第14話 偽造ID Down & Out
脚本/Daniel Tuch
監督/Henry Bronchtein
【前回までのあらすじ】
カードはこれまでの全ての罪をグレイに押しつけようとした為に、
マイケルは思わずトムを射殺する。マイケルのカード殺害によって
ビルでは本格的なCIAの支援チームが動き出し、そのチームの指揮
を取るのはオリヴァ・ライリーというやり手のCIA局長だった。
フラーはマイケルを追い詰めるが、逆にジェシーたちはライリーの
作戦の裏をかいてマイケルへの攻撃を止めさせる。ライリーは
決して諦めないとし、必要とあらば地の果てまで追い続けると
宣言する。
【ストーリー】
『逃亡者は取りあえず海外へ逃げようって気分になる。高飛びの
第一歩は出来の良い偽造書類だ。』
フィーの知る偽造書類屋にパスポートを作ってもらう。サムの
偽名はランディ・ウィームスだと知り、オレの偽名はチャック・フィ
ンリーだとするが、偽名はオーダー出来ない業者だったという。
もうすぐ出発だがエルサの差し入れはまだなのかというフィーに
対してサムは追加を頼んだのだという。暫くドミニカの荒ら屋に
隠れるのだからせめて上手いスコッチを飲みたいと語る。
ようやくエルサがやってくるが、道路工事で入ってこられなかった
という。マリーナの入り口だったという。
『逃亡者は被害妄想になりやすい』
サムは双眼鏡でイヤホンを付けている工事人、そして銃を持って
いる姿を見て彼らはCIAだとし、偽造屋がたれ込んだのだろうと語る。
海側から逃げようにも沿岸警備隊が来ていること。マイケルとジェ
シーをすぐに呼ぶよう告げるとエルサに車を借りても良いかと問う。
オレが逃げた後にCIAが来て君に事情を聞くと思う。君は車を盗まれた
と話してくれとし、もう別れたことにするのだという。そういわない
と危ないのだとすると、さよならエリサ、ホントに綺麗な人だと
語るサム。その光景にマイケルはただただ謝るしかなかった。
車でCIAが道を閉鎖しようとするところを強引に突破。
CIAは銃で発砲してくるがライリーはもう逃げられたとして撃つのを
止める。
これ以上グズグズして居られないが、偽造パスポートは使えないという。
信用出来るところはもうないというフィー。マイケルはボカのパスポー
トセンターに入って調達するかというが、サムはそんなことをしても
上手くいかないという。ライリーだって同じ事を考えているハズだと
すると、ディクソンのことを覚えているかと問う。アイツのダチが使える
ハズだという。
『FBIやDEAならともかく国税局に裏稼業を説明するのは難しい。
だから犯罪者は表の仕事もしている。』
ディクソンの職場にサムは行くと、貨物便の荷物をプレゼントした
だろうとして頼みがあるという。密輸業者のカルヴィン・シュミット
に連絡を取りたいという。ブツでも人でも送れると言っていただろう
とし、偽造パスポートで高飛びしたいことを語る。しかし現在シュミット
はトラブっていて隠れて居るので連絡は取れないという。サムはそいつ
のコンピュータシステムを作ったのはお前なのだから居場所は分かるだ
ろうとすると、会えてもあんたとは話さないだろうという。
するとサムはここは前科者のハッカーを雇うなんて良い会社だと
ディクソンのことを大声で語り始める。
『スパイ防止活動とは自分に張り付いてるスパイを逆に監視すること』
シュミットは銃を持ったヤツが来たら開けないとして、ディクソンは
フィーを恋人と見立てて手を繋いでシュミットの元を尋ねる。
シュミットは大金を掴ませてオレの住所は忘れろと頼んだだろうと
してディクソンを非難する。彼女は高飛びしたがっているのだとし助け
て欲しいとすると、シュミットは泣ける身の上話なんて聞かされるのは
聞き飽きたのだという。しかし銃を持った3人の男を紹介するとする
とマイケルとジェシーとサムがやってくる。指名手配中のスパイだろ
うとしてマイアミのトラブルメーカーを連れてきてどうするんだと
激怒する。
■今回のミッション、流れ
・国外逃亡を図る為に何とか偽造パスポートとそのルートを確保
したいが、偽造パスポート業者がタレコミ。
・新たにパスポートを作れるものが居ないか探していたところ、
サムの繋がりでシュミットがいるという。
・シュミットはかつて旦那に暴行を受けている女性を逃がしたことが
有ったが、その旦那はかつてシリアの元スパイのジャバール・ハマディ
だということで狙われていること。
・シュミットと契約でジャバールを撃退することで偽造パスとルート
の確保を求める。
・CIAのスパイを監視していたマデリンの元にもライリーが接近して
捜査協力の為に脅していくことになる。
■完全破綻しているシナリオ
今回のドラマを見るとホントに酷い流れだった。
そもそもの元凶はマイケルがカードを撃ち殺してしまったことなんだ
ろうけど、それを責めるのも忍びない状況では有るので、心の置き所
が難しくなっている。
ただその影響によって周りの人物の人生を破壊し尽くしていくという
状況であり、サムとエルサの関係はもちろんのこと、今回のシュミット
自身も、例え密輸業者で法律的には悪い事をして儲けているとは
いえ、虐待されている女性を助けていることもしていて、決して悪い
存在だけとは言えない。そんな男性の人生でさえもぶちこわして
自らの逃亡の為に利用していこうとしているのだからどうしても
微妙になる。
暴力旦那から女性を助けたとした際には、フィーが良い事するじゃない
のとシュミットを褒めていたけれど、この人はここまで滅茶苦茶に
されるいわれがない程にマイケルたちが身勝手に踏み込んできたことで
全てが滅茶苦茶にされてしまった。
■全く感情移入出来ない嘘くささ
マイケルはシュミットに拷問された風を装ってジャバールに近づこう
としていた。シュミット自身が拷問するような人物に見えないところ
も有るのだけど、そもそもジャバールを捕まえたいのであれば、
最初にシュミットの倉庫を襲う際に捜査機関に話しておけば良かった
んだよな。まぁそこには部下しか現れない可能性が高く、確実に
捉えるにはジャバールの居場所を知る必要が有ったのだろうけど。
マイケルは自分がシュミットから内通者だと疑われて拷問を受けていた
ということでジャバールに近づく。
■ジャバールはシオラレオネの子にマンシンガンを売る
より凶悪なジャバールを逮捕をする為にシュミットの犠牲は仕方がない
ということだったのかな。
ただシュミットが憎めないキャラクターだったことも有り、どうも
その犠牲が不幸に思えてしまう。
注射器でクスリを打っての自白だとしていたけれど、その流れが
また不自然な流れだ。アメとムチではないけれど、助けることを
約束でもしなければ死ぬと分かっている人物が何かを話すハズも
ない。自白剤というわけでもなさそうでただ毒に犯されて眠っていく
だけの人物が何故口を割ろうとしたのかまるで理解不能。
眠らせるだけならばもっと別のクスリでも有っただろうに・・
本当に言われた通りのクスリを用意するとは思わなかったし、
救急車で運び込んで一度は死んだ彼が解毒剤も投与せずに除細動で
心臓再生させただけで、注入したスキサメトニウムはまるで
なかったかのような扱いになってしまった。
■ライリー捜査官とマデリン
マデリンの元に圧力をかけてきた。
ライリーは単なる挨拶とばかりにやってきては、散々マデリンの
部屋を調べていくというゲスな役回り。
今のマイケルにも感情移入しづらければ、このライリーという捜査官
にも感情移入しづらい。そもそものカードの存在に関して、彼女も
優秀な捜査官ならばそれなりに何をしていたのか分かっているのでは
ないのか。ネイトを殺されたということも分かっているだろうし、
ただ目の前の殺人にだけ目を向けて大きな事実には目をつむっている
姿にまるで共感出来ないところがある。
彼女が立ち去る際には「ブタ」呼ばわりしていたけれど、盗聴器を
仕掛けていったところを見ると、それも聞かれていたというところ
なのか。
■サムの辛い決断
サムとマイケルは辛い時も共に協力してきた関係だけど、引退して
長い彼が幸せの為にここに落ち着きたい意図も分かる。今まで
戦い通しの人生だったし、FBIにマイケルの件で協力してきたことが
有ったのも一度はここでリタイアした人生を再度送りたいとする
意図が有ったのではないかな。エリサがまた美人さんだし、気が合う
人物だということでサムとしてもここらで落ち着きたい意図がある
んだろうね。
マイケルはフィーが居るし、2016年現在サム役のBruce Campbellは
57歳。エリサ役のJennifer Taylorとは14歳の年の差で、これ以上に
良い人と巡り会えるとも思えないな。
■シュミット役のPatton Oswalt
何処かで見た顔だなと思っていたけど「エージェント・オブ・シールド」
で、長官が用意した隠れ家にいる双子(エリック/ビリー)のケーニグ
兄弟役を演じていた。
■使用された曲
■出演者
マイケル・ウェスティン (Jeffrey Donovan) スパイ
フィオナ・グレナン (Gabrielle Anwar) 元・彼女”フィー”、武器商人
サム・アックス (Bruce Campbell) 元相棒
マデリン・ウェスティン (Sharon Gless) マイケル母
ジェシー・ポーター (Coby Bell) 民間の警備員
オリヴィア・ライリー (Sonja Sohn) CIAのやり手
ジャバール・ハマディ (Alon Aboutboul) シリアの元スパイ
エルサ (Jennifer Taylor) サムの恋人
ジャック・ディクソン (David Fickas) サムの友達、国税局
カルヴィン・シュミット (Patton Oswalt) 密輸業者
ラシャド (Gino Salvano) ジャバールの部下
— (Adam Gagan) Thug
— (Adam C. Crowe) CIA Officer
— (Christopher De Stefano) CIA Agent Undercover Construction Worker
— (Scott Getz) Undercover Agent