LAW & ORDER : クリミナル・インテント 犯罪心理捜査班 シーズン6 第15話 神の不在 Brother’s Keeper

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第15話 神の不在 Brother’s Keeper

脚本/Warren Leight、Marsha Norman
監督/Ken Girotti
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【ストーリー】
全米で講演して回る牧師と教授。
テーマは「神は存在するか」でのディスカッション。壇上で
二人は意見をぶつけ合う。人生は全て神の計画したことだと
いうリギンズ牧師が言ったかと思えば、そんなの夢物語だとい
うコーリス教授。私には奇跡が起きたとして妻・マージョリー
のことを一目見て恋に落ちたのだという。彼女も神を愛してい
た。だから神に恋が成就するのを祈ったという。ある晩プロポ
ーズしたら奇跡的にイエスの返事が合ったという。
マージョリーはちょうど席へとやってくると、座席には
“お前の夫は悪魔だ”と書かれたDVDの入った封筒が置かれていた。
牧師は続けて、ある10代の知的障害者の息子を抱える家庭で
その重荷に耐えられなくなっている人物の話をする。どんな
学術も彼を救うことは出来ないこと。でも神ならば助けられる
とし祈れば神の癒しを得られるのだという。そんな牧師の言葉に
遺伝子の疾患は祈りでは治せないよと告げる。信仰心を試す
為に耐え難い苦痛を与えているのであれば神は意地の悪いクソ野郎
だとすると、信者達の間でその発言に対してパニックが発生。
暴力はダメだとして呼びかける中、マージョリーはロバーツ
に連れられてVIP用の非常階段から控え室へいくよう連れ出す。
しかしそんなマージョリーは階段から落下して血を流して亡く
なるのだった。

エイムズとゴーレンも現場にやってくる。
リギンズ師の妻・マージョリーが被害者で金品は無事なので不運な
転落出来ないかという警察官の男。大量出血は頭が割れたからだろう
こと。何故講演者の妻が非常階段に居たのかというエイムズに
対して、当時会場が大混乱していたので非難しようとしたのだろう
という。上の階には控え室があると。この足跡は警備員のものなのか
と問うゴーレンに対して、夫達だという。彼女の傍で祈っていたと。
ゴーレンは遺体を動かしているとして姿勢が整っていることを指摘
する。血痕に空白があるのでここに何かが合ったことが分かる
というゴーレン。電子手帳(PDA)を回収して早めに私たちに戻して
欲しいというエイムズは階段を使う許可を持つ人を訪ねると、VIP
だけだという。ゴーレンは壁にも血が付着しているとし、落ちる前に
ついたものだろうという。ご主人達は控え室で祈っているのではない
かと。

話を聞きに行くと、コーリス博士が暴言をはいた為にそれで暴動
が起きたというロバート。それで彼女を避難させて私は尊師の
キャル(カルヴィン・リギンズ)の元に行ったという。事故の瞬間
はどうしたのかと問うと、リギンズは見ていないという。ステージ
の上から目を合わせたのが最後とのこと
大騒動にパニクッて階段を使ったのだろうと問うと、妻は危険
だったとし、内耳炎を患っていたのだという。ゴーレンは目眩
を起こすものだろうとすると、妻は副作用を嫌がり薬を飲んで
いなかったという。手術で治るものだったと。彼女は小児眼科
の医者だったとし、昔からの症状だったという。平衡感覚障害
で、くだらん講演ツアーで疲れが溜まり夕方に倒れたばかりだ
ったという。何かストレスが合ったのかというエイムズ。
階段で何かを目撃しなかったかと問うと、彼女が控え室にいな
いと気が付いて探しに下りたら倒れて居たというロバーツ。遺体
には触れたかと問うと、すぐに尊師を呼びに戻ったという。階段
を転げ落ちたのに穏やかな様子だとすると、リギンズは私は
生きていると思って彼女の身体を抱えながら神に祈ったのだという。
でも博士が来てもう死んでいると語ったという。

コーリス博士に話を聞きに行く。
リギンズたちは遺体を囲んで祈っていたという。だが結局信心
を捨てて医学を求めて来たのだという。死亡を告げたら彼女の手を
合わせていたと。騒動が起きて階段へ行ったのかと問うと多分ね
というと私は見ていないという。”十字軍”が襲って来てすぐに逃げた
と語る。”十字軍”とはツアーに付いてくる彼のおっかけ信者だ
という。室内には講演用のポスターがあり、昔ながらのテーマ
「創造論と進化論」、ジェームズ・コーリス著者「神って誰だ?」
vsカルビン・リギンズ牧師と書かれていた。非科学から国を救いた
いという。本も売りたいのではないか?とすると彼こそ野望を
持っているとし第二のビリー・グラハムを狙っているのだという。

モルグでエリザベスから遺体についての見解を聞く。
階段では滅多に人は死なないという。段々とオチながら反射で
頭を庇うものだという。彼女は無防備に転落したのと、無関係の
外傷も頭蓋周辺にあるという。眼底の出血は揺さぶられたことに
よる乳幼児に多いものたせという。掴まれた場所にアザが現れる
ハズだという。頭から突き落として殺したのかというエイムズ。
内耳炎のせいではないと証明するのは難しいという。犯人が持病を
知っていたら利用するハズだというエイムズ。

テレビニュースでは伝導師の妻が死亡と報道される。
ゴーレンは母・フランシスの元に逢いに行くと、牧師の件は
胡散臭い男だとすると、彼もペテン師の仲間だという。憲法
改正で同性結婚を禁止したがっているが自分は寝室で何をして
いるのだか・・という。妻が死んだのは神の思し召しだと信じる
ハズだろうという母親は何故それなのに泣くのさと語る。そんな
中、この病院のシルベステ先生がやってくる。先生はゴーレン
にお母さんは人見知りのようですねと語ると、母はボビーに
部屋に帰りたいとし、私が統合失調症だと書いて有るのでみんな
が忍び足で通っていくのだという。だったら早く精神病院に
戻せば良いとしこんな病院は嫌だという。すぐに戻れるとして
化学療法は順調だと語る。フランクさえいれば面倒を見てくれる
のにと母は語る。

ロスはゴーレンが署に来ると遺体の腕にアザがあらわれたので
殺人で決まりだと語る。鑑識は壁の血は彼女のもので転落前の
ものだという。VIPリスクで講演者側は2人だけでリギンズの
スタッフだという。しかし一人ディエゴという誰も知らない人が
リストに入って居るという。マージョリーが彼に許可したとし、
教会の友人としてだというエイムズ。しかし電子手帳には
彼の携帯番号が有りかけたら伝言メッセージに、彼曰く
“百聞は一見にしかず”としてサイトへの誘導されるメッセージが
入って居た。そのサイトは”マッチョをレンタル ディエゴ”と
いうものだった。”時間制 オールナイト可 鍛えた筋肉 興奮の世界”
だというロスに字は読めますよというゴーレン。伝導師の妻と
男娼の関係は?というエイムズ。

ディエゴは弁護士を同席させて署にやってくる。
あれは個人で楽しむ空想の世界だとして営業ではないという苦しい
良い訳をする。エイムズは5年間風紀班でいたのだとし、そんな嘘
は見抜けるという。男娼は初めてではないとすると、問題は
サイトではなく、何故被害者があなたの携帯を知っていたのかだと
語る。
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天の光福音教会のカルヴィン・リギンス牧師は医学博士で、
“神の存在”を否定するコーリス博士との間で、講演会の場で
討論する中、突然博士が神の存在を否定し、罵倒した為に、
信者達が会場で殺気立つ。不測の事態に備えて牧師の妻・
マージョリーをVIP専用の非常階段から控え室に退避させよう
とするが、そこで階段から落ちた状態で発見される。
被害者は内耳炎を患い平衡感覚を失っていることから、事故
として落下したのではないかとするが、検視官・エリザベス
は彼女は乳児が死亡するような揺さぶられ症候群のような痕が
有り、恐らくそれが行われたのであれば、掴かまれた腕に
あざが浮かび上がるハズだという。
捜査していく内に互いに利益が有り、牧師は信者を
増やせること、そして神を否定する博士は執筆した本が売れ、
一度の講演出演料は1万ドルも受けることが出来るという構図
も分かる中で、牧師側にも博士側にも使途不明金の存在がある
ことが分かる。マージョリーの携帯電話の履歴には、男娼の
ディエゴへの登録が合ったことから、彼から事情を聞いていくこと
になる。

シーズン6は完全にゴーレン家の事情を掘り下げていく物語に
なっているね。

ゴーレンの兄・フランクの初登場のエピソードで、そのフランク
役を演じているのが、ドラマ「スキャンダル」に於ける
アメリカ大統領・フィッツ役のTony Goldwynだったりするから
驚きだ。そのフランクはホームレスになっている姿が有り、
今回のエピソードが”神の思し召し”だとする主張が込められて
いたところを見ると、偶然とはいえその再会は意味あるものと
して伝わって来そうなものだった。

今回はゴーレンの母・フランシスの誕生日であり、ゴーレンの母
は幼い時からゴーレン以上に兄・フランクの才能に可能性を
見出していて可愛がっていた過去が有り、恐らく期待された兄は
科学者としての道からドロップアウトした状況にある。弟のボビー
としては、そんな兄ばかりに関心を寄せる母親からの関心を自らに
視線を向けたいとする一心で、努力と才能を発揮させて今に至るの
だろうけど、それにしては最も母親に尽くしているボビーよりも
母親の視線は常にフランクにあるとばかりに偏りを見せている
ところはちょっぴり切ない状況である。
しかも今回統合失調症だけでなく、末期がんを患っているとの
ことで、S6-8で初登場した母親は、今回のエピソードを経て、
このシーズンの最終話がフランシスの最後の登場だと考えると、
やはり助からないであろう事も見て取れる。そんな母親を失った後
の、ゴーレンの捜査に於ける影響力なり、エイムズとの関係が心配
されるところ。

今回は科学者と宗教家の持つ性格の互いの矛盾点をそれぞれに皮肉な
形で引き出して構成したエピソードだった。
完璧な人間はいないとばかりに、偉そうなことを語るものたちの
中にも実際には色々と自らに課しているような信念・信条から
飛び抜けているところがあり、この両者が水と油のような存在
だったとしても、実際に人間の思想というのは、このどちらにも
多少なりとも必要とするところが合って、完全に人間をボーダーで
選り分けて分けることなど出来ないことを示唆している。

事件自体は、色々とありがちな要素の組み合わせだった。
宗教家の男性が娼婦と寝ていた過去があるとか、同性婚を認めない
という牧師が実際にはゲイとして男娼と寝ていたりするところ
など、これまでにも刑事ドラマの中で何度か目にした光景が有る。
ゲイを隠す為に女性と付き合うみたいな俳優も実際に多いとされる
訳だし、それが殺害の動機の一つとして存在するのかどうかが
ポイントとなっている。

一枚のDVDを巡る争いがイマイチドラマの中では重要なアイテムだ
った割りに、結局事件に於ける顛末を見ると、マージョリーとして
はディエゴとの接触を通して何をしたかったのかよく分からない。
ディエゴは男娼なり同性婚の件で抗議していたのは分かるにしても、
マージョリーとしてはそれ程その件では問題視していなかったのかな。

一方の医学博士としては、都合良くなんでも神がこの世の運命を
握っているかのような主張に嫌悪感を示しているけれど、
それも自らの子供が障害児であり、その現実があるからこその
悲しみなり不幸な現状を全て神の運命だとするところには、確か
に認められないところはありそうだ。

しかし今回のゴーレンが神頼みにすがるしかない状況のようにして、
立場的には医学博士とゴーレンの間には似たような心情が漂って
いたハズで、今回の自供を引き出したのもそんな二人の共有感が
あるからこそのものなのだけど、それにしては医学博士がゴーレン
の声に耳を傾けるには少々説得力は足りないようなところが有った
のではないかとする流れも同時に感じるところが有った。

ゴーレンがいるとどうしても捜査が彼頼みになりそうなところが
有るので、今の状況は影に隠れてムチを奮っていたエイムズに
とってはメインの活躍の場を与えられた格好で、ゴーレンが居ない
間にも捜査の責任を担っているところがなんとも言えないね。

「存在する科学が全て使えるとは限らない。」
世の中、金頼みの状況にもあるし、そんな世知辛い状況の中で、
同じ医学博士としての仲間として認識していたコーリスがマージョ
リーにだけ話した内容をもっとも嫌っている夫に話して、それが
講演の場で皮肉な形で主張に利用されるところなど、牧師の存在が
相当えげつなく感じられるところが有ったな。

最後にゴーレンのコートを着て名刺をもった人物がモルグに
運ばれて来た。今回はフランクではなかったけど、彼の行く末
を占っているようで恐いところが有るね。
そんなフランクが牧師の導く”天の天の光福音教会”によって命を
支えられているところというのもまた皮肉な感じだ。

・Reach Out by Prodigal Sunn featuring Madame Dee
・Stop (Carry On) by U-God featuring Ebony Burke

ロバート・ゴーレン (Vincent D’Onofrio) 天才刑事、”ボビー”
アレクサンドラ・エイムズ (Kathryn Erbe) ゴーレンの右腕
ダニー・ロス (Eric Bogosian) 警部
エリザベス・ロジャース (Leslie Hendrix) 検視局
マイク・ローガン (Chris Noth) 刑事
ミーガン・ウィーラー (Julianne Nicholson) 刑事、ローガンの相棒
— (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)

カルヴィン・リギンス (Tom Arnold) 牧師、”天の天の光福音教会”
Dr.ジェームズ・コーリス (Reg Rogers) 博士、仕事人間
ロバーツ (Michael Nouri) 信者
ディエゴ (Brian Letscher) ゲイ、DVDを送る
マージョリー・リギンス (Chris Lindsay-Abaire) カルヴィンの妻、小児科医師
フランク・ゴーレン (Tony Goldwyn) ボビーの兄
フランシス・ゴーレン (Rita Moreno) ボビーの母、末期がんと統合失調症
Dr.シルベステ (Teagle F. Bougere) フランシスの主治医
ドリーン (Colleen Werthmann) フランクの彼女
ラップ (Ron Simons) 捜査官
アルミニア・S.ペレス (Judith Delgado) ジミーの面倒を見る
ジミー・コーリスJr. (Todd Buonopane) ジェームズの息子
ロージー (Rozie Bacchi) ディエゴの弁護士
Mr.ラザード (Curt Hostetter) ロバーツの弁護士

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