第4話 つきまとう影
監督/Inaki Mercero 脚本/Susana Lopez、Carlos Montero
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【前回までのあらすじ】
シーラはアンドレースの部屋から大量の偽造されたパスポート
見つける。シーラは彼にバスケス署長に誰かがパスポートを
密売していると言えば済むかも知れないとして語る。
カンデラリアの服を手直ししたシーラの腕に驚き、そこに
宿泊していたサグラリオたちの服も手直しすると絶賛される。
アンドレースからは僕によくしてくれたらパスポートを手に入
れても良いと言われて、シーラも体を差し出す気でいた。
カンデラリアからは必要なのは豪華な店で婦人達に最高の服を
作って売るのだと語る。
そんな中アンドレースはパスポートを渡す前にパロマレスに
よって逮捕される。しかし彼は銃を大量に隠し持っていたこと
が分かる。銃を売って金を手に入れて店を開くのだとして、そう
しなければ母を助けられないと説得される。ロベルトに銃を
渡すと約束の金を手渡される。ロベルトからは銃を隠して欲しい
として指定された場所に隠して戻るのだった
【ストーリー】
相変わらずモロッコでは礼拝の呼びかけの音が町中に聞こえる。
1937年1月・モロッコのテトゥアン。
カンデラリアとシーラは工房を探して物件を回る。
こんな良い場所はないとして月375ペセタで貸してくれること
になったという。シーラも完璧でこれ以上の場所はないと語る。
あまりに夢みたいでシーラは母のことを考えていた。きっと
こんな店を持ったと言っても信じられないだろうこと。
カンデラリアはいつか許してもらえれば良いだろうとするが、
自分で自分を許せないというシーラ。過ちは誰でも犯すものだ
とし後ろを振り向かずに前へ進む事を告げる。今やめべきこと
は商売を軌道に乗せること。自慢の娘と思ってもらえるように
するのだと語る。先ずは何から始めるかと問うと、シーラは
応接間はその家の顔なので優雅な部屋にしたいとし、数は少なく
ても良いのでセンスがよく上品なもので最高に質の良い物を
起きたいという。
そんな二人は市場に行くと色々と買い集めていく。ソファー、
絵画、カーテン、銀食器、蟷螂立て、鏡、裁縫に必要な道具一式
を揃える。あまりに豪華な部屋になり満足する中、次は外国の
ファッション誌が必要だという。「ヴォーグ」「ヴァニティフェア」
「マダムフィガロ」etc..上等な生地も集めようという。
ここは私たちの工房でしょというがカンデラリアは私には下宿
で手一杯だとし、必要なものは揃えて協力するので運営は任せる
ので儲けを分けようと語る。ジャミーラを住み込みで働かせる
という。しかしカンデラリアは一つ問題が有るとして、あんた
自身の身なりや髪型が問題だとして鏡に見せる。髪の毛とクマの
ついた目・・そんな顔をしていたら金が逃げると語る。
ジャミーラにセットしてもらう。彼女はこんな道具は使ったこと
はないとして恐れるが大丈夫だとして使ってもらう。その結果
とても気品のある女性に変身する。もっと肌を見せた方が良いので
はないかというカンデラリア。
そんな彼女からオシャレの仕上げだとしてハイヒールをプレゼント
されるのだった。これで胸を張って新たに人生を踏み出せるだろう
と語る。今に町中があんたに夢中になるだろうと語る。
ついに準備が整う中チャイムが鳴る。
初めての客かと思えば来たのはバスケス署長だった。
上手くやっているようですねという彼に対して明日から工房を開く
のだという。何の工房なのかと問うと婦人服の仕立てであり、
マドリードでお針子の仕事をしていたこと。誰に雇われているのか
と問うと自分でやるのだという。どうやって始めたのかと問われ
金を借りたという。そんな気前の良い人がいるのかと問われ、
カンデラリアだと語る。このご時世闇商売がそんなに儲かるとわ
なと疑惑の目で見られる。シーラは私は言われた通り働こうとし
ていること。それは地道な仕事で気晴らしでも悪事を隠す為でもない
とし、恥知らずな男のせいでこの一年は散々だったこと。彼は
私に借金を残して返す唯一の方法は縫い物であり他には何も出来ない
のだという。借金を返済し内戦が終わったら母の元に帰ること。
迷惑は決してかけないので仕事をさせて欲しいという。始める
前に店を潰さないでと語ると、全てを失うのだと語る。
バスケスは取りあえずは仕事の邪魔はしないし当面は誰かが
証拠を持ってこない限りは資金の出所は調べないという。しかし
今後も目を離さないと語る。互いに面倒を避けられると良いが
と語る。
いよいよ開店するが、待てども待てども客は来ない。
紅茶を飲みタバコを吸いソファーで横たわるばかりで時間が
過ぎていく。
シーラは玄関のベルが壊れているのではないかと思い、押して
確認している中、隣に住むフェリックスと母親のエンカルナ夫人
がやってくる。母さんは病院に行きたいというが散歩したい
だけでしょというフェリックス。そんな息子にあんたは私を死んで
欲しいと思っているのだろうとして激怒する。
シーラはカンデラリアに頼んで客のツテを当たってもらおうと
考えるがそんな時に呼び鈴が鳴る。
ハインツ夫人が服をを仕立てが出来るのかとしてやってくる。
欲しいのはジュケットスーツ2着とイブニングドレス2着だと
いう。シーラはどんなデザインが良いか雑誌から選んで欲しい
としてファッション誌を見せる。「ヴァニティフェア」「バザール」
誌など久しぶりに見たという彼女はこのデザインでお願いする
と語ると、ニナリッチですねとして了承する。更に追加の注文
としてテニスウェアをお願いしたいとするが、彼女はテニスウェア
を作った事がなかった。どうやって作るのか。ジャミーラに
頼んでカンデラリアからファッション誌を集めてもらうが、
テトゥアン市場にあるファッション誌はこれで全部だという。
婦人用テニスウェアはどうしても出てこなかった。唯一写真が
掲載されていたが、その写真は1931年のウィンブルドン大会の選手
リリ・デ・アルバレスの写真であり、何年も前(6年前)の雑誌
だと分かる。誰からこの写真から書き写してもらわないといけ
ないという。
シーラは宿に戻るとカンデラリアを探す。咳をして具合の悪そう
なアンセルモはカンデラリアはいつも忙しそうにして飛び回って
いることを語る。アンセルモに絵が描けないかと尋ねるが無理
だという。絵の得意な人にデザイン画を書いて欲しいのだと
すると、ベルトゥーチの学校にいくと良いという。モロッコの
偉大な画家だとし、保護領の切手や観光ポスターは彼の絵が採用
されているのだという。そこの生徒に手を貸してもらうといい
と。
学校に行きデザイン画を書いて欲しいとすると、そこにいたの
はなんと隣人のフェリックスだった。フェリックスが写真を
見せて絵を描いて欲しいと語る。写真を見せるとイタリアの
デザイナー・エルザ・スキャパレリのウェアだと知り、シーラに
対して、シュルレアリストの女神だねとすると、シュルレアリス
ムが好きなのかと問われる。僕で良ければ書きますよという彼。
そんな中、パロマレスは署長の元にタレコミが有って押収して
きたものがあると語る。金貸しヌニェスの元で見つけたこと。
宝石のことは分からないが値が張る物はあるハズだと言う。
それを見る署長はシーラから押収した写真の中に彼女がタンジ
ールで撮影した際に手にしていた腕輪がそこに含まれている
事を知る。
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なんとか銃を売った大金で店のオープンの為に必要な工房用の
道具を買いそろえ、更には高級な調度品を用意する為にカンデ
ラリアと共に市場に買い物にいく。ついに開店という際に、
バスケス署長がやってきてこれだけの店をオープンするだけの
資金源に関して色々と疑われるが、シーラは自分には後がない
として必死に訴えかけると取りあえずは訴えがない限り、詮索
はしないと約束してくれる。そんな中、店には少しずつ客が
やってくるが、学校に通っていない彼女は裁縫の腕は一流だが
一般教養に欠けるところがあることが分かる。隣人のフェリックス
は芸術家であり、そんな彼と親交を深めることで色々と教わって
いくことになるが・・・
有る意味ではドラマに於いても人生に於いてもシーラにとっては
一番楽しい時期なのではなかろうか。
自分の店を開店する為に色々と自分好みの調度品を揃えては、
店に少しずつ物が集まって形作られていくこと。
形が整い始めての客を待つまでの間、色々と緊張と不安、そして
期待が入り交じる様子が手に取るように伝わってくるものが有った
けど、自分の力が世間に通用するのかどうか。そしてどの程度の
顧客からの反応があるのか期待するものが有ると思う。
勿論その中にはシーラが抱えている根本的な問題が有り、借金の
件やマドリードの内戦状態が有り眠れないものは有るとは思う
けど、ここ一年のことを思えば、一番楽しいハズだ。
必要な時に必要な人に出会うという人生の妙なんかも感じる。
フェリックスは母親の面倒を見ていたので悪い人ではないと
思ったけど、金を目の前にしたらそれに目をつける人は居るはず
だし、シーラが意外と世間的にもまだまだ未成熟な一面をもって
社会に出たことも有り、ラミーロのように都合の良いことだけ
言って言い寄ってくる人も多いハズなので、その辺は恐いところ。
ただカンデラリアは顔が広いし、署長など警察が目を付けてくれて
いる分、逆に見守られているという側面があるところが有って、
恵まれたところも有るのではないかな。
色々と客との出会い繋がり、更にはマドリードから逃走させてくれる
組織があることを知り、シーラとしても懸念すべき一番の問題で
ある母親の件での再会の可能性も見えたことで早くも好転してきた
けれど、その反面ラミーロが近くに潜伏しているであろうことを
考えると、寧ろシーラが怒るべき立場の人間なのに、恐怖を感じて
しまっているところが有って、なかなか切ない。
しかしフェリックスからは次に彼に逢うときにはどんな姿で逢いたい
のかと問われ、成功を見せつけるくらいの立場で向き合うべきこと
を指摘された。これはカンデテリアからも同様に一度はまた、悪夢
を払拭する為にも向き合うべき道だということを示唆していたので、
それまでに立場が逆転するような状況で入れれば良いんだけどね。
まぁそんな彼よりもやはりシーラにとっての目標は母親に成功する
姿を見せることだとは思うけどね。
色々とフェリックスがシーラに教育を施すことと称して視聴者にも
モロッコの歴史などを語るところは勉強にもなる。
スペインが何でアフリカモロッコを支配しているのか。
1906年アルヘシラス会議が開かれて、スペインとフランスの間で
合意したこと。スペインは帝国復活の為にモロッコの一部を保護領
としたとし、キューバとフィリピンを失ってからとんでもなく
貧しくなった為にスペインとモロッコの間ではスペインの医療を
提供する代わりに兵士の提供が行われたこと。
自分の品を保つ為に、過去の事実は言わずフランスの作家、アレク
サンドル・デュマのような波乱の人生をロマンチックに創作しようと
いうことで、フェリックスからはシーラに夢を吹き込まれた感じが
するし、彼女の客としてやってきた美人なロザリンダというイギリス
人女性は色々と世界中を旅していて、シーラのこともスペインの
ココシャネルだと称していたけど、顔が広そうなところが有るので
今後色々と役に立ってくれそうだ。
そういえば宿の住民の一人・アンセルモが亡くなってしまった。
どうしても時代からするとスペイン風邪とは少し離れるけど、
衛生状態などからすると、スペイン領だったモロッコ辺りにも
遅れてやってきた一面が有るのか。それとも人の死因の多くが肺炎
だったりするので、抗生物質が入手しずらいこのご時世に
風邪をこじらせてしまって肺炎を発症したのだろうか。
カンデラリアは店の売り上げ金をペセタではなくポンドで受け取って
いた。反乱軍の内戦で勝利したらペセタで尻を拭くことになると
のことだけど、こういうところしっかりしていて先見の明を
持っていたりするんだよね。女主人は頼もしいですね。
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シーラ・キローガ (Adriana Ugarte) お針子。ドローレスの一人娘
カンデラリア (Mari Carmen Sanchez) モロッコ・テトゥアンの下宿の主人
バスケス (Francesc Garrido) テトゥアンの署長
アンドレース・コルデール (Enrique Arce) 偽造パスポート、下宿人
ジャミーラ (Alba Flores) 下宿で働く
パロマレス (David Venancio Muro) テトゥアンの警部
ベニータ (Maria Alfonsa Rosso) サグラリオの妹、下宿人
サグラリオ (Teresa Lozano) 白髪の女性、ベニータの姉、下宿人
ハルミニア (Empar Ferrer) フアニートの母、下宿人
フアニート (Alex Molero) 息子
ドン・アンセルモ (Xose Manuel Olveira ‘Pico’) 下宿人
フェリックス(Carlos Santos) ベルトゥーチの学校の教師
ロザリンダ・フォックス (Hannah New) 客
ヌニュス (Pedro Rebollo) 金貸し業者
— (Paco Obregon) マドリッドから来た女性
ハインツ夫人 (Simona Ferrar) ドイツの客
ベーグブデル (Tristan Ulloa)
パトリシア・ルビオ () 組織
アマリア (Inmaculada Alcantara) マドリードから来た女性
ヴィアジャンテ (Enrique Asenjo)
ロベルト (Xavi Ortuzar) シーラが銃を持っていく