第17話 イリュージョン Vanishing Act
脚本/Warren Leight
Jerome Hairston
監督/Peter Werner
【ストーリー】
Shaun Robinsonがレポートをするaccess hollywoodという情報番組。
マイルズ・ストーンは現在人気のマジシャンの一人である挑戦
をしていた。墓地の中の棺桶に入れられたマイルズは1ヶ月を
地中の中で過ごすというものだった。
彼ならは成し遂げられると街を行き交う人たちは語る。
黒人女性のKarla Mosley、ボディガード付きのPaul Shaffer、
裸のミュージシャンThe Naked Cowboyは、それぞれマイルズに
コメントを出し、彼が地上から出たらパーティーだとか、彼は
第2のフーディーニだと語る。
地上1.8mからどう脱出するのか。過去にこれに挑戦したものは
H・フーディーニが作った記録は31分、D.ブレインは1週間。
そして今回の天才マジシャンのマイルズはなんと31日間に挑戦だ
という。フーディーニが眠る墓地で世界中が見守る中、地中から
蘇るのはもうすぐだとして、タイマーは30日と23時間40分を経過
していた。内部にカメラも設置してあり、マイルズの健康や様子
も監察している状態だった。
一方マジシャンのカーマインはコニーアイランドの舞台で少ない
客相手に昔ながらのマジックを披露しようとしていた。
楽屋にいるブロンドのアシスタント・ミランダに対して出番だ
と言いに来る。
access hollywoodでは偉業を前にしてイリュージョンに挑戦する
前にマイルズが番組に語ったことを放送する。
「マジックを越えて精神と肉体の極限の世界へ。廃れたマジック
界を命をかけて復活させたい。人々は安いトリックに飽きて
リアリティを求めていること。ウサギやトランプでは満足しない
のだ」と。
カーマインはトランプマジックをした後に次は恐ろしくて危険な
マジックをするという。39の州とD.Cでは禁止されているものだ
という。アシスタントのミランダは成長しすぎて服もはち切れん
ばかりなので彼女を切り刻みましょうと。この鋭く研がれた
鋼鉄のサムライの刀で・・と。
マイルズの地中カメラの映像では彼が突然異変を示す行動を
出した為に急いで墓を掘り出せと命じる。いざ棺桶を掘り出して
中をあけるが彼の姿はなかった。
一方でカーマインの”串刺しボックス”を助手を相手に行っていた。
刀を一本、また一本と刺していく中で、本来ならば箱の中に人
は居ないはずが、なんとそこに出て来たのは別の場所で撮影して
いるハズのマイルズだった。
犯行現場のコニーアイランドの劇場へ。
エイムズとゴーレンが到着する中、NYPDのアグネスが現状を
説明する。カーマインのショーの見せ場で、扉で閉じて刀を刺し
再び扉を開けたらマイルズ・ストーンが刺さって発見されたもの。
助手のミランダは午後9時45分に箱の中にいたという。
ゴーレンは”串刺しボックス”だなとして、昔のマジシャンなら
誰もがやる定番のものだという。カーマインは何処なのかと尋ねる
とアグネスは楽屋に居るという。ミランダの方は逃げ出してしま
ったとのこと。観客は全部で6人。皆同じ供述をしているという。
死後硬直が始まって居ること。酷く痩せていること。エイムズは
「一ヶ月の間棺桶の中でダイエットしてていたからだ」と。
7箇所も刺されたらもっと出血するハズ。これは普通のボックス
ではないとして、ゴーレンは得意げにそのトリックを語り出す。
中身は背板は回転扉になっていて、助手とミイラが入れ替わる
というもの。そして驚いている間に助手は観客席の後ろから
飛び出してくるものだという。その助手は?というと非常口から
楽屋へ逃げたのだろうとゴーレンは語る。エイムズは
「種明かししすぎよ。」と。
ミランダはその頃電話を掛けていた。最悪の事態になったと。
楽屋のカーマインに話を聞きに行く。
助手の名字は知らないとし先月何年も一緒だったメルセデスが
辞めて、ミランダを採用したという。メルセデスとは衣装サイズ
が同じだし、マジックのアシスタントの経験が有ったから採用
したのだという。クレイグのリストで見つけたのか?とするが、
募集をかけたのだという。殺すつもりは無かったとし箱の中は
空のハズだったのだという。でもマイルズには恨みを持っていた
のではないか?とゴーレン。彼は私の雑用係だったこと。
ツイスティングエースも教えてスターへの道を造ってやったのだ
という。彼に好意的な同業者は私だけだという。彼は同業者に
軽蔑されていたこと。豪語していたからで、伝統技に勝るとして
いたからだと。あなたはステージに上がる前に深酒するのか?と
問うとタマネギをかじっても臭さは消えないよという。古い楽器
に油を差す程度だというマーマイン。
そんな中エイムズに電話が鳴る。
ポスターには「あのマイルズの恩師、偉大なカーマイン」と書かれ
ているのを目にする。
エイムズはカーマインは本部に連行し、私たちは墓地に行こう
とゴーレンに告げる。
墓地にいくと、ベッカー捜査官に対して警察を呼ぶ前に墓穴を
埋めたのかと問う。マイルズが消えたのは台本通りの脱出だと
思っていたらしいという。ゴーレンは棺桶の中を調べる中、
一ヶ月も人が入っていたのに臭いがないという。何か仕掛けが
あるハズだと。エイムズはベッカーに対して
「彼が遊び終わったら専門家に回して」と語る。
責任者は誰なのかと問うとジェイコブ・グリーンだという。
ジェイコプから話を聞く。
マイルズのアシスタントの格好で彼の企画を支えていた。
予定外のことなので説明出来ないというジェイコブ。マイルズ
の秘密を守ろうとしているんだろう?とするが気持ちは尊重する
がこれは殺人事件だというゴーレン。本当に謎だとし棺桶の中で
持ちこたえたのは呼吸管とカテーテルの点滴であり、中継用の
カメラだけだという。彼の夢が叶う夜だったのに・・
エイムズはマジックというよりも拷問みたいだという。
「超マジック」だというジェイコブ。耐久競技の訓練もしていた
と。最後のハプニングは?彼の体に何か異常が出たのかと問う
エイムズ。あれは台本通りで彼は劇的に演出が好きだったという。
地中で彼は時間を把握していたのか?とゴーレンは尋ねると、全て
は気力だと語る。超人だったこと。今でも帰宅すれば彼はいる
気がするという。
中継VTRを見るゴーレンたち。
マジシャンも医者や神父と同じく機密特権が許されるのかという
ロス。種を明かせないのは業界の掟だというゴーレン。カーマイン
は酒浸りの老人なので犯行は無理だろうと。消えた助手は?
と問うと、9時までは楽屋で着替えていたがそれまでにマイルズ
が現場に居ないと・・棺桶から串刺しボックスにワープしたのか
と問うロス。ゴーレンの推理は?と問うロス。
「教えたいのはやまやまだが・・・」(Goren)
「掟か・・」と。(Ross)
検視官室。
エリザベスから話を聞く。
こんな空っぽの腸は初めてだという。筋肉組織も落ちている所
を見ればやはり一ヶ月は棺桶の中にいて点滴で栄養を取っていた
のだろうと。それも必要最低限の量だという。それで刺された
時に出血が少なかったのか?というエイムズに対して、細身でも
心臓が動いていれば吹き出すという。死因は?心臓発作で、
栄養失調で不整脈が起きたのだろうと。エイムズは餓死も同然ね
と語る。しかし何故棺に入っていなかったのか・・
エイムズは死体を刺したと聞けば安心するわねと語る。
■感想
150話目の特別記念エピソード。
100話目はS5の11話「殺人クラブ」だった。
今回単純なようで実に深い作りである。
犯罪解決までのロジック性の中に様々な人の思惑が交錯していて
面白かった。
ドラマとしては名作エピソードの一つとなった感じのシナリオ。
遊び心も満載だし、事件の加害者・被害者がマジシャンだけ有っ
て、シナリオ自体がそれに被せて上手い形でマジックを取り入れた
流れになっている。
ゴーレン自身も彼の子供心を擽ったのか、マジックの道具を見て
解説したり、実際に自分で披露したりしたりもする。
しかしゴーレンさんは、2話前の中では無精髭も剃ってスッキリ
だったのに、今回はボーボーだったな。
最近「BONES」のホッジンズ博士がヒゲを伸ばしっぱなしの状態
なのが気になっているのだけど(笑)
捜査官に対して容疑者がスルリスルリと交わしていく光景
が有り、逮捕されても逃走したり、突然消えたりするところは
今回の見所。
その中でも古いテクニックだとされるカーマインが本部の留置所
から抜け出したところは、マジックではなく単なる詐欺師の
テクニックである。
そんな状況から見ても、マジックに対する見方が人それぞれで
あり、ドラマの中では、ホリディの楽屋で交わしたゴーレンと
エイムズ、そしてホリディの会話が印象に残る。
マジシャン、詐欺師、奇術師、プロファイラーもどれもペテン師
だとしていたこと。
角度を変えるとマジックに対する色んな人の思惑が見て取れて、
各々の目的を実現する為に正規のマジシャンのマイルズというもの
を使ってそれぞれに違う思惑の元で動いている。
■ドラマとしてのテーマ
今回のドラマは幾つものテーマとして捉えることが出来るもの
だけど、何よりも共通しているのが、マジックに思いを馳せる
ものたちの夢である。夢を叶える為にそれを支える影のスタッフ
の努力なりパートナーの存在が抽出された話だった。
スタッフの中でも役割を持って働いている人は立派だと思う。
例えば棺桶の装置を作った小道具の女性・ニッキなどが居た。
■マジックに思いを馳せる
子供たちにとってマジックは夢のようなもの。
例えそれが古典的なものでもトリックを知らない人に取っては
心躍らせるものである。
マジシャンの中にはその斬新なアイデアのトリックを披露する
ことで自尊心を満たすものが居る。金銭的問題も含めて、
成功者として認められたい心理が一番の動機として働いた。
またそんなマジシャンを育てたことで自尊心を満たす人が居る
のも確かだ。マイルズを育てたと自負するカーマインはその一人。
ゴーレンもマジックに心躍らせていた一人ではないかな。
■マジックを使って人の記憶に残る
人がこの世に生を受ける限りは、何かを残したいとする心理は、
生物学的に考えて必ず存在するものなのだろうか。
大抵は子供・子孫という形で自分の足跡を残すことでそれが
満たされるものなのか。
今回の犯人は物証としてはなかなか結びつけることは難しかった
けど、そんな伝説を作った人物は誰なのかということで、
ゴーレンやエイムズは、犯人をジェイコブだと称して、そのトリ
ック性はミステリアスで、今後語り継がれるだろうことを語る。
当然相手の自尊心やライバル心を擽ることで、自供させること
が目的だったけど、どうもこの流れは、警察側が手詰まりの状況
が有っての状態なので、その意図が見え見えで少々物足りなかった。
殺人鬼の中でも派手に殺す事で後世に名を残したいみたいな人が
ドラマの中には凶悪な犯人像として現れることがあるけれど、
そんなものなんですかね。
■裏方、夢を叶えるもの。後押しするもの
上述したがそれぞれに今回は夢を叶える為に支えるアシスタント
の存在がドラマの中では抽出されるものだった。
そもそもマジシャンを支えているアシスタントは、彼らマジック
を披露する際に上手いこと視線を反らす為の行動を起こして、
主役に力添えしている。
・マイルズ・ストーンを支えるもの
彼を後援しているのがジェイコブ・グリーンだった。
マジシャンは自分でトリックを考える人も居るけど、基本昔から
トリックを考える人が別に居ることは周知の事実で、守秘義務の元
でマジシャンにそのトリックを売って生活を立てる人が居る。
日本にも世界中からそのトリックを買いに来るマジック製造人
は居るけれど、マイルズのトリックを考えていたのは16歳に
カリフォルニア工科大に入学したジェイコブだった。しかし
実際に表舞台に立って世紀のマジシャンとして名を馳せるのは
マイルズである。
・ジェイコブ・グリーンを支えるもの
キング郡で看護師をしているテリーサは、ジェイコブのそんな
才能を見て影でくすぶっている人物ではないと考えて、色々と影で
画策していた。テリーサの存在はドラマでは相当怪しいものと
して写ったし、彼女が誰と精通しているのかが気になるものと
して存在している。こういう時、通話記録を見れば明らかなんだ
ろうけどね。テリーサが勝手にジェイコブの為に行動を起こして
いたことは明らかで、ストーカーとは違うが、それでもジェイコブ
とは気持ちの問題や今後の行く末に関して差が有ったことは
言うまでもない。
・メルセデスの夢を叶えるもの
元々はカーマインの助手をしていた彼女。意外なこととか
ありもしないことをマジックと一括りで称していたけれど、
彼女の夢が世界一周旅行だということでそれを叶えた人物が居る。
もちろんメルセデスをヤメさせて協力者であるテリーサを
カーマインの元に送り込むのが目的だった。
■自信過剰
今回の事件のキーワードとなったのは自信過剰だった。
同業者やライバルにとってはあまりに過剰に持った自信は
疎まれるものである。
マイルズが目の前で偉業を成し遂げようとしている。
それを阻止したいのは彼の台頭によって自分の存在が影の存在
になりつつあるホリディだった。
マイルズ本人も自信過剰でジェイコブが作った装置を使って
安全にマジックを展開しようと説得する。
そして今回のカーマインは自分が伝説を作る為に、遺体を
わざわざ移動させるという行動を見せた。
まさに蛇足とも言える行動で、ただ殺すだけならばもしかすると
起訴に至るまでの証拠には繋がらなかったのかも知れない。
■守秘義務
ゴーレンとロスのやりとりが面白かったな。
ストーリーの所の最後に書いたのでその辺を参照あれ。
■コールドリーディング
ホリディがエイムズに対してコールドリーディングする格好だ
った。
「君は解決していない問題を抱えている。ある男に関することだ。
信頼関係の問題だね。君は彼に裏切られた。初めて彼に隠し事
をされたんだ。可哀想に・・」
ゴーレンは誰にでも当てはまるとしていたけれど、当たっている
ゴーレンも向きになったのかも(笑)
今回心持ち、またエイムズさんがゴーレンにちょっぴり扱いぞい
ざいだったし(^_^;
それに反論する形で50年代に爆弾魔をプロファイルしたブラッセル
博士も外れた要素が多かったことを指摘されていた。しかしそれ
でも結果として捕まえたことが重要だといわんばかりのゴーレン
の主張でしたね。
■ゲスト出演
・古いマジシャンのカーマイン役のChristopher Lloyd
言わずと知れた「Back to the Future」シリーズのドク役。
・犯人のマジシャン、ディーン・ホリデイ役のJames Frain
「Orphan Black」「Gotham」「True Detective」
「Agent Carter」「Grimm」「True Blood」「The Tudors」
など色んな種類のドラマに複数話出演しているイギリスの俳優
さん。インパクトがあるので見ればすぐに分かると思う。
■出演者
ロバート・ゴーレン (Vincent D’Onofrio) 天才刑事
アレクサンドラ・エイムズ (Kathryn Erbe) ゴーレンの右腕
ダニー・ロス (Eric Bogosian) 警部
エリザベス・ロジャース (Leslie Hendrix) 検視局
マイク・ローガン (Chris Noth) 刑事
ミーガン・ウィーラー (Julianne Nicholson) 刑事、ローガンの相棒
— (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)
ディーン・ホリデイ (James Frain) マジシャン
ジェイコブ・グリーン (Will Janowitz) マイルズのチーム、天才
ミランダ / テリーサ (Kristen Connolly) キングス郡病院看護師
ニッキ・ウシマ (Angel Desai) 棺桶のトリックを製作した小道具
カーマイン (Christopher Lloyd) ベテランのマジシャン
本人出演 (Paul Shaffer) インタビュー
本人出演 (The Naked Cowboy) インタビュー
本人出演 (Shaun Robinson) access hollywood司会者
マイルズ・ストーン (Jeremy Gender) 墓穴に31日入るマジシャン
アグネス・ファーレイ (Traci Godfrey) 刑事
— (Tony Campisi) CSU Tech
シェリー (Katie Barrett)
— (Jennifer Butler) シェリーの友達
ジョーンズ (Stephen Plunkett) 警察官、カーマインを取り逃がす
アデル (Andrea Navedo) メルセデスの姉
Mrs.ピーブレス (Robyn Hatcher) キングス郡病院人事
ベッカー (Samuel Ray Gates) 刑事、墓地にいる
— (Karla Mosley) Temp / インタビュー
— (Nathan Crooker) Crew Member
— (Brenton Duplessie) Miles Stone Fan
— (David Edward) Mortician
— (Jenny Paul) Magic Show Audience
— (Timothy J. Cox) Magic Show Audience
— (Cassandra Lee Walker) ジェイコブの客を振りしたアシスタント
— (Heather Silvio) Audience Member
— (Natalia Fedner) Goth Girl
— (Danielle Glick)