第9話 悪を聞き、悪を見る Magnificent Light
脚本/Sharon Lee Watson
監督/John T. Kretchmer
【ストーリー】
自己啓発セミナーの公演をして回るバリー・フリン。
君の人生は終わろうとしている。人は皆いつかは死ぬ。残された
時間どう過ごしたいか? 今日は本当の自分に生まれ変わるんだと。
真の目的を達成し喜びを感じて欲しいという。私も社会に出て
12年の間才能を活かせず惨めな時間を過ごしたこと。会計士
なのに才能を掘り起こせといううずきを感じる人は居ないか?
シンシアは絵を描きたいのではないか?ラルフは上司の煩わしさに
嫌気を指し新たに事業を興したいのではないか。隠していた才能
を開かすべきだろうと語る。シンシアは直接名前まで呼ばれる
なんて信じられないと感動する。
マネージャーのレナはフリンに対して今ので最後だがサインを
求めている人がまだいるという。フリンは断ってくれというと
何処かにいく。
シンシアは帰宅する。フリンの啓蒙CDを聞きながら部屋で寛いで
いると何者かによってのど元をかき切られる。
ガルシアはモーガンが手紙を読んでいるのを知って取り上げる。
「モーガンにパーティーで軽いスピーチを頼みたい。ジェイソン
・A・ライダー氏の大英帝国勲章第三位授与式に当たり貴殿のご
出席をお願いしたい」と書かれていた。ガルシアはイギリス大使館
からなのかという。モーガンは行かないので見なかったことに
してくれというがイギリス大好きっ子でしょというガルシア。
私も行くというガルシア。
ガルシアはみんなが集まると事件の概要を語る。
シアトルで2日続けて刺殺事件が発生。最初の被害者はリンカー
ン・ベル(28歳)、金曜の夜に発見。夕べはシンシア・ストローブル
(42歳)。いずれも自宅アパートで殺害されたという。JJは同一犯
なのかと問うとガルシアは現場には同じメッセージが書かれていた
のだという。ロッシは「悪を聞き、悪を見る」(Here your evil ,
See your evil)と書かれているとするが「悪を見ず、悪を聞かず」
のもじりなのか?という。リードは悪の中に有っても善良で居ろ
って本来の意味を裏返したのかもと。犯人は間違っているのでは
ないかとし本来は違うメッセージを書こうとしたとか。ブレイクは
英語圏の人間じゃない可能性もあるけど母国語が何だかこれだけ
では分からないという。
JJはそもそも誰宛のメッセージなのか。ホッチは殺人への弁明か
もという。リードは被害者に当てて何かを伝えようとしたいのか
と。被害者の血で書かれているのか?とロッシ。分析待ちだという
ガルシア。目撃者はなく侵入は計画的でも殺し方は秩序の欠片も
ないという。犯人は被害者と知り合いで計画を立てて知り日込ん
だもののつい怒りが爆発したのかもとロッシ。二人共30カ所以上
指されているので怒りに満ちていたのは確かだと。ホッチはシア
トルに行くぞと語る。
■移動中の飛行機
被害者の2人に接点は無さそうだという。性別、人種、年齢、
住んでいるエリアも違うというロッシ。リンカーンはエルポータル
公会堂のチケット販売員だったし、シンシアは会計士だった。
ブレイクは二人の出会いは公会堂でのチケットでも買わない
限りは無さそうだという。母親によるとリンカーンは建築家志望
で勉強漬けの生活だったというJJ。シンシアは趣味は音楽鑑賞
と美術館がよい。2人共犯罪に会うリスクは少ないというモーガン。
ガルシアはシンシアのアパートのセキュリティは相当厳重だと
語り電子キーを採用していること。リンカーンはエレベーター無し
の6階建てのアパートの最上階に住んでいること。リードは
犯人の部屋に入る知恵が有るという。リンカーンを殺す為には
ある程度体力が必要だというロッシ。簡単なターゲットは選ばず
目撃者も出さずに殺害しているというJJ。使命感があるなという
ホッチ。手間をかけて狙っているというモーガン。現場写真を見る
限りでは罪悪感はないというリード。被害者のタイプが違うから
身代わりではないというJJ。犯行の引き金は同じハズ。殺し方
は似ているというブレイク。リスクの少ない暮らしぶり以外の
共通点が何か有るなというロッシ。場所か人物か犯人と被害者の
接点を探そうというホッチ。
■シアトルの検視局
リードとロッシが検視局へ。
フローム検死官によると死亡の原因は出血多量だという。頸動脈
と大腿動脈が切られて後は刺し傷だけだという。性的暴行もなし。
これはリンカーンも同じだと。その後は闇雲に指したこと。確実
に殺したのに刺しきるのは怒りの表れだというリード。もう一つ
気になることがあるというフロームは傷跡はカーブしていること。
刃の部分が真っ直ぐではないということ。半円形ナイフとか半月
包丁、15cm以上の持ち手がついていたハズ。儀式に使われる刃物
なのかというリード。生け贄かもなとロッシ。
■シアトル警察
チェン捜査官はホッチとブレイクに声を掛ける。
3人はシンシアのマンションの部屋に来ていた。
現場にいくと壁の文字は血ではなく何処でも買える赤いペンキだ
という。犯人が持ち込みならば計画的だとブレイク。捜査妨害
かも知れないというホッチはマクドナルド事件のようなものだと
いう。近所の人の話ではシンシアは出かけていたらしいこと。
行き先も帰宅時間も不明で近所づきあいはなかったというチェン。
CDプレイヤーに電源が入っているというブレイク。中には
「バリー・フリンと共に」というものが有った。
■劇場
モーガンとJJはフリンが公演をしている劇場にいく。マネージャー
のレナから話を聞きに行く。
被害者二人の写真を見せて見覚えはないかと尋ねると彼女は知って
いるとしセミナーの後に個人指導を受けた人だという。
バリーは公演前にアンケートを取りその中から5人ほ選んでセミナー
の中で名前を呼ぶこと。似非バレルと大喜びするものだという。
個人指導ではなにをするのかと問うと、コーチングの縮小版だと
言われ15分で終わるもので生まれ変わるのだという。フリンが
彼女を見送ったのかとするとそのフリンは何処に居るのかと塔。
セミナーの後に一人になりたがるのだという。頭を冷やして集中
する為ではないかというが、行き先は言わないのだという。
ツアー中ではホテルやアパートは自分で手配するのでそこにいる
のだろうとし、彼は決して遅刻しないという。夕べはいつもより
も帰宅が早かったという。
感想
バリー・フリンが行う自己啓発セミナー、そして彼のファンク
ラブのCD”無限の勇気”に啓蒙された信奉者の中年男が元々持って
いた妄想性と共に共感覚という神経学的現象が重なり、異常性
が露わにされていく。
自己啓発の為に行っていることが、自らの身に危険な形で降り
かかってくるところなど、色んな皮肉を感じるところだったけど、
プロファイラーであるモーガン自身にも必要だった言葉が今回の
自己啓発セミナーの中に含まれているという辺りは面白く出来て
いるところで、彼が前を向けずにいるところを上手く後押しした
格好だった。
結局精神疾患が原因なんだろうけど、自己啓発って何だかあんま
り良い印象を感じないことも有ってフリン自身が自己啓発の名の下
に殺害を犯しているのではないかとする印象も有ったけど、
実際には彼の信奉者による犯行だった。
自信を持つのは大切だけど、それが違った形で自ら持つ特性に
便乗して、それを使って正義を貫こうとする姿勢は怖い所が
有り、完全に主観の元で正義とも言えないことを貫こうとして
いるところが何とも後味が悪い。
しかしモーガンの父はシカゴPDだったのか。
最近シカゴPDとかシカゴ・メッド・・・ファイアとか見ているので
何だかシカゴと聞くとピンと来る(笑)
アメリカのシカゴのサッカーチームの名前はシカゴ・ファイアで
ドイツのシュヴァインシュタイガー(元バイエルン、MAN U所属)
が移籍したことでクローズアップされたことも有る。
何時もはモーガンがガルシアを助ける役割を果たすが今回は
ガルシアがモーガンを助けを果たすなど良い関係になっているね。
いつもの電話でもやりとりでも・・
「罪だと言われてもあなたを愛せるわ」by ガルシア。
しかしアメリカでもやっぱりお得感を出す為に商品の値段の付け方
があからさまだよね。今回のCDは49ドル99セントだとしていた。
日本でもこういう値段の付け方をするのは珍しくない。
■事件
シアトルで2日連続で刺殺体が発見される。
最初の被害者はリンカーン・ベル(28歳)、夕べはシンシア・スト
ロープル(42歳)。いずれも自宅アパートで現場には「悪を聞き、
悪を見る」というメッセージが書かれていた。
死因は出血多量。その凶器はカーブしていて儀式などに使う半円形
のナイフではないかとされる。
■プロファイルの発表
・犯人はフリンの信奉者
・犯人は恋愛妄想。フリンに執着し愛されていると信じている
・恋愛妄想患者はセックスに関心はなく精神的な繋がりを求める。
・社会的地位の高い人物に対して一方的に執着するのは珍しくない
・犯人はフリンとは会ったことすらにい
・フリンの知名度から考え最初は遠くから見ていただけ
・相当な忍耐力を必要とする犯行なので犯人は30代後半から40代の
独身の男性。社会的に未熟で泰仁能力に欠け孤独。
・仕事にこなす能力はある。だが妄想に執着するあまり集中出来
ない彼は日常の殆どを妄想で過ごしフリンをつけ回していた。
・兼愛も妄想患者が暴行を振るうのは対象者との仲を邪魔された
時。
・最初の被害者二人はフリンと一緒に居るところを犯人に見られて
嫉妬から殺された。
・もう一つの可能性はフリンへの愛の証明
・凶器に儀式で使うナイフは被害種は生け贄。現場のメッセージ
はフリン宛て
・犯人の頭の中でフリンと個人的関係を結んでいる様ならフリン
を手に入れた今危険
・犯人がフリンに愛されていると思い込んでいる場合は良いが
その愛が少しでも否定されたら新たな被害者が出る
・フリンを殺す事で絆を証明しようとするかも。
・時間が経てば絶つほど現実と妄想のズレが現れ始める。
■それぞれの捜査
当初のチーム訳は・・
・リードとロッシ・・・検視局行き。
・ホッチとブレイク・・・シカゴPDのチェン刑事と連携し現場検証
・モーガンとJJ・・フリンの劇場へ
■捜査
・啓蒙活動家・フリン
フリン自身は結局どうして今のようなことになったのだろうか。
彼の事を調べると本名はハロルド・カーウィン。ネバダ州のリノ
育ち。2年制のコミュニティカレッジを出てすぐに結婚。飲み屋
のケンカで暴行罪2件。車のセールスをやっていたが12年で売り
上げ競争から離脱。いきなり仕事を辞めて離婚して砂漠暮らしに
なった。3年後にフリンとして学校などで講演し大好評。
その3年後にはキャパ1000人の会場が満員。
本人の話では「迷走したら真の才能に目覚めた」という。
また彼の車が発見されたのはゲーバーっぽいところだった。
そして彼は脅されることも有ったのか100dbの防犯ブザーを護身用
に持っていたという。
啓蒙しているフリンの人物像がいまいち分からない。
・啓蒙された・カール
4ヶ月前に仕事を首。もう若くもないし次の仕事はない。
負け犬で夢も希望もない。死のうと思った時にフリンの存在を
知ってフリンに認められたいが為に行動していた。
ただ彼に認められるというのはどういう事なんだろうね。
社会的地位の高い人物に一方的に執着するところがあるという
プロフは出ていたが・・
彼は幼少期から少なくとも共感覚を持ち合わせていたのだろうけ
ど、それが犯罪者となり得るべきものなのか?
■結論
取りあえず被害者の繋がりを見つけ、そしてそこに関わる人物を
探していった。フリンに対する狂信者を捜していくが世界に会員
数は多いし、シアトルだけもかなりの数になる。
フリンの車が発見されたことと、ドッドが殺害されたことで進展が
有る。ドッドも相当不幸な人生を送っているような感じだけど、
カールはそういう人から不当なクレームの電話を受けているようで
そこで不幸の連鎖が起きてしまったところがあるのかな。
■その他
・フロイト的失言
犯人は3人目の被害者を出した時に「赤を聞き赤を見る」と
違うメッセージを書いたことでブレイクが発した言葉。
・共感覚
神経学的現象で2つ以上の感覚が重なること。例えば数字に居ろを
感じたり音楽に味を感じたりする。カールの場合は人が話す言葉が
目に見える。会話を文字に起こして違う色のインクを使っている。
善人は白、オレンジは嘘付き、赤は怒りに満ちている。
最後にモーガンが説得したときの言葉の色は白かった。
・天賦の才
ロッシがカールに才能が有ったのだとしてこのワードを取り上げた。
しかしカールの才能は絶対的なものではなく相手をどう思ってる
のか反映されるだけで真実と違うという。
・モーガン
父親はシカゴPDで働き。ジェイソン・ライダーの相棒だった。
父の殉職の時にも話が出来なかった事を告げると、ガルシアは
「お客をカボチャと思え」というがモーガンの場合「全員犯人だと
思えば?」とアドバイス。犯人への説得力があるでしょと。
モーガンは緊張している訳では無いとし、父への気持ちを未だに
よく話せないのにジェイソンのことを称えられるハズもないと
していた。
しかし結局壇上でスピーチする。
モーガンは父と暮らした11年としていたので随分幼い時に亡くな
っているのね。義務感、頑張ることを教わったこと。今の自分を
父が作ってくれたこと。尊敬している父が今夜の主役のジェイソン
を尊敬していたと。
■使用された曲
・Only Rain by Brett Dennen
・Crash by Esthero feat. Jonah Johnson)
■出演者
デビッド・ロッシ (Joe Mantegna) BAU創設に携わったベテラン
アーロン・ホッチナー (Thomas Gibson) リーダー
デレク・モーガン (Shemar Moore) 爆弾処理が得意
スペンサー・リード (Matthew Gray Gubler) ドクター
ペネロープ・ガルシア (Kirsten Vangsness) 解析
ジェニファー・ジャロウ (A.J. Cook) 国防総省
エミリー・プレンティス (Paget Brewster) BAU
アレックス・ブレイク (Jeanne Tripplehorn) S8新加入、大学教授
バリー・フリン (Patrick Fabian) 自己啓発セミナー
カール・フィンスター (Raphael Sbarge) 元銀行のコールセンター
ハリソン・チェン (Matthew Yang King) シアトル警察署・捜査官
デイヴィス・クーパー (Rico E. Anderson) ルクソール銀行・カール上司
Dr.マーシー・フローム (Kelly Smith) 検死官
レナ・トレイシー (Kari Wahlgren) フリンのマネージャー
シンシア・ストローブル (Ursula Burton) 42歳、2人目の被害者
リッキー・ロペス (Jonathan Dane) バーでフリンを誘う
スティーブン・コールドウェル (John T. Woods) ジェフソン家に住む
Mrs.コールドウェル (Ariana Dubynin) スティーブンの妻
コールドウェル (Kennedy Mason) スティーブンの娘
— (Cesar Garcia) Gangbanger
ジャネット・ドッド (Jenny Robinson) 3人目の被害者、法律事務所勤務
— (Dan Foote) Replicator Victim
ハロルド・カーウィン = バリー・フリン
リンカーン・ベル () 28歳、最初の被害者
ハワード・ジェフソン () 犯人が最後にいる場所
ジェイソン・A・ライダー () シカゴPD時代にモーガン父と相棒
ランガ・パテル () 狙われると思っていた一人