相棒20 第2話 復活~死者の反撃

相棒20
(2021年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋下一(1)(2)
脚本:輿水泰弘(1)(2)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第2話 復活~死者の反撃

【ストーリー】

●ロイヤルブリック / 中郷都々子のアパート

中郷の遺体を発見した右京と冠城。
室内は冷房がついていて鍵も開いていた。
鑑識の益子らが現場で調査する。
手首を切っての死亡。凶器となった包丁も手に握られていた。
麗音は自殺したのか?と問う。益子は一見するとそうだとし
しかし戸締まりがしていない。
右京は室内に置いてある「カギ」に目を留めていた。

捜一の三人がやってくると、特命係に遺体を見つけるまでの
経緯の説明を求める。
右京は長くなるのでかいつまんで話すと、鍵泥棒の犯人は
冠城だとされていたが新犯人は彼女なのだという。

●中園に報告

彼女は自殺ではないと特命係は言っていて冷房が気になる事。
他殺なら犯行時刻を誤魔化す為に使うかも知れないと芹沢。
ホントに鍵泥棒の真犯人ならば気に病んで自殺したと考えら
れるのではないかと伊丹。

●鑑識課

益子は自殺で処理される事を語る。
手首に躊躇い傷があり、その見立ては妥当であること。
工作員・殺人者ならば自殺に見せかけることも可能だが
密室に出来るにもかかわらずドアのカギを閉めないで行くか
どうか。そして冷房の理由も分かっていなかった。

●副総監室

衣笠、甲斐、社などが集まり、帝都新聞の記事について
語り会う。帝都の飛ばし記事。

「東京地検、不可解な不起訴、警察庁幹部の甲斐峯秋氏に
よる圧力」

と書かれていた。
杜は現在の帝都新聞は最も政府寄りなので官邸からの
リークで書いたと考えるのが妥当では無いかと語る。
甲斐は今回の件では関係の無い息子の事件の詳細まで掲載
されているとし「悪意の塊」のような記事だという。
「週刊自由画報」の記事と連動して甲斐を潰しにかかって
いること。
衣笠はさりげなく失礼なことを語る。

「甲斐を知る人ならば検察を動かす力は無い事は百も承知」

だと。しかし「世間とは記事を信じるもの」
不当な圧力で部下の起訴を阻止したと思うのだろうと語る。
許しがたき不正義が警察官僚によって行われた・・と。

「我々は甲斐の味方だが世論は想像以上に手強い」

●特命係

社は特命係でも掲載予定の記事を見せる。
これ以上エスカレートすれば甲斐の立場が本当に危ういこと。
しかし社はこれだけは覚えておいて欲しいとし
「もしも二者択一に追い込まれるような事があれば私は迷わず
甲斐を選ぶ」
と。

●警務部首席監察官室

ここでもメディアのことについて議論する。
これは甲斐のことを指摘しているが実際には特命係への
牽制であろうこと。
全ては仕組まれたものであるという右京。
内村はその首謀者は誰なのかと尋ねると鶴田翁助内閣官房長官
であることを語る。動かぬ証拠は、逆に「ディープフェイク」
画像を作ったことにあるという。
冠城を犯人だとしていたではないかという内村たちに対して

「捜一は冠城が犯人だと決めつけていたので方針に逆らう事
など出来なかった」

と右京も白々しく語る。

■感想

ドラマを見ていると、上層部で色んな人間関係が絡み合って
しまい解決には一癖も二癖もありそうだ。

「政治家」と「警視庁」の癒着と隠蔽と情報漏洩。
「メディア」と「政治家」の癒着と世論誘導。
「警視庁」と「警察庁」の争い。

そんな事が起きていても表面的にしか分からない「国民」の
情報収集・分析力(これはある意味仕方が無い)。

「地検」だけはこれらの存在とは分離した存在でいて欲しい
のだけど、どうなるかは分からない。

弁護士でさえも都合が悪くなれば殺害してしまう政治家と
雇われものたち。まるで海外ドラマに出てくるフィクサーたち
の活躍を描いて居るかのようだね。

過去にも遡り内閣官房・内閣情報官の悪事が暴かれるが、
それが表沙汰になるかどうかは分からない。
メディアの力の方がより大きくなり、警視庁のお偉い様が
記者会見したところで取り繕っているとしか見えないだろう。

最後にこの陰謀を暴く為に託されたものと言えば、IT技術に
よる所が大きいのでは無いか。電子世界の空間の中で如何に
して加西が情報を残していったのか。

ようやく相棒もアナログ的な所からデジタル化の波に乗り始
めているが、どうにもそのデジタル世界は「昭和の人」が
描いている世界観の様でいまいち乗り切れないところが
ある。

取りあえずこの一連のエピソードを見るに当たっては、敵と
味方のどちらに属するのかをしっかりと見極める必要が
ある。

■テーマ

ドラマのテーマとして見ると「狐と狸の化かし合い」の様な
様相を呈している。

・ウソも方便。
そうでもしないとなかなか事件の真相・核心に近づくことは
出来ずに居る。
右京は自分のついたウソについて上手く言い回しを誤魔化して
いたけどその辺は流石だ。

・上述する事にも繋がるが、基本的に警察庁と警視庁の間では
仲の悪い部分が有る。ここでは衣笠と甲斐は元々仲があまり
よくなかった。遡れば衣笠が大杉さんの頃からだ。
甲斐を通して特命係を蹴落とそうとしている事実が語られるも
特命係を煙たがっているとしたら今回の事件が核心に近づいて
いることも考えられる。

・嘘をついたと言えば、冠城がカギを盗んだことの自白を
したこと。今回のドラマに限ってみれば、数々の取調室
に置いて自白自体がウソだらけのもので、正直特殊詐欺事件
に於ける尻尾切りのような状態になっている。出し子が
捕まっても主犯格にはたどり着けないような構図となる。
そもそもの庸子の自白からそれは始まっている。

・ウソと事実の混在は人々を混乱させることもある。

「幾つかの事実があると読者は全てが真実と思いがち」

とは確か甲斐さんが言った台詞だったか。
これだから真実の見極めは困難を極めてしまう。

・カギをすり替える右京

鑑識の所蔵する「切り札」と呼ばれるカギ。
このカギを廻り奪われることは分かって別のカギを仕込んで
置いた。自分が同様の立場でも同じ事をしたと思う。
それか3Dプリントして同じようなものが作れるようにして
置くとか。

そのカギは加西が最初に購入していた物件の鍵だった。
色々と監視システムのような部屋を持っていた。
海外ドラマ「プリティ・リトル・ライヤーズ」のシーズン5
辺りの展開を思い出すな。誰かがキャビネットで町の人たち、
ターゲットにしているものを監視している。

ただ監視というよりもそこには加西の無念が映像として残さ
れているようなもので、彼は殺されることを見越して仮想現実
に自分の身を投じたのだろう。

■事件

このドラマに出てきた二人の正体不明の人物。
事件に深く関わりがあり、共通するのは携帯電話で通話
している「栗橋」の存在で有る。

・冒頭では中郷が殺害された

室内で手首を切られて殺害されるも、後に司法解剖をすると
テトロドトキシンが検出された。

・冷房の謎
・室内のカギの施錠がされていなかった事。

自殺だと考えるに難しいのはテトロドトキシンを飲んで
手首など切れる状況に有るのか?
冷房の謎に関しては、他殺と見せかけた自殺ではないかと
する裏の裏をついた格好だったが、結局藤原の部屋で合鍵
が発見
される。それは中郷の部屋の鍵と同じだった為に
右京が気がついた。

・藤原久美子の殺害

港区の白洲臨海パークで絞殺体として発見された。

この人は思いっきり思わせぶりな登場の仕方をしていたけれど
なんとも肩すかしを食らったような役柄だった。
まるでこの人自体がブラフではないかと思う程だ。
それも後に出てくる鷲見三乗のインパクトが強いせいなのかも
知れない。

ただ彼女の所持品から「栗橋」「加西」との繋がりが分かる。

「献立計画」という手帳が有ったことから彼女は家政婦か
ケータリング会社をしていたのか。

栗橋からは「消去装置」と呼ばれ人間扱いされていない

・謎の青年・鷲見三乗

この人は前回のクレジットにも出ていたけど、どの人の事を
指しているのか分からなかった。

「法務省のさのです」

幾つかの場面でその手の名乗り方をしていた。

今回はようやくその正体が判明する。と言っても彼が元刑事
であり、現在は調査会社をして、栗橋の指示で動いていた事
だ。意外とあっさりと捕まった印象もある。
まるで右京が捕まえるシーンは西部劇で見るところの投げ縄
みたいな感じだった。

住居侵入罪で拘束。
連絡が相手から来るのを待つ作戦だ。

・青木くん大活躍

カギの形状だけで場所を特定するのは難しい。
そのために色々と条件を絞って検索する他ない。
加西のものだと仮定して古いカギの物件を調べていった。

・故事色々

「袖振り合うのは多生の縁」
「泣いて馬謖をきる」
「罪は憎んで人は憎まず」

・次回に続く・・

・庸子の護送で検察は許可していなかった。事後承諾
・庸子は何処に霊安室が設置されていたのか。
柾七平の発言の曖昧さ。
・病院で庸子が運ばれる時のことを一部始終聞いていた
囚人の雷太?の存在。
・鷲見三乗の存在そのものが謎
・加西周明の館にはどんなヒントが残されているのか。
(このエピソードはまるで「CSI」を思い出す)

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (警視庁組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (警視庁サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁長官官房付)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警視庁警務部首席監察官)

小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)

鶴田翁助 …… 相島一之 (内閣官房長官)
栗橋東一郎 …… 陰山泰 (内閣情報官)
加西周明 …… 石丸幹二 (IT長者仮想国家「ネオ・ジパング」)
鷲見三乗 …… 味方良介 (調査会社、元目白北署刑事)
階真 …… 辻本祐樹 (東京地検検事)
柾庸子 …… 遠山景織子 (元内閣情報調査室職員、服役中)
柾七平 …… 長江英和 (柾庸子の叔父)
藤原久美子 …… 松本享子 (殺し屋)
中郷都々子 …… 織田梨沙 (「エンパイヤ・ロー・ガーデン」弁護士)
糸以蔵 …… 佐野光洋 (港区所轄署の刑事)
沖田大正 …… (検察庁・事務官)

岡村まきすけ、岩田知幸、中込博樹

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