第6話 狙われたボクサー Run On
脚本/Sean Whitesell
監督/Randy Zisk
【ストーリー】
バーに居たメンフィス市警の面々。
ジュークボックスに金を入れて音楽を流すサットンはその曲に合わせて
歌うとドワイトらも参加。気がつくとバーのみんなが楽しそうに歌う。
一曲歌い終わったところでサットンは悪のりでグリーンバックと
殴り合いをするとそれが客にも伝染していき、店の中は警察対常連客
の構図になる。みんなで大暴れして倒した後、またみんなで歌を歌う。
サットンは酔って帰宅する中でドワイトたちに語る。
「人生とは?一体何の為にある?教えてくれ」と。しかしサットンは
自ら答えを出すようにして「今夜は最高、人生も最高だと語る。」
夜のコンビニ備え付けのカソリンスタンド。
地元の人気ボクサーのハニーボーイはポルシェに乗って給油所に
立ち寄る。妻のビリーにすぐに帰宅すると電話する中、突然
ヘッドライトを煌々と照らしてハニーボーイに近づいてくるものが
有った。金属バッドを持って更に銃声を鳴り響きかせる。
すぐにメンフィス市警の面々も現場に呼ばれる。
サットンが既に捜査をしていて、人が撃たれたとし、その被害者は
ボクサーのハニーボーイだという。命は助かりそうだが頭部を撃た
れて脳に損傷を負った恐れがあるという。サイフが無いこと。
更にあの殴られ方を見ると増悪犯罪かも知れないことを呟く。
事件は一時間前に起きていることを聞く。付近にはチンピラや娼婦
がいたが何も見て居ないという。サットンは拘留して問い詰めるか
と問うが、聞き込みして帰してやれというホワイト。
俺たちもソバを通ったのに立ち寄れば防げたのかも知れないと語る。
あいつは子供にボクシングを教えているし、試合でも活躍したヤツ
なのに気の毒だというドワイト。
ガソリンスタンドの備え付けのコンビニの店主・フィルに話を聞く
と、何も見て居ないという。レジから外は丸見えなのに何も見て
いないのかとして不審がる。銃声が聞こえた時には向こうでコーヒー
を入れていたとのこと。通報したが何も見て居ないという。防犯カメ
ラは忙しくてスイッチを押し忘れたかと問うホワイトに映像はある
として提出する。足を引きずるフィルの姿が有った。地元の英雄の
顔を襲われても誰も気がつかないなんて、この街はどうかしてるなと
ドワイトとホワイトは語る。
病院に行くと、妻のビリーはいつ意識が戻るか分からないと言われた
とのこと。襲われた時に彼と電話していたとし、彼は給油所に
よると言っていたという。恨まれていた人はいなかったかと問うと
みんなから愛されていたという。助かって欲しいとすると彼ならば
きっと良いパパになるという。妊娠3ヶ月だと語る。全力で犯人を
探すと語るドワイト。
ハニーボーイ(28歳)。タイトルを目前にして先週引退したこと。ダメ
ージの蓄積を心配しての引退だとターニャに報告すると賢明な
判断だという。計画しての事件性が高いというが、ターニャは人生
は残酷なもので元々犯罪の多い地域だという。今、防犯カメラ画像
を解析しているとし、犯人の車はセダン車ということが分かっている
とのこと。
そんな中ロン・ファンクは破産寸前だという話が有るという。
5年前からハニー・ボーイのプロモーターを始めたが、稼ぎ頭の
ハニーが引退すれば痛いハズだという。更に以前ヤツの配下の選手
が金絡みで死んでいるとのこと。ターニャはファンクから話を聞いて
くるよう告げる。
ファンクの事務所にいくと話を聞く。アリバイを尋ねると選手と食事
をしていたという。あんたは破産寸前も同然だとして引退して金づる
を失い襲ったのではないかという。
ハニー以外に選手はいるとし、今でも短縮ボタンを押せば有力な
マネージャーと連絡が取れるという。ドワイトはボタンを押してみる
と、ワイルドマンボクシングジムに電話が繋がり、ファンクからの
電話だと知ると金を返せ!という。ファンクは確かに金は無いが
処世訓を2つ持っているという。
1) 選手は引退後必ず復帰する
2) 鴨は殺さない。
俺は殺人はしないとし短絡的なヤツだという。通称バグと呼ばれる
ハニーのスパーリングパートナーの男は以前強かったが今では
腰抜けだという。その男の方が怪しい事を告げると、その根拠は何か
と尋ねられる。ロッカー室でハニーを待っていたとし、そこには
銃を手にしていたのだという。
■概要
地元でボクシングの有名人のハニー・ボーイがGSに居た際に何者
かによって殴られ銃で頭を撃たれて重傷を負う。地元の英雄が
襲われたのに誰一人目撃していない事実に憤りを感じると共に、
「この街はどうかしている」と思わず二人の刑事は呟く。
果たして何故ハニー・ボーイは襲われなければならなかったのか・・
■感想
冒頭からオフでの出来事とはいえ、刑事がバーで大暴れ。
この人たち大丈夫か!!って感じだったけど、そもそもサットンが
酒の力を借りて妙に気分が大きくなったのが原因な感じだね。
酒の街では暴行罪で逮捕なんてことは無いのだろうか。ケンカ両成敗
とはいうけど、ホワイトもドワイトもイスで頭を殴っていたぞ(笑)
■過去の傷
今回のテーマは過去に起こしたこと、起こさなかったことでの精算
的流れが有った。
サットンは警察署で知り合った若者が自分と似た境遇で、同じく新調
したクツを買って同窓会に出ようとしていることを知り、共感を
覚える。
サットンは優遇して早くに彼に事務処理させてあげようとするが、
最後までイスに座っている姿が有った。悲しいことに動脈瘤の破裂
か何かでイスに座ったまま亡くなってしまったみたい。実はこの流れ
にボクシングの流れが繋がっていくと思っていた。
サットンはそんな男・スティーブが初恋の相手の告白するような
ことを言っていたことも有り、自分も出来なかった過去の初恋の相手
への告白を考える。
しかしその告白相手が同級生のジェイミー・スピアズかと思いきや、
なんと彼女の母で教師だったスピアズだった。
結婚して30年の女性。何か有れば連絡をと語り、サットンとしては
自己満足そうな表情を見せていた。
■事件の流れ
取りあえずハニーボーイが亡くならずに済んで良かったな。
彼は12才の頃に少年を半殺しにした事が有り、それが白人の男性
だったということで、記者会見時に見た男性に該当する人物では
ないかとして捜査する。
事件の容疑者は沢山居て、プロモーターをしているロン・ファンク
のことをドワイトは一番疑っていた。
特に借金があること。ファンクはハニーボーイの妻・ビリーと
浮気していたことも有り、複雑な状況が混在していた。
しかし正直ビリーはとても美形の黒人でハニーボーイもイケメン
だったけど、ファンクと浮気するなんて、正直金目的なのか。
あまりに不釣り合いで浮気するものだろうかと思わず小一時間だった。
ハニーボーイのスパーリングパートナーのバグも容疑者として浮上。
しかしその流れはファンクによって作為的に作られていたよう。
バグはまかりなりにもボクシングをかじっているので、逃走した際に
ドワイトがボクシングで勝負して逮捕しようとしていたけど、それは
正直無理すぎるだろうと思っていたら、突然ドワイトは「ハウリンウ
ルフ」と称して過去のボクサーの名前か何かを次々の出しては、
「悪魔の沙汰だ」として逝かれている姿を見せて、バグをビビらせて
いた。ファンクからの情報でバグは臆病だということを聞いていた
からだろうか?
信仰ネタが多く、最終的には容疑者の男・ランディから自供を引き
出す流れを神の名の下で行った。彼が十字架のネックレスをして
いたことも有るので信仰心があると感じたのだろうか。
ハニーボーイ自身も牧師との繋がりが有ったし、プロモーターで
悪事を働いていそうなファンクもまた教会との繋がりが有った。
神が如何に酷いことをするのか。
ドワイト自身が一番その辛さを味わっていて、父親が殉死している
こと。聖歌隊に入っていたというドワイトは父の死と共に教会には
通わなくなっていたことを語る。
何か悪い事をした人に取ってはやはり最後に頼りにするのが神なのか。
家庭を持つようになったり子供が生まれるようになったり、両親が
年老いたりした際に、子供時代のやんちゃだった頃の自分が如何に
幼かったのか、安易な考えを持っていたのかを知ることになったりする
んだよね。
結局犯行は車を購入したディーラーの事務員がランディに情報を
流していて、高い車を購入した人物を標的にしていたというだけの
ことだったのかな。
ハニーボーイが怪我をさせて相手の足を不自由にさせたように、
自分にも車椅子の流れが有って、ちょっぴり因果応報にも感じた
けれど、怪我をさせられたフィルはハニーボーイのことを恨んでは
いないみたい。
最後にドワイトは退院するハニーボーイの為にエルビスとモハメドアリ
が一緒に写っている写真をプレゼントしていた。
■使用された曲
・I Thank You by Sam & Dave
・Honky Tonkin’ by Hank Williams
・It’s Bad You Know by R.L. Burnside
・Boot Leg (Single Version) by Booker T. & The MG’s
・(Do the) Push and Pull, Part 1 by Rufus Thomas
・Green Onions by Booker T. & The MG’s
・Honey Pot by The Mar-Keys
・Hush Your Mouth (Alternate Take) by Bo Diddley
・Terrible Thing by Booker T. & The MG’s
・Tighten Up by Booker T. & The MG’s & The Mar-Keys
■出演者
ドワイト・ヘンドリックス (Jason Lee) メンフィス市警
チャーリー・ホワイト (Sam Hennings) “ホワイトヘッド”、ドワイト相棒
ディヴェイ・サットン (DJ Qualls) メンフィス市警・制服警官
ポーラ・アン・ヘンドリックス (Celia Weston) ドワイトの母
Sgt.JC ライトフット (Abraham Benrubi) メンフィス市警 (ジョディ)
レジナルド・グリーンバック (Leonard Earl Howze) メンフィス市警
Lt.ターニャ・ライス (Alfre Woodard) メンフィス市警・警部補
ロン・ファンク (Erik King) ボクシングプロモーター
ランディ・パーキンス (Sam Ball) 赤いカムリ、加重暴行などの前科
ジェリー・バーグナー (Karl Makinen) “バグ”、ボクサー
アンドレ (Tim Bellow) 牧師
ピー・ウィー (Gregory Bright) ジムのトレーナー
ビリー・ハワード (Brandi Gerard) ハニーボーイの妻、妊娠3ヶ月
グロリア (Donna Duplantier) M.E / 鑑識
スティーブ (Lance J. Guidry) 署に来て死亡
フィル・ジョーガンソン (Brent Phillip Henry) ガソリンスタンドの店主
— (Sean Huze) Desk Sergeant
Mrs.スピズ (Ellen McElduff) サットンの小学時代の教師
ウェンデル・タイラー (Stephen Sutton) “ハニーボーイ”
クルーズ (Alexander Eldimiati) 捜査官
— (George Young) Singer / Choir Director
— (Nicki Sixteen) Street Hustler
— (Timothy A. Vasquez) 捜査官