第14話 証人 The Brush Man
脚本/Elwood Reid 監督/Roxann Dawson
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1967年5月20日。
ロイ・W・ダンは街の人が荷物を運んでいるのを見て引っ越し
かと声を掛ける。街の人かと問われると、自分はサンプソン
ブラシの販売員をしているという。我が社のクリーナーとブラシ
を使えばカーテンなど一生キレイだという。ロイはとても
街の人たちに紳士的に振る舞っていく。ジョーニーはロイに対
して朝から待っていたと語る。キャンディの噂を聞いた?
ウィルソンの娘は逮捕されたとして反戦集会でフォークソング
を歌った為だという。ロイはそれを聞いておかしな時代だと
いう。シルバークリーナーは先週届けたので欲しいのはスプレー
ノリでしょというと、ジョーニーはロイは何でも私が欲しい
ものが分かっていると語る。
そのロイがトレードマークのようにして被っている帽子が
公園の沼地に浮かぶと同時に彼を包んだビニールは沼に沈め
られる。
2009年。
骨が発見されたということで現地入りする。
ジェフリーズによると宅地開発の為に池を潰したら白骨体
が出てきたという。男性で年齢は30歳半ば。リリーは何時から
なのかとしてここは元々公園だったのでしょうと。スコッティ
は遺体の近くにウェイトが有り沈める重りとして使われたのだ
ろうと。リリーはジェフリーズが飲んで居たコーヒーを貸して
と語ると遺体の遺留品の時計にかける。するとロイ・W・ダン
と書かれていて、サンプソンブラシ、66年度最優秀セールスマン
という刻印が彫られている事を知る。ジェフリーズはサンプソン
は家庭用雑貨全般を扱っていたが、フラーブラシ社と凌ぎを
削っていたという。ライバル社に殺されたのか、悪い客に
捕まったのか。
リリーは女性用トイレにいくとそこにはヴェラが鏡に向かって
ヒゲを剃っていた。男子用のトイレでやれば良いでしょと語る
が壊れているんだという。もう少しで済むから・・というヴェラ。
スティルマンは被害者はロス・W・ダン(35歳)。サンプソンブラシ
の支局長から6月9日に盗難届けが出されているという。6月6日
にロイが商品と売り上げ金を持ったまま姿を消したのだという。
商品価値は250ドル相当のもの。ミラーはこれで盗みの容疑を
晴れたのだという。当時の捜査官が家宅捜査をしているが、
家には家具はなくスーツケースだけの家だったとのこと。
ミラーは最近そういえば訪問販売が無くなったと語る。昔は
何でも売りに来たとし、鶏肉から聖書、婦人雑誌まで有った
というスティルマン。今は電話セールスだというスコッティ、
昔のセールスマンは街から街へと渡り稼いでいたのだという。
孤独な主婦と駆け落ちしたのではないかというミラー、悪徳商法
が絡んでいたのかもというと、スティルマンは取りあえず犯罪
データベースも検索して置いた方が良いと語る。ヴェラがやって
くるとミラーはまだシェービングクリームが付いていると指摘
する。スティルマンはヴェラにラボの分析結果を尋ねると、
重しのバーベルは量販品でビニールシートからも何も出ないという。
肋骨には深い傷が確認されていると。刺されたのかというスコッティ
に対して噛み付き亀かもとヴェラ。ロスの顧客リストを今送って
もらっているという。ロイを知っている客が居るかも知れないと。
ロイの客を引き継いだセールスマンがいるとし、ハリー・ハプグッ
ドという今でも現役だというヴェラ。
ジェフリーズとヴェラはリリーに見られたことを語り、白いブリー
フとはなと語る。ボクサーブリーフですから!というと何で
職場でそんなことをしているのかと問うと、今がその時なんだと
いう。ソファーで寝たら首を寝違えてホームレスの匂いがしたと
いうと、トニが引っ越して来て追い出されたのかというジェフリー
ズ。
ハリーに逢うヴェラとジェフリーズ。
週に一度ロイともこの店で朝食を取っていたという。ある日突然
来なくなったとすると、67年6月第二水曜のことだという。
その日に販売ルートの引き継ぎがあったのだとし、45年間セールス
をしているので覚えて居るという。ロスはどんなセールスマンだ
ったのかと問うと担当地区の奥さんには人気で、長身・精かん・
日焼けして謎めいていたからだという。自分のことを語りたがらな
かったヤツで過去も出身地も言わなかったという。アパートに
一度行ったら床で寝ていたとし枕もマットもなかった変わりもの
だという。しかしポール・ニューマンに似ていたし独身だったこと。
ブラシ以外には何か売っていたかと問うとそれを否定。不倫して
いたかと問うと、仕事熱心な人なのでそれはないと語る。手放しでも
売れるエリアだったとし、私には殺す理由がないという。なんと言
っても大事な先生だったとのこと。
— 1967年 —
ロイとハリーはジョーニーとダイアンの前で実践販売をする。
カーテンをブラシでキレイにするというもの。ダイアンも良かった
ら一緒に見て欲しいという。ロイはそれが終わるとハリーに
対してジョーニーに注文書と化粧品のサンプルを渡してくれと
いう。ダイアンは夫が厳しいので買えない事を語る。水曜日の午後
に行きましょうかとすると、これをもらってとしてブラシを渡すと
窓用の洗剤がいる時はいって欲しいとし、ピカピカの窓から
あなたをみたいと語る。
— 2009年 —
ハリーはジョーニーは人妻だが旦那が出張続きだったという。ロイ
には無防備だったが不倫していた訳では無いとのこと。今はハー
モンデール通り23番地に住んでいるという。
リリーとスコッティでジョーニーの元にいく。
ロイの件で来た事を告げ、奥さん達に人気のセールスマンだった
のではないか
という。気は利くし紳士的で器用な人、そして望みを分かっていた
という。売り手と客の関係だけで不倫はしていないという。
フリーセックスの時代にマジメ過ぎないかというスコッティに対して
この地域は世間体が一番だったのだという。私が彼を最後に見たのは
私が日光浴をしていた時だという。
— 1967年 —
ロイはケヴィンとキャッチボールをしていた。ジョーニーはナタリー
ウッドが着ているような水着で日光浴。ケヴィンが投げたボールが
ノームの家に入ってしまうと、もう取り戻せない事を語る。
その家の人はおかしいのだという。ロイはノームの家に入って
いくとボールが入ったので返して欲しいと訴える。
— 2009年 —
ノームはベトナム戦争で地雷を踏んで顔が酷いヤケドだったという。
市が立ち退きを迫っているが手こずっていることだとのこと。
一度だけ彼が公園にいるのを見たとしアヒルにエサを与えていた
という。一度叫いていたことが有り、池を潰して住宅地なんてとん
でもないと語っていたとのことだった。
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宅地開発の為に池を潰した結果、白骨体が見つかる。
白骨体はビニールにくるまれてバーベルの重しで当時公園の
池だった場所に沈められていた格好だった。所持品の時計から
被害者はロイ・W・ダンというサンブソンブラシで働くセールス
マンだということが判明する。1966年には会社から最優秀セール
スマン賞として贈られていた時計だが、1967年6月6日には会社側
からロイが商品と売り上げ金を持ったまま姿を消したとして
被害の届け出が出ていたことも分かる。当時の顧客リストが
残っており、彼の販売ルート・客を引き継いだ人物・バリーも
居ることから話を聞いていくことになる。
決して一緒にいてはいけない家族がある。それでも親子関係で
あることには違い無いということで、複雑な心理が働くと同時に
ラッシュ家の事情も織り交ぜて描かれたもの。
建国以来アメリカでも何処でも男尊女卑のようなことは
まかり通っていたのだろうし、離婚を快く思わない風潮が有ったこと。
そして何よりも幸せ家族という形そのものに幻想を持ち続けた
ものが、その形を維持しようとしがみつき、世間体を気にして
幻想を崩すことが出来なかった事情が存在する。
何よりも周りの人たちもまた同様のことが家庭内で起きている
にも関わらず、それを公には出来ず、例えそれを感じて居ても
プライバシーという名目上、なかなか他人の家庭には介在できない
という暗幕のルールが存在していたということで、悲劇が起きて
しまった。
一見すると本当に理想の街がそこにはあるって感じだったけど、
華やかだった当時の町並みも2009年の世界では随分と寂れて
いた。しかしそれでも尚、40年以上経過した今でも、当時の主要
メンバーがこの周りに住んでいるという辺りは、結構驚くもの
が有ったかな。
背景にベトナム戦争時代が有り、情勢不安などが有ったのだろう。
それぞれ社会や将来に不安に感じる中で、男性は不満のはけ口を
至るところで発散しているのにもかかわらず、女性は家庭を
守るものだという固定概念からして、一人孤独に耐えるしかなかっ
たところがあるのだろう。
セールスマンというイメージからどうしてもあまり良いイメージ
を持たなかったけれど、このドラマに於けるロイはとても勇気が
有り、顔だけの男ではなかったところが意外でも有った。
幸せな家庭を壊す悪役イケメンみたいな役割かと思わせて実は、
彼こそこの界隈に幸せをもたらしていたのね。
彼の様な人物が保安官にでもなれば良かったのだろうけどね。
今でもグレンというクズみたいな男性とは離婚せずに寄り添って
いる妻が可愛そうに思えた。ケヴィンは逃げることが出来たけど、
結果として母親を置いて来てしまった格好だった。
これに照らし合わせてみると、ラッシュ家の事情は何が悪かった
のだろうか?父親は妻のアルコール中毒から逃げてしまったのか、
それとも元々の原因は父親のポールに有ったのか分からないのだけ
ど、今回のケヴィンが母親の元に戻れたようにして、リリーも
父親の元に戻れれば良いのだろうけど、父親は新しい家庭を持って
いるからね。
最後母親のエレン・リン・ラッシュ(1944年11月2日~2007年5月5日)
の墓参りしていたけれど、リリーもこれを機会にして前に進んで
欲しいところだ。
ヴェラが今回は突っ込まれ役だった。
自宅に戻ることが出来ずにオフィスで寝ている現状がシーズン6
では描かれているけど、トニとの同棲を始めてから追い出されて
しまっている状況のようだ。
しかし時の流れは恐ろしく、宅地造成の為に町並みが変わって
いることもあるのだろうけど、あの可愛らしさ・幼さが有った
15歳のケヴィンの現在の姿が相当凄い恰幅の良い毛むくじゃらな
中年になっていたことか。
■使用された曲
・These Boots Are Made For Walkin’ by Nancy Sinatra
・I’ll Be Your Mirror by Nico
・Lightning’s Girl by Nancy Sinatra
・European Son by The Velvet Underground
・Pale Blue Eyes by The Velvet Underground
・Let It Out (Let It All Hang Out) by The Hombres
■検索用キーワード
・
リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から
ポール・クーパー (Raymond J. Barry) リリーの父
2009年
アリス・ミルズ (Hildy Brooks)
ダイアン・ドリュー (Pat Crowley)
ノーム・ファーンシェーン (Brad Greenquist)
ハリー・ハップグッド (Jerry Hardin) 現役セールスマン
グレン・ドリュー (Monte Markham)
ジョーニー・ポキュー (Robyn Peterson) ロイと良い感じの関係
ケヴィン・ドリュー (Duane Whitaker) 息子
1967年
ロイ・W.ダン (Bailey Chase) “サングソンブラシ”セールスマン、35歳
ダイアン・ドリュー (Wynn Everett) 妻
ジョーニー・ポキュー (Alexa Havins) 夫は出張がち
ケヴィン・ドリュー (Drew Osborne) 息子、15歳
グレン・ドリュー (William Ragsdale) 夫、男娼と関係、DV
アリス・ミルズ (Alla Korot) 未亡人、ロイが彼女の夫を殺してしまう
ノーム・ファーンシェーン (Matthew Alan) ベトナム戦争の被害者
— (Jon Bradford) ND Young Man
ハリー・ハップグッド (Justin Ipock) ロイの後輩セールスマン