた。
そして万国共通で男性が膝まづいて意中の相手に指輪を見せて
プロポーズの言葉を語る。
意外とマキシマも即答ではなくやりとりが行われたので、
氷の上で膝まづいている皇太子は相当寒かっただろう。
■王室の反応
ベアトリクス女王の言葉はマキシマに勇気を与える言葉が
多かった。
出来れば女王からの言葉だけでなく、クラウス王配のアドバイス
も聞きたかった。彼の方が王室に婿入りした外国人なのだからね。
ベアトリクス女王とクラウス王配の結婚の時にはドイツ出身
であるクラウスへの風当たりが強く大変なものだとされた。
不思議なことにアジアの韓国や中国はドイツを神聖化する動き
が顕著で、欧州との意識の差がある。反日行動が始まる瞬間
アジア市場の中では日本の代わりにドイツが漁夫の利を得て市場
を独占していく流れが常態化しているが、欧州ではロシアやドイツ
などに不信感を持つ国も多い。
最近は信頼を取り戻してイギリスとドイツが友好国として結ばれた
りしているけどね。
女王に比べてウィレムの良いところ(出来る所)はあまりなかった。
事態の大きさ故に対応出来ないのは仕方がないけど、
結婚式にホルヘを出す事は出来ないが”代替案”を口にした
時点でドラマとしては物足りなさと彼の限界を感じる。
そしてマキシマが怒れば発言は一転するという混乱ぶり。
ウィレムが強引な結婚を推し進めようとするところは、
イギリス王室に於けるヘンリー王子とメーガン王妃(サセックス
公爵夫人)を想像させる流れも出て来る。
そして反対を押して結婚した先に待っているのは?
■親子は似るもの
これまでマキシマが大事なことから目を背けようとする度に
近しい人からは「マキシマは父と似ている」と言われて来た。
そしてベアトリクス女王もマキシマが頑として折れない姿を
見てアドバイスをする。
五者会議(マキシマ、ウィレム、バウト教授、コック首相、
ストゥール)の場でもマキシマはアルゼンチンの軍事政権の歴史
を知った上で、ビデラ政権がその歴史を繰り返し弾圧で人々に
犠牲を強いたのに、マキシマ自身は歴史は父親から教わっている
としていて、かみ合わない話をし、惨殺な現実と結婚式を同等
以上の価値に引き上げてしまう。
マキシマは強い女性を目指しており、外圧に負けない意思を
もって戦うと思っているのか。
>このことに関して私たちの国にはどうしても譲れない
>感情がある。ウィレムはあなたを愛してるわ。あなたの為なら
>全てをなげうつ覚悟よ。そこを自覚して欲しい。
息子のウィレムはマキシマの為ならば王室を捨てることも止む無し
の覚悟を持っている。しかしそれでも状況は何一つ変わらない事
を知っている。女王からマキシマへのアドバイスはオランダの
決断を無視して強行すればウィレムも無事では居られないと
いうことだ。
今のマキシマにとって必要なのは学者や政治家の見識・認識で
はなく、世論が軍事政権をどう思っているのか。
何度となくテレビではホルヘの件が取り上げられているが、
アルゼンチンの一般人の意見がテレビの討論番組で語られた
際に彼女の心のターニングポイントになったのかも知れない。
しかしその後も彼女だけでなくホルヘも頑なな態度を見せて
いるところが何とも言えなかった。
■深夜の会話、朝の砂浜の会話
マキシマとベアトリクス女王の会話が有ったけど、こういう
シーンはもっと見てみたかった。
女王がキッチンに立っていたし、マキシマは気分を落ち着か
せる為にワインでも飲みに来たのだろう。
「承認が得られないこと」
クラウスとの結婚に際してベアトリクス女王も苦労した様だ。
>「私はいつも国家と国民に尽くす義務を強く感じて生きて
>きた。でもクラウスは当時もそして今も私の最愛の人で そのことは
>私の立場にも義務にも影響されない。ウィレムは私とよく
>似てるの。何か本質的かつ重要な決定を下すとなると同じように
>考える。オランダ議会は断固として譲らないわよ。絶対に承認しない。
>あなたのお父様が引くまでは。あなたたちはくれぐれも慎重に検討
>して結論を出してちょうだいね」
翌日には砂浜を歩きながらトーマスと会話するマキシマの姿が有る。
マキシマのダメダメなところはベアトリクス女王やトーマス
とは腹を割って会話するのに、自分の両親とは向き合うことなく
ここまで来てしまったことだと思う。
追い込まれるまで真実に触れようとしない。
他の国の人たちとは話せるのに・・
関係が近しい人物ほどに話しづらいのだろうけど、何よりも
話し合いが必要だったんだよね。そしてその機会は有ったにも
関わらずマキシマは逃げてきた事。
「父は知っていたハズ。知らなかったはずはない」
●やらかす
大抵事実ではないことを強引に貫こうとすれば何処かで
ボロが出るものだ。
ウィレムが公務でニューヨークを訪れた際に、当然
マキシマとその父親の件でマスコミとのやりとりがある。
「手紙」がアルゼンチンのメディアに送られて来て、
ビデラやホルヘにとって有利に働く内容であるもの。
しかし誰もが知っている。その手紙はビデラによって送られた
もの。
●父と話し合う
マキシマは帰省する際、BMWの3シリーズの321iに乗ってた。
「オランダ人はがんとして譲らん」
ホルヘの傲慢さが現れているセリフを何度となく聞かされ
不快になる。マキシマはそこで初めて父親に話す。
「パパを疑わなかった。質問した事もない。
ずっと従ってきた。今やろうとしているのはパパに教えられてきた
ことなの」
「最高を目指す事。」「最善を尽くすこと」
その為の選択の中に父はいない。
その後の展開はあっさりとしたものだった。
アルゼンチンのマスコミに送られた「手紙」がホルヘが書いた
手紙なら、ホルヘが行ったことへの声明は色々とすり合わせて
作られたものだった。
■その他
・ロッキード事件(1976年)とウィレムの父
この事件の名前を聞けば田中角栄首相の事が一番思い浮かべるでしょう。
アメリカのロッキード社が自社の飛行機を売り込む為に世界の
幾つかの政財界に賄賂を渡したこと。これは世界中で賄賂がばらまか
れて、お金によって人生を狂わされたものたちが多かったこと。
オランダでも同国政府がウィレムの祖父を起訴すると脅した時、
母は王位に就くのを辞退すると言うと、とりあえず政府は黙って
しまったという。ウィレムはこれを知って王室が強く出れば
それ以上追及はないと算段を付けたのだろう。
・攻撃は最大の防御なり
「スープは出された瞬間が一番熱い」と言われたマキシマは
それに対して上の言葉を語る。
ウィレムはサッカー選手のクライフのセリフか?
と問うも孫子の言葉だとして訂正する。
オランダ人ならクライフのトータルフットボールの事を思い出す
だろうね。
・テレビはフィリップス製
テレビ部門からは撤退してしまったけど、日本でも量販店に
いくとフィリップのブラウン管テレビって売っていたよな。
液晶テレビでも頑張っている印象が有ったけど、韓国、中国
などの安価で性能の良いテレビによって日本同様押されて
業績回復は出来ませんでしたね。
ブラウン管テレビでないとSEGA SATURNやSONY PLAYSTATION
のガンコントローラが使えないのが困る。
・フォースと共にあらんことを May the Force be with you
映画友達のトーマスがマキシマを送り出す時にかけた言葉。
映画「スターウォーズ」でジェダイが仲間に交わす言葉の
一つ。元々はMay God be with youからのもじり。
元々はウィレムのニューヨークでの手神の件での失態に対して
「あれは少しばかりバカだった」という事は言えますとトーマス
は語っていたが、
彼女は「彼は少しおばかちゃんでした」(He was a bit stupid.)
と語る。
■使用された曲
・Music For Máxima by Krezip
Krezip – Tomorrow Starts Today (Lyric Video) 主題歌
Krezip – Got Me Falling (Lyric Video)
Krezip – Attention (#2 マキシマがマスコミの前に出る際の曲)
Krezip – Lost In The World (#3 マキシーがトーマスに助言をもらう(29:)
Krezip – I Will Go There (Lyric Video)
Krezip – Really Know Me (Lyric Video)
Krezip – This Is My Time (Lyric Video)
Krezip – I Will Go There (Piano Version)
Krezip – Really Know Me (Piano Version)
Krezip – This Is My Time (Piano Version)
■出演者
マキシマ・ソレギエタ (Delfina Chaves) 現オランダ王妃
ウィレム・アレクサンダー (Martijn Lakemeier) オランダ皇太子
クラウス王配 (Sebastian Koch) ウィレムの父、元ドイツ人外交官
ベアトリクス女王 (Elsie de Brauw) ウィレムの母
ホルヘ・ソレギエタ (Daniel Freire) マキシマの父
マリア・パメ (Valeria Alonso) マキシマの母
シンシア・カウフマン (Paula Gala) マキシマの親友
ヴァレリア・デルジャー (Agustina Palma) マキシマの大学の頃の友人
フィリップ・ラフォント (Sébastien Corona) アナの夫、フェリペ
アナ・ラフォント (Ivette Balaguer) パーティー会場
ドロレス・ソレギエタ (Cecilia Cereijido-Bloche) 18歳から29歳
トーマス・ヴァーヘナール (Jacob Derwig) オランダ王室の世話係
(Diego Ercolini) 子供を失った父・メガネ
(Caltana Soledad) 子供を失った母
バウト (Maarten Heijmans) 教授
マックス・ファン・デル・ストゥール (Kees Hulst) 外務大臣
幼少期のマキシマ (Olivia Monaco) 5歳から10歳
フアン・ソリア (Mariano Panelo) マキシマのボディガード
(Mauro Raposo) 3歳の子供
(Sieger Sloot) オランダのテレビプレゼンター
(Ian Bok) ジャーナリスト
(Elijah Cats) ウィレムのボディガード
(Kerim Kaplan) ウィレムのボディガード
コック首相 (Jaap Spijkers) オランダ首相