カリフォルニケーション ある小説家のモテすぎる日常
Californication
第9話 新しい世界 Filthy Lucre
監督 / Scott Z. Burns
脚本 / Ildy Modrovich
【ストーリー】
■空港
ニューヨークで父親の葬儀に行ってきたハンクはロサンゼルス
の空港から出て到着口に行くと。そこで偶然にもカレン
と遭遇する。ハグしている間にもハンクの手はカレンのお尻を
触るも、やり過ぎたとして謝罪する。
カレンはビルを迎えに来たのだという。
ハンクは飛行場内でスーツケースを山ほど引きずるビルを見た
とのこと。そう言っている間にもビルがやってくる。
「一か月ぶり・・」
カレンのその言葉にハンクはその間に色んなことが有ったよな
と語る。「その事は黙っていてよ」
ビルとの再会にカレンはキスして熱い抱擁を見せる。
「俺のことは気にしないでくれ」と皮肉るハンク。
「お父さんの事は聞いた。とても辛かっただろうね」
と言いながらもカレンとのキスで全くハンクの方を見ようと
もしないビル。
ハンクはそこで別れようとするが、ビルは乗せていってやる
という。カレンは反対するが、ビルは近くだし環境保護の為
だとして相乗りで戻ることにする。
■ランクル家
チャーリーはコーヒーを飲みながら電話する。
妻のマーシーは机に座りコーヒーを飲みながら本を読んでい
た。
「今日の晩飯は要らない。また何時もの店で日本料理を
食うことになった」
「うんこの代わりに米と鮪がそのまま出てきそうだ」
「テイクアウトしてこようか? 蟹の巻き寿司なんてどうか?」
「ベッドで録画しておいた CSI:マイアミを見るとか」
「今夜はちょっと予定があるから要らない。ごめん」
読書クラブに行く。
「そっちも遅くなるなら気にすることは無いでしょ?」
「そっちも読書クラブは嫌いだって言っていた」
好きにすればいいさとしてチャーリーは出社する。
■ルイス家の庭 / ライブの練習
ベッカはステージでキターを手にして歌う。
彼女のバンド名はKILL JILL。
ミアはプールの中からそれを聞いていた。
そこに三人が帰宅する。
ハンクたちは拍手するとベッカは両親たちの元に駆け寄る。
「今の歌、良かった。結婚式で歌ってくれないか?」
しかしビルはカレンの提案に難色を示す。
「まだ若いのだから練習すれば Supertramp級になるさ」
「Gordon LightfootとかABBAとか・・」
カレンは嫌なのかと問うと、既に弦楽四重奏(the string quartet)
を呼ぶと決めただろうことを語る。しかしカレンは決めた
事などはないという。
「ハンクはDan Fogelbergとかどうか」
ミア(Posh)はベッカ(Becks)に対して、
「ゲストに飲み物を出した方が良くないか」
と語る。
ハンクは言い争う二人に対して、
「こんな事で言い争っていたら遠からずOprah Winfreyの前
で不満をぶちまけることになるぞ。そうなる事を祈っている」
■ハンクの家
ハンクはカレンのプリウス車で家まで送ってもらう。
「寄っていくか?また愛を交わすのも良い」
しかしカレンは彼にあなたと二度と寝る気はないとし止める。
気のない振りをする? あなたとは終わったのよ。二度とない。
この前の事は忘れて。
悲しんでいる人を慰めたくてああなってしまっただけ。
要するに俺への思いが噴出したんだ。
原稿を書いた。クソみたいなブログと違いちゃんとしたもの
を書いた。ニューヨークの実家で母のタイプライター
(Old Smith-Corona製)をいじり始めて気が付いたら二週間が経ち、
その間ずっと書き続けていた。君のおかげでここまで書くことが
できた。
いい加減にして欲しい。もうあなたのミューズではない。
女神でも無ければ守り神でもない。自分の人生がある。
だから忘れて欲しい。
とにかくこの小説を読んで欲しい。傑作か失敗作か君に読んで
もらわないと分からない。これまでも小説の出来が、どうしようも
ないゴミかダイヤの原石か君に判断してもらわないと分からな
かったんだ。
今の俺には言葉しかないんだ。だから大事にしてくれ。
そしてベッカにオシャレして迎えを待つように言っておいてくれ。
・室内
帰宅するとハングは郵便受けの手紙をチェックする。
その中にはutkからの封筒が入っていた。
■チャーリーのオフィス
ハンクはチャーリーのオフィスのソファーで寝そべりながら
彼と会話する。
「契約書にあの条項を紛れこなせていなければ、お前に大金など
入り込んではこなかった」
「あんなもんで稼いでも嬉しくない」
「どんな金でも金は金。バカな映画ファンが大挙して映画館に
押しかけたお蔭で歩合が入ったボーナス。贅沢をしろ」
■感想
人生山あり谷ありって感じのエピソード。
ハンクとカレンとビルだけでなくランクル家の事情。
両親が共に亡くなった後の世界。
前回の展開を見ると彼には兄弟が居ないみたいなので
天涯孤独とまでは言わないまでも限りなく血のつながりを
持つ人が居なくなり、唯一カレンとの間の子のベッカとは
仲良くも有り、父親のしていることが例えクソだと認めつつも
小説の素晴らしさは彼女を引き留めるだけのスキルを持つ。
ハンクがどれだけ真剣にカレンとの関係修復を求めているのか。
真剣に愛しているように思えるし、そう思ってみていれば結局
他人と愛の無いセックスに興じていたり、近くに女性がいれば
常に横目でそれを見る。
彼の行動の裏には、寂しさの反動、単純なる欲望、そして親(アル)
の態度を見て来たことによる過去の影響があるのか。
現在のカレンとの関係が微妙で複雑なこと状況を勘案すれば
もう少し彼は生活面で慎重に行動べきではないのか。
そこまで性的関係を求めるのは本能というよりも依存症に
なっているとしか思えない。
タイトルには新世界とあるが、Next Stageに入る。
彼が愛車としているのは「ポルシェ911 カレラ2 カブリオレ」
だけど、その車も相当傷んできており、今回は買い替えを検討
する。それも他人に勧められた形で気が付いたもので、それに
気が付いた時には目の前にポルシェのディーラーが彼の視界に
入ってくる。
そこで美人の女性(Brigitte Bako)と関係を持ち新車を購入した。
カレンとやり直せると思っているハンクだが、彼女の方はビル
との間で結婚式の話が出ているくらい関係は進んでいる。
時間はいやでも進んでしまう。
鉄拳さんのパラパラ漫画「振り子」のように時は戻せない。
結末は下駄を履くまで分からないので、最後まで彼はカレン
に対して足掻き続けるのだろう。
ハンクのスタンドプレイに思えるが。実際には彼の思い込み
ばかりではないと感じるところもある。男女関係は脅迫的に
相手に対して縛り続けるものでは無いからだ。
カレンとハンクの二人が前回のエピソードで体の関係になった
所は大きい。まさに「ビルの居ぬ間にセックス」だった。
ハンクの女性関係は相変わらずだが小説を書き上げて真面目な
態度を見せる。それは一つの過去の脱却かつ新しい世界へ
踏み込んだものの一つ。
逆に彼女の求めている本質的なものが何か。
安定的な生活なのか。
ビル自身が不在にしていることが多く、今の関係で良いのか
悩ませる機会を与える。
考え方の違いでハンクに有利に傾くことが多く、風は
ハンク側に有利に吹いているように見えるが、ドラマの場合
は大抵エンディングは逆になる。
まるで運命には逆らえないとの主張は、前回の展開の中でも
感じたが「Once Upon a Time」みたいなものだ。
ビルのスタンドプレイさがハンクと逆転した立場になった
ように思える。
ただ女性の心理というのは男性には掴み取れない所もある。
ダメな男は再びダメ男になるのではないかという不安感。
一度離れた心を取り戻すのは男性以上に女性の方が難しい
気もする。
しかし最後まで見ると、ハンクが今回行った善行に対して
エンディングは全てボロボロになった。
フェラーリを運転する傲慢な男から女性を救ったこと。
金が無くギターを売りに来た父娘を助けたこと。
そんな俄かな善行では人生を揺るがす程にはいかない所で
切ない。車を奪われたけれど、保険が聞くだろうし、
小説はミアがコピーを取って持っている。
・不安要素
ハンクが大事にして書き上げた小説であるが、それをどれだけ
カレンが大事なものであると周知・認識しているのか分からない。
古いタイプライターで書いたものなので改めてその原稿が作る
ことが出来ない中で、カレンに渡すのには複数のリスクが
伴う。彼女に渡している時間が長いほどにそのリスクは高く
なる。
・ミアはしょっちゅうハンクの小説を盗んでいる。
最近連れない態度を取るハンクに変わってそれを利用して
しまう可能性。
・カレンがハンクの小説を持っていると知ったビルが怒って
燃やす可能性。
・カレンがうっかり八兵衛だとばかりに捨てるか置き忘れるか。
・チャーリーが大喜びしている。何かの前兆。前振り感。
・小説の内容がミアとの関係を示唆している気がする。
それが明らかにされたときのビルの態度と関係の壊滅化。
・結果としてカージャックに盗まれた。
・ハンクの小説の内容
短編。現代版ロリータという感じのストーリー。
中年男がふとしたことで少女と寝てしまう。そのことで人生
が無茶苦茶になっていくというものらしい。
最後にハンクはカレンに小説の感想を尋ねる。
「まだ読んでいないんだな」
「私には読めない。あの頃には戻れないから」
「俺たち寝たよな」
「あの時限りの一度切り」
「一人では嫌だ。昔に戻って君とやり直したい。
ただし今度は同じ過ちは二度と犯さない」
「もうあなたのことを愛していない。分かってよ」
・新車の購入後
カレンの元に行くも小説はまだ読んでいない。
ベッカと出かけている間に読んでくれ。
ベッカは新車を見てマッチョな感じだと表現し、前の車の方が
相棒感が有ったことを語る。
・Guitar Center / ギターセンター
ベッカに新しいギターを買ってあげることになるが、ベッカと
してはどれを買えばいいか分からない。
「流行に関係ないクラシックにしろ」
「Keith Richardsが昔ゲロかけたことがありそうなギターとか
Jon Bon Joviがジーンズ姿で振り回していたようなギター」
■チャーリーは喜びで帰宅する
ハンクが昔以上の輝きをもって小説を書いて来たことを喜び、
食事をしてくるはずが急いで帰宅した。マーシーは明らかに
浮気しているよな。
チャーリーはハンクが指輪を買ってきたことに自信をもらう。
「希望だ」
ハンクが立ち直れたならば僕にも出来る!
しかしマーシーの意見は逆だった。
乳首が剥がされた事故以降、彼女の意識は完全に別の方向に
定まった。夫が入院している間に彼女はダニーに電話する。
それは彼女のことが欲しいという思いからだった。
案の定会話中に二階からダニーが出てくる。
「君は今日限り首だ」
■その他
・今の車は長年の相棒
「色んな匂いが染みついているのだろう」
ボーナスが入ったハンクに対してチャーリーは車を買い替えたら
どうかと提言した際のやりとり。
・ボーナスの使い道
ハンクは結婚指輪を購入した。
・駄作なら駄作で上手く売るのがエージェントの仕事。
・WASH ME! 洗ってよ
ハンクの埃の積もった車に書かれていて、シートをみると
まるでゴミ箱のようにゴミが捨てられている。
・ボルシェ販売店の女(Brigitte Bako)
従業員はとても綺麗な方だけど、人を職業で見ている。
それは当たり前かも知れないがどんな小説を書いている
のかを聞くべきではないのか。
「ちょっと待てよ。しがない小説家ではこんな車を買えないと
思って見切りをつけただろう」
試乗することになる。車種はやはり彼の好きなPorsche 911
Carrera Cabrioだ。もっとも年式は10年以上新しい。
・Martin AmisかVirginia WoolfかCharles Bukowksi。
「みんなまがいもんだ」
ベッカを連れている間にハンクはカレンに自分の書いた小説を
読むよう求める。
その時のやりとりでカレンが落ち着いて読むときに読む
作家の名前をあげた。
そして彼女が一人で読んでいる本は、
Charles Bukowksiの
「Sifting Through the Madness for the Word, the Line, the Way: new poems」
ななめ読みすれば今のハンクの生活のようなことを書いている。
・ベッカは優しい娘
ギターを売りに来た親子はハンクとベッカに似ている。
デイヴという人に売ろうとしていたみたいだが居ないと分かる。
「人のことに立ち入るな」
ネットオークションに出したら1万は固い。
13500ドルで購入することになる。
帰宅した後ベッカはカレンに
「時代を超えたクラシックギター」
・ベッカに練習してもらおうか
結婚式をどのように行うべきか。
カレンは堅苦しくないものが良くて誰もが頼めるものにしたい。
そこでベッカのバンドを起用しても良いのではないかと考えて
いる。ビルはそんな彼女に対して語る。
「Van MorrisonのBrown eyed girl」
とか練習してもらうか。
・ビルのプレゼント
ニューヨーク大学の学生寮からの眺めが好きだったというカレンに
当時と同じその角度から写した写真をプレゼントする。
・映画「Bound」を見てた
■使用された曲
・The Pretender by The Foo Fighters
・Surrender by Madeleine Martin / Kill Jill
Vocal Production by Leanne Summers
・That Kind Of Man by The Heavy
・Black Grease by The Black Angels
・Californication Main Theme by Tree Adams and Tyler Bates
■出演者
ハンク・ムーディー (David Duchovny) 有名な小説家
カレン (Natascha McElhone) 建築デザイナー、ハンクの元彼女
レベッカ(ベッカ)(Madeleine Martin) 12歳、ハンクの娘
チャーリー・ランクル (Evan Handler) ハンクのエージェント
マーシー・ランクル (Pamela Adlon) エステ店、チャーリーの妻
ミア・ルイス (Madeline Zima) 16歳、女子高生、ビルの娘
ダニ (Rachel Miner) チャーリーのアシスタント
ビル・ルイス (Damian Young) カレンの現在の恋人
(Brigitte Bako) ポルシェディーラー
(Ronnie Gene Blevins) Guitar Center 従業員
(Johnny D’Agostino) ギターを売る男
(Lou Fusaro) フェラーリに乗る男
(Sara Wyles) フェラーリに同乗する女性
(Luis Moncada) カージャックのブタ
(Alicia Sixtos) 犬を連れたカージャックの雌豚
Band Member
(Jonathan Carr)(Jory Glick)(Shira Kreitenberg)
(Myles Trifon)