第6話 幽霊船 Chimera
「極秘調査船キメラ号」
脚本/Dan E. Fesman
監督/Terrence O’Hara
【ストーリー】
船が航行する中、マイタスは船員に食事を配る。大佐はフェリス大尉
を見て居ないかとして食堂にやってくるがトイレではないかという。
マイタスへの復讐を計画中でしょうというと、マズイ料理に・・と。
フェリスに対して戦略軍から指示はないのかと問うと来ていないと
いう。そんな中、突然食事をしていたタカダ少佐が苦しみだして血を
吐いて倒れる。
トニーはジヴァにストローを使って何度もイタズラをする。
そんな中アビーがやってくると今夜はブレーマターの日だという。
アビーの友達のバンドでライブに行くと言ったでしょという。
ジヴァは山ほど仕事が残っているとしトニーも大事な用があると
いう。マクギーも断ろうとするが・・・ギブスがやってくる。
ギブスはマクギーに対して酔い止めの薬を投げて渡すと、これから
アナコスティア基地でヘリコプターが待っているという。マクギーは
ヘリなら酔い止めは不要だとするが、ヘリに乗って船に移送される
のだという。海軍所属のキメラ号。詳細は基地で聞くので今から行く
という。アビーはライブは結構遅い時間だよと語るが・・
マクギーはキメラ号など登録されていない事を語る。ギブスは
ダッキーも呼ぶとし、何日かかるか分からないので用意する様告げる。
みんなアビーにチケットを返すとごめんねと語る。
スキナー中佐の元に行くと、今朝私の方にも連絡が入ったという。
死因は?と尋ねるが情報をなかなか話そうとしない。ヘリで夕方には
キメラにつくというが、帆船リストの乗っていないことを尋ねると
極秘だからという。最先端の設備を備えてトップシークレットの調査を
行っているのだという。スキナーは船に乗り込んで遺体を回収して
戻ってこいというが、ギブスは事件捜査をしないといけないと語る。
船に何があるか君らには知る権利はないというが・・
トニーはそれを聞いてブラック・シップですねと語る。ジヴァは
ブラック・シープかと問うと、ブラック・シープは存在しない船
という意味だという。しかしジヴァは黒い羊ならばみたという。
海軍は今も国民に隠れて何かをやっている様だというトニー。
船内の様子は記録に残すなとしてカメラ撮影も禁止するがギブスは
持って行けと反発する。
ヘリのパイロットのロジャースは船から全く連絡がないと語ると、
スキナー中佐に知らせろというギブス。
誰も乗っていない幽霊船のように思われた。マクギーは嫌な予感がする
事を語る。ロジャースはもうヘリの燃料が無いが引き戻るかと
問うとギブスは残るという。
室内を見ていくがボロい貨物船にしか見えないという。目立つことを
避けたいのでしょうというマクギー。ダッキーは違う船ではない
のかというが、ギブスは何か有ったのだろうという。クルー全員が
消えたなんてキメラ号ではなくフーディーニ号だというトニー。
マクギーは再生中の音楽プレイヤーがあること。マクギーの好きな
ブレーマターの曲じゃないかというトニーに対してボクだって辛い
という。そんな彼にまた酔い止めの薬を飲むかというトニー。
テーブルの上を見てヘンだという。フルハウスなのに勝負を降りている
事。ジヴァは手紙があるとし、メアリーベス宛のものだった。
「良い知らせがある。夕べの潜水で作業が上手く行ったようだ。探して
いるものが見つかったならもうすぐ帰れるハズだ」というものだった。
この船で欠けているものは何かというギブスに対してダッキーは人だ
と語るが、ギブスは救命ボートだという。船を捨てたのだろうとし
相当急いでいたのだという。
そんな中マクギーは酔って嘔吐する。
そんな中ある部屋には近代施設が備わっている部屋があった。
何らかの研究室でネズミに関連したものだという。中佐は隠した
がっていた研究なのか。ダッキーは設備は水温塩分計に蛍光光度計、
岸業分析計があると言うと調査対象は肉眼では見えないものだという。
そんな中船体が大きな音を立てる。船体が収縮した音なのか。
上の貨物室からだというと、ギブスは確認してこいという。
トニー、ジヴァ、マクギーは貨物室を調べると、ジヴァはこの船の
中には何かがいるという。すぐソバに何かを感じるというと、
トニーの近くにネズミがいた。そんなにビビることかというマクギー。
ジヴァは小さくて可愛いじゃんという。臆病者なのかというと、
君はペストで死にかけたことがないのだろうというトニー。ネズミは
病原菌を運ぶとし、ウィラードのネズミだという。
■今回の事件
・海軍所属の船籍キメラ号で事件が起きたという事でギブスたちは
出動するが、詳細は何一つ聞かされぬまま。
・キメラ号を指揮しているのはスキナー中佐。彼はトップシークレット
の調査を行っているとして何一つ話そうとはしない。
・いざヘリコプターを経由して乗船するが誰一人船には乗って居らず、
救出ボートもないことから、何らかの理由で脱出したのではないか
と疑う。
・食堂で日系の海軍少佐で海洋生物学者タケダ・サトシの遺体が
発見されるが、その近くには血の混じった吐瀉物が有り、感染症や
ウィルス性の出血熱が疑われる。
・もしも空気感染するようであれば、NCISの捜査官たちも無事では
済まされないということで、捜査には慎重を要するものが有った。
・シェパードに報告すると、彼女はスキナーに対して、船で行って
いた調査の詳細を話すよう要求するが・・・
■感想
今回はやたらとトニーの映画の引用・例えが多かったエピソードだ
った。前回マクギーに助けられたトニーが彼の事をもういじめない
としていたことからも、そのいじめのベクトルはジヴァさんへと
向かい、冒頭ではストローでジヴァをいじめるトニーの光景が
微笑ましくもあった。昔のジヴァならば寝首をかくわよ!くらいに
トニーの意地悪に応戦して来そうだったけど、何故かそのまんま
受け流していたな。
アビーは友達のバンド”ブレインマター(Brain Matter)”のライブ
の日だとしてみんなを誘っていたけど、アビーの音楽センスと
みんなのそれとは相当な隔たりがあり、もの凄くありがた迷惑そう
だった。
そんな中でギブスからの捜査の知らせで助かったとばかりに逃げる
ようにして現場に行く捜査官たちの光景が滑稽だった。
■幽霊船に乗船?
誰も乗っていない船に対して、何のバイオレベルの対策もせずに
ズカズカっと乗り込んでいく光景はちょっと違和感が有ったかな。
人が居なければ当然そういう可能性も考えられたのではないかという
気がするのだけど、海軍が生物兵器の開発をしていたことなんて
有るわけないと考えていたのか。
こういう光景を見るとドラマ「ザ・ラストシップ」を思い出すね。
感染症とかウィルス性の何かが船内を汚染しているとは考えなかった
のか。最後にロシア人が強襲してきたり、キメラ号をミサイルで
破壊するところなどまさに「ザ・ラストシップ」!!
死亡していた人物はタケダ・サトシ。
「リベンジ」で真田広之さん演じた人物とまるで同じ役名(笑)
日本人は世界の中でも最も多い名字を持つ人種の一つなのに、
何故ダブルのか。その割りに「ファイブオー」なんか見て居ると
ノシムリとか変な名前の微妙な日本人ヤクザが出たりするし・・
■キメラ号
ジヴァが何かいると常に感じていた。
トニーは相変わらず彼女をからかって
「モサド流の鋭い忍者センサーで何か感じたのか」としていたけれど
「モサドでは目に見えないものも否定するなと教えられる」
「自然の法則では説明出来ないものもある」として語る。
キメラに関して
「ギリシャ神話のキメラは怪物で頭はライオン、体はヤギ、尻尾は
ドラゴンだ」とジヴァは語る。
■恐怖症
ここの所恐怖症がネタとして取り上げられることが多いな。
前回マクギーの高所恐怖が取り上げられたけれど、今回は
アビーとマクギーが交信する際に、
「ボクは船恐怖症、トニーはネズミ恐怖症、シヴァは幽霊恐怖症と
戦っている」と語っていた。ただジヴァは幽霊を恐れていたという
感じではなかったけれどね。
トニーはその後遺体の血を吸い込んでしまったことから、死の
恐怖に苛まれることになるけど、血液分析に関してやり方を知らない
トニーが交信しながらアビーに方法を教わる光景が有ったりして
楽しい作り。
しかしダッキーが検査の結果、白血球増加、異常な外見を持つ
リンパ球の増幅、ネズミに噛まれた跡からして空気感染ではない
ことを語る。
■思惑の違い
スキナー中佐が取り仕切っているかのようにも思われたけれど、
リスクを承知してNCISの捜査官を乗船させたことにシェパードは
激怒。この二人、ガチで戦うとどちらが権限的には勝てるのだろう
か。スキナーはシェパードに対して秘密保持契約にサインして
シェパードに全てを話そうとしていたけれど、
「私を丸め込むつもりか?無駄よ。地位や富が有り、あなたよりも遙かに
見た目がいい男が私にそれをやろうとして失敗した。」
「私はルックスで局長になった訳ではない」
スキナーは救出船などを送っていることを語っていた。
それでもシェパードは信用せず哨戒機を飛ばして状況を見せろと
ばかりに迫る。
■トニーのパニックが始まる
トニーは血液検査の際に臭いを嗅いだことで感染しているのではない
かと思い込んでいる。
「痒くない?」
「虫さされ?」
「ネズミかも」
「シミね」
「朝から有ったよ」というジヴァさんはトニーのことをよく観察して
いるな。
出血熱の症状に関して尋ねると、
「被害妄想や恐怖感など精神的不安に陥り、その後体に異変が
あるという。アトピー性のメラノゾーム(発疹)が現れると。痒みに
高熱だ」というダッキーの言葉に対して、該当する項目だらけの
トニーは死を意識する。
■トニーの求める死に方?
死に方を語るトニー
こんな死に方は嫌だとして色々と映画を引用していた。
「白熱」のキャグニーみたいに派手な爆死とか、「明日に向かって撃て!」
の2人みたいに蜂の巣にされたいという。
ギブスが「黄金狂時代」のチャップリンは?と尋ねると、どういう死に方
かトニーも映画を見たことが無かったようで、サイレント映画なので
当然「黙って死んだ」と語られる姿が有った。
トニーを励ますマクギー
マクギーとトニーが電源が切れた艦内の状況を調べる際に、トニーは
高熱が出てきたとして弱気になっていた。
マクギーは空調が動いていないので熱いだけだとするが、トニーは
もうすぐ死ぬと語る。
「前回深刻な病気で死にかけた時のトニーはもっと冷静だった」
「あの頃は若かった、暢気だったと」
「2年前のことでしょ」
2年前の事とは、当然ケイトがいた頃のエピソード(S2-22「死の口づけ」)
■その他映画の引用シーン
映画「エイリアン」パート1
ジヴァが何か物音聞いてライトを片手に探る際にトニーが語ったセリフ。
リプリーがライトを手にモンスターを探して長い通路を進んでいく。
「深く静かに潜航せよ」もそうだというトニー。
厨房のマイタスを逮捕
「オレはただの料理人だ知るわけがない」とした際にに
「沈黙の戦艦」のセガールもそういって大暴れしたと語り
「レッドオクトーバーを追え!」もそうだったというトニー。
■強襲船が近づく
ドラマとしては終始物音を感じていたジヴァの意見が正しかった。
船内には料理人だけでなく、通信士のフェリス大尉が残っていた。
救難信号を出さずにいることに違和感を覚える中、ギブスの元に
シェパードから強襲船が向かっている事を語る。
フェリス大尉はロシア軍のアレクセイらと繋がりが有り、この船が
回収したソ連のK629計画の亡霊である核弾頭を奪おうとしていたもの
で、アメリカでも同時に回収しようとしていた。
ギブスの機転でキメラ船を乗り捨てて、強襲船に乗り換えて逃走した
途端に巡航ミサイルが突然キメラ号にぶつかる。
「私たちが降りたのは何故分かったのか」というジヴァに対して
「分かっていなかったんだ」というギブス。
なんだかアメリカ海軍の根深いものを感じるけど、このエピがその後
追求されることなんてあるのかな。
■ジヴァさんの勘違い
「ブラック・シップですね」
「ブラック・シープ?」黒い羊ならば見た。
■使用された曲
・
■出演者
リロイ・ジェスロ・ギブス (Mark Harmon) 主任
アンソニー・ディノッゾ (Michael Weatherly) “トニー”
アビゲイル・シュート (Pauley Perrette) “アビー”コンピュータ
ドナルド・マラード (David McCallum) “ダッキー” 検視
ティモシー・マクギー (Sean Murray) コンピュータ
ジミー・パーマー (Brian Dietzen) ダッキーの新しい助手、検視
ジェニー・シェパード (Lauren Holly) NCIS Director
ジヴァ・ダヴィード (Cote de Pablo) モサド
コーリー・マスタス (Bill Heck) 厨房の料理人
ショーン・フェリス (James O’Shea) Navy Lt / 大尉
アレクセイ (Graham McTavish) ロシア軍
— (Rick Kelly) Navy Capt./大佐
ウィリアム・スキナー (Steven Culp) Commander / 中佐
— (Christian Svensson) Pirate
— (Jordan Marder) Pirate
— (Craig Gellis) Civilian Crewman
— (Wally Rudolph) Civilian Crewman
ロジャース (Roshawn Franklin) Crew Chief
サトシ・タケダ (Eiji Inoue) Navy Lt. Cmdr. / 少佐、海洋生物学者
— (Leor Aigen) Russian Pirate