第9話 ブラッド・アウト Blood Out
脚本/Adam Targum
監督/Sam Hill
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ジェイミーは乗り合わせたバスの中で男性同士がいがみ合いを
しているのを知る。足を踏むなと言い合いをしている中、
バスが急停止したことで二人は本当にもみ合いになり、言いが
かりをつけていた方の男性がナイフで男を刺す。それを見て
いたジェイミーは警察だとして彼を逮捕する。そんな一連の
行動をコーラを飲んで居た女性(カルメン・ヴェガ)は監視して
いて気が付くとバスから下りて町の雑踏に消える。
そんな中遺体が発見される。
ウェストサイドの倉庫で、ここは7月から閉鎖されていた所だ
った。2時間前に警備がゲートが破られていることを知り
遺体を確認したという。現場にかけつけたジョーとマックと
ドン。犯人は遺体を隠そうとしていないというマックに対して
ジョーは犯人からのメッセージかと告げる。ドンは被害者の
体には刑務所にいたとするタトゥーがあると告げ、ギャング
の一味だという。”41 6 12″でDPL(ディオス・パトリア・リベル
タード)、つまり”神・祖国・自由”の意味で、ドミニカのモットー
だという。ラティーナのギャングならば遺体を真っ二つにする
のも意外ではないとし、もしかするとこれはギャング同士の
宣戦布告なのかも知れないと語る。
そんな中ドンは真っ二つの遺体のズボン側の方に入って居た携帯
が鳴ることに気が付き出てみると、電話が切れてしまう。電話を
かけた相手はジェイミーだった。
現場で遺体を調べるシドは写真を撮影する。
リンジーは血痕を調べ、ホークスはサイフなどの遺留品を調べて
いく。シドは胸につけられている傷跡の写真を入念に撮っていた。
リンジーは遺体を吊したロープを調べる。
ドンはジェイミーの元にいくと、被害者の携帯に君からの電話が
17回も有ったとして、一体誰なのかと問い、君との関係は何なのか
と問う。被害者の名前はベニー・マデーラ。潜入捜査で接触
した人物で状況が変わったので連絡したのだという。DEAにも全て
を報告したのでヒックス捜査官に聞いてくれと語る。ベニーに危険
を知らせる為に必死だったと語る。私が警察官だということが
仲間にバレてしまったのだとし、私のせいでベニーが死んだのだ
という。
ベニーは”トロ”と呼ばれていて、本名はベニー・ザ・ブル(33歳)。
麻薬所持・密売・暴行・武器の不法所持で15歳の頃から刑務所と
シャバを往復している人物だという。ジェイミーはドミニカ系
ギャング”トリニタリオス”に潜入し、DEAとの合同捜査に必要な
情報を集めていた時に知り遭ったのだという。ベニーはやり手
で仲間からも尊敬されていたという。ジェイミーはアニータ・
カスティーヨという名前でトロの手下になったのだという。
17ヶ月の潜入期間でやっと軌道に乗った頃だったという。
私がバスにさえ乗らなければ・・・と悔やむ。あのバスに知って
いる顔の女がいたとのこと。トロの使いとして接触した時に
いた女性だという。
倉庫の現場の血痕は全て被害者のものだった。指紋は出たが
AFISではヒットしないというが、恐らくは従業員のものだろう
と。トリンタリオスならば証拠は残さないだろうという
ジェイミー。
ベニーを殺すとすれば上の承認がないとやらないハズだという。
しかし上のものが誰かを調べている最中に今回の出来事が
起きたのだという。女性を引っ張ったらどうかとするが、
ジェイミーは無理だという。しかしバスは今、傷害事件で保管庫
にあるので女性が座っていた位置は分かるのだろうと語る。
アダムはバスの中から女性が飲んで居たコーラを採取する。
ホークスはベニーの遺体の傷口から物質を見つけシドに見てもらう。
グリーン色のものとかしか分からないと。ジョーもやってくると
どうやってマッ二つにしたのかと問う。胸郭と骨盤の間で切断
されているが、何組織が切り裂かれて脊柱が立ちきられたという。
恐らくチェーンソーだろうと。しかも生きながら切断されたのだ
という。強硬性膠着が見られるとし、ラタニーと呼ばれる現象
だという。長時間の刺激によって筋肉組織の収縮が起きたこと。
傷後からして電気ショックを与えられたのだという。死ぬ前に
拷問を受けた電気熱傷の跡だという。
そんな中アダムがモニター越しに連絡してくる。
スラッシャー映画はキツイとして切断された遺体を見て驚く。
アダムによるとバスの女性はCODISでヒットしたとし、ストロー
から採取したDNAはカルメン・ヴェガのものだという。
トリニタリオスのギャングの一味とのこと。
ドンとマックでカルメンの家に行き捕まえに行くが、
彼女は屋上へと逃げる。向かいのビルに飛び移ろうとしている所
マックは距離があるので無理だとして静止させようとするが、
案の上無理をして下に落下して亡くなってしまうのだった。
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ジェイミーはバスの中で傷害事件を起こした男性を逮捕した
ことにより、自分が潜入捜査中の捜査官であることがバレて
彼女に精通していたギャングの一人・ベニーが殺害されて発見
される。ベニーはドミニカ系ギャング団”トリニタリオス”の
中では中くらいに位置にいる人物だが、手下からの信頼も
厚く、ジェイミーは潜入している際に彼の手下として行動して
いた。そんな彼が使用されていない倉庫で真っ二つにされて
いたことを受けて容疑者を捜していく。ジェイミーに話を
聞くと現在DEA捜査官との合同捜査中で、組織犯罪取締法によって
“トリニタリオス”の全滅を図る為にDEAのヒックス捜査官の指揮の
元で色々と潜入していた事を知る。
今回は新しくシーズン9から仲間になったジェイミー捜査官に
ついて描かれたもの。
ジェイミーは元々NYPDの麻薬課の捜査官だったけれど、ドンと
同じ殺人課に異動してきたことが過去の中で描かれていた。
ドン役のEddie Cahillとジェイミー役のNatalie Martinezと
いうと、先日までDlifeで放送していた「アンダー・ザ・ドーム」の
共演者ということも有るのだけど、よくよく考えるとこの二人
「アンダー・ザ・ドーム」では共演しているようで共演していない。
Natalie Martinezはシーズン2-1で亡くなってしまう役だったし、
Eddie Cahillは逆にシーズン2-1から活躍する役割の人だったからね。
ネタとしては大義・大局の為に捜査を一部偽造したDEA捜査官が
如何にも形で登場するもので、一方の殺されたギャングの男・
ベニーなどに見る男気溢れた人物の物語として見ると、何が
悪者なのかが分からなくなりそうなものが有る。
ジェイミーが潜入中に感じて居た思いなどをドンに語る姿が
有るけれど、仲間として潜入してみると彼らは普通の人たちで
有り、仲間になるのは居場所や愛情が欲しいからで、家庭では
得られない為のものだという。ジェイミーを始めとしてCSI:NY
の人たちはマイノリティな人たちが多く、苦労人が多い為に、
ジェイミーがこれまた語るけれど、私は一歩間違えばギャング
側に居た人物だが、祖母が居たお陰で人生を見失わずに済んだ
ことを語っていた。
元々このギャングが生まれたのも刑務所内でマイノリティ同士
が結束する形で身を守るところから始まった民族同士の絆から
生まれたものだとする流れを見ると、ベニーの体に刻まれている
タトゥーの「神・祖国・自由」という言葉が重くのしかかって
くる。
それを最も象徴していたベニーという人物の体を真っ二つに
したのは、ジョーが語るようにメッセージ性が高く、分断させた
ことの意味を考えさせるところに繋がって居る。
誰が本当の裏切りものだったのか。
事件はそう難しいものではなく、遺体に付着していた傷跡から
塗料が見つかる。調べるとGM社が調合している塗料。
シーミストグリーン、スプリングフィールドグリーン、パインハー
ストグリーンを配合して作った色で、72年モデルの車8機種に
使用されているもの。スカイラーク、ファイヤーバード、カマロ
などが該当する車種だとしていたけど、容疑者が乗っていたのは
ビュイックだった。
証拠品である車を燃やしたかと思えば、皮肉にも当時の車体は
使用点数的に見てプラスチック製が使われて箇所が少ないこと。
そしてトランクの中に入って居た固まりはレインコートであり、
それが溶けたことで、雨ではなく火から証拠品を守って居るという
というCSI:NYらしい皮肉が込められて容疑者特定へと繋げて
いった。
皮肉といえば、ドンジョークなのかレイモンドが容疑者だとして
捜査線上に上がった際には「重罪オリンピックならば金メダルだな」
と語る姿がチープ過ぎて笑えた。
チェーンソーを持つリンジーが切断実験を電子的に行っていた。
マックはリンジーがチェーンを持つ姿が様になっていることを
口にしており、「私の生まれはモンタナですよ。今頃この仕事を
していなけば木こりになっていたかも」と語る辺りが笑えた。
ラストはドンがジェイミーに対して捜査上、容疑者のベニーと
深い関係になったのではないかと疑ったことを謝罪に行く。
正直ギャング相手にしたことだったので、ジェイミーが狙われて
しまうのではないかと思ったけど、このギャングはそんなに
恐ろしい組織ではなかったのか。ヤン・チャウズのテイクアウトを
持って来たというドン。良い感じの雰囲気が流れていたけど、
ドンは明日は仕事だとして立ち去ってしまった。
前回のラストではダニーがリンジーの帰りを家の前で待っていた
シーンが有ったので、その繋がりを描いた感じだね。
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・The WhoのBaba O’Riley
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・Kill the DJ by Green Day
マック・テイラー (Gary Sinise) NY市警CSI:主任
ダニー・メッサー (Carmine Giovinazzo) CSI、下町育ち
シェルドン・ホークス (Hill Harper) 検死局
ドン・フラック (Eddie Cahill) 殺人課
ジョー・ダンヴィル (Sela Ward) CSI、バージニアから転属
リンジー・モンロー・メッサー (Anna Belknap) CSI、S2#3から
シド・ハマーバック (Robert Joy) 検視官、S2#5から
アダム・ロス (A.J. Buckley) CSIラボ研究員、S2#8から
— (Julie McKinnon) A / V Lab Tech
ジェイミー・ロヴァート (Natalie Martinez) 麻薬課から殺人課に異動
— (Link Baker) Construction Worker
— (Alastair Bayardo) Sleazy Man
カルメン・ベガ (Sy Franco) “トリニタリオス”
ベニー・マデーラ (David Fumero) ドミニカ系ギャング”トリニタリオス”
— (Mariano Mendoza) Large Dominican Guard
— (Charles Moss) Bar Patron
ヘクター (Jorge-Luis Pallo)
レイモンド・クルーズ (Juan Gabriel Pareja) “トリニタリオス”
ロバート・ヒックス (Bill Smitrovich) DEA捜査官
— (Orson Chaplin) Street Thug