パーソン・オブ・インタレスト 犯罪予知ユニット
(Person of Interest、アメリカCBS) シーズン2
September 27, 2012
第8話 旅の始まり Til Death
脚本/Amanda Segel
監督/Helen Shaver
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2006年、フィンチはグレースのことをお気に入りのコーヒー店
へと連れて行く。グレースはイタリアに住んでからコーヒーに
は五月蠅くなってしまったという。大学3年生の頃、ベネチアに
行ったことがあるとし、ジョルジョ・デ・キリコの「赤い塔」を
間近な距離から見たという。あの絵を見てから益々画家の道を
進みたいと考えたという。しかし現在私が描いているのは
イラストだという。しかし絵を描いていることは発見そのもの
であり、絵を描いて新しいことを学んで、そこでは待ち受ける
謎に出会うのだという。グレースはフィンチに対してイタリアに
行ったことは有るのかと問うと、3Dスライドで行った気分にな
ったことがあるとジョークを飛ばすと、大学を出てから行った
事が有ることを告げ、思い描いていた以上に美しかったと語る。
2012年、フィンチは犬の散歩をしている中、遠くからグレース
の様子を見ていた。しかしフィンチは近くの公衆電話にマシン
からの電話が有った為に、電話に出る。
「Δ、ε、ζ、ビクター、ウィスキー、モーション、ノーベンバー、
フォックストロット・・」それが次のナンバーだと分かる中、
グレースの居た場所に目を通すと彼女は既に居なくなっている
ことが分かる。
フィンチの元にリースがやってくる。
リースは犬”ベア”用にスイーツを買ってくる。
今回は2つの番号が出ているというフィンチは、ダニエル・ドレイク
と妻のサブリナ・ドレイクだという。何れも出版社・EVP(East
Village Publishing)の共同CEOであり、資産は一億ドル以上。
サブリナがダニエルと知り合ったりは、彼がランダルハウス社
に勤めていた92年のことだという。その直後に2人は会社を辞めている
こと。ダニエルは生まれが貧しいが要領が良く、奨学金でノースウェ
スタン大学に進学しているとのことだった。これは財産目当てに
よるものなのか、それもと怨みを買っているのか。
最近出版社からメリーランド州市民軍のリーダー・ウェイド・ハギンズ
を批判する本を出版しようとしていること。ウェイドは大量に
部派を保持して部下たちには車爆弾の作り方を教えている人物だと
いう。全ては暴動に備える為だとしていること。
ドレイク夫妻に敵意は示しているが、まだ実際に行動には起こして
いないという。リースには職場を調べて欲しいとし、フィンチは
彼らの自宅を調べるという。
フィンチはリースに対してマイクロチップの複写機を渡すと、
誰かのカードをコピーし、それをまっさらのカードに転写すれば
いつでも出版社に入れるようになるという。フィンチはカードの
手に入れ方については自分で手配するようリースに告げる。
ダニエルの会社には出資の申し出でアポを入れて置いたという。
リースは受付で何か聞かれたら、上司のハロルド・クレインを
待っていると話せば良いとのこと。
リースはオフィスビルにセキュリティを通過して侵入すると
エレベーターの中でダニエルの携帯をペアリングする。
リースは広いオフィスを眺める中、監視装置を設置する。
受付から滞在の許可を受け取った後、リースは上司を待つ振りを
して、サブリナとダニエル、そしてヘンリー・ブルックスが
硝子張りのオフィスで会話しているのを知りペアリング機能を
使って会話を盗聴する。
ヘンリーはこの会社を売りに出すべき時だとしてサブリナに
語る。しかしサブリナはこの出版社の著作物を売りに出すなど
あり得ないことだという。しかしここ三ヶ月で売り上げは2割
減少していること。著作権に拘る状況ではないと。しかし
サブリナは財政難の出版社はウチだけではないとすると、ランダム
ハウス社は黒字だというヘンリー。ダニエルはあの会社とは
規模としても3倍違うという。ヘンリーは5億ドルの実入りを
手放しても良いのかと問いかける。ダニエルは明日の役員会議
で投票をしてもらおうという。
そんな会話を聞いていたリースはフィンチは、幹部は仲間割れ
状態だと語る。ヘンリーは身売りに乗り気であり、彼は出資者の
一部で株式の5%を所有しているとのことだった。
ドレイクの家にはフィンチがやってくる。
高速光ファイバーを全部屋に設置する為の工事員として紛れ込む
ことになる。すぐにフィンチは彼らのパソコンの内容を全て
コピーしていく中、リースからは二人同時に尾行するのは無理だ
という連絡が入る。リースによるとサブリナは会議の為に外出
し、ダニエルはランチの為にレストランに行こうとしている
事を告げる。フィンチは自分は近くにいるダニエルを監視するので
リースにはサブリナの監視を任せると語る。
リースはファスコに電話するが、電話音が鳴ると彼は留守電に
してしまう。リースはカーターに電話し、ファスコのヤツが
留守電話にしたと愚痴る中、どういうことだと尋ねる。私は
彼のお守りではないとしながらもカーターは最近ファスコは
電話が鳴ると落ち着きが無くなるとし、コソコソと席を立って
いるという。リースは調べる必要が有るなと呟くと、カーター
に対してウェイド・ハギンズについて調べて欲しいと頼む。
ウェイドのことを出版した夫婦が危ない状況なのだという。
フィンチはダニエルを尾行。
リースはサブリナを尾行する中で、夫人の車に何者かが何か
を付けていくのを目にする。リースはすぐにそれを確認すると
なんとリモート起爆装置の付いた爆弾だと判明する。フィンチ
はすぐに爆弾処理班に渡すべきだとするが、配線を切れば良い
のだろうとしてコードを切る。その直後に電話が鳴る。
そのお陰でどこから電話して来たのかナンバーディスプレイに
表示される。ダニエルは、サンティに電話すると話が違うぞと
語る。それを知りダニエルが妻を殺そうとしているのだと
フィンチは語るのだった。
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マシンが割り出した数字は今回2名。
出版社の共同CEOで、夫婦のダニエルとサブリナだった。
夫婦の資産は1億ドル以上のものが有り、彼らは元々大手出版社
のランダムハウスに勤務しているものたちだったが、92年に
出会い二人で会社を辞めて独立して今の会社を築いていた。
夫婦二人は対象的人物で、ダニエルは奨学金をもらいノースウェ
スタン大学に進学した人物。サブリナは元々お嬢様育ちで、
名門イェール大を卒業していた人物だと分かる。
取りあえずフィンチは出資者だと名乗り彼らにアポイトをとって
リースをオフィスに潜入させるが・・・
出版社のCEO夫婦が何らかの事件に巻き込まれようとしている
中、捜索しているウチに、当初は夫が妻を殺害しているかと
思われたが、妻を保護しているウチに今度は夫が狙われている
ことが分かる。調べていくウチに、夫婦は互いに財産権を巡って
殺し屋を雇っていることが判明する。
離婚するより手っ取り早く殺してしまえホトトギスというところ
がまた凄い夫婦だ。
夫婦して殺し合おうとしている姿。映画でもドラマでもたまに
見られるネタだと思う。
そして互いに愛が残っていると実感した後、自分達が依頼したにも
関わらず、時限式に殺害する流れを止められないという状況だと
いうことで、運命の皮肉さを人為的に作り出したが故の罰という
感じの流れだった。
例え自分のことを殺そうとした相手で有ってもこの先信用出来る
のか否かということは、これまでの人生がどのような出会いで
どのように歩んできたのか・・・そして相手の元々の性格をどれだけ
理解しているかよるのだろうけど、行き着いた先が殺し合うという
状況なのでその性格性も信用にたるものかどうかは謎である。
成功している時には誰もが優しくなれるし、寛容さを持ち合わせて
いると思うが、問われてくるのは危機的状況に陥った時のその人と
なりの行動だと思うんだけどね。
どんな現状であっても出会いの時の幸福感、そして幸せな時のこと
が心の片隅に残っていればやり直せるということで、この辺の
展開をフィンチにも突きつけた格好だった。
ここの所、このドラマは恋愛ネタで花を咲かせている感じ。
ファスコとロンダのデートネタと、新たに芽生えようとしている
カーターとビーチャーの恋バナ。
対象的に仕事人として最前線で戦うフィンチとリースは未だに
過去を引きずり足踏みしている中で、「張り込み」するシーンが
今回は象徴的に描かれた。
リースがカーターに対して、「どうしたら恋した2人が相手の死
を望むようになるのか?」と問うシーンが有ったけど、カーターは
冷静に「恋に落ちるのと結婚は別物だ」と語っていた。
今回はサイドストーリーとして、2006年当時のフィンチとグレース
の関係が描かれた。シーズン2に入ってからは6話に続いて二度目。
リースと違ってフィンチの場合、彼女は生きているということで、
二人の間に何が有って別れたのか・・・という所が気になるけど、
今回はそこまでは言及されなかった。それでも二人がもっとも盛り
上がり始めた時のことを描いていたので、結婚相手を殺しそうとした
相手でさえもやり直せるという流れを通してフィンチの中でも再燃
する思いを強くしたのかも。フィンチとしても自ら今回の作戦(離婚
させるのではなく当時の気持ちを思い返させる為にムードな雰囲気を
作った)を考えたところからしても、よりその思いというものを感じる
ところが有った。
フィンチが意外とロマンチストだったこと。
グレースの誕生日にちょっとした冒険をさせることが洒落ていて、
フィンチがテリトリーとしている中の人材を利用する辺りもまた
面白く出来ていた。
しかし何気に気になるのは、ファスコの流れが恋愛話として処理されて
しまった点だ。ファスコはHRとの繋がりが有り、脅されている事実
があることでリースと連絡が取りづらくなっている事情があるの
だろうけど、全ての事実をファスコのおのろけ話によってその現実
から逸らされてしまった感じがする。折角リースがファスコのこと
を調べようとしていたのに、ここで捜査が打ち切られるとなると
大変なことになりそう。しかしファスコがリースからの電話に出ず
留守電にしてしまうところは笑えたな。その直後にリースがカーター
に電話して”どういうことだ”とクレームをつける一連のシーンが
なんとも言えなかった。
そしてフィンチもようやく仲良くなり始めたリースに対して未だに
秘密主義を貫いていること。恋愛に於いては、2006年当時、ネイサン
からのアドバイスで
「ウソを付くな、必ずバレる」
「謎めいた手は恋愛では使える手だがそう長くは持たない」
「憎まれるよりも悲しいのは無関心なことだ」
というところに、フィンチの恋愛ストーリーと彼の心情の全てが
詰まっていたのだけど、リースとの関係でも同時にそのことが
言えるのかも。最近リースのフィンチの捜索ネタは皆無だったので
MLBネタを通してフィンチのことを探ろうとしていたというやりとり
を聞いて、久しぶりに互いの間にある距離感というものを感じさせた。
・ダニエル役のMark Pellegrino。
今回もまた「LOST」組の一人である、ジェイコブ役のMark Pellegrino
が出演。
「クローザー」ではシーズン7で切れ者弁護士としてブレンダを
助けていた。「スーパーナチュナル」ではルシファー役。
妻役のFrancie Swiftは、「ゴシップガール」でネイトの母・アン・
アーチボルト役で登場。
・One of These Mornings
By Moby
・What’s Become Of My Heart
Performed by The Joel Evans Quartet
ジョン・リース(Jim Caviezel) 元兵士、恋人ジェシカを失う
ハロルド・フィンチ(Michael Emerson) 犯罪防止システム開発者
ジョス・カーター(Taraji P. Henson)刑事
ライオネル・ファスコ(Kevin Chapman) 腐れ刑事、情報屋
ネイサン・イングラム (Brett Cullen) フィンチの同僚、2006年の世界
ダニエル・ドレイク (Mark Pellegrino) 出版社EVP経営、夫
サブリナ・ドレイク (Francie Swift) 出版社EVP経営、妻
グレース・ヘンドリックス (Carrie Preston) フィンチの恋人、画家志望
カル・ビーチャー (Sterling K. Brown) 捜査官
ロンダ (Tricia Paoluccio) 小学の教師、ファスコと良い感じの関係に
ヘンリー・ブルックス (Todd Susman) 出版社EVP共同経営者
ネスター・サンティアゴ (Jacinto Taras Riddick) ネイサンの旧友、殺し屋
— (Arash Mokhtar) Vendor
— (Frank Vlastnik) House Manager
— (Natalie Kuhn) Daniel’s Assistant
— (Ivana Shein) Sabrina’s Assistant
— (Angela Lin) Receptionist
— (R. Patrick Ryan) Waiter
— (Royce Johnson) Bike Messenger
— (George Aloi) Daniel Drake’s Client
— (Danny Lee) Paramedic
ウェード・ハギンズ (Olan Montgomery) メリーランド州・市民軍リーダー
シリル (David Shumbris) 殺し屋、サブリナに雇われた