第21話 ハスラー November 22
脚本/Ryan Farley 監督/Jeannot Szwarc
【ストーリー】
1963年11月1日ピッツバーグ郊外。
テレビではケネディ大統領の演説が行われている中、ビリヤー
ド場ではデュークとパトリックがビリヤードの勝負をしていた。
デュークはシャロンという女性と組んでパトリックを鴨ろうと
していた。ビリヤードは結局運だよと。デュークは掛け金を
75ドルにして勝負をしようというとパトリックは勝負を受ける。
俺がデュークだと突然大きく出始めると、知っているよという
パトリック。みんなに俺がパトリックだと言っておけとして
通称ライフルだと語る。ショットが早くて絶対に外さないから
だという。ボルティモア・レッドだって怖くないと告げる。
ケネディは暗殺される。12時25分ダラス市内でオープンカーに
乗ってパレードする中、撃たれたとしてテレビでは報道していた。
JFK Jr.が最後の敬礼をしていると語る。その日にパトリック
も銃殺されるのだった。
2009年。
スコッティとリリーとスティルマンは開店前のバーにやってくる。
ギャンブラーと棒って怖い組み合わせだというスコッティ。
リリーはケネディと同じ日に殺されたというパトリックという
ハスラーに関するものが出てきたことを語る。スティルマンに
よるとこの”ホワイティーズ”の殿堂入り目前で殺されたとのこと。
この壁に張り出されたら大変な名誉だとし、当時はビリヤード
賭博でがさ入れの名所だったことを語る。ここに写っているのが
ボルティモア・レッドなのかとすると、伝説によるとホーボーケン
で15ゲームやった次の日にスコーナーでも15ゲームをやった人物
で本名も出身も分からない謎の男だという。
トム・パケットは”ホワイティーズ”を再度開店しようとしている
人物だった。パケットはパトリックは殺される前日にここで
レッドと勝負するハズだったが二人とも来なかったという。
来週この店を開店するが、キューホルダーの奥に押し込まれて
見つかったものがあるのだという。新聞紙に包み込んである
銃だったが、新聞紙の日付は1963年のケネディ暗殺のことが
書かれているものだった。32口径スナブノーズだというリリー。
警視報告によれば被害者はあの日32口径の銃で一発撃たれている
という。カラのケーシングだというリリーは一発撃った形跡が
あるという。ケネディ暗殺は1963年11月22日だという。
あの日は新聞の号外が5、6回は出ていたというスティルマン。
この新聞は午後3時のものだった。パトリックの死亡推定が午後
2時にチェスナットヒルで撃たれているというスコッティ。どう
してハスラーが高級住宅街にいたのか。40年間放ったらかし
だったとすると、スティルマンは警察とハスラーは敵も同じだっ
たという。選んだ鴨が悪かったのか。報酬が銃弾だったという
のかというリリー。
パトリックの資料を見る。
30代前半で近親者はなく、背中から被弾・32口径の銃弾が回収
されているというリリー。ジェフリーズは線条痕はホワイティ
ーズで見つかった銃と一致したと語る。凶器は確定したことに
なるが所有者が未登録だという。ミラーが製造元に調べてもら
っているとのこと。遺体のポケットからは鍵が入っていて、
ブロードストリートモーテルのものだというスコッティ。宿
帳に名前が載っていたとのこと。また列車の切符が沢山出てきた
という。デトロイトにピッツバーグ、そしてトレントン・・。
一日間隔だとしフィラデルフィア入りは11月1日に到着して、
21日にボルティモア・レッドと対戦予定だったという。でも
2人とも店には来なかったと。翌日の午後2時にチェスナットヒル
で死亡。しかし目撃者がいないのはみんなテレビを見ていたの
だというジェフリーズ。60年代はあの時から始まったとし、俺は
行程で遊んでいたというジェフリーズ。その頃もう45歳ではない
か?というスコッティと、リリーはリンカーンの時とごっちゃに
なっているでしょとジョークを言うと、ジェフリーズは今に
天罰を喰らうぞとと語る。
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■事件は1963年11月22日
その日はケネディ大統領がダラス郊外でパレード中に暗殺され
た日の出来事。その裏ではハスラーとして生計を立てていた
パトリック・レノックスが白昼堂々チェスナットヒルで銃弾を
受けて殺されたという事件。
大きな事象の前にパトリックの死が隠れてしまった格好だった。
福山雅治さん結婚報道の影で、千原Jrの結婚報道が隠れて
しまったかのような状況だ。
当時ハスラーのたまり場で警察の取り締まりの常連だった店舗
の「ホワイティーズ」が40年の時を経て復活。
その際にキューホルダーの奥にしまい込まれていた新聞紙の包み
紙の中に、パトリックが殺害されたのは同じ32口径スナブノーズ
が発見されたことから止まっていた事件の時計の針が再び回り
始める。
■60年代のそれぞれ
ケネディ暗殺当時、みんながどんな生活をしていたのかが描かれ
た。リリーやスコッティは生まれていることは無いのは明らか
だけど、ジェフリーズは校庭で遊んでいたと語ると、リリーと
スコッティから散々ボケた老人のようにして扱われていた。
スティルマンはホワイティーズのこともよく覚えているようで
ビリヤードにハマっていたみたい。やっぱり署員からスティルマン
のことを”ミネソタスキニー”としてからかわれている感じだった。
そして最近懇親にしているリリーの父親・クーパーは19歳だった
事を告げ、工事現場で働いていて世も末だと思ったという。
60年代に大人だった人たちは既に70歳、80歳以上だと思うので
生きて居る人と生きて居ない人がいることは仕方がないけど、
大体の主要人物は生きて居たね。
シャロンは映画「おかしなおかしなおかしな世界」を見ていた
事を告げる。
■最近シナリオの演出を工夫している
このドラマでは基本的に過去と現在を行き来してのドラマだけど、
過去の映像シーンに於いて、今回のドラマでは1963年11月1日の
ピッツバーグに始まり、少しずつ事件の日の当日まで描かれてい
くというきっちりとした区切りで描かれていた。
その演出は「LAW & ORDER」みたいだ。
11月3日、ローランドはノミ行為で逮捕。
11月5日、ホワイティーズでビリヤード指導をしていたノーウッド
の証言。
11月7日、ヒラリーとの出会い。
11月11日、シャロンがフィラデルフィアへ。
11月14日、全財産を失いスカヴォとモンキーにボコボコにされる。
11月20日、モンキーに全財産を払う。ドクターにビリヤードを教わる
11月21日、ドクターから子供かビリヤードか選ぶよう言われる。
■シナリオは映画「ハスラー」を踏襲している?
「ハスラー2」の方がエンターテイメント性に溢れて面白いと
いえば面白い映画だったけど、ドラマは「ハスラー」の方に
近い内容だった。
映画「ハスラー」でのエディ演じるマックイーンがチャーリーと
コンビでビリヤードで金稼ぎしていたけど、有るときファッツ
という人物に負けてしまい、それを見ていたボスのゴードンからは、
エディには才能があるが、常に酒を手にしている事が問題だと
いう。酒を手にしている理由の中には負けた時の言い訳のように
していることを指摘され、図星で何も言えなかった。
このドラマでは、頭を使わなければ勝てないといわれていて、
今更ながらセーフティゾーンの使い方を教わったりするという
初歩的状態だった。劇場版ではなんとかしてファッツに勝つ
ために相棒チャーリーを失い、途中知り合うパイパー・ローリー
演じる女性・サラとの関係も解消してでも勝負に挑みようやく
勝利するも、その後彼の中には周りで支えてくれていた人が居な
くなった空白の大きさを感じるというものだったけど、命がある
だけマシって感じだよね。
■少女との出会い
ヒラリーがまたパトリックの心を変えるのには十分な魅力有る
少女役を演じていたね。何度となく彼女はパトリックに対して
私のことが好きになったでしょとか一緒に居たいんでしょと
語る姿を通してみると、リリーと父親のエピソードを何処か
彷彿とさせる。
自分が打ち込んでいるもの、人生をかけているものがその人に
とっては楽しさと連動していれば良いのだけど、生活のため
となってしまうと途端にそんな楽しさとは無縁のものになってし
まうのだろうね。
■謎のハスラー・ボルティモア・レッド
とにかく謎の人物が多い。
パトリックのことを買っていたのかどうか分からないけど、
彼が呑み行為で捕まった時に保釈した人物とか、匿名の手紙
を使ってパトリックとレッドの対決を実現させた人物の存在
など、それに該当する人物が誰なのかということを想像する
だけでも楽しい物語だった。
■人生で大切なものとは?
時代の変遷に乗り切れず、それに抗って生きるという人は
少なからずいるけど、パトリックはヒラリーとの出会いによって
ハスラーを辞めて普通の人生を送ることを考えていた。
しかし当然変わりたくない人も居るわけで、今回は自分が
全てを賭けていた人物が変わってしまったことに許すことが
出来ずに思わず手をかけてしまったというものだった。
■リリーは父親を許せるのか
クーパーは身勝手な人だと思うけど、やはり人には触れられたく
ないことと触れられたくないことがあるのだろう。
ただ父親の身勝手さによって苦労を強いられてきたリリーに
とっては許せないとするところも多い様だ。
今回のドラマを見ると、子供は彼の本当の子ではないとしていた
のでリリーの件でも実は親子としての血のつながりがなかった
りするのだろうか?
■ホワイティーズの復活
こう言っては何だけど、ホワイティーズなんて差別的な意味合い
があるのではないのかな。
ただ当時を知るものたちに取っては、この店の持つ魅力というの
は大いに感じるのだろうしね。
最後にスティルマンがトリックショットをしている姿が有るけど、
トリックショットって難しいのはトリックショットをセッティン
グする人だけだよね(笑)
■使用された曲
・Green Onions by Booker T. & The MG’s
・My One and Only Love by John Coltrane & Johnny Hartman
■出演者
リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から
ポール・クーパー (Raymond J. Barry) リリーの父
2009年
シャロン・ラートラ (Tess Harper)
ヒラリー・ローデス (Kay Lenz)
マイク・・マック (Bill Bolender) “モンキー”
アル・ソッデンハイム (John Bennett Perry) “Baltimore Red”
ジョン・ノーウッド (Muse Watson)
トム・パケット (P.J. Marino) ホワイティーズ店主
1963年
ヒラリー・ローデス (Madeline Carroll) 少女
シャロン・ラートラ (Valerie Azlynn) “ブロンディ”、自由人
ジョン・ノーウッド (Channon Roe) “The Doctor”、ビリヤードを教授
デューク (Lucas Caleb Rooney) ハスラーの鴨
パトリック・レノックス (Eion Bailey) “ライフル”、ハスラー
マイク・マック (Brian Elerding) “モンキー”、パトリックの相棒
— (Nick Hoffa) Opponent
アル・ソッデンハイム (Billy Jayne) “ボルティモア・レッド”
ベン・スカーボ (Kevin Makely) モンキーとパトリックの借金回収
— (Michael McKiddy) Bartender
— (Lora Witty) Woman
本人出演 (John Kennedy Jr.) 大統領