第1話 アペリティフ Aperitif
脚本/Bryan Fuller
監督/Darnell Martin
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殺人事件が発生。現場でウィル・グレアムは目を閉じると、
犯人の気持ちに精通するかのようにして、殺人事件に於ける
事件の世界へと入り込んでいく。彼の中では殺人が発生している
状況から時系列が遡っていくと、事件発生前のマーロウ家の
光景が目に入る。犯人は赤いドアを蹴破ると、先ずは二階から
下りて来た主人のトーマスに二発発砲。頸静脈・頸動脈に正確
に着弾すると、今度はセキュリティ会社に連絡しようとして
いる妻のテレサに向かって一発を発砲し首を打ち抜く。しかし
彼女は即死ではなく、弾は動脈を外れて身体は麻痺するが、
痛みを感じ死の恐怖の前に為す術無く犯人のことが視線に入る。
壁の飛沫血痕からそんなテレサの状況を想像する中、DDX警備
に連絡していることを知り、警備会社の報告書を見せてもらう。
すると警報の誤作動になっていて、先週も同様に誤作動の記録
になっていた。そこからウィルは犯人は盗聴器を仕掛けて
会話を録音して犯行に使っていたことを推察。
警備会社に対して必要な音声の全てを録音していた犯人は、
解除コードはティーポッドだとして、自分の声で解除される
のを麻痺して動けない身体で耳にしてはゾッとしていただろう
と推察する。
以上はウィルがバージニア州クワンティコFBIアカデミーで
講師として働き、マーロウ夫婦頃を考えるよう生徒たちに課した
課題だった。何故殺されたのか見立てをして、犯人が誰なのか
を突き止めるのだという。
そんな講義をしている所にFBIの行動科学課長をしているという
ジャック・クロフォードが尋ねる。以前にも逢っているとし、その
時は資料館開設に反対していたと告げる。名前に反対したのだと
いうウィル。「悪の権化 資料館」ではダメかと問うが大袈裟だ
という。人との交流は苦手なのに講師をしているのかとして
ジャックは尋ねる。ジャックは彼に自分を分析するとどういう
人物か尋ねると、自閉症に近いだろうが、反社会的ではないという。
それを聞いたジャックはだけどそういうヤツラに君は共感出来る
のだろうと語る。特別そういう人物だけに共感しているのではなく
これは想像力問題だとすると、ジャックはその力を貸して欲しい
と頼む。
実はこの8ヶ月で8人の女子学生が誘拐されているのだという。
7人ではなかったのかと問うと、君の教室に入る3分前に8人目
が出たのだという。誘拐ということは遺体は出ていないということ
かとすると、身体の一部さえも見つかっていないという。ウィル
は犯行現場は大学じゃないことを語る。
ジャックは全員金曜日に誘拐され月曜日に発覚していること。
犯行は週末で証拠を隠している事を語る。8人目の被害者は
エリース・ニコルズで、セントクラウド州立大学の学生。週末に
両親の変わりにネコの世話をするハズだったのだという。
7人は死んでいるので新しい獲物を手に入れたんだというウィル。
ジャックによると被害者は全員雰囲気が似ているとして、肌の色
や髪の毛、目の色も同じで、年齢も体型まで似ているとのこと。
何故狙うのかと問うと、犯人の狙いは特定の一人だというウィル。
まるで沢山のお菓子の中に当たりくじを隠しているようなものだ
という。つまり彼女たちの中に犯人に取っての辺りがいること。
予行演習なのかそれとも当たりが中にいるのか。簡単に見つかる
筈は無いとして巧妙に隠しているのだという。
ウィルはジャックの申し出を断り、自分の様な人物は他にもいる
だろう事を告げるが、君の考え方は特殊だとすると、君が犯人
へ導くのだという。それを否定するウィルは証拠が導くものだと
語る。
ミネソタ州・ダルース。
エリースの実家へいくと、両親から話を聞きながら部屋を見て
回る。娘は内向的で寮生活を嫌っていたこと。大学生活にストレス
を感じて家出したのかもという両親の期待。列車好きだったので
何処かに乗って行ったのか。しかし母は他の連続犯の被害者と娘
が類似していることに気が付いていた。父は娘は生きているのか
と問うがジャックは分からないと語る。ウィルはネコのことが
気になっていた。ウィルはジャックに対して犯行現場はここだと
語ると、彼女は列車でここに来てネコにエサをあげている時に
誘拐されたのだという。犯行現場は実家だとしてジャックは
捜査班のゼラー、カッツ、ジミー・プライスに現場に来るよう
連絡する。
何故ここだと思うのかと問われる中、ウィルは娘さんの部屋を
見せて欲しいという。今朝警察が調べたという父だが、ウィルは
そんな父親に対して何にも触れずにこれから起きる事に落ち着いて
欲しいと告げる。部屋を開けると、テレサはベッドの上で静か
に眠るようにして亡くなっていた。
ジャックはウィルを暫く部屋に一人にするので調べて欲しいと
告げる。
彼の能力で時間は遡って殺される経緯を想像していた。
寝ている最中に馬乗りになって犯人が彼女の首を絞めて殺したこと。
しかしそんな想像をしている最中に突然邪魔するようにして
カッツが声を掛ける。
貴方の「死亡時間に関する論文」を読んだというカッツ。
キズ口からは鹿の角が入って居るのが見つかったという彼女。
カッツはウィルに捜査官なのかと問うと、プロファイラーとして
協力している事を告げ、捜査官は適性検査が厳しいので通らな
かった事を語る。情緒不安定と言われたのかと。
そんな会話をしているとジャックがやってきて、まだ入るなと
カッツたちに語る。他のキズも調べていたとし、鹿は獲物を
殺すとき角で体重をかけて窒息させるが角で刺して死なせたり
はしないのだというジミー。ジャックは首を絞められて肋骨も
折られて居る事を語る。ウィルは鹿の角には治癒効果があるので
その為に刺したのかも知れないと語る。彼女を元の状態に戻した
かったのだとし、殺しの後でだと語る。彼女は他の子とは違った
のだとすると、これが”当たり”なのかとするが、それも否定する。
これは犯人からの「謝罪だ」というウィル。
頭痛薬をもらったウィルはバージニア州ウルフトラップに有る
自宅へと車を走らせる。途中で犬を見つけると彼は自宅へと
連れて帰る。自宅には沢山の動物で溢れているのだった。
全部の動物にウィンストンと名付けていた。
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金曜日に女子学生が誘拐される事件が発生し、なかなかその
動きを掴めずにいたFBIの行動分析班のジャックとしては、
クワンティコのFBIアカデミーでプロファイルを行うウィルに
協力を求める。彼は現場を見ると犯人の行動に入り込むことが
出来て事件当時に何が有ったのかを見極める能力に長けている
が、その反面対人関係は苦手で、精神的に壊れそうで脆そうな
一面も存在していた。ウィルのことをよく知るアラーナとして
は、彼に事件に深入りさせることを心配する。またアラーナは
精神分析医のレクター医師も事件解決に欠かせない人材だと
してジャックに語る。
そんな状況の中、既に8人の被害者を出している事件が更に
被害者を増やしていくことになる。
一番最初に見たレクター系の映画「羊たちの沈黙」は本当に
インパクトと衝撃を感じた映画で、アンソニー・ホプキンスの
演技は凄いものが有った。この人の演じたレクター像が有る限り
非常にその役を演じる後陣の俳優さんは大変なものが有ると
思うのだけど、その役に抜擢されたのは、デンマークの俳優の
Mads Mikkelsen。正直あんまり知らない俳優さんなんだけど、
最近はデンマークなど北欧系のドラマ、「キリング」とか
「ブリッジ」など人気が有るし、WOWOWでも北欧系ドラマなんて
冠の付くドラマを輸入しているよな。
レクター系の映画は5作品発表されていて、作品の公開年とは他所
に、このドラマ版は、「ハンニバル・ライジング」と「レッドドラ
ゴン」の中間に位置する物語。レッドドラゴンはレクターが主人公
ではなかったし、既に収監されているので、ドラマの中で逮捕
することが出来るのかということになる。
ドラマとしては既にレクターが犯人だということを知っていると
いう事情も有るし、レクターは自分のことを追っている捜査官の
動きを知っている状況下での犯行を繰り返していくことになるので、
犯人捜し的なものよりも、寧ろ一緒に行動を取るウィルに対して
レクターがどんな態度で接していくのかなど興味のそそる部分なの
かも。
またやりとりを通して精神的な部分にも触れていき、レクターと
いう人物のことが少しでも判明していく部分があるのかなと
思い気になるものがある。
レクターの能力とウィルの能力の対決なんかも見物だろうしね。
問題は何故犯人が同じような人物を誘拐しているのかという所に
尽きるのかな。
そして連続殺人事件として発生している事件と単発の殺人事件が
類似した犯行の際には、それを選り分けて捜査・分析する必要が
有り、その意味ではどのようにして同一性を見つけ出したり、
またそれを否定していくのか気になる。
今回の8人目の被害者エリースは、綺麗な遺体のままベッドに戻さ
れていた。レクターが人肉を食べる犯罪者だとしているけれど、
冒頭での会話を聞いていると、誘拐はされているけど一連の事件に
於ける被害者の遺体は発見されているのだろうか?という感じにも
思えるし、何処から人肉を食べているという情報が入って来ている
のか。
エリースが戻されたのは、ガンを患っている人物だったからで、
レクターの中でも病気の人物には懺悔なり後悔の念が存在する
のだろうか。
レクターがウィルと一緒に捜査することになるシーンが有る。
レクターがウィルに対して朝食を持って現れたけど、まさか
人肉は入って居ないよね?
そして彼ら二人だけで捜査して回るという行動があまりに心細い
ものが有り、ウィルは確かにアカデミーで色々と生徒に教える立場
の人間だけど、捜査官としての適性試験には落ちて捜査官には
なれていないことを口にしているので、そんな人物が捜査に単独で
加わっても大丈夫なのかな。
模倣犯を行っていたミネソタのモズこと、ギャレット。
最近日本のドラマでも「MOZU」というドラマが放送していたので
妙にシンクロするところが有るし、雰囲気とか見るとどうしても
「TRUE DETECTIVE」と比較してしまう部分も有る。
特に鹿とか、殺されている被害者の格好とか状況を見ると、
「TRUE DETECTIVE」の初回で殺されていた女性を思い出すな。
そして同じ日に見た「Game of Thrones」でも鹿の角が死の現場に
落ちていたことも有って、なんだか鹿って死の象徴のように思えて
恐い(笑)
・ウィル・グレアム役のHugh Dancy
最近NHKBSで放送中の「キャシーのbig C」でガンの治験者・リー役を
演じているHugh Dancy。
https://dramatimez.sakura.ne.jp/blog/?p=2448
■使用された曲
・Hannibal Theme by Brian Reitzell
・Goldberg Variations: Aria
Written by Johann Sebastian Bach
・Goldberg Variations, BMV 988: Aria
Written by Johann Sebastian Bach
■被害者
1) S.Olsen
2) L.Sorenson
3) D.Latimer
4) P.Cohen
5) R.winn
6) A.Anderson
7) D.Woodward
8) エリース・ニコルズ
ウィル・グレアム (Hugh Dancy) 犯罪プロファイラー
Dr.ハンニバル・レクター (Mads Mikkelsen) 天才法医学精神科医
Dr.アラーナ・ブルーム (Caroline Dhavernas) 元心理学教授のFBIコンサルタント
ビバリー・カッツ (Hettienne Park) FBI行動科学課の一人でジャックの部下
ジャック・クロフォード (Laurence Fishburne) FBI行動科学課のヘッド
ジミー・プライス (Scott Thompson) 鑑識
プライアン・ゼラー (Aaron Abrams) 鑑識
フランクリン (Dan Fogler) 神経症
アビゲイル・ホッブス (Kacey Rohl) 娘
ルイーズ・ホッブス (Krista Patton) 妻
ギャレット・ジェイコブ・ホッブス (Vladimir Jon Cubrt) 配管工、父
Mrs.ニコルズ (Sarah Evans) 母
Mr.ニコルズ (Wayne Ward) 父
エリース・ニコルズ (Torianna Lee) セントクラウド州立大学・8人目
テレサ・マーロウ (Bernadette Couture) 被害者
トーマス・マーロウ (Wayne Downer) 被害者
— (Greg Dunfield) Repairman
ディクシー (Suzanne Coy) 建設会社事務