第19話 宇宙飛行士 Rocket Man
脚本/Warren Leight、Julie Martin、Siobhan Byrne O’Connor
監督/Michael Smith
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【ストーリー】
妻のイディ・ネルソンは宇宙飛行士の夫・ルーク船長がこれか
らニューヨークに行きテレビ出演することで用意する。
テレビでは青いシャツを着て・・・縞のネクタイはダメだと
妻は語る。ニューヨークに着いたら連絡してと語る。
今日は6本の収録が控えているので時間厳守でと語るのはバーバ
ラだった。ルークは私は”スピードの男”だと語る。
雑誌の表紙にもルークの写真がNSAの顔として全面に取り上げら
れていた。
今度一緒に宇宙船に乗るジェシカ・ハートも合流し一緒にテレビ
局に入る。ジェシカに入り口の所で声をかける黒人の男性。
ガードマンは彼を止めようとするが、ジェシカは知り逢いだと
して一緒にテレビ局内に入る。
宇宙飛行士達はテレビのインタビュー番組に出演する。
ジェシカ・ハート中尉は史上最年少で宇宙デビューですねと
言われ、ジェシカはサリー・ライトになれて光栄だと語る。
初フライトには緊張するかと問われるが、頼れる船長がいるの
で大丈夫だという。そんなテレビを街で見ている男が居た。
バーバラはホテルに到着すると明日は6時出発なので朝食は5時
だと語ると互いにエレベーターで自分たちの部屋へと向かう。
ルークは妻に電話すると強硬スケジュールで疲れたのでもう
寝るところだとして愛していると語る。
ジェシカはシースルーのネグリジェ姿で誰かを待っているかの
様だった・・・。
翌日ジェシカが来ないとしてホテルのフロントに鍵を開けてもら
う。バーバラとルークが立ち会う中鍵を開けると室内では
ジェシカが刺されて死亡していた。
エイムズはバーバラから事情を聞く。
今日・明日と全米宇宙機構(NSA)の会議が有り、彼女とネルソン
船長は前日に取材を受けて居たという。二人と別れたのは午後
23時頃で、船長と私が先にエレベーターを下りたという。
遺体を調べていたゴーレンは凄い怒りだとし、何カ所も刺されて
いるという。首、胸、腹部・・愛憎事件なのかというエイムズ。
多分そうだというゴーレンはシルクの下着を着ているとし、顔が
腫れて目の周りは炎症だという。臭いからして唐辛子スプレー
だろうという。凶器は珍しいもので、ダイビングナイフだという
ゴーレン。水中で使うモノだと。侵入の形跡はなく貴重品も残って
いるし、下着姿でドアを開けていることから犯人は知人だろう
というエイムズ。ルークによると彼女は夜中に密会するような
人では無いという。今日一日中予定が入っていて人に逢う時間
などないという。昨晩ルークは疲れて部屋に直行し、妻に電話し
てすぐに寝たと語る。犯人は知人であろう事を告げ、彼女に
恋人か逢う予定の人は居なかったかというゴーレン。我々クルー
は仕事の話ばかりなので私生活のことはあまり知らないという。
ジェシカも最終候補に残ってから仕事一筋だったこと。その前
数年前に一般人の婚約者がいたが、昨日テレビ局に逢いに来ていた
という。名前はマシュー・ショウで花束を持って現れたという。
マシューに話を聞きに行く。
3年ぶりに逢ったというマシューは顔を見に行っただけだという。
エイムズは振られた相手に逢う気になるものかという。有名人に
なる前でもあんな美人を振る男は多くはないというゴーレン。
マシューは歩む道が変わり仕方なく別れたのだという。彼女は
仕事を優先したが、宇宙飛行士を目指す女性の苦労が分かるか
という。妊娠でもしたら即アウトで準備だけで数年間かかるのだと
いう。相当な重圧だと。花束はヨリを戻そうとしたのかという
エイムズに対して、僕ではもう彼女が求める条件を満たせない
という。目標が明確だったとし、仕事もセックスもだという。昨夜
はどこに居たのかと問うと9時発の貨物便で今戻って来たところ
だという。
メリンダによると死亡推定時刻は午前24時から2時だという。
防御創は無く急襲されたのだろうと。スプレーは一時的に目つぶし
になったとし十分な量がかかっているという。膣腔には精液が
残っていたとし、精子が生きているので24時間以内に性交が
有ったのだという。
そんなモルグにロスがNSAの広報部長だというマーク・シェーフ
ァーを連れて来る。彼によると船長も居たので彼女に警護は
つけなかったとのこと。警護の検討は脅迫されていたという
ことかと問うと、彼女は注目の的だったので何百通の手紙が届いた
が、中には危険人物からのものも有ったという。しかしゴーレン
たちは犯人は親しい人の犯行だと睨んでいる事を告げ、クルーの
DNAは管理されているのかと問う。事故の際の身元確認用にある
というとロスはデータを照合したいという。しかしマークは
容疑者が固まったら検討すると語る。ゴーレンはすかさず、
クルーの敵よりもNSAの評判が大事なのかと問う。それを否定
するマークは我々は家族同然だったとし、全員が悲しんでいる
事を語る。彼女の相談相手はと尋ねると、サンディ・デルガド
は姉同然の関係だったとし、飛行教官をしているという。今
ヒューストンなのかと問うと、今日の会議の為にニューヨークに
来ているとのことだった。
サンディに逢い話を聞くと、彼女も重圧を忘れようとしてデート
したのではないかという。ゴーレンはまた重圧という言葉を
耳にしたと告げると、重圧とは激烈な競争のことなのかと問う。
ジェシカは私と違い超スピード出世だったという。若さと美貌
が有るので大勢に妬まれていたのだろうとゴーレンは語る。
飛行士の一人が選定委員会の訴状を出したことがあるとし、
選考から落ちる失望の気持ちは分かるという。2年に5人から10人
という狭き門だからと。彼は逆差別だと主張していたという。
その人物は誰かと問うとグレイズ・ハーリー少佐だという。
エイムズはロスにこれまでの経緯を報告する。ハーリーは昨日
の朝ホテルに居たが今は居場所が不明だという。ジェシカの携帯
に何度か着信の跡があるとのこと。直接対決を挑んだのか
というエイムズ。彼の生涯の夢がパイロットだという。
NSAのホームページにはそれぞれパイロットたちの動画が公開され
ていてハーリーのコメントを見る。
「シャトルに乗って宇宙を遊泳すること」だとしていた。
また話によるとジェシカが車では次の任務の本命馬は彼だった
というゴーレン。宇宙飛行士には落選に負けない精神力がある
のではないかというロスに対して、飛行士には宇宙で正気を失う
弱さもあるというゴーレン。エイムズに規約本を見せると、
そこには「飛行中に精神的に崩壊した場合、ダクトテープで相手の
手足を縛りロープで身体を括って鎮静剤を注入する」と書かれて
いることが分かる。文明的だなというロス。しかし誰も自らを精神衰弱
を認めないだろうと語る。彼には趣味があるようだとして動画を
見せると、「趣味は精神を安定させることでその為にダイビングを
している」ことが書かれていた。深い青い海、彼の手にはダイビング
ナイフだというエイムズ。
そんな中、ロスがクルー全員のDNAの入手許可を得てくる。
友人の記者に頼んでNSAの非協力的ぶりを取材させたのだという。
その10分後にデータが届いたとのこと。今日中にDNAの照合結果が
出るという。クルーたちには市内からは出ないよう話したとのこと。
ロスはハーリーの昨夜のアリバイについて調べる様告げる。
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次に搭乗するスペースシャトルの副操縦士に女性パイロットで
有るNSAのジェシカ・ハートが最年少にして選ばれ、船長の
ルーク・ネルソンと共に全米では二人が搭乗することに過剰な
までに注目していた。テレビや雑誌などでも連日引っ張りだこで、
ヒューストンからニューヨークに出てきて忙しい日程を過ごす日々。
そんな状況の中、ホテルの一室で殺害事件が発生し、ジェシカが
殺害される。何度もナイフで体中を刺されて死亡していることから
怨恨の線が強く、また室内に押し入った形跡がないことからも
知人による犯行だという疑いを持っていく。検視局のロジャース
によると、死亡推定時刻は午前24時から2時までの間。現場に
落ちていたのはダイビング用のナイフであることが分かる。更に
ジェシカの膣内からはまだ生きている精子の精液が検出され、
24時間以内に誰かと関係を持っていたことが判明するが、スキャン
ダルを恐れてNSAの広報部長のシェーファーもクルーたちのDNA
サンプルを出し渋る姿が有った。取りあえずクルーの仲間や当日
ジェシカと仕事をしていた人達から話を聞いて回るのだが・・・
宇宙飛行士としてスペースシャトルに搭乗出来る人物は限られて
いることも有り、華やかな舞台で搭乗することに喜びの声を上げる
人も居れば、逆にその喜びの影で悲しんでいる人が何十倍もいる
ハズで、被害者とされたジェシカのことを恨む容疑者は何人も
居たような気がする。
しかし正直、開始後比較的早い段階で犯人が誰なのかを想定出来る
所が有ったようにも思う。しかしドラマでは心理的な誘導で犯行を
誘発する流れが有ったり、妄信するものたちで溢れていた感じで、
一人の男を巡ってどんだけ船長(キャプテン)という名前にカリスマ
性があるのかって感じのエピソードだった。
どうしてもこの手の宇宙飛行士ものの内容となると思い出すのは
アポロ計画を題材にしたHBO製作のドラマ「フロム・ジ・アース/
人類、月に立つ」を思い出す。何度も自分が書いた感想の中でも
引き合いに出しているけど、このドラマに於いて、宇宙飛行士
だけでなく、それを支える妻たちの物語としても同時に描かれた
ものが有ったので、その苦労というものが少なからず伝わってくる
ドラマだった。
一つの座席を巡って争う様は人間の本性をむき出しにするところも
有るけれど、それが宇宙飛行士としての座から来るモノではなく
直接の殺害の動機は、船長の妻の座を巡る女性同士の痴情の縺れ
にあるというのだから、なんとも皮肉だ。
どの女性も自分が愛されているとする妄想に近いものが有り、
それだけ宇宙飛行士とか船長との関係が現実のものとは一歩
違うところにあるというところから来るのだろうか。
このドラマを見ているとブロンド女性が多く出てきたことも
有り、なんだか途中で誰だか分からなくなりそうなところも有った。
弁護士までみんなブロンドかって感じ。船長の好みが実に分かり易い。
しかし興味深いのは、ジェシカの元恋人が黒人の男性に有ったこと。
ゴーレンはジェシカほどの美人と別れることの難しさを説いて
いたけど、元恋人のマシューは紳士的で相手との未来への方向性の
違いを見つけて早々に別れを告げていた。
ジェシカに宇宙飛行士の座を奪われたハーリーが犯人として誘導
されていったけど、何故NSAとしては彼にその非を向けようとして
いたのだろうか。
ハーリーはジェシカが選出されたことに対して、顔だけで委員会に
選ばれたとして技術的に不足だとしていたけど、執拗にメールして
脅迫じみたことも語っていた。
ただの愚痴だとする中で、君たちだって上司の愚痴くらい言うだろう
という取調室に於けるミラー越しに話を聞いているロスのばつの悪さ
と彼にカメラの焦点が当たる辺りの滑稽さは有った。
ルークのVTRでは
「任務で一番辛いのは地球に帰ること、宇宙では環境や同僚、自分
とも完全に調和出来る。着地の瞬間かに宇宙が恋しくなる」と語って
いたけど、それは暗喩で案外自宅に帰ることが彼にとっての辛い
ことだとする流れが有れば面白かったんだけどね。妻とは良い感じ
の関係で理想的な生活をしている彼が、至る所で女性と親交を深めて
いるけど、やはり宇宙に一緒にいったとする共有感は戦友にも似た
気持ちとして残ってしまうものなのか。
ルークはジェシカとの浮気の件は妻・イディには知られたくない
とばかりに取調室に行く際には、なんとか知られずに済むよう
にして欲しいとする流れが有る。
その際、ゴーレンがルークの取り調べをして、エイムズがイディ
と会話をして役割分担をしていた姿が有った。エイムズが奥さん
とコーヒーを飲んで居るとしていたけど、MCSのロゴの入った
マグカップでコーヒーを飲み交わしていた。普段あまり部署名が
語られることがないけど、彼ら重要事件捜査班(MCS)に所属して
いるんだよね。
妻・イーディとエイムズの会話の中では、夫は絶対に私を裏切らない
としていた主張の影で、夫は到着後にすぐにセックスをしてから
収録に挑んだことを語っていた。冒頭でその夫のルークは
マネージャーから収録の時間が迫っていることを引き合いされ、
「私はスピードの男だ」としていたセリフを聞くと皮肉としか
思えない。ゴーレンは今回「重圧」という言葉に引っかかっていた
けど、寧ろ今回のエピソードを見ると性的比喩表現として、
「船長」とか「スピード」と言った言葉の方が目についた気がする。
船長という言葉から関連するに、誰が舵取りを行っているのかと
いうことが描かれて、結局女性の中で舵取りを握っているのは
妻イディだったということになった。
エイムズさんも言葉遊びに余念がなかった。
イディがサンディを監視役としてつけたことに対して「防衛策ね」
と語る姿が有ったかと思えば、サンディのトランクから凶器など
が発見された際には「ヒューストン、問題発生」だとするアポロ13号
での交信のセリフを皮肉るように利用していた。
ルーク本人もまるでDAIGOさんの如くジェシカとかNSAの関係だ
と語る意味の中には「(N)何の(S)しがらみもない(A)浅い関係」だ
とするシーンも有る。
そして何よりもハーリーの取り調べに於いて
「強豪たちと競う毎日で、怒りが鬱積し、偏執的になってる」
とゴーレンが語った際に、「私や君と同じだ」とするロスは
語っていたけれど、ゴーレンの鬱積した状況というのは、寧ろ
家庭の事情から来ていることで犯罪とはあんまり違うところで
溜まっているストレスな感じ。ゴーレンはエイムズに、俺って
そんなに鬱積しているように見えるかとするけど、視聴者の誰が
見ても「怒り溜まりまくってますよね?」って感じの状態が
シーズン6を通して感じられるところ。
ルーク船長役を演じたTate Donovanは色んなドラマに出ている
し、過去に何度も取り上げた気がする。「The O.C.」のジミー・
クーパー役の時には、隣人で親友の妻と寝取ったということで
似たような役だったかな。
・Fever (Adam Freeland Remix) by Sarah Vaughan and Adam Freeland
・Twinkle Twinkle Little Star
Sung by Charissa Chamorro
ロバート・ゴーレン (Vincent D’Onofrio) 天才刑事、”ボビー”
アレクサンドラ・エイムズ (Kathryn Erbe) ゴーレンの右腕
ダニー・ロス (Eric Bogosian) 警部
エリザベス・ロジャース (Leslie Hendrix) 検視局
マイク・ローガン (Chris Noth) 刑事
ミーガン・ウィーラー (Julianne Nicholson) 刑事、ローガンの相棒
— (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)
ルーク・ネルソン (Tate Donovan) NSA・船長
イディ・ネルソン (Amy Ryan) ルークの妻
サンディ・デルガド (Charissa Chamorro) NSA・飛行教官
マーク・シェーファー (Michael Cumpsty) NSA・広報部長
グレイグ・ハーリー (Peter Bradbury) NSA・宇宙飛行士・少佐
バーバラ・リー (Phoebe Jonas) マネージャー
マシュー・ショウ (Ty Jones) 元ジェシカの恋人
ファーヘイ (Ed Moran) ハーリーの弁護士
ホルムス (Sarah Ireland) ルークの弁護士
Ms.パターソン (Lisa Velten Smith) サンディの弁護士
ドーン・コンドール (Patricia Stark) テレビのインタビュワー
ジェシカ・ハート (Kelly Sullivan) 中尉、NSA・宇宙飛行士
— (Chrissy Crook) Jury