第1話 暗闇 The Long Bright Dark
脚本/Nic Pizzolatto
監督/Cary Joji Fukunaga
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1995年1月ルイジアナ州バーミリオン郡のサトウキビ畑で突然暗闇
の中に火をつけるものが居た。まるで焼き畑のように辺りには
火が付く。
2012年、ルイジアナ州警察犯罪捜査課。
2012年5月1日。
マーティン・ハートは、捜査官から事情聴取を受ける。
その様子は録画される。マーティンは1995年当時相棒だった
ラスト・コールと組んだことについて尋ねられる。彼と組んで
どうだったのか。親は選べないように相棒も選べないという。
コールは同僚からは税務署と呼ばれていたこと。テキサスから
赴任し知り逢いも居なかった人物で、酷く痩せていて神経質
な印象を持ったという。特異な雰囲気を持ち、彼を自宅のディ
ナーに呼ぶまで3ヶ月がかかったという。ドーラ・ラング(当時28歳)
の事件の頃のことなのでよく覚えて居るという。聞きたいのはドーラ
事件のことではないのかと問うが、まずはコールの話をして
欲しいという刑事たち。変わった男なのかと問われ、彼は青い空
にさえも文句をつけるようなヤツであること。あの事件が起きた頃に
始めて家に来たが、まるで処刑台にいくような惨めな姿で来た
という。
ラスティ・コール・スペンサー(ラスト・コール)の供述。
2012年4月26日。
当時バーミリオンの保安官からサトウキビ畑で見つかった遺体の件
で捜査協力の要請が来たという。ルイジアナに来て3ヶ月目で
担当した事件は簡単に解決していたという。1995年1月3日の事
で娘の誕生日だったのでよく覚えて居るという。
当時、州警察のハートとコートは事件が有ったとする現場へと
やってくる。発見者は農場主で野焼きはしない場所で煙が上が
っていたという。すると木の根もとで女性の裸の遺体が見つか
ったが、鹿のツノをかぶり、まるでオカルト儀式的殺人事件だ
ったという。殺人課になって8年目で始めてだというハート。
通過する車両のナンバーをすべて記録するよう指示し、本部には
事件に対する更なる人数増員の応援要請をする。
遺体を調べるコール。
両手首には縛られた後が有り、腹部には軽い刺し傷が有るという。
また喉の周りの出血、肩や胴回り、太股には死斑があることから
犯人がここに運ぶ前には仰向けにされていたと語る。
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ヤツは大きなノートをいつも持って歩いていた。だから税務署
だと言われていたという。色々と遺体現場でもメモに沢山取って
いたという。
今までとは違ってどのタイプにも当てはまらないような刑事で
オレはよくいる刑事だというハート。オレは人との接し方を知って
いたししっかりしていたという。コールのテキサス時代の記録は
封印されているのでよく分からないという。会話しても妙なこと
ばかり話していたが、それでも頭は良かったとし、相棒になり
2週間目で始めて家を訪ねたが、ヤツが気の毒になったという。
そこにはベッドや犯罪に関する書籍、そして十字架しかなかった
とのこと。いい年した男が家庭を持たないのは良くないとハート
はコールに語っていた。
超心理学的異常性だというコールはまた被害者が出るだろう
事を告げる。幻想を実現化している儀式で、犯人は性的倒錯を
彼女の体に表しているのだという。ハートは何故そんなことが
分かるのかと問い、お前の部屋に有った本にそう書かれていた
のかと問う。膝にはすりむけた痕・こすった痕があるという。
ヘルペスに歯茎の後退、多分娼婦だろうとのこと。こんな手間
のかかることをしているのを見れば、犯行は長年考えられて
来たものだろうとのこと。しかしハートはそれってお前の先入観
なのだろうという。しかしコールは更に話を進め、こういう犯罪
は一度だけではないハズで絶対に今回の一件が初めてではないと語る。
これは特殊すぎるものだと。
そんな中突然ハートはコールに今夜夕食を食いに来いと誘う。
妻のマギーにこれ以上相棒を何故招待しないのか言い逃れ
出来なくなっているのだという。
そんな中ゴードン捜査官も現場入りして調査を始める。
その夕方ハートはオレを夕食に招待したという。
コールはハートの妻や2人の娘の事を思うと気が滅入ったという。
その日はオレの娘の誕生日だったのだという。
帰宅する道中二人は車内で会話する。
ここの連中は他の世界があることを知らないみたいに住んでいる
こと。しかしこういう町は良くあるものだという。今日の現場は
今まで一番酷かったと語る。ハートはコールに対してお前はクリス
チャンなのかと問う。アパートには十字架がかかっていたと
指摘する。コールはそれは瞑想に使うもので磔の苦難はどう感じる
のかじっと考える為の瞑想だという。そんな発言をするコールに
ハートはお前と組んで3ヶ月が経過するがお前のことは何一つ知らない
事を告げる。だから今から互いに知り逢うのだという。決して
改宗させようというものではないという。
しかしコールは彼はオレは現実主義者で哲学的に言えば、悲観論者
でパーティー向きじゃないと語る。
しかしコールは突然語り出す。
「人間の意識は進化に於ける悲劇的失敗をで自ら意識し過ぎている
こと。自然界が自然と解離したものを生み出したこと。俺たち人間
は存在すべきではない存在だ」と。「自分という意識が有る錯覚
に苦しめられている。感覚的経験と感情が増えることで確信を
植え付けられる。自分は何者なのか・・実際は何者でもない。人類の
ため定められた行動を拒否すべきだ。繁殖を辞め手に手を取って
絶滅に向かう。男も女も不当な扱いから抜け出す。」ならば何の
為に毎朝目覚めるのかと問うと、「現実を目撃する為。だけど
それも定められた方法だと。だがオレは性格的に自殺はしないと
語る。」今日こそお前を知ろうとしたがお前の話と来たら・・・
彼に車ではもう話すなというハートだった。
口の中で嫌な味がする。アルミニウム、炭、精神世界が臭うという。
そんな中、町には看板が設置してあった。
「ステイシー・ガーハート(14歳)を殺したのは誰か。
1987年10月11日・懸賞金(reward)1万ドル」と共に電話番号が
記載されているのを目撃する。
ディナーの手土産は何が良いかと問うとワインだろうというハート。
コールは飲まないんだと。オレの家に来たらリラックスして
今話した様な事は一言も話すなという。分かってる。オレはイカ
れた男ではないと語る。
ルイジアナ州警察犯罪捜査部。
現場での状況をケンに報告するハート。被害者には鹿の角が
被せられていたこと。まるでハロウィンの仮装だ。記者会見を
しなければならないという。コールはどんなヤツだと問われると
利口で素っ気なく、人と仲良くしようとする気が無いヤツだと
語る。でも頑張っている。独自の意見があると。まだ様子見段階
かと。捜査本部は任せるので明日ブリーフィングを仕切ってくれ
と語る。
部下たちにも明日ブリーフィングを行う事をハートは報告。
情報屋から悪魔崇拝について聞かれたとし、先ほどスピースが
尋ねてきたという。色々と嗅ぎ回っている。警視も記者会見の
ことを言っていたので良い事尽くしになりそうだなと皮肉られる。
コールは被害者の身元を探る為に売春婦のたまり場に行ってくる
という。風紀係から情報を尋ねるバーに向かう。長距離トラックが
大量に立ち寄るバーだった。そこで二人の売春婦、アネットと
ルーシーに声を掛ける。
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2012年5月、当時州警察の刑事としてコンビを組んでいた
ラスト・コールとマーティ・ハートがルイジアナ州警察犯罪捜査部
に呼びだされる。1995年に二人はバーミリオン郡のサトウキビ畑
で起きた猟奇的殺人事件と同様の事件が17年の時を経て、再び
発生したのである。しかも運の悪いことにハリケーンによって
当時の捜査資料も飛ばされてしまっていた。二人は2002年に
仲違いしてコンビを解消したとしているが果たして二人の間に何が
起きたのか。そして当時この事件は解決されているのか。
2人の供述を交えながら現在の事件と当時の事件について進行
していくドラマを見ていると「Life 真実へのパズル」っぽい
味付けがしてある。
一人が特異な捜査官で不気味過ぎるオーラを発しているという
ことで、一つ間違えばUKドラマ「シャーロック」のベネディクト・
カンバーバーッチとマーティン・フリーマンを感じさせるけど、
より退廃的で何をするのか分からないところを見ると、このドラマ
に置けるラスト・コールの怖さが、事件そのものの猟奇さと相まって
何とも言えない不気味さを覚える。
しかもこういう事件って何故か人気の少ない長閑な町で発生する
のでその辺の関係も含めて大丈夫なのか心配になるものが有る。
ただドラマを見ていると既に2012年の映像として二人が生きている
ことは確認出来ている訳だし、死ぬ事は無いんだなってところは
安心して見られるドラマである。何よりもおっさん化している
コールがマトモになったようにも見える。
ドラマでは複数の事件が存在していることと、色んな時系列が発生
しているのでよく見ていないとドラマが分からなくなりそうな感じ
もする。
そもそもこのコールの家庭に起きた出来事自体も彼の今の性格に
至る一因になっていそうだし、一体何が有るんだろうね。
コールの会話を聞いていると哲学的というか何というか、宗教的
概念とは別の独特の価値感を持っていて、それが優秀な証しなのか
どうかはともかくとして、人とは違った視点・視線を持っていそう
なので、解決には欠かせないものがあるのかな。しかもコールは
途中で幻視のような光景を見ていて幽霊を信じるかみたいに語って
いたけど、そんな光景が意味するものが何なのか。
殺されたドーラ・ラング以外にも、当時のこの町ではいくつかの
不可解な事件も有るみたいだ。
そもそも看板に情報提供を求めていて、1987年女性・ステイシー(14歳)
は失踪しているようだし、5年前にはキリスト教とサンテリア教
の信仰を持つフォンテーノ家の子・マリー(10歳)が行方不明になった
事があるという。既に家族で引っ越したとしていたし、当時の担当
捜査官のテッドは今はアラバマに住んでいるとのこと。
教会にはネコの死体が有ったり、ドーラ事件は明らかに宗教的儀式
を意図しているような感じにも思える中で、どういう事情が含まれる
のか。
ドーラには性交の痕跡があり、立った状態で縛られて丸一日何も
食べていないこと。リゼルグ酸とメタンフェタミンが検出された
ことも分かり、拷問され絞殺されてあの場所に置かれたであろうこと
が判明する。
宗教的狂信者が絡む事件だと売春婦とかジャンキーが狙われることが
多い訳だけど、そんな事情が有るのかな。
ラストでフォンテーノの庭に何やらドーラ事件に関わりそうな
木の枝で組まれたものが有ったけど、どんな関係が有るのか。
マリーはこの場所が好きだったというけど・・
またレイク・チャールズの遺体について何か言っていたけど、
この人が当時の犯人だとされていた人なのか?
因みにコールは・・・
育ったのはアラスカ。
1989年までヒューストンの強盗課。
テキサス南部で12年勤務。その時は麻薬捜査官。
■使用された曲
・Young Men Dead By The Black Angels
・Far From Any Road by The Handsome Family
・Rocks and Gravel by Bob Dylan
・Sign of the Judgement by The McIntosh County Shouters
ラスティ・コール・スペンサー(ラスト・コール) (Matthew McConaughey)
捜査官
マーティ・ハート (Woody Harrelson) 捜査官
マギー・ハート (Michelle Monaghan) マーティの妻
メイナード・ギルボー (Michael Potts) 刑事、事情聴取する
トーマス・パパニア (Tory Kittles) 刑事、事情聴取する
リサ・トラグネッティ (Alexandra Daddario) マーティと何か?
ケン・ケサダ (Kevin Dunn) 署の本部長
— (Clarke Peters) Minister
ビリー・リー・タトル (Jay O. Sanders) 牧師、反キリスト教に敏感
ダニー・フォンテーノ (Christopher Berry) 元野球、脳卒中
マリー・フォンテーノ (Wanetah Walmsley) 5年前に失踪した少女
チャーリー・ラング (Brad Carter) ドーラの元夫、服役中
デマ (Joe Chrest) 捜査官
— (Jennifer K. Dawson) Erath Woman
ルッツ (J.D. Evermore) 捜査官
— (Tony Molina Jr.) 捜査官
キャサリーン (Dana Gourrier) 警察署の庶務
アネット (Charleigh Harmon) 売春婦
スティーブ・グレーシー (Michael Harney) 捜査官、ラストを挑発
ゴードン・ディシロ (Davi Jay) 捜査官
— (Jason Kirkpatrick) Deputy
ルーシー (Alyshia Ochse) 売春婦
ファブレ (Dane Rhodes) 捜査官
テート (Ron Clinton Smith) 保安官
— (Charley Vance) Erath Man
オーブリー・ハート (Madison Wolfe)
マイジー・ハート (Meghan Wolfe)
スピース (Don Yesso) Commander
— (Jon Arthur) 捜査官
— (Rex Baker) Narcotics Officer
ドーラ・ケリー・ラング (Amanda Rose Batz) 被害者、28歳
— (Skip Bolen) Forensic Photographer
— (Brian Bossetta) Reporter
— (Kenneth Kynt Bryan) Transsexual Hooker
— (Divine Prince Ty Emmecca) Gay Prostitute
— (Will Koberg) Trooper
— (Elton LeBlanc) Good Ol Boy
— (Scott Everett Nichols) Truck Driver
— (Lola Phillips) Neighborhood Kid
— (Robert Segari) 捜査官
— (Tommy Sheppard) Bar Patron
— (Florence Young) Reporter
レン・ストローゲス () マリーの父
デビー () マリーの母、ラスベガスで最高
レイク・チャールズ
エドウィン・タトル () 州知事