第14話 無法地帯の友情 De Los Muertos
脚本/Richard Catalani
監督/Louis Shaw Milito
【ストーリー】
「聖母マリア様、私達の為にお祈りを・・・」
富豪のガブリエル・オルティスの娘・アナがメキシコのアルケロで
遺体として発見されたことを受けて葬儀を行う。
参列したものは、可愛くて優しい故だったのに・・・アナは初恋だった
・・素晴らしい生徒だったなど、色々と話をする。
その中に検死官のアルもやってくる。アルはガブリエルとは旧知の仲
で、娘の死にさぞ辛いだろうと語る。娘の死は未だに謎だらけだという
ガブリエル。3日前にメキシコ国境アルケロでアナの死を知らせて来た
という。地元の検死官によると麻薬中毒だとし、写真と指紋は確かにアナ
のものだったという。しかし遺体の引き渡しさえ目処がたっていない
こと。解剖はするなと伝えたが、死因を確かめる為にもアルが現地に
友人として行ってくれないかという。妻が亡くなってから娘が全てだ
ったとし、こんな最後は受けられないという。
アルケロなんてアナが行くはずもないし、ドラッグなんて無縁だった
アナが何故そんなところに居たのか。真実を知りたいのだというと、
アルは仕方なく了承する。
グレッグとデビッドの元にサラがやってくる。
大家が家賃を取りに来た時に遺体を見つけたもので、夫婦2人で住んで
いたという。ガレージの窓から見たらこんな状態になっていたとのこと。
コンクリートが高く積み上げてありその中に遺体が二体入っていた。
まるでミキサー車から捨てていったみたいな遺体だというサラ。
被害者は家に住むブレット・マーシーと妻のクレアだろうという。
ブレッドが下水管の工事の修理を終えてコンクリートを自分で何とか
しようとした際に殺されたのか。誰かが死体を埋めようとしてそれが
中から戻された感じだという。恐らく配合を間違えたのだろうという
サラは、コンクリを削って遺体を取り出すと語る。そんな中、死んだと
思っていたブレットが帰宅する。クレアが死んだのかとして、弟の
ジェフも死んだのかと。その遺体は妻と弟だという。私はカリフォルニア
を一晩留守にしただけでその間に私がコンクリの作業をしていることを
知り弟が手伝ってくれていたという。弟はウチに泊まりに来ていたとし
大ざっぱなヤツだったという。殺されるようなことに心当たりは?
と尋ねるが思い当たらないとのこと。必ず捕まえるとグレッグ。
メキシコにはアルと共にニックが行く事になる。
滞在中にはメキシコ連邦警察・・アメリカのFBIのような捜査機関の
一人が護衛に同行してくれるという。ハビエル・シルバ捜査官。
検死結果はこっちのラボと連携するとし、アルはニックに通訳も頼む
という。国境のあの辺は西部劇さながらの無法地帯であり長居は無用
だというラッセル。
メキシコ・アルケロ市。
シルバと共にモルグにいくニック。
Dr.ブランコ検死官の元にいくと例のアナの件で来たのかという。
どうせ出張しても追い返されるだけだと知って来たのかとして帰れと
いう。アルは決してそちらの領域を侵そうというものではないとし、アナ
の遺体を調べさせて欲しいという。モルグはこの奥だとしてシブシブ中に
通される。モルグは雑然としていた。他にスタッフは居ないのかと問うと
殺しは年1千件でしょというニック。しかしあれは殺しではないとし、鼻孔
服、髪の毛にもコカインまみれだったという。ドラッグをやるような子
ではないという。
アルは早速遺体を調べる。
ニックはアナの服を引き取ってきたと語る。父が結果を知ったらショック
だろうと。頭髪が薄くなり、口に炎症があるとし、肝臓・腎臓の損傷
の程度から定期的に薬物をしていたのだろうと。心臓の血液をベガス
に送ってラボで調べてもらおうという。鼻孔や頭髪から採取した粉も
調べてもらうというニック。
ニックは遺体の足が変ではないかというと、組織損傷から凍傷だろう
とし、謎だという。衣服にはトウモロコシの皮だらけなのも謎だった。
サラは遺体をコンクリから掘っていく。
グレッグは遺体はクレアとジェフだが頭をガレージで撃たれている
が彼は貫通しているが彼女は射出口はない。膨張モルタルのせいだと。
その弾道を見極めるのは無理な状態だった。ジェフは銃を手にしている
こと。またジェフの荷物から抗うつ剤が見つかって居ることから無理心中
は考えられないかという。彼女を撃ち、セメントに入れた跡に自分も
横たわって自殺したのではないかというグレッグ。しかしサラはクレア
の服には拘束飛沫血痕があり、彼女の血と符合しないこと。ジェフの血
だとし、ホシが銃を持たして埋めたのだろうというサラ。
オッカムの剃刀か・・と呟く。
メキシコでは麻薬カルテルの虐殺の記事の新聞がモルグに置かれていた。
みんなモルグに運んだがショッキングな事件を一面に載せる感覚が
分からないという。死亡記事は売り上げがアップするという。まるで
カルテルをヒーロー扱いだというニックに対して、ベガスだってギャング
が作った街だろうというシルバ。麻薬はベガスのような欲望と快楽の
街へいく。買い手が居る限りカルテルは消えないと言われる。
そんなニックは写真を見て先週のカルテルの抗争で射殺された連中の現場
写真にトウモロコシの皮があるとし、アナに付着していたのと同じだと
語る。遺体同士で相互汚染が起きているのかも・・・。しかしモルグは
例えぼろくても仕事はきちんとしているとブランコは反論する。
■感想
今回も二つの事件をラスベガスとメキシコの地の二元的な流れとして
扱っていくのかと思われたけれど、結果として見ると一つの事件であり
物流の流れが皮肉にもアメリカからメキシコに渡っていて、メキシコから
アメリカにコカインなどの麻薬の流通があるのと同時にアメリカから
もメキシコに遺体が運ばれるという辺りがまた何とも言えないところ。
犯罪は国境を越えて・・って感じだけど、そう簡単に税関って通ること
が出来るのかな。
■事件ケースA
メキシコで遺体として見つかったアナ。
現地検死官や捜査官は遺体をなかなか引き渡そうとせず、しかも死因
は麻薬の過剰摂取と来たもんだ。
ニックとアルが現地に飛ぶ。
これもアルの友人である富豪のガブリエルからの頼みだけど、足の悪い
アルをそんな危険な現場に派遣することへの非道さも感じる。そもそも
ガブリエルという名前からしてメキシコ系の人に思えるけど、リスクを
背負わせるのであれば、それ相応に彼自身も個人的に支援してあげれば
良いのにね。
アメリカ人はメキシコの検視能力を疑っているというのも確か。
これは日本人にも言えることだし、韓国人や中国人の中でも
自分たちこそ一番だという意識が働き、なかなか他国を信用しない
ところが有って、自分たちの基準でやることで安心感を得ようとする
心理が働くのかな。
ニックとシルバ連邦捜査官。そしてアルとブランコ検死官。
この二人が当初は互いに牽制し合いながらも、少しずつ捜査するに従い
関係を築いていくという流れを作っていく。
そういう流れのドラマや映画というのは、大昔から存在していて、
真っ先に思いつくのは映画「夜の大捜査線」のシドニー・ポワティエと
ロッド・スタイガーの黒人と白人の捜査だと思う。
映画「レッドブル」ではロシアとアメリカの刑事が互いの国で捜査を
行い、最終的には握手するまでの関係に至る。
相手に対するリスペクトの気持ちが生まれる途端に協力したくなるし、
これまで反目し合っていたことがバカのように思えてくるんだよね。
どのようなところでリスペクトが生まれるのかと言えば、アルの
検視能力のスキルであり、そしてニックの恐れを知らない型破りな
現場での捜査だったのだろう。
「BONES」などでも既に現場捜査とラボでの分析のような流れは存在
していて、まるで国境の隔たりなどは感じない流れもある。
結果として見ると、被害者のアナはトックスの結果、麻薬はしていない
ことが判明。重金属中毒、そしてニックが調べた現場でのタイヤ痕、
コカインの粉だと思われていた粉末がプラスチックだったことから、
ラスベガスから運ばれたものだということが判明していく。
捜査中にはホッジスがモニタ越しでアルと交信した際には、メキシコの
モルグがあまりに不潔なのであれこれ言うのをブランコに聞かれた
際にアルがフォローの為に言う言葉が笑えた。
「ラボで一番変人でいいやつなんで許してやってくれ」と。
ブラスはシルバが逮捕されアルたちが危険な状態にあると知った時には
迅速に対応してくれるところがあるなど心強い味方だったな。
■事件ケースB
民家で起きた夫婦を狙った殺人事件。
殺されたのは主人のブレットと妻のクレアかと思われたが、ブレット
が不在の間に弟のジェフが殺されていた様子。
担当したのはサラとグレッグがメインで、モーガン、フィンはフォロー
していた。
フィンは銃器から何とかして線条痕を取り出そうとして努力していた。
こちらの死体もミーズ線があり、重金属中毒。毛髪を調べると一日
起きに何かを摂取していることが分かりアナと同様の形跡が有った。
ラスベガスのプラスチック会社を調べてメキシコのアルケロ市に運んで
いる運転手を調べる。
すぐに特定してブラスが調べたが遺体だと知らずにドラム缶を運んで
いたこと。
グレッグはトックスでタリウム中毒だということが判明。
アナとクレアの共通点を探る。なかなか見つからなかったが、ペンキ
が付いていたことや、写真の撮影場所から見てヘンダーソンの一軒家
だと特定。そこでアトリエとして離れを借りている男性がいて、
その人物がパーテル製造繋がりがあることが判明。
割れたワイングラスに火を付けるとミドリ色の炎が出てそれがタリウム
である証拠だとグレッグは語る。クレアは昔の仲間にモデルを頼まれた
としていたことから、キース・ガーナーにたどり着く。
キースは過去クレアにもアナにも高校時代に美術を教えていた教師と
いう共通点が見つかっていった。
■使用された曲
・Who Are You by The Who
■出演者
D.B.ラッセル (Ted Danson) CSI主任・S12より
ジュリー・フィンレイ (Elisabeth Shue) CSI・S12 #14より
ニック・ストークス (George Eads) CSI ・ S12・昆虫学
サラ・サイドル (Jorja Fox) s10で復帰
グレッグ・サンダース (Eric Szmanda) CSI研究員
アル・ロビンス (Robert David Hall) CSI検死官
デビッド・ホッジス (Wallace Langham) CSI
デビッド・フィリップス (David Berman) CSI (眼鏡の方) 検死
モーガン・ブロディ (Elisabeth Harnois) L.A市警、SID、エクリー 娘
ヘンリー・アンドリュース (Jon Wellner) DNA
ジム・ブラス (Paul Guilfoyle) 刑事、警部
ミッチェル (Larry Mitchell) 捜査官
コンラッド・エクリー (Marc Vann) CSI
Dr.ラファエロ・ブランコ (Julio Oscar Mechoso) メキシコ検死官
ガブリエル・オルティス (Benito Martinez) 資産家、アルの友人、妻も故
アナ・オルティス (Vanessa E. Garcia) 娘、18歳資産家令嬢
ハビエル・シルバ (Bayardo De Murguia) メキシコ連邦捜査官
ブレット・マーシュ (Graham Hamilton) クレアの夫
クレア・マーシュ (Monika Casey) 33歳、義弟ジェフと共に自宅で死亡
マテオ・ガルシア (Jorge Jimenez) プラスチック会社・運送業
— (Felipe Alejandro) Local Police Officer
— (Ron del Barrio) Uniform
— (Portia Derricks) Middle-Aged Woman
— (Timothy Granaderos) Teen Boy
キース・ガーナー (John Ruby) 画家、高校の美術教師
ヒメネス (Cosme Espinoza III) 捜査官
— (Jessee Foudray) Mexican Pedestrian
ジェフ・マーシー () ブレットの弟、抗うつ剤