第5話 プール
監督/波多野貴文 脚本/吉田康弘
音楽/村松崇継
原作/Veena Cabreros Sud
【ストーリー】
2012年7月。
文武両道を歌うエリート進学校の開央学院。
教師の内藤は生徒たちに水泳の授業をする。生徒に無理矢理
泳がせる中、内藤は精神力、忍耐力、集中力を養わないと役に
立つ人にはなれないことを語る。まるでしごきと同じだった。
そんな中、内藤はプールの中で亡くなる。
現在。
石井は立川におはようと挨拶。金子は一課宛に送られてきた
ものがあるという。開央学院からのもので、この学校は東大
やハーバード大への進学率が高く、官僚のOBや各界で活躍
する人もこの学院の卒業生だった。
送られて来たものは一枚の紙だった。そこには
プラン・・
1. 無視
2. ご褒美
3. 秘密
4. テスト
5. エスカレート
6. 破壊
2012年7月16日内藤貴一
と書かれていた。手紙からは指紋も唾液も検出されなかった
という。
これが差出人なのかそれとも被害者なのか。
犯人が罪悪感から送ったのか、真相を知る第三者が正義に
目覚めたのか・・しかしそれにしても何故4年後なんだ?と。
創立80年の歴史の中で殺人事件はなく、被害者に内藤なんて
人物も居ないという。しかし本木がやってくると、事故死
扱いされて内藤は在籍していたことを語る。内藤は当時この
学校の教師で2012年に45歳の歳で亡くなっているという。
死因は溺死・・血中アルコール0.3%じゃ無理ないという石川。
筆跡鑑定によると思春期の男の子の文字だという。
第一発見者は夜間の当直の小暮充だという。
開央学院に話を聞きに行くと、対応に出るのは校長の中畑だ
った。小暮先生も我が校の卒業生で現役で東大に現役で卒業
しただけでなく競泳の五輪強化選手に選ばれたことがあると
して校長のお気に入りだった。
内藤教師を発見した時のことを聞くと、発見したのは朝6時頃
で見つけた時には亡くなっていたという。これに見覚えはな
いかとして手紙を見せるがないという。内藤が酒飲みである
ことは?校長も知っていたが、彼は勤務に支障がなかったし
優秀な教師だったという。
(回想)
内藤は篠田をプールでしごく。健全な肉体にこそ健全な精神が
宿るとして校長も見に来ていた。校長が来たので内藤もそれ
以上の授業を切り上げる。
しかし篠田はもう一度チャンスを下さいとして内藤に食い下が
る。
子供溺れさせることが英才教育なのか?体罰とどう違うのかと
問うと、校長は頭を使った分だけ肉体を使うのだとし、この
学校からどれだけの優秀な人材を出しているのかと告げる。
再調査には協力するが他言無用でだと要求する。
篠田は常に最下位だったという。
授業風景をwebカメラで撮影しているのを目にする石川たち。
彼らは休み時間にも一人として勉強を辞めるものは居なかった。
篠田を呼び出すと話を聞く。
何故内藤はあんなことをしていたのか。篠田は限界を見たかっ
たのだろうという。憎しみが湧いてきたのではないかと問うと
憎しみというよりも悔しさで一杯だったという。
(回想)
再チャレンジした結果、やれば出来るじゃないかとして内藤に
褒められる。ご褒美をやろうという内藤。
そのご褒美とは何だったのかと問うと褒められたことだという
篠田。この学校に来て一度も褒められることはなかったという。
辞めようとは思わないのかと問うと、今まで親にどれだけの
授業料を払ってもらっているのかとし逃げる訳にはいかないの
だという。
全寮制だがそこにもカメラが付いていたとして署に戻ってみんな
に報告する。分単位で生徒は動いているとするとまるで軍みたい
だなと。
そんな中、内藤が死ぬ前に篠田は何度も医務室に運ばれている
ことが分かる。それもアルコールを飲んだことによるものだと。
■感想
原作ではs1の22話「プラン The Plan」のリメイク版。
http://itawind.web.fc2.com/kaigai/coldcase/coldcase122.htm
気がつくと日本版にリメイクされているのはコールドケース
の原盤の中でも脚本を担当したのが全部Veena Cabreros Sud
さんのものですね。原盤では16のエピソードのシナリオを
担当しているけど、このまま全部彼女のシナリオのリメイク
だけで進んでいくのかな。
元々の設定は更生施設。それが一気に日本版になると
エリート中学/高校に変更されてしまうという全くの正反対。
日本の場合更正施設以上に規律を求められるのがエリート
だという皮肉も込められているのだろうか。
プランというくらいだから色々と頭を働かせて・・って感じ
で犯行が行われているのだろうけど、正直ちょっと3人の
子供たちのキャラクターが分かりづらい。
一応4年経過しているのでキャラクターが変わったのだけど、
キャラクターが変わったことでより誰が誰だか分からなくな
った。
すぐに小暮が内藤の被害者であり一連の事件に関わって
いるだろうことは分かる。
原盤をみて居ない人ならば最後は意外に写ったのだろうか。
内藤がこの子供たちだけに初めて性的虐待をしているハズも
ないだろうしね。
3人の容疑者の少年が取り調べ室に別々につれて来られる。
アメリカの司法制度・刑事制度なら未成年者には保護者なし
での取り調べは出来ない縛りがあるけど、日本は親は一切
関わってこなかったですね。
容疑者も3人集まればボロが出る。
偉そうにしてエリートの洞口が石川に、取り調べのやり方が
下手だと述べるが、前回のエピソードでもユースケさんが
駆け引きを演じてしまっているのでどうも似たような形に
しか見えなかった。
洞口の戦術など一瞬にして論破してしまう石川。
捜査のプロ相手に殺人の何たるかも分かっていないことで
勝負を挑まれても土俵が違うんだよな。
原盤の時にも突っ込んだけど、棒で叩いているのであれば
外傷が出るハズで、これを事故死にしてしまうのは無理が
有ったけど、体面を気にするところだからね。
小暮は最後に自分が手紙を送り、そして少年が自殺未遂して
しまったことで、罪悪感から自分も被害者だったとし、
そして当日自分が生きて居た内藤にトドメを刺したことを
告白していった。
高木がちかの死で捜査が封印されている状況。
そして百合の妹との関係で一時的に立ち直りを見せようと
しているところなども原作版と同じような設定だ。
スコッティの場合、兄貴もまた後々のシーズンでジムの
のコーチから性的虐待を受けていたことが分かったり、母親
が性暴行を受けるなど、滅茶苦茶不幸な家系なんだけどね。
■出演者
石川百合 …… 吉田羊 (警部中隊長)
高木信次郎 …… 永山絢斗 (巡査部長、相模署から栄転)
立川大輔 …… 滝藤賢一 (主任。警部補)
金子徹 …… 光石研 (主任。警部補)
本木秀俊 …… 三浦友和 (警視。課長代理。)
中山ちか …… 藤澤恵麻 (高木の彼女、精神疾患)
石川沙耶 …… 平田薫 (百合の妹、Barスリーマティーニ)
渡辺コウジ、榎本薗郁也、伊藤あきこ
内藤貴一 …… 堀部圭亮 (開央学院・教師)
中畑 …… 佐々木勝彦 (開央学院・校長)
小暮充 …… 高橋光臣 (開央学院・教師)
篠田祐樹 …… 今井悠貴 (最初に取り調べ)
有川努 …… 健太郎 (本木に事情を話す)
洞口亮 …… 村上虹郎 (銃で自殺未遂)
14歳の篠田祐樹 …… 板垣李光人 (オチこぼれ)
14歳の有川努 …… 斉藤碧大 (夜尿症)
14歳の洞口亮 …… 本村海 (エリート)
生徒役 …… 杉浦諒祐