第12話 記憶の森 Dead Woods
脚本/Melissa R. Byer
Treena Hancock
監督/Philip Conserva
【ストーリー】
スラム/ホームレスや治安が悪いアルファベット地区。
アビーはスレイドと共にここに来ていた。包みを受け取るだけだ
というスレイド。アビーはママから電話だとするが、ホントの
ママじゃないだろうというスレイド。
そんな中強盗が突然スレイドたちに銃を突きつけて金と携帯を
寄越せという。もみ合いの末にスレイドは相手の銃で強盗を
射殺する。そんな中アビーはその場でかぎ分けた臭いから
フラッシュバックが起きる。
エイカーズは現場に行くと遺体の前で固まっているアビーに声
をかける。ここで何が有ったのか。アビーは突然サラ・サイドル
を呼んでという。
サラが現場に駆けつけると、アビーに対してどういう事なのか
と問う。サラはエイカーズに対してアビーは古い事件で彼女が
5歳の時に父親が一家心中をはかり一人だけ生き残ったのだという。
アビーに大丈夫かとし、何が有ったのかと問う。こんなアルファ
ベット地区で死体と一緒なんて・・・。二人で居たら強盗が銃を
出したというと、スレイドと居たのかとしあの子はダメだと
言ったでしょというサラ。アビーは今になって思い出したのだとし
10年前(2004年8月20日)のこと。あれはパパがやったんじゃない
という。
アビーはベガス署へ。
ジョアンナが来るので供述が終われば帰れるとアビーに語る。
パパの話はしないのかと問うと、あの夜のことは覚えていない
と言っていなかったかというサラ。今日撃たれた時に臭ったの
だという。火薬じゃないが似た臭いだという。同じ臭いをあの
事件の夜に嗅いだだという。テントの中でか?あの時が蘇った
とし私は撃たれて頭から血を流して抱えられた時その臭いがした
のだという。その人物はあごひげが有ったこと。あの夜他に誰
かが居たのだという。そいつが家族を殺して私を・・。
父が殺したのではないと信じたいのは分かるがまだ5歳だったの
よとサラ。思い違いとはしやすいものなんだという。しかし
アビーは作り話ではないとしサラだけは分かってくれると思った
のにという。
迎えに来たジョアンナに会うサラ。
アビーはまだ15歳で母親には難しい年頃だという。あの子は私を
母だと思ってくれていないというジョアンナ。養子になるのが
決まった瞬間に門限を破り、学校もサボりだしたと。あの子は
悲惨な経験を乗り越えたこと。感謝しているとしここまで頑張った
ことをとサラは語る。寧ろサラとアビーに強い絆が有って親身に
なってくれたからだというジョアンナ。
サラはスレイドを見るとなんでアビーを危ない場所に連れて行っ
たのかとすると、後悔したくなければ二度と近づかないでと語る。
スレイドは今殴ったのを見ただろうというがエイカーズは何の
ことだ?と語り無視する。
デビッドの元にグレッグ。
検視している中グレッグは遺体の臭いを嗅ぐ。
デビッドに対してどんな臭いがするかを尋ねると、オシッコ、
酒、シャワーしてない臭いだという。グレッグは煙の臭いだと
したき火みたいなものだという。何で臭いを木にするのかという
デビッドに対してこの男に強盗されそうな女性が10年前と同じ
臭いがしたって言っているのだという。事件は一家心中で解決
しているが犯人が別にいると。「サイラノーズ」の出番だと。
「ベンゼン」「エタノール 尿酸」・・・・
サラは当時の事件のことを思い返していた。
フィッシャー家が一家心中したとされた事件は10年前の
2004年8月20日、マウント・チャールストンのキャンプ場で発生
していた。テントの中で父バリーが妻のケイシーと当時9歳の
長女ハンナ、次女のアビーを自分の銃で殺そうとしたものだが
アビーは生きて居た。
当時捜査に当たったサラは現場を撮影し、そして病院に運ばれた
アビーからDNAを採取していた。アビーはみんな死んでしまった
のかと問う。サラは何が有ったか見たか、最後に覚えているもの
は何かを尋ねる。パパとママがケンカしていたが後は覚えていない
という。
グレッグはサイラノーズで調べた結果20種類以上の物質が検出
されたが、大半はありふれたものだという。酒、煙、尿・・
アビーは10年の間嗅いだことがない臭いだと言っていること。
グレッグは銃のクリーナーの臭いなのかなという。サラは自分は
当時そんな臭いはしなかったという。使用された銃は父親のもの
1丁で、弾が全部父親の銃で撃たれたものだったこと。誰かが
テントに臭いを持ち込んだのか。クリーナーの臭いの男がテント
に入って父親の銃で家族を殺した。アビーの言う通りなのかも
知れないとサラ。しかしあの子と親しくしているのだろうとし
子供が両親を亡くした事件はこれだけではないというグレッグ。
しかしサラは親の一人がもう片方を殺して里子に出されるのは私も
経験者だからとサラ。グレッグはサラとは付き合いが長いけどサラ
の父に何が有ったか話したことがないねと。無理に聞くつもりは
ないというが・・家の両親はいつもいがみ合いをしていたという
サラ。そんな中サラはラッセルから呼び出しのメールが鳴る。
ラッセルはサラのシフト表を見ると君は12件の事件を抱えている
こと。それなのに何故10年前のケリのついた事件の証拠を保管庫
から要求しているのか?サラは新しい情報を得たから見直したいと
思ったという。主任に話す前に価値ある情報か確かめたかったのだ
という。アビーからクリーナーの臭いで記憶が蘇ったとのこと。
しかしラッセルは目撃者の証言は何年も経てば信用出来ないって
事は知っているだろうと。他にも父のトックスの結果を見ると
かなりの量のアルコールが検出されているが他にも反応があるのに
分析されていないという。父が自殺であることをロビンス先生が
断定したこと。再捜査はそれを覆させると先生に申し入れること
だという。
■感想
10年前の事件の再捜査。
当時5歳の子供が見たか見ていないかどうかも分からない
「記憶」を発端にして再捜査をするかどうかの決断に迫られる
というちょっぴり難しいとっかかりの内容。
でもこういうドラマからすればそういう勘に近いものが必ず重要な
証明的記憶となることは間違い無い。ただ当時検視報告した
アル検死官に何かプライドでも傷付けはしないかちょっとヒヤヒヤ
するところが有ったのは確かかも。
最終シーズンに入ってからは「臭い」とか「記憶」というものが
少なからず捜査に於いて役に立つ事情も存在する。
先日はモーガンがそんな新しい捜査に乗り出して分析していた事
も有ったけど、凄い事だね。
また最終シーズン故に、それぞれの捜査官の過去に触れるという
シーンが多くて、リレー形式で誰かの過去の悩みを誰かに話しを
して聞いていくという流れが最後に存在する。今回はサラから
グレッグへ吐露するものだった。そしてそれに関係し事件の当事者
に肩入れする人物というものを一人意図して配置しているところ
も有る。
サラの両親の件ではS13-15で語られている。
https://dramatimez.sakura.ne.jp/blog/?p=2697
当時のサイドル家は母親が父親のDVに遭い、現在介護施設に入所
している母・ローラが正当防衛の名の下で殺害したことになって
いるけれど、サラの記憶の中では父とも母ともそれぞれ良い
記憶が存在している為に、どうにも割り切れない思いが存在して
いるようだ。最後にサラはグレッグに父親と一緒に写っている
写真を見せて会話していた。
「シャーロットの贈り物」という本をプレゼントされ100回以上
読んだというもの。
ただサラはその後グレることなく今に至って良い捜査官になって
いる訳で、アビーはサラという存在がなければ今頃はジャンキー
と化して亡くなっていたとしてもおかしくはないだろう。
サラの中で父親は一方的に悪いのではなく母親も当時アルコール
依存症だったことも遭って本人が語る様な事実があるかどうか
もよく分かっていないそうだ。
サラの凄いところはそんな環境でもハーバード大を卒業している
こと。
ベジタリアンだしワーカホリック。このドラマでもワーカホリック
な人たちだらけだけどね。それとベジタリアンだという設定
は至る所で見られ、先日は三人で女子会を開いた際に、「ステーキ
最高」と嫌みを語っていたシーンが有ったし、今回は剥製を作る
レジェンドクリーク狩猟クラブの人物の元を尋ねる際に、死体を
見て「死んだ動物最高」と語る姿が有った。
■事件
ホームレスの強盗が襲ってきたことによって、記憶が蘇るという
不思議な事件。
普段から感じる自分の中のアメリカの怖さみたいなものを感じる
事件だった。
アルファベット地区での強盗事件に於いては、以前からこの地域
が治安が悪いことは何十回と語られているので驚かないけど、
その中にこんなカワイイ子が行くのだから命知らずだなって感じ。
問題なのはアメリカは広大な土地なので、襲われても拉致されても
なかなか気づいてもらえないのではないかというもの。
勿論日本にもキャンプ場なんかはあるし人里離れたところは
有るんだろうけどね。
アビーの記憶は寝袋に運んだ人物は「あごひげ」の男性だった。
そして勿論「臭い」についても語る。
そして後に「服に付いていたワッペン」のことを思い出していく。
■証拠は色んな事実を浮かび上がらせる
事件解決の流れもそうなんだけど、ハンナの父親が元性犯罪の
ガース・フォーゲルとの間に生まれた子だったというのも驚き
の事実。母親本人は交通事故で父親は死んだとしていたけど、
実際にはハンナの母とは正当的な付き合いは有ったのだろうか?
元小児性的虐待者のガースに容疑がかかった際にはニックが
厳しい視線で接していた。
テントのフラップから発見された指紋との一致。
実際には追い返されたらしいけど、随分短気な人物なので犯人
の可能性は否定出来ない所だった。まぁ放映時間の関係で犯人
じゃないという想像は付くんだけどね。
■遺体を掘り起こす
当時一家を殺したとする父親はアルコールを飲んでいたとされて
いた。更にガスグロマトフィーの反応で分析されていないものが
ありイブプロフェンと同じような鎮痛剤が使用されていたのだろ
うこと。
血液検査をしようとしたが3年前には廃棄されている。
そこで遺体を掘り起こして調べる。大抵は臓器を抜いて体の中に
何かを詰め込んでおくものなのかも知れないけど、臓器自体も
とってあることに驚く。
薬物検査に最適な臓器は「肝臓」と「腎臓」だというアル。
そして肝臓からはトリクロロエタノールが検出され、抱水クロウ
ールの代謝物で意識を無くすというもの。
「死因の特定は自殺から不詳へ」
■容疑者が次々と変わる
テントの指紋からガースが犯人かと思われたが、実際には娘の
ハンナに遭いに来たもの。
更にドナルド・レイスかガースとの繋がりがあるのではないかと
疑う。
しかしレイスは殺され、その銃からは植物の樹脂から分泌される
炭化水素が検出。樹脂はその昔は貴重品で贈り物として有名。
モーガンは「聖書」にも出ていることを語っていたけど彼女
そんなに敬虔な信者でもなさそう。
人類は天然の樹脂/合成樹脂を作り出せるようになり、メタクリル
酸メチル、揺変性酸付与剤、結合触媒が独特にブレンドされている
ものだと判明。建築資材だとされていたが、ホッジスも剥製作り
に使用されているものだと特定した。
その剥製を作っていたのはランディ・プルート。
彼は全ての責任をレイスに押しつけようとしていたが、アビー
の目撃により、寝袋に運んだのがアゴヒゲのレイスであること
が判明する。
■使用された曲
・Who Are You by The Who
・Memento by Cinephile
・Aliaa by Kaleida
■出演者
D.B.ラッセル (Ted Danson) CSI主任・S12より
ジュリー・フィンレイ (Elisabeth Shue) CSI・S12 #14より
ニック・ストークス (George Eads) CSI ・ S12・昆虫学
サラ・サイドル (Jorja Fox) s10で復帰
グレッグ・サンダース (Eric Szmanda) CSI研究員
アル・ロビンス (Robert David Hall) CSI検死官
デビッド・ホッジス (Wallace Langham) CSI
デビッド・フィリップス (David Berman) CSI (眼鏡の方) 検死
モーガン・ブロディ (Elisabeth Harnois) L.A市警、SID、エクリー 娘
ヘンリー・アンドリュース (Jon Wellner) DNA
アンディ・エイカーズ (Larry Sullivan) 捜査官
アビー・フィッシャー (Ashlee Fuss) 15歳、一家心中で自分だけ生き延び
キャシー・フィッシャー (Joy Lang) アビーの母
ハンナ・フィッシャー (Jessica Treska) アビーの姉、当時9歳
バリー・フィッシャー (Ken Weiler) アビーの父
ランディ・プルート (Ben Browder) レジェンドクリーク狩猟クラブ会長
ジョアンナ・ヒギンズ (Clare Carey) アビーの里親
スレード (Tyler Forrest) アビーの彼、ジャンキー?
5歳のアビー・フィッシャー (Mckenna Grace) 2004年8月20日一家惨殺
— (Michael Janik) Sketchy Man
ガース・フォーゲル (Dean McDermott) 性犯罪者、寝袋に指紋
ドナルド・レイス (Mark Norby) ヘンダーソン在住、狩猟クラブ