第7話 対決か和解か Sucker Punch
監督/Adam Davidson 脚本/Genevieve Sparling
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トラビスからハーヴィーの証言録取が行われる。
コースタルモータース(CM)社のメモは有ったのか?と問うトラ
ビス。ハーヴィーは異議ありだとするが、この場で異議は
唱えられないというジェシカ。あのネクタイは見るに堪えない
のだという。不正はしていない、しかしメモは有ったとして
古い資料の中に紛れ込んでいたのだという。「おっと」と思った
というハーヴィー。ジェシカはトラビスが出した和解条件はの
めないと語る。500万ドルの和解金とハーヴィーの弁護士資格の
剥奪。それならば一億ドルならばどうか?というトラビス。
つり上げて和解する訳がないというジェシカ。ハーヴィーも
裁判をすれば良いとしてジェシカが君の事を倒すところを
見たいと語る。トラビスは金はともかくハーヴィーの資格剥奪
だけは譲れないのだという。トラビスはハーヴィーを挑発し
君は髪の毛に拘り、爪にも拘り女々しいヤツだとしてジェシカ
の方が男らしいという。君は母親が恋しいのだろうというトラビス
は君の母親のことを調べたとハーヴィーに語る。君と父を残して
いつも余所の男の元に行っていたのだろうとすると、ハーヴィー
はトラビスを殴り飛ばす。法廷で会おうと・・。
ハーヴィーがタナーを殴ったことでダニエルは激怒。
和解のハズの交渉が何故殴ることになったのかと。法廷で挑発
に乗ったら終わりだぞというとダニエルは法廷の為に準備をした
方が良いという。ハーヴィーはダニエルに対してオレのことを
切りたいだけだろうと言うと、パートナー弁護士は君を疑っている
のだとし、身内の彼らに無実を証明出来ないのに陪審員に出来るのか
と問う。事務所の存続がかかっているのだというと、万全にして
挑めという。ハーヴィーもそれを認めると予行練習は必要だと
語りジェシカは暫く法廷から離れているので準備運動だと語る。
予備裁判の場では”良いタナー”ではなく”卑劣なタナー”が必要ね
というと、あなたのことを目の敵にして挑発出来る人だという。
ハーヴィーはルイスの元に行くとタナー役を務めて欲しいという。
あくまで裁判での予行練習での話だという。
ルイスはそのことを何度も繰り返し尋ねる。ルイスはハーヴィー
に必要とされているということを知り意地悪していたのである。
お前はバカというハーヴィーに対して、それでも私が適任だと思った
からだろうという。オレにとって君は5番目の候補だったとし、
ジェシカには6番目の候補だったという。君の事を評価している
とし、君とタナーに共通するのはオレを嫌いなところだという。
しかしルイスがなかなか首を縦に振らない為に、他を当たるという。
君みたいに銀行を相手にしているヤツでは勝てないだろうとして
ジュニア扱いする。するとルイスは激怒し裁判の準備をするという。
私が本気になったら絶対に勝てないぞと告げると、ハーヴィーが
居なくなった後ルイスは「君もリットされたいのか!」「リットして
やる」と語る。
ドナの変わりの秘書・キャメロンから色々と伝言を伝えられるが
ドナからの伝言がないという。
マイクはハーヴィーの元にやってくると、タナーを殴ってすっきり
したのかと問う。予行練習でも模擬でもやることは同じだという
ハーヴィー。マイクは何をしたら良いかと問うと、ルイスが
やってきてマイクは私の補佐をしろと語る。
判事役をするダニエルがマイクも加えたのだという。
ルイスは腹黒いが自信を持っていて頭が切れると語るハーヴィー。
それとブサイクで怠け者で高飛車なヤツでしょとマイクは語る。
ハーヴィーはそんなマイクに映画「ブレックファストクラブ」の
引用なんて良いとする。牛で角を突かれるぞとマイクがふざける
と、ハーヴィーは遊びではないんだとし、ジェシカはモハメドアリ
と戦うので、ジョー・フレージャーくらいは勝っておきたい
のだという。ルイスはそのレベルではないというが・・
君とオレは敵同士だとマイクに語るハーヴィー。因みにタナーを
殴ってスカっとしたぞと。
ハーヴィーはゾーイにビリヤードをしながら仕事を頼む。
「ルール27」・・クライアントを負かせてはいけないだという。
5年前に私の事を落とせなかったのに今夜落とせると思うのかと
いうゾーイに対して、あの時は落とさなかったのだと語る。
今回は仕事として君を雇いたいというと、辞めた人を陪審員
コンサルトとして雇うなんてジェシカは認めるのかと問う。
ハーヴィーは大丈夫だとするが・・ここは互いに譲り合おうとし
仕事は引き受けるという。でもどうしてテッド・フィリップス
に頼まなかったのか?と問う。
マイクはハーヴィーを倒す為の作戦を練っていた。
「彼らはメモを持っていた。疑う余地はない」
するとレイチェルがやってくると、「ア・フューグッドメン」の
引用で練習しているのかと問われる。
レイチェルはマイクに対して一つ聞きたいことがあるとし、
ハーヴィーがメモを隠蔽したとは思わないのかと問う。マイクは
彼の事をよく知っているが「思わない」と語る。逆に君は何故
疑うのかと問うと、私が知っている彼は勝つためには何でもする
男だからだという。彼はズルそうに見えるのかとマイク
は呟く。レイチェルはハーヴィーが負けたらどうなるのかと問う
が今は心配できる立場ではないと語る。レイチェルも証拠隠滅に
ついての練習をしたらどうかと。
マイクは僕ならば勝てるという。
マイクはルイスに対して、ハーヴィーに勝には彼の性格を利用
するのだという。前はタナーに勝利した際、ハーヴィーは偽証
をすると言ったからだが、それはハーヴィーのハッタリだった
こと。タナーはハッタリだということは知らなかったが僕には
分かっていたのだという。レイチェルはハーヴィーがズルいこ
とをする人だと知っているから偽証すると思うのであり、その
ずるさを利用すれば良いのだという。ルイスは言うのは簡単だ
とすると、簡単だから出世の為に盗聴したのかと疑う。
出世のためではないというルイスは事務所のためだとするが、
それならば何故トップであるジェシカに話を持っていかなかった
のかと問う。あなたはダニエルがトップになった時に貸しを
作ったのだというと、それはただのこじつけだとして、そこに
居ないマイクには分からない!と激怒する。マイクはルイスに
今したことをハーヴィーにするのだと語る。
ハーヴィーはドナに会いに行く。
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トラビスからCM社の件で当時の裁判に於いて決定的証拠となる
メモをハーヴィーが隠したのではないかとされることで、彼と
事務所を訴えることになる。ジェシカとしては和解の道を
模索しようとするが、トラビスが求めるのは和解金ではなく
ハーヴィーの弁護士資格の剥奪にあった為に平行線に終わる。
カメラが回る中、ハーヴィーの証言録取が行われるが、その際
トラビスの挑発に乗って彼のことを殴ってしまう。
ダニエルらから裁判に向けて模擬裁判を行うべきであり、
十分に準備してから挑むよう言われる。ハーヴィーは確かに一理
あると考え、トラビスを想定してルイスを彼に見立てて模擬裁判
を行っていく。
模擬裁判なんて言うと「グッド・ワイフ」に於けるS4-14を思い出す
な。あのドラマに於いてはアソシエイツvsシニアパートナーの
対決で下克上的興味深い流れが有ったけど、、このドラマに於いて
はジェシカvsダニエルのパトーナー弁護士同士トップの激しい牽制
の構図も有り、なかなか深い話になった。
ドラマとして上手いのは最後までダニエルが本音を示さずに、
さも味方のような立場で、「弁護士事務所のため」とする中で、
その中には「ジェシカやハーヴィーを守る」という意味合いは
含まれていないことは明らかなものが有る分だけ、相手のペース
でその状況を受け入れていかねばならないところが、ハーヴィーの
今の状況を表していて不安な感じに写ったこと。
シーズン1の頃から互いにキャラクターが牽制し有っていた相手に、
本音として心の内をさらけ出すという内容で、視聴者としても
その二人の関係に対して、どのように思っているのか、そして
過去にもどんな事情が存在していたのかなど一度は聞いて見たいと
思っていた分だけ、今回のエピソードはその内情を探るという興味
深い流れに繋がって居る。
会話を通して本音を聞き出せて楽しかったし、これだけ互いに
感情をむき出しにして話したのも珍しい部分ではないかな。
ドナを責めるルイスの構図はある意味エグかった。
離婚裁判ともなるとこういう人間性を否定するような泥仕合に
なるとは言われるけど、このドラマではあくまで「メモを隠した
かどうか」の裁判であるのに対して、模擬裁判とは名ばかりで、
法廷ドラマにあるような「オブジェクション!」として
流れを止めるシーンが殆どないまま、主張したい人がそのまんま
疑問を解き明かそうとして言葉を浴びせるという大告白的弁論大会が
繰り広げられた状態だった。
ハーヴィーなんて反論する機会もなく、一方的にただ殴られる
だけのサウンドバック状態である。
ドナを証言台に立たせてルイスは容赦なく口撃するがその責任の
一端はハーヴィーに有る。「ドナを侮辱したな、あんなに追い詰め
て楽しかったか?」「そんなにオレをまかしたいのか?」
などハーヴィーはルイスに問い詰めるが、ルイスにとっては、
「全部君が悪い」「美人のドナが嫌な思いをしたのも君のせいだ」
とした流れも確かに賛同させられる現状だし、ハーヴィーの責任と
して問われるべきものは有る感じがするしね。
マイクがドナの家の前に行った際には、ドナが珍しく感情を露わ
にしてマイクのことを「バカ、アホ、最悪!!」と語る中に、
あなたのせいで私だけでなくハーヴィーまで酷い目に合わせた
として反論する姿が有る。ルイスのことを信用するなんてどうか
しているとして、人の「性格は変わらない」ということで、マイクの
中には打開策が見出されていく。
ジェシカたちの思惑としては、陪審員コンサルタントが示す
ハーヴィーの本音を引き出す流れが有った。ドナをかばって
会場から出て行ったことは、逆にハーヴィーのイメージに対して
パートナー弁護士に部下を気遣う人間性を見せることに繋がった。
今必要なのは、タナーに勝つ事だけでなく、パートナー弁護士
に対するアピール性だった。思いやりが有り優しい一面がある
ことを示す流れ。誰もがハーヴィーは自分が嫌だと思うことは
絶対にやらないということが周知されている中で、彼の中に
有る「絶対に負けない」とする信念の中には一体なにがあるのか。
「思いやりがある人は弱い」「人に甘いと良い様につけ込まれる」
としてハーヴィーは主張する。しかしジェシカはハーヴィーが
郵便配達をしていた頃のことを引き合いに出して、
「正々堂々と勝つことが大事だと信じていて、今でもそうだ」と語る。
ルイスが最後にドナに屈辱を味わせたようにして、今度は
ルイスが証人として立つ中、もっともライバル視している
ハーヴィーの性格を彼自身が実証していかねばならないという
実に酷な話ではあり、皮肉にもドナに対して行ったやりとりを
そのまんま踏襲してルイスにも同様の台詞で問い詰めるという
辺りがアメリカの法廷ドラマの上手いところ。
現場ではハーヴィーらが圧勝した格好だけど、現実の裁判では
タナーはこんなことで情が入ることもないとし、そういった話が
本当の話だとする証拠はないとしてくるハズだと言う。
結局ダニエルが和解の為に、過去のタナーの不正を暴き出した
格好だけど、その不正が何かを話そうとはしないダニエルの中に
はやはり相容れないものが有りそうだ。
最後に和解すべきか裁判で戦うべきかで投票を行う中、最後の最後
にハーヴィーに決断を迫るような流れがまた酷というか彼の
中の信念が変わっているかどうかの意識調査をするかのような
シーンを演出するところが憎いね。
そして何よりも最後は反旗を翻して、ジェシカがマネージングパー
トナーとしてのトップの座に立つのが正しいのかどうかの意見を
求めていくことになる。
この辺は想定内だったけど、一難去ってまた一難という感じが
実に酷な状況で、息をつくヒマもない状況として描かれた感じだった。
因みにハーヴィーの本名は、ハーヴィー・レジナルド・スペクター。
・ゾーイの出演回
Season 2, Episode 7
Season 2, Episode 8
Season 2, Episode 11
■使用された曲
・Greenback Boogie by Ima Robot
・End Credits Theme by Christopher Tyng
・Paddling Out by Miike Snow
・Peace Of Mind by Selah Sue
マイク・ロス (Patrick J. Adams) 記憶力が天才的
ハーヴィー・スペクター (Gabriel Macht) 弁護士、シニアパートナー
ジェシカ・ピアソン (Gina Torres) 弁護士事務所”ピアソンハードマン”経営
ルイス・リット (Rick Hoffman) 弁護士、ハーヴィーのライバル
レイチェル・ゼイン (Meghan Markle) パラリーガル
ドナ・ポールセン (Sarah Rafferty) 弁護士
イーディス・ロス (Rebecca Schull) マイクの祖母
ハロルド・ジャコウスキー (Max Topplin) 弁護士
ダニエル・ハードマン (David Costabile) “ピアソンハードマン”経営者
ゾーイ・ローフォード (Jacinda Barrett) 陪審員
トラビス・タナー (Eric Close) 弁護士
— (Nick Alachiotis) Boxing Coach
— (Craig Cyr) Boxer
キャメロン (Jordan Hudyma) ドナの変わりの秘書
ダーレーン・デイ (Nicole Marie Johnson)
— (Sebastian MacLean) Polygraph Tech