第11話 クイーンズの世界対立 World’s Fair
脚本/Warren Leight
Julie Martin
Jacquelyn Reingold
監督/Steve Shill
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【ストーリー】
目覚ましで起きるミーナ・ハスニ。ルディは帰らないで欲しい
と僕は平気だとするが、話は後にしようと告げる。
ハスニは自宅に帰ると、朝帰りなのかとして父・カジ、母・
サフィア、兄・ダニが待っていた。映画を撮る作業をしていた
事を告げると、母は心配して待っていたのだという。夕食には
帰るのか?と。
メキシコ人たちが日雇い労働者として仕事を求める一角が
有った。そんな中、三人組の男が突然メキシコ人たちに対して
お前がやったのかとしてバッドとチェーンソーを持って脅す。
しかしミーナは一部始終その顛末をビデオカメラで録画して
いた。カメラで撮影しているので辞めなさいと語る。
しかし彼女は公園で殺害されて発見される。
被害者はミーナ・ハスニ(19歳)。クイーンズボロ短大生だった。
遺体の傍には4911と書かれていた為に、ウィーラーは”911の
仕返し”というメッセージなのかと問う。イスラム教徒が襲われる
のは今月3人目だという。死亡推定時刻は昨夜11時~から夜中の
1時頃でこの辺ならば無人だろうという。顔をボコボコにされて
いるのにジュエリーや時計、サイフは盗まれていないこと。
強盗以外の別の目的が有ったのだろうと。彼女もやり返したようだ
として左手に引っ掻き傷があるという。酷い暴力だとすると、
平和の象徴の下で起きたことだという。そんな中ローガンは
被害者のポケットの中にビデオカメラがあるので何か映っている
かも知れない事を語る。
それを再生するといつからユダヤ人がメキシコ人狩りをするよう
になったのかと語る。そんなこと聞いた事がないという。映されて
て激怒していること。これは影が長いので早朝のことだという
ウィーラー。時間が合わないこと。殺されたのは15時間後だ
という。ローガンは映像を見て、背後にリトルネックだろう
としてサボイ介護施設の看板が映っていることを指摘する。
ナッソー郡の境界線近くだと。
襲撃犯を探しているとしてメキシコ人たちに話を聞きに行く。
すると該当者が現れ、三人の白人に襲われたというという。2人が
バッドを持ち一人がチェーンソーで襲って来たが毎日嫌がらせ
をしてているという。仕事を奪うなと叫いていること。でも
昨日は”赤ん坊を轢いた犯人は誰だ?”と叫んでいたとし、カメラで
録画している子がいたという。連中は彼女を追いかけたので俺たち
は逃げたのだという。
ウィーラーは先週日雇いのバンがユダヤ人母子をひき逃げした
事故が合った事を語る。復讐なのか。そこにミーナがたまたま
居合わせてしまったのか。
ユダヤ人に話を聞くと、俺よりもひき逃げした不法労働者を逮捕
しろと語る。この女性のことを知っているかと問うと、お前らを
撮影した後に殺害されたのだという。写真を見せるとスパイを
されたから追いかけただけで近くの空き地まで追いかけたという。
彼女は地下鉄の方に逃げたとし、俺はユダヤ公民館の授業に行った
という。証人はいるかと問うと、誰も怪我はさせていないと
し、子供の為に出て行けと脅しただけだという。それを聴いた
ローガンは机に手を思い切り叩いてびびらせると、指を広げて
みせろと語る。
メキシコ人を脅したユダヤ人3人共犯罪歴はなかった。
アリバイも成立したとしてロスに報告する。立派な人種差別者
のユダヤ教徒ということかと。クイーンズは全米一の人種のルツボ
だとし、他民族嫌いの一因になっているという。公園に設置して
ある地球儀は1964年の万博のテーマシンボルで”理解と平和”だ
と語る。ミーナはクイーンズの人種差別記録追い像を友人と撮影
していたとし、でも友人は旅行中だという。そんな中ミーナの
家族が遺体を確認にしているとのことだった。
父・カジ、兄・ダニ、母・サフィアは遺体を見てミーナだと
確認する。何て酷い顔にされているのかとしてカジはショック
を受ける。残念だとして声を掛ける中、殺人犯を捜している
事を語る。夕べは彼女は誰と居たのかと問うと、カジは遺体の
身体を洗わないといけないという。最後に逢ったのは何時かと
問うと、ダニは朝食の特だという。みんな今はそっとして置いて
欲しいと頼む。
エリザベスは遺体の死因は脳の反衝損傷だという。ウィーラー
を使ってどういう状況なのかを再現する。地面に頭を打ち骨折
したこと。後頭部に脳が衝突、脳に反動で跳ね返り前頭部にも
衝突したのだという。スケボーで防具無しで転ぶ事故と同じで、
即手術をしないと臓器提供者になるという。エリザベスに顔の傷
について尋ねると、致命傷ではないがコンクリート片がめり込
んでいるという。脳に致命傷を負わせたが犯人は気が付かず、
次はうつ伏せにして顔を打ち付けたのだろうとし、凄い怒りの
現れだという。そして彼女は妊娠しているとし7週目だと語る。
VIHという家庭相談員から話を聞きに行く。
相談員は秘密は守らないと困るとするが、殺人事件が発生して
いるのだという。ミーナはパキスタン系のイスラム教徒であり、
FBIを呼べば愛国者法で強制捜査になるぞと脅すローガン。
彼氏と一緒に相談に来たとし、彼氏はルディ・ベンターノだという。
彼女の迷いを聴いて激怒していたとのこと。中絶を彼女が拒否
したのかと問うと、その逆とのことだった。
ルディに話を聞くと、自分は彼女に子供を産んで欲しかったの
だという。結婚して僕の所に来ると話合って決めていたこと。
昨日の朝まで一緒にいて彼女は家族と朝食を取りに帰ったという。
早朝コッソリと帰るのが日課だったという。両親から反対されて
いたとし、その理由は宗教問題だと語る。昼にも話合いをしたが
何も解決しなかったこと。ローガンはその手はどうしたのかと
問うと大工仕事で傷つけた事を語る。
ルディは叔父のジョセフから心配するなという。
警察が来たら叔父とテレビを見ていたと言えばいいとし、お前は
ここで寝ていたことにするのだという。だからお前の母・セシリア
も彼女は止せと言っていたのだと語る。
ハスニの雑貨店。
ミーナに彼氏など居なかったという父。不良と付き合うなと言
っていたという。マフィアは僕らの敵だというダニに対して、
イタリア系からの圧力が有ったのかと問う。肌の色や発音が違う
だけで暴行を沢山友達にしてきたという。そんな中、ミーナ
宛てにお悔やみの手紙が同級生から届いていた。その中には
親友のエミリーから”いつまでも大好き”というメッセージと
写真が届いていた。勉強でデートをするヒマなどなかったという
母・サフィア。ウィーラーはルディは彼女と結婚話も出ていたと
話していると語るとダニはそんな大嘘だという。ウィーラーは
言いにくいことだが、ミーナは妊娠していた事を語る。
カジはそんなのあり得ないとし、タリクがいるのだという。
タリクはパキスタンの婚約者で家同士の約束だったという。
タリクは2週間前にこっちに来て結婚後は祖国で暮らす予定だ
ったのだというダニ。ローガンはミーナは了承していたのかと
問うとカジは家族の望みだと語る。ダニはそれでルディが怒った
のだろうと語る。
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パキスタン系の大学生のミーナとイタリア系の学生のルディは
結婚も視野に入れて付き合っていたが、パキスタンに於ける
イスラム教徒の家系には未だに家族同士・親同士で結婚を決める
という風習が有り、ミーナは取り決めでパキスタンに住むタリク
との結婚が決まっていた。その為に二人は妊娠したことで堕胎
すべきかどうかでケンカしてアメリカ系アメリカ人の家庭相談員
と相談していた。ミーナは撮影・記録を撮ることを趣味としている
中、テーマとして撮影していた人種差別に於いて、ユダヤ人が
不法滞在しているメキシコ人に対して襲いかかる姿を目撃して
しまう。撮影していた事に怒ったユダヤ人はミーナに対して敵意を
向けて襲ってくるが・・・そんなミーナが万博が開催された記念
公園で殺害されて発見される。クイーンズは人種のルツボと化して
いる為に、9.11以降、人種間に於ける不信感も募っていたことも
有り、殺伐としていたのだった。
家族の名誉・プライドの為に自分の娘や息子を殺害するという
イスラム教徒の話は過去にも同様の形で事件として扱われた話は
見た事が有るけど(大抵は家族から破門されるネタが多いか)、
イスラム教徒に於ける人の命の考え方はちょっと特異過ぎるところ
も有ってなかなか理解しづらいですね。結婚は個人だけの問題では
なく家族同士の付き合いでも有るので、親兄弟の理解を無くして
結婚に踏み切れないというのは分かるにしても、アメリカに来ても
尚、そのような時代錯誤の風習を守ることへの意味というのは、
正直なかなか理解出来ない。
「救命医ハンク セレブ診療ファイル」のディヴィヤ・カダイも
このパターンで家族と疎遠になってしまうという役だったけど、
昔は日本も家族同士で結婚を決めてしまうということは当たり前
のように存在していたので、恐らく多かれ少なかれ有ったのだと
は思う。
厳格な土地で育った親からすれば、娘の行動は性の乱れと捉えるの
か。家族の為に犠牲を払った兄からすれば、妹の”自由意思”は
相当羨望なものとし映ってしまうところが有るのか。
人種が入り乱れているという未来都市に於ける時代錯誤の風習を
取り上げたもので、ローガンは娼婦だってスマホを持つ時代だ
としていたけれど、そんな時代に於いても親が決めた相手同士が
結婚しなければならないとする流れが有ったり、結婚するまでは
異性と関係を持ってはいけないとする厳格なものが有ったりして、
世界が一つの価値感を共有することが如何に難しいものなのかと
いうことを感じさせる。
911が起きるまでは、この家庭も幸せでレストラン経営している
姿が有り、あの事件によってアメリカに於けるイスラム教徒たちは
迫害の対象となってしまった。しかしそれは人種間だけに留まらず
に同じ民族同士が殺し合う構図にもなっていて、他の文化圏から
するとなかなか理解するのが難しいところが有ったかも知れないね。
ウィーラーが色々と被害者が殺される際の再現役に任命されて
エリザベスからいじられたり、ダニからも同様に殺された時の
様子を再現させられていた。
そんな人が再現する状況と今回被害者が記録ビデオのような形と
して残して居た家族の歴史のVTRや彼氏との関係を示すVTRを見る
と、如何に人が伝える情報が個人の主観によって都合良くねじ曲げ
られているのかが分かるものが有り、記録することの大切さなんか
も感じるところ。そんな記録を見ることを拒んでいたミーナの
父というのは、なかなか現代のアメリカには溶け込めないところ
も有ったのだろうけど、故郷から遠く離れる程に、国の風習を
守りたいものが出てくるとしても、娘の幸せこそ一番大切だとは
考えられないものだろうか?
遠い土地にいるのだから、本国からの呪縛のような婚姻関係に
於けるルールとか家庭としてのプライドなんかに縛られる必要も
ない気がするんだよね。本国だとそんなプライドを失った家庭
は村八分にされて生きていけなくなるみたいなことも有るみたい
だけど、アメリカならばそうはならないと思うしね。
両親は家族が決めた相手と結婚して、それでも幸せな暮らしを手に
したとしていた。しかし世代の問題も有って人前ではキスする
のを見た事はないと娘は語っていた。VTRの中で映るミーナと
ルディは惜しげもなく幸せ感を露わにして、キスしたり手を握る
光景が有る。そんな姿を見た母親はどのように感じたのだろうか。
ここの所、LAW & ORDERはSVUでも兄弟に於ける葛藤とか親からの
愛情の差異によって殺害犯に至るケースが多い気がする。
ロバート・ゴーレン (Vincent D’Onofrio) 天才刑事、”ボビー”
アレクサンドラ・エイムズ (Kathryn Erbe) ゴーレンの右腕
ダニー・ロス (Eric Bogosian) 警部
エリザベス・ロジャース (Leslie Hendrix) 検視局
マイク・ローガン (Chris Noth) 刑事
ミーガン・ウィーラー (Julianne Nicholson) 刑事、ローガンの相棒
— (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)
ダニ・ハスニ (Maulik Pancholy) ミーナの兄
サフィア・ハスニ (Meera Simhan) ミーナの母
ミーナ・ハスニ (Mahira Kakkar) 19歳、クイーンズボロ短大生
カジ・ハスニ (Erick Avari) 父
ルディ・ベンターノ (Jason Cerbone) ミーナの彼氏
セシリア (Patti D’Arbanville) ジョセフの妹、ルディの母
タリク・アミール (Samrat Chakrabarti) ミーナの許嫁
ジョセフ (Tony Lo Bianco) ルディの叔父、セシリアの兄
ネイト (Daniel Dugan) メキシコ人を襲う、ミーナに帽子を飛ばされる
アンジェラ (DeWanda Wise) 家庭相談員
カルロス (J. Salome Martinez) バッドで襲われるメキシコ人
ロリー (Romi Dias) ルディが逢っていた娼婦、泣いていたと
Det.ピーティ (Joe Gonzalez) 捜査官
Dr.パテル (Anitha Gandhi) ルディの死を告げる
Ms.キム (Esther Chae)
ベニー (David Kremenitzer) バッドで襲われるメキシコ人
ビリー (Jared Burke)
— (Ruben Flores) Mexican Man
エミリー・ウィリアムズ (Sarah Kozinn) ミーナの友人
— (Tanzeel Kayani) Riot Starter
— (Adeel Ahmed) Riot Starter
— (Junes Zahdi) Persian Waiter
— (Ali Khan) Hookah Bar Waiter
— (Rebecca Merle) College Student
— (Bill Sorice) 捜査官