第9話 トゥルー・ノルマン Trou Normand
脚本/Steve Lightfoot
監督/Guillermo Navarro
【前回までのあらすじ】
ウィルはジャックから遺体を見るのが楽になったかと問われ、
見ようとしても思考が止まると語る。アラーナとウィルは
キスする関係になるが、彼女から上手くやっていけないと思う
と言われる。それは僕が精神な病のせいなのかと問う。
妹は鹿の角に刺されて殺されたとしてアビゲイルに訴えかける
中、エリースが殺された件でニコラスは疑われた為に自分は
無実だとしてアビゲイルの元を尋ねる。その際アビゲイルは
恐怖を感じてニコラスを刺し殺してしまう。レクターはそれ
を知り、今正当防衛と訴えても、ギャレットの共犯者と見られ
ている内は無理だとして、一緒に遺体を隠そうと語る。
ジャックは事件の鍵はアビゲイルだとする中、アラーナは
今のアビゲイルに質問は無理だと語る。アヒゲイルは自宅に
帰りたいと訴えるが、自宅には”人食い”などの落書きが行わ
れていた。
【ストーリー】
ウェストバージニア州グラフトン。
ジャックとウィルは海辺にいくと、そこでは鑑識班が遺体の
調査をしていた。遺体はあまりに異常な状態で発見され、
多数の遺体がトーテムポールのように積み重なっていた。
ジグソーパズルみたいだというゼラーに対して、ジミーは
角は何処だと問う。母はジグソーは角から始めろと言っていた
と語る。頭が角だろうとすると、カッツは角が多すぎるとして
墓は7つしかないのに頭は沢山あるという。てっぺんにある遺体
は最近の犠牲者だった。他の遺体はだいぶ古いという。
7人はここに有った墓に入れにれたもので埋めた人物が掘り返
したのだろうというウィル、殺すだけじゃないず死者を冒涜し
たのかというジャックに、もっと冷酷にさらし者にしたのだと
いうウィル。
ウィルは一人にしてもらうと世界観に入り込む。
計画は練って合ったこと。この祈念碑をどう建てるかどうか。
材料は事前に集めて置いたもので、遺体を慎重な配置にして
いること。それぞれを正しい位置にしてピースを組み立て秩序
をもたらしているという。彼にとっては置いた最後の被害者が
目的で彼に作品を見せたいと思ったのだろうとし、制作の過程
が見届けさせてから殺したのだという。僕の履歴であり、作品の
集大成だという。これが僕の遺産だと。
ウィルは気がつくとレクターのオフィスにいた。
どのように来たのかまるで覚えていなかった。
浜辺にいたはずなのに瞬きして気がついたにここにいたという。
来る途中の記憶が消えたのかというレクターに対して僕はどう
かしているという。レクターは解離しているのだという。
虐げられた者の防衛反応であり、共感能力のせいで参っている
のだという。それを無視しているとし、ジャックは止める機会
を与えたのに君はまだ行っていることを指摘する。しかしウィル
は人助けをしていることを語る。それで満足なのか、君の人生
はと問われ、友人として君自身が心配だという。現実から
離れていること。自分は夢遊病なんだというと幻覚まで見えて
しまうとして脳の検査をした方が・・というウィル。間違った
場所に答えを求めるなとすると、解離を起こした犯罪現場は
何かと尋ねると、死体のトーテムポールだという。犯罪を
恥だと知らしめる風習もあるというレクターに対して、あれは
恥ではなく自分の成功を祝っているというウィル、その偉業
を見て君の心は現実逃避したのかと。君が心配だとすると、犯人
に共感して自分を見失っているという。記憶が飛んでいる間に
人を傷つけているかもしれないという。君がトーテムポールを
作るなよと語る。
グループセラピーでアビゲイルは毎朝目覚めるとパパの声が
聞こえるという。ベッドの横でひざまずき私に囁くという。
「女の子を殺した」と。それも何人も・・私を殺さないために。
パパが生きていたら聞きたいというアビゲイルは、私が何を
したのか。何故私を殺そうと思ったのか。
すると突然アビゲイルの話を聞いていたものたちは、彼女に
向かって「あなたが死ねば良かったのだ」と語りかけてくる。
そこに居た女性は、ギャレットによって殺された女性たちだ
った。そんな悪夢から目覚めるのだった。
ウィルはジャックのオフィスにいくと、昨日は済まないと語る。
しかしジャックは何の話なのかと問う。自分じゃない気がして
というウィルにそれが君のやり方じゃないかというジャック。
僕は普通だったかと尋ねると、話したくないことはあるようだ
という。昨日は混乱しただけだとすると、今日はどうかと問わ
れる。参っているとし、死体は多いしもっと単純な事件だと
思っていた事を語る。問題があるならば俺に話せとするが
ウィルは大丈夫だとして話さなかった。
メリーランド州・ボルティモア・ポールヘイブン精神科病院
アビゲイルの実家が売れたが殺人現場なので大した額にならな
かったとラウンズに語る。しかし彼女はあなたはその金を
受け取れないとし、被害者遺族が訴訟を起こしたのだという。
財産は全て没収されるとし、ここにあるものしか残らないという。
何も要らないとすると、自分で稼げるという。アビゲイルは
彼女にあなたが私とパパのことを本に書いたらいくらになるか
と尋ねると大金だという。また書きたいと思っているかと問うと
あなた自身が語るのだとし、私をその手伝いをするのだという。
世間は私を共犯だと思っているとすると、誤解を解きましょう
と語る。
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■新たな猟奇的殺人事件・トーテムポール
ドラマを盛り上げる為とはいえ猟奇的な事件が多いね。
今回はウェストバージニア州グラフトンで起きた事件だった。
墓は7つなのに頭がたくさん有ると語っていたけど、全部で
17体の遺体が存在しているらしい。
正直、切り裂き魔のエピソードなのかと思って見ていた。
そろそろレクターも主張したいものが出てきたということで
遺体を表沙汰にするのかと思った。
ここのところよく食事を振る舞っていたし、遺体も多く出して
居たはずだからね。
ただ犯行は別人のもの。
しかしアメリカの遺体は防腐処理がしてあることとはいえ、
昔の遺体を積み上げるとか、犯人は車イスっぽかったけど、
あれだけの重労働を砂浜で見つからずに行えるのかってところ
が有ったな。その時点で容疑は外れそうな気がするが・・。
■ウィルの記憶が飛ぶ
冒頭では猟奇殺人の現場で犯人の思考に入り込んでいたのに
気がつくとレクターのオフィスに居る姿があった。
無意識にレクターのオフィスに行くなんて、やはり彼にとって
は安心できる場所との認識があるのか。
もっとも危険な場所なのにね。死んでいる人に関しては特別な
能力があるのに、何故レクターのことはスキャニング出来ない
んだろうか。
そして次のシーンでは、一人でトーテムポール事件のことを
講義して生徒に内容を説明している姿がある。が、アラーナが
やってくると彼は一人で講義の練習のようにしている状態で
ある事を知る。
・フレッチャー・マーシャル 1973年に撲殺、最初の事件
・アンソニー(28歳)、1997年交通事故死
・フランチェスカ(42歳)、1994年服毒自殺
・エイドリアン(60歳)、2001年心臓発作
・ピーター(25歳)、2006年一酸化炭素中毒
・ジョエル・サマーズ(40歳)、テネシー州で携帯電話販売店経営
3日前失踪。心臓を一刺し。最後の事件
その他の8体は州内の墓地から盗まれていること。
■トーテムポールは(殺害の)人生を語る
なんでこの人が殺人鬼なのか分からないけど、下から年代順に
遺体を積み重ねていき、一番上にいたのが一番最近の遺体だ
ということで、途中は省いて最下位と最上位の人物のつながり
が何かを探る。
刑事ドラマを見ていると、鑑識が髪の毛を調べれば、何時の
頃からドラッグを利用していたり、どんな環境にいたのか分か
るものだけどね。
■ウィルの見立ては正しい
根拠があるかないかはともかく、能力を使って見た映像から
見ただけでは視聴者もどういうことか起きているのか正直よく
分からないのだけど、検死官との会話の中で、ウィルが語る
内容は、大抵当たっている。作品の集大成、僕の遺産。
人間は何か生きた証を残したいものなのだろうけど、こんな
形であれ残したいものだと感じるものなのか。
人間の最大の遺産は子供だと思うけど犯人はその痕跡を残せな
かったと勘違いしているが、実際には、他人だと思って
殺した相手が血のつながりのある息子だった。
マーシャルの妻と不倫していた時代に出来た子をマーシャル
は受け止め、生まれた息子・ジョエルを養子にしていること。
最高の遺産を自らの手で殺してしまったとするサプライズと
共に、マーシャルの妻は不倫していた当時からローレンスが
猟奇的さを持っていることを知った為に、マーシャルの子と
して育てていった様だ。
■アビゲイルの迷走
今回のアビゲイルはかなり重要な役割を果たしていた。
ニコラスの遺体が発見されたことでジャックからの厳しい追及
の手が及んだ。
アビゲイルは自分自身が父親とは共犯者ではないことを主張した
くてラウンズと組もうとしている。その流れを止めるためにレク
ターが、ニコラスの遺体を掘り起こしてアビゲイルにプレッシ
ャーをかけたのかと思われたけれど、実際にあの掘り出すシーン
はアビゲイル本人だったのね。
彼女としてはニコラス件で疑われることへの解消の意味も有った
みたいだけど、レクターは寧ろ遺体を隠すのに手を貸した自分
のリスクや信頼を失ったことを告げる姿がある。
皮肉だけど、アビゲイルがシロだとするアラーナの主張は、
レクターが彼女の味方だからというのが根拠となっている様で
「人は嘘をつくもの」(by Dr.ハウス)ということを考えると
一人の意見だけを元に捜査を断定づけるのは怖いなと思う。
■ウィルとレクターの対決
少しずつレクターが嘘をつく人物だということが分かって来る。
もちろんその中にはアビゲイルを守る為についた嘘だとする
が、その嘘の中には遺体を隠すのを手伝ったとする衝撃的な
事実まで含まれていた為に、一気に不信感があらわになった。
しかしウィルにしても彼女の父親を殺している訳だし、その
罪悪感からなかなか事実を公にして彼女を傷つけることも
出来ずにいる。
しかし衝撃なのは、なんと今まで疑われていたギャレットの
共犯者がやはりアビゲイルで間違いなかったこと。
アヒゲイルはそんな事実をレクターには話すけれど、世の中
にはもっと怪物が居るとした上で、アビゲイルは怪物では
なく被害者だと語る。レクターって自分のことも意外と冷静
に受け止めているのだけど、これって何なのだろうね。
■使用された曲
・Hannibal Theme by Brian Reitzell
・O Euchari by Emily Van Evera
・Sonata No. 8 In C Minor, Pathetique, Op. 13, Second
Movement: Adagio Cantabile
Written by Ludwig van Beethoven
■出演者
ウィル・グレアム (Hugh Dancy) 犯罪プロファイラー
Dr.ハンニバル・レクター (Mads Mikkelsen) 天才法医学精神科医
Dr.アラーナ・ブルーム (Caroline Dhavernas) 元心理学教授のFBIコンサルタント
ビバリー・カッツ (Hettienne Park) FBI行動科学課の一人でジャックの部下
ジャック・クロフォード (Laurence Fishburne) FBI行動科学課のヘッド
ジミー・プライス (Scott Thompson) 鑑識
プライアン・ゼラー (Aaron Abrams) 鑑識、ヒゲ
フレディ・ラウンズ (Lara Jean Chorostecki) ネット記者
アビゲイル・ホッブズ (Kacey Rohl) 生き残り
ギャレット・ジェイコブ・ホッブス (Vladimir Jon Cubrt) 殺人鬼
ローレンス・ウェルズ (Lance Henriksen) 今回の犯人
ニコラス・ボイル (Mark Rendall) 妹を殺され、アビゲイルに殺される
エリース・ニコルズ (Torianna Lee) アビゲイルの友、死亡
— (Dominique Bisson) Shrike Victim
— (Eve Ganes) Shrike Victim
— (Emma Gibbs) Shrike Victim
— (Jessie Saunders-Drutz) Shrike Victim
ジョエル・サマーズ (Jason Blicker) ローレンスの息子