第10話 理由なき殺人 Senseless
脚本/Warren Leight
Siobhan Byrne O’Connor
監督/Jean de Segonzac
【ストーリー】
1995年、ブラウンビルズのバーバーショップ。
弟のパコは絵本を読もうとして棚から取ろうとすると兄のヘク
ターが取ってあげる。
その頃公園では、ナオミはブランコに乗ると、ナオミとは双子
のタイと親友のアイゼアと共に遊んでいた。
1999年、ヘクターはパコに一緒に絵本を読もうと告げブランコ
に座る。
2001年、ナオミはアイゼアとタイにブランコを押してと告げる
と、二人はグルグルに回す。
2003年、父の死でバーバー店は貸店舗となる。
2007年、ナオミとアイゼアとタイは感謝祭で故郷であるブラウン
ビルズに戻り懐かしのブランコにいると、突然三人組のギャン
グ、ヘクター、パコ、そしてフェリックスが現れる。
タイたちは帰ろうとして出て行くが、フェリックスはナオミの
前に出るとそのiphoneを見せろと告げる。フェリックスは
彼女が「負け犬」と言っている気がする。「淫売」と言い返す
と、フェリックスは突然銃を取り出す。パコとヘクターは
フェリックスに落ち着けとするが、フェリックスの頭の中では
「撃ち殺せ!」という声で溢れていた。ナオミに腹部に発砲する
と、アイゼアとタイを駐車場に連れて行く。撃たないでくれと
いうが、後頭部から突然二人を銃弾で殺害する。
ファラッチとローガンは被害者を3人出した公園にいく。
捜査官の話だと男性2人タイ・ジョンソンとアイゼア・モリスが
死亡、女性のナオミ・ジョンソンはまだ息があり緊急搬送された
という。重体だと。現場からID、サイフ、現金、iphoneは盗ま
れていないという。男性二人は後頭部を打たれていること。処刑
スタイルだという。一人ずつ至近距離で一発ずつ撃っていること
から冷血な人間だった。ローガンは少し離れた所に小便の跡が
あることが分かる。DNAを調べる様告げる。ファラッチは女性も
後頭部を撃たれたのかと問うと、腹部だという。ナオミは18歳
でタイの妹。3人共同じアパートに過ごしていたとし、夜の公園
には何をしに来ていたのかという。麻薬なのかそれともギャング
なのか。ローガンは壁の撮影をしておいてくれと語る。
捜査官によると目撃者は居ないが耳撃者はいるとし、ディミト
リ・ザヴラノフというタクシー運転手だという。
ディミトリに話を聞くと、半年で3回も強盗にやられたとし、今は
固定客専門だという。携帯で妻と話していた際に、銃声が一発、
そして一分後に二発聞こえたという。何人が居たが英語とスペイン
語で会話していたので聞き取れないとのこと。
エリザベスは検視する。
9mm弾を1発ずつ撃たれて二人とも即死だという。同じ銃で一人
は背中を蹴られて一人は鈍器で頬を殴られているという。
尿について尋ねると被害者のものではなく、DNAのデータベース
にも該当者がいないという。薬物検査も酒も検出されていないとの
こと。
ギャングの痕跡はあるかと問うとアイゼアの方の腕にはタトゥー
があるが、悪の刻印とは違うという。中国の漢字「和平 博愛」と
彫られていた。エリザベスは上の二文字は平和という意味で、
下の文字は人類愛を表す文字だとすると「平和と愛」かという。
ロスがやってくると、感謝祭で実家に帰省中に公園で何をしたのか
と問う。ローガンはナオミの目が覚めたら話を聞くという。
3人共非行歴はなく、全米優秀学生協会にイーグルスカウト、市の
バスケ選手権では優勝していて被害者3人共優等生で奨学金で大学
進学しているという。理由もなく殺されたなんて言うなよという
ロスは理由を見つけろと語る。
牧師をしているジェレマイアから息子のアイゼアを含む三人の
ことを尋ねる。公園でよく遊んでいたこと。今年から大学生だっ
たとし近所の子の多くは刑務所に行くのに私は鼻が高かったという。
初めての寄生虫にこんな悲劇が起きるなんて・・と語る。
息子さんは恨まれているとか無かったかと問うと、争い事とは
無縁だという。ギャングの友達は居なかったかと問うと。悪い友人
はいなかったとし、彼はバスケスターだったという。去年の市の
選手権で優勝しているわねというファラッチ。優勝記念の指輪
がもらえるはずだというローガンに対して、父は息子は必ず
身につけていたという。しかしそれが見あたらなかったことを
語る。物質的なことだという父。タイやナオミと親しかったのか
と問うと、タイは親友でいつも一緒。ナオミはタイの双子の妹だ
という。ナオミに恋人は居たのかと問うと、彼女の両親に聞いて
くれとし、今夜の追悼会に正体したという。こういう時には
ギャングが来ることもあるとすると、警察に来て欲しいのか
という。人種差別による犯行とのウワサがあるとすると、暴動
は避けたいのだという牧師。ローガンは自分たちも参加すると
約束する。
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■今回の事件
感謝祭の日にブラウンビルズの公園に帰郷していた三人の幼な
じみたちが突然三人の男性によって銃で脅され殺害される。
男性は無条件に処刑スタイルで頭を撃ち抜かれて殺害され、女性
は腹部に銃弾を受けて重傷な状態で発見される。かろうじて
発見された時には生きて居たのはナオミ・ジョンソン(18歳)。
夜の公園に居たことから、ギャングの抗争も疑われる。
■珍しい構成
1995年の描写から始まったので、まるで「コールドケース」でも
始まるかと思わせる演出・構成だった。
小さな子供が公園で遊ぶ光景。
一組は3人(ナオミ、タイ、アイゼア)。もう一組は2人(パコとヘクター)。
どちらも健全な兄弟の姿が有り、唯一の例外は、1人外部からやって
きたメキシコ人の存在が有ったこと。
今回のドラマではそんな二組の子供たちが同じような環境で育ちつつ
もどうして行き違った運命が有ったのかを比較するような流れが
ある。どちらの人物も3人組でタトゥーをしている姿まで有った。
どちらの人物も片親っぽい設定も有るし・・
タクシー運転手も半年で3度強盗に襲われたとしていることからも、
決して安全な場所ではなく、それでも夜に出歩けるだけのスペースが
有る。
■人は出会いや環境によって人生が変わる
正直被害者・加害者共に幼いときからの描写があるので何処でどう
間違ったのかと言われると、メキシコ人の勘違い男・フェリックス
という人物がそこに居たからとしか言いようがない。
被害者の3人は牧師の子として育ったことからも、神のご加護がある
と思っているのか、夜に出歩くなんてというのはちょっと安易な
ところも有りそうだった。
ただ追悼会での態度を見て、ギャングの仕業だとしても誰一人
事実を隠そうとしているような姿はなく、寧ろ協力的姿が有ること
からこの街はある程度治安が悪い中でも統率が取れているのかな。
■差別的視線
どうしてもこういう地区で発生している事件なのでまず疑うのは
ギャングとドラッグの問題だ。人間の行動が完璧である程に疑いたく
もなるのだろうけど、被害者の三人は非の打ち所もない人物だった。
犯人がギャングではないかとする疑いも当然存在する。
何よりも地元のギャングのMS13がしているようなタトゥーをしている
こと。
そんなギャングの捜査に精通しているダニエルズ捜査官は
「The Walking Dead」で、ガブリエル神父役のSeth Gilliamが
演じている。
しかしギャングを捕まえてタトゥーを見せるとMS13の偽物だと
判明する。
■ローガンの決意
普段刑事ドラマというと必ず被害者家族に対して「出来ない約束は
決してするな」と指摘されるけれど、今回ローガンは被害者の両親
に対して「誰だろうと必ず捕まえる」としていた。
ファラッチは何故そんな約束をするのかを問う姿があったけど、
「卑劣なクズ野郎を取り逃がすようならばオレは引退するよ」
とローガンの熱い一面が感じられた。
■捜査の進展
ドラマでは質屋に持ち込まれたアイゼアの指輪がきっかけで足が付い
ていく。
被害者が獲得して大切に持っていた指輪を女性が売りに来ていたこと。
女性は彼氏のヘクターからもらったとする中で、ローガンやファラッ
チは嘘をついて、本物のMS13が彼氏を狙っているというとを告げて
居場所を教えることになる。この辺の誘導の仕方は本当に上手くなった
な。
パコを探す際にもファラッチが彼女に対して「ゲームは男の方が優秀
だと相棒がいうのよ」と語ることでパコの居場所を聞き出す姿が
有った。
■息子のことを盲信する母
長男ヘクターのことを母親・カルメンは人を殺すような子ではない
としていたけれど、銃の捜索令状が出る中で、なんと銃が発見された
のは父親の遺灰の中だった。バーバーを経営していた頃の彼らの
姿を見ているだけにかなり切ないところ。
ヘクターは父が亡くなったことで高校を中退し、パコは現在高校に
通いトップクラスの成績だという。しかしそのパコもゲーム好き
だということでゲームセンターで捕まっていた。
しかしアメリカのゲーセンのスタイルはスタンディング筐体が多いとは
言われるけど、ホントパコが居たゲーセンは全てその筐体だった。
日本のゲーセンは座ってゆっくりゲームをするよね。
■フェリックスとはどれだけ怖い人物なのか?
フェリックスがナオミたちと会話している中で彼は頭の中で
会話にならず別の言葉として伝わっているような光景が有ったので
またしても統合失調などの病気を患っている人物による犯行なのか
と思った。
フェリックスの罪を背負って刑務所に入ろうとするなんてどれだけ
怖い人なんだろう。
まぁ何の意味もなくただ蔑まれているという妄想で、3人の人物を
殺すのだから、そうとう逝っちゃっている人なんだろうけどね。
■加害者は助かり被害者は全員亡くなる
被害者の家族は牧師だったけど、牧師は殺されたことに対して
憎しみを他人に向けることなく、それを説法の中で語るところが
有った。ロスは自分の身ならばあんな発言は出来ないことを語っていた
けど、確かに立場があるとはいえ、凄い牧師だなと思う。
今回の被害者は誰でもなく子供たちの親なんだろうな。
子育ての仕方を間違ったのかとか、何故殺されなければならなかった
のか答えのないところで一生を過ごすことになりそう。
■ローガンとロスの衝突
48時間捜査して大した情報がなかったことに対して、ロスは新鮮な
目で見ようと語る。ローガンは上層部からの圧力ではないかとして
疑いの目を向けると、ロスとしては不本意な発言だということで
言い合う姿が有った。ファラッチが仲間割れしている時ではないと
していたけれど、前回のエピソードではファラッチの暴走だった
ことも有るのでちょっと不思議な感じが有った。
またここのところロスと部下が衝突するというシーンが多く、彼は
ゴーレンともぶつかっているし、なんだか最近は温度差を感じること
が多いな。
■使用された曲
・
■出演者
ロバート・ゴーレン (Vincent D’Onofrio) 天才刑事、”ボビー”
アレクサンドラ・エイムズ (Kathryn Erbe) ゴーレンの右腕
ダニー・ロス (Eric Bogosian) 警部
マイク・ローガン (Chris Noth) 捜査官
ノーラ・ファラッチ (Alicia Witt) 捜査官
エリザベス・ロジャース (Leslie Hendrix) 検視
— (Steven Zirnkilton) Opening Announcer (voice)
フェリックス・アキーラー (Jesse Garcia) メキシコ人、”悪魔”、殺人
カルメン・メンドーザ (Daphne Rubin-Vega) 母親
ヘクター・メンドーザ (Reza Salazar) 兄
パコ・メンドーザ (Christian Navarro) 弟
ジェレマイア・モリス (Ben Vereen) 牧師
アイゼア・モリス (Abraham Amkpa) 3人の一人、大学生、腹部を撃たれる
ダニエルズ (Seth Gilliam) 捜査官、ギャングに精通
ビアッジ (Teddy Canez) 捜査官
ジェイク・バーバ (Chris Cardona) 捜査官、万引きでフェリックス逮捕
ナオミ・ジョンソン (Monique Lea Gall) 3人の一人、18歳、タイの妹
タイ・ジョンソン (Peterson Townsend) 3人の一人、ナオミと双子
トーニャ・ジョンソン (Rosalyn Coleman) 母
フランクリン・ジョンソン (Harlin Kearsley) 父
エンジェル・ルイス (Michael Ray Escamilla) ギャング、車に轢かれる
カルロ・アルバー (Victor Cruz) 質屋
マヌエル・ロペス (Carlos Alberto Valencia) 厨房、フェリックスを知る
ロジャス (Cesar De Leon) 不法労働、フェリックスを知る、車で逃げたと
ルイーサ (Demmy Dominguez) 恋人
ヴェラ (Jene Hernandez) パコの友人、PSPで遊ぶ
ディミトリ・ザヴラノフ (Alexander Bilu) 銃声を聞いたタクシー運転手
Dr.ナヤー (Alok Tewari) ナオミの手術
11歳の時のヘクター (Sean J. Moran)
7歳の時のヘクター (Felix Vazquez)
7歳の時のパコ (Hisham Hraiche Palacios)
3歳の時のパコ (Valentino Bonaccio)
12歳の時のナオミ (Jonet Bolden)
6歳の時のナオミ (Alexis Holt)
12歳の時のイサイア (Stephon Arcell Lashley)
12歳の時のタイ (Malik Hammond)
6歳の時のタイ (Messiah Stevens)
— (Enrique Chicas) The Undercover Cop
— (Shaun Patrick Flynn) リポーター
— (Enrique Novello) Vigil Participant