第3話 ポタージュ Potage
脚本/David Fury
監督/David Slade
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【前回までのあらすじ】
ウィルはギャレット・ホッブスが犯人だと知ると、現場へと
急行する。ギャレットはレクターから”バレているよ”とする
電話を受ける中、ギャレットが来る頃には妻を殺害し、娘の
首もとにナイフを突きつけて殺そうとしていた。ウィルは彼女
を助ける為にギャレットに10発の銃弾を撃つが、娘のアビゲイル
は重傷を負う。ジャックは深入りさせる気は無かったことを
語り、レクターもまた必要なのは深入りしないことだとするが、
ウィルはレクターに対して既に深入りし過ぎて土産まで持ち帰
ったとしてアビゲイルの存在を語る。彼女が父親と共犯していた
可能性をジャックは告げ、彼女を囮として誘い込んでいたので
はないかという。
【ストーリー】
ホッブスはアビゲイルと鹿狩りへといく。ホッブスは娘に
猟銃を持たせて鹿に狙いを向けさせる。1発目は致命傷になら
ず、2発目で見事に仕留める。獲物を小屋に運ぶ二人。
とてもキレイだとすると、アビゲイルは鹿は複雑な感情を持っ
ているそうだという。人間の4歳児と同じくらいの知能を持って
いるというと、父はもっと賢いという。仲間を思いやり、環境
を大事にしていること。草を傷つけないようにそっと歩くと
いうアビゲイルに人間と似ている事を語り、だからこそ大事に
扱おうと語る。皮は美しい敷物にして脚の骨はナイフにして、
どの部分もムダにしないというホッブス。父は娘にナイフを
手渡すと、胸骨から初めて刃は上向きに切る事を告げ、内臓を
傷つければ肉が台無しになるという。娘はどんな気持ちで
食べれば良いのかとすると、「全ては敬うことで、そうしな
いとただの殺しだ」という。鹿の解体する姿に対して人を解体
している夢を見て、アビゲイルは意識不明の状態から目を覚ます。
バージニア州・ウルフトラップ。
ウィルは犬と共に散歩に行こうとするが、そこにアラーナが
やってくる。車の音がしなかった事を告げると、ハイブリッド
だとして尾行には最適だという。ウィルは服を羽織ってくると
し、コーヒーでも飲むかと問うと、何か用で着たのかと告げる。
アビゲイルの意識が戻った事を告げると、それを早く言ってくれ
という。
ジャックはあなたを彼女に逢わせたがっているが、アラーナは
反対だと語る。ジャックは娘は共犯だと言っていることに
ウィルとしては納得がいかなかった。アラーナは彼と貴方の板挟み
は嫌だが緩衝材になれれば良いという。ジャックは君を尊敬して
いるとし、どなりたい時もぐっと堪えて大人しくしているという
ウィル。それを利用するのよとアラーナ。アビゲイルにはもう
家族がいない事を告げると、アラーナはウィルの意図を感じて
貴方が父親の変わりになるのは無理だと語る。口に出すと侮辱に
なるので別のいい方をするというと、そのままで良いから話して
くれというウィル。彼女は犬を拾うのとは訳が違うのだという。
そんなつもりはないというウィル。事件の話を聞くならば
現場にいた人はダメだとし、貴方もレクターもだと語る。
私が彼女を診るというアラーナ。
メリーランド州ボルティモア・ポートヘイブン精神科病院。
アラーナはアビゲイルの病室にいく。心の病気を診る精神科医
だとしてアラーナは自己紹介する。専門はとアビゲイルに尋ねられ
ると家族問題についてだという。看護師に親のことを聞いても
教えてもらえなかったというアビゲイルは、貴方を待てと言われ
たのだという。死んだのでしょ?と問うと、誰が埋葬をしたのかと
問う。埋葬はしていないとし、お母さんは生前の希望で火葬になる
が貴方のお父さんの場合は複雑だという。イカレていたから
なのか?と問うと、貴方は覚えて居ないのではないかと問う。
その件は話したくないというアビゲイル。彼女は自宅を売りたい
事を告げ、学費やアパート代になるというと、アラーナは彼女の
為に服や音楽を持ってきたことを語る。気に入らなければ自分の
好きな曲をDLしてと。
クワンティコの行動分析班・BAU。
7家族が待っているとし、何でも良いから娘の痕跡を見つけるの
だというジャック。アビゲイルはその鍵だという。しかしアラーナ
は今の彼女に質問は無理だとすると、先ずは彼女を安心させるべき
ことを語る。同情するのも分かるが情けは不要な時もあるのだ
というジャック。本気で共犯だと考えているのかと問うと、ジャック
はそうだとし、あるいはホッブスに手を貸していたヤツを知って
いるかも知れないという。精神状態に関してはアビゲイルは冷静
過ぎるところがあるとし、何か隠しているだろうと語る。トラウマ
以上で、人を操り情報を引き出そうとするし、最低限の感情しか
出さないのだという。やはり情けは無用ということだというジャック。
ウィルの精神科医は君ではなくレクター博士だとすると、彼の
指示に従うと語る。
ウィルは講義をしていた。
「ミネソタのモズ」事件の犯人、ホッブスは8人の女性を誘拐し
殺害。僅か8ヶ月の間にだという。被害者は髪の毛、目の色、年
格好が同じだったという。娘のアビゲイルと演じだと。9人目の
被害者もアビゲイルに似ているが、これはホッブスが殺した
ものではないという。この犯人は自分がモズではないと主張した
こと。モズよりも素切れテイルとしたのだろうと。犯人は賢く変質者
でサディストだというと、同じ犯行はしないという。そんな相手を
どう捕まえるか?と生徒たちに尋ねる。
そんな講義を行うウィルの元にジャックとレクターがやってくる。
模倣犯・コピーキャットについての講義か?と問うレクター。
模倣犯はフレディ・ラウンズのサイトの熱心な読者で、ホッブス
を熟知していたこと。動機や殺害方法を理解し再現し、不謹慎にも
それを芸術の域に高めているという。ホッブスと模倣犯の関係は?
遠くから眺めるファンなのか。面識が有り自分を売り込もうと
したのか。ホッブスは逆に模倣犯のことを知っていたのかとウィル
は問いかけるのだった。
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連続殺人犯のホッブスを発見し、ウィルはホッブスが妻子を
殺そうとしていることを知って、助ける為にホッブスを射殺
する。娘のアビゲイルはホッブスによって首もとを切られて
重体だったが、意識を取り戻す。
ホッブスが一連の殺人行動を一人で行う事が出来るハズがない
として、アビゲイルが共犯ではないかと疑うジャック。
ウィルはあくまでアビゲイルは被害者だとして、そんな意見と
食い違っていく。FBIの方には被害者遺族が事件解決を要求する
中、記者のフレディは事件の関係者の周りを執拗に追いかけ回して
いる姿が有った。ジャックは仕方なく、ウィルやレクターをアビ
ゲイルと面会させることを許可する中で、ジャックはアビゲイル
を家に帰す許可を与えて反応を見ようと考える。アラーナは危険
だとするが、報告ではアビゲイルは冷静となっていることを指摘。
解離性障害の側面を持っているかも知れず、帰宅して現場を見れば
感情が高ぶられて悪い反応や嫌な記憶が呼び起こされる可能性を
示唆するが、レクターはアラーナの言う事は正しいが、辛い記憶を
追体験させることで回復が進む可能性が有ることも示唆する。
そんな状況の中、鹿の角に刺されて殺されて発見された女性・キャ
シーの兄のニコラスは、ホッブスとアビゲイルが殺害したものだ
として彼女たちの前に現れる。
このドラマ、それぞれの登場人物の精神状態が、本当のところ
どうなっているのか分からないところが怖さで有り、興味深い
ところでも有るね。レクター自身がメインとなって操っている
のは分かるのだけど、他にも色々と人の意識を故意・無意識に
関わらず操ろうとしているものがいて、人は何を考えているのか
分からない人物に対して恐怖心を覚えるけれど、まさに何を
考えているのか分からない人物が多く、常識を越えた倫理感の
元で行動を起こしていることが多い為に、常識と非常識の狭間
というボーダーが実に分かりづらいものとなっているところが
有る。
人間社会に存在する矛盾点に挑戦しているかのようなシナリオで、
動物を殺しても許されるのに、人を殺すことはいけないことなのか。
例え人間でも悪人を殺すのであれば許されるのかなどの倫理感と
戦っている感じがするし、殺しに於いても相手を敬いムダなく利用
すれば、それは殺しではないのではないかとする主張にも通じて
いそうな犯人の思想が有りそうで、そういうところは常識が通じな
さそうで恐いところ。自分の常識が他人の常識とは決して一致しな
いという。
また一連の世間からのアヒゲイルに向けられた非難を目にすると、
真実が何かということにどれだけ意味があるのかというところも
有り、フレディという一見するとビッチそうな女性がまかりなり
にも真実を伝えようと戦おうとしている姿も有り、この人物の
情報操作がどう影響していくのか不気味に感じるところが有る。
今のアビゲイルにとって真実は毒にもなり得るという状況の中で
新たに発生してしまう正当防衛。それがどんな意味であれ、
既に殺人犯の娘というレッテルを張られている彼女に取って真実
とは無縁の所で世間は受け止めてしまうところに落とし穴がある
ようだ。
今の所発見した遺体は人間をキノコの栄養分にしていた謎の事件
ばかり。このキノコの事件の件は単純に「繋がり」を意図する
思想的なものを示唆するだけで、基本連続殺人の流れからは切り離して
も良いのだろうか。
更に遺体として発見されたのは、今の所エリースの遺体と、鹿の角
によって傷つけられて発見された遺体で、その件は「ミネソタのモズ」
による犯行だとされているものだけど、エリースの殺しが本命の流れで、
モズの流れは模倣犯によるものだとする見方が今の所一般的だ。
このモズ/模倣犯の殺害が芸術的だったけれど、その模倣犯に対して
自分の力を誇示するようにして、本命の殺人犯が今回のアビゲイルの
親友・マリッサを殺害したということなのだろうか。
ウィルは今回、前回の自分の見立てが間違いだったことを認める
姿が有った。
「今回のマリッサの犯人は自分がモズではないと主張したんだ」
殺人犯の中には同じ意識を持つ人物がいる感じで、ウィルの中に
ある殺しに対する意識は、このドラマでは狩猟などに例えられる
ことも多いけれど、今回登場するアビゲイルは父親から、倒した
鹿を敬い、全てをムダなく使わない限り「それはただの殺し」だ
と教え込まれているようで、父親の中にある猟奇的思想が何処まで
彼女の中に乗り移っているものなのか。
そんな彼女はアラーナに「変な考えは移るのか?」とした際に、
彼女の答えは「フォリアドゥよ」とのこと。フランス語で妄想を
共有することで、妄想かどうかは文化や家庭の中で他の人に受け入
れられるかどうかで決まるとレクターが助言していた。
レクターがニコラスに頭にぶつかって付着した血痕のついた石を
何故隠したのかなと思えば、マリッサを殺す為の工作をしたのか。
色々とちょっとしたことでこの人は次々と事実をねじ曲げて捜査妨害
のようにして容疑者像を変えていってしまうのだけど、直前にホッブス
にレクターが電話した件で、アビゲイルは気が付いた様だ。
また山小屋にいく際には、父はよく掃除に来ていたとし、細菌が
恐いとして先日のキノコの件と何ら結び付きがあるようなキーワード
の余韻を残していた。細菌というと、どうしてもドラマ「もやしもん」
を思い出してしまう。
精神科医というのは恐ろしいもので、色んな人の秘密を知る事
が出来る分、一つ脇に逸れると人を操ることの出来る危険な職業
だったりするよね。なんとなく前に書いたかも知れないけど、
記者の女性もレクターによって操られている感じがするんだよね。
ウィルの精神を崩壊させる為のものなのか、それとも彼の潜在意識
に存在している死や殺人に対する気持ちを引き出そうとしている
のか分からないけど、とにかく電話の流れとか、捜査状況が外部に
漏れているという流れからレクターに容疑の目が向けられる時が
来るのかなって感じ。
正直今回のウィルはかなり骨抜きにされていた感じがするし、
彼の才能が実を結んだシーンがなく、迷走してしまっている状況
だった。
■使用された曲
・Hannibal Theme by Brian Reitzell
■被害者
1) S.Olsen
2) L.Sorenson
3) D.Latimer
4) P.Cohen
5) R.winn
6) A.Anderson
7) D.Woodward
8) エリース・ニコルズ
ウィル・グレアム (Hugh Dancy) 犯罪プロファイラー
Dr.ハンニバル・レクター (Mads Mikkelsen) 天才法医学精神科医
Dr.アラーナ・ブルーム (Caroline Dhavernas) 元心理学教授のFBIコンサルタント
ビバリー・カッツ (Hettienne Park) FBI行動科学課の一人でジャックの部下
ジャック・クロフォード (Laurence Fishburne) FBI行動科学課のヘッド
ジミー・プライス (Scott Thompson) 鑑識
プライアン・ゼラー (Aaron Abrams) 鑑識
ニコラス・ボイル (Mark Rendall) 模倣犯に殺されたキャシーの兄
アビゲイル・ホッブス (Kacey Rohl) 娘
ギャレット・ジェイコブ・ホッブス (Vladimir Jon Cubrt) 配管工、父
ルイーズ・ホッブス (Krista Patton) アビゲイルの母
フレディ・ラウンズ (Lara Jean Chorostecki) フリーランスの記者
マリッサ・シュア (Holly Deveaux) アビゲイルの親友
マリッサの母 (Severn Thompson)
— (Brendan Halloran) Reporter
— (Steven Pigozzo) Reporter
— (Audra Yulanda Gray) Reporter
キャシー・ボイル