第11話 ロティ Roti
脚本/Steve Lightfoot、Bryan Fuller、Scott Nimerfro
監督/Guillermo Navarro
【前回までのあらすじ】
精神医学界でもウィルは話題の人だというチルトン。
切り裂き魔はここにいた。私がやったというギデオン。
ミリアムが死んだとして腕を送りつけて来たが切り裂き魔は
本物だと主張しているのだという。アラーナはチルトンに
対してうっかり切り裂き魔だと思い込ませた可能性はないか
とすると、性能は許されていないというチルトン。
ウィルはアラーナに好意を寄せ、彼女も同様だがつきあえない
と言われる。不安定だからだと。局ではあなたのことが話題
だとし、あなたは追い詰められてるというカッツ。現実を浸食
する妄想に打ち勝たないといけないというレクターだが、
いざ検査すると抗NMDA受容体脳炎だと判明する。病状を把握
しておけば隠しやすいというレクター。
【ストーリー】
自分が何者か悩んでいる人間は操りやすいという。
ギデオンはサイコパスでナルシシストで自分に疑いを持たない
という。彼のナルシシズムを訴えかけたこと。チルトンは彼を
切り裂き魔だとすり込んだことをレクターに語る。普通の心に
興味が持てないというチルトン。羊を理解する来はないとし、
食べるのみだという。レクターはチルトンに対してクダルという
南インドのカレーを出す。羊の肉を使うものだとすると、
チルトンは最後の晩餐かと語る。患者に責められた医者は
君だけじゃないというレクター。サイゴパスを刺激すると反動が
あるという。君が私の立場ならどうすると問われレクターは
否定するという。洗脳でギデオンを分析できると思ったが
あからさまだと失敗するという。強引すぎたとし、無理矢理で
は効果は一時的だというレクター。相手に洗脳がばれたら効果
は期待できないと。ギデオンは洗脳を疑い始め抵抗したこと。
患者には決して気づかれるなというレクター。
ウィルは寝ていると波が襲ってきて自らを飲み込む夢を見て
いた。時計も溶けてベッドが水に沈んでいく感覚だった。8時19分。
夢から目覚める。
州立ボルティモア精神障害犯罪者病院。
ギデオンが訴えた為にチルトンは護送される光景を見ていた。
あんただけ正装で私はこのままなのかと。裁判官に私の心証が
悪くなると言うギデオン。肝心なのは証言だという。
心配するなという彼はあんたの罪は許すという。看護師を
殺させたというギデオンは、妻の死は私の責任だが看護師の
死はあんただという。君の行動の責任は負えないというチルトン。
だから訴えることになしたんだという。別人だと思わせたこと。
今の私の考えは読めないだろうというギデオンに対して、君が
切り裂き魔と名乗ったのだというチルトン。しかしあんたに
言われたんだとし、そのことを世間に話すという。
ギデオンは刑務官に連行される中、結婚はしているかと尋ねる。
離婚に縁がないと思っているようだが私が見る限り時間の問題
だという。一つ助言だとして殺す方が早いとし、家族もろとも
殺せば書類も不要だという。私はそれでうまくいったのだと
語る。私の妻は酷かった、私に結婚は向かないという。その点
君はいつも真っ白な服で感心すると語る。
ウィルは現場にいくと目を閉じる。
世界観に入り込むと、ウィルは護送車から逃走したギデオンと
すり替わる。片方の手だけ自由になれれば良いとして、ギデオン
は片手を犠牲にして手錠を取り二人の刑務官を殺す。
ジャックがやってくると、ヤツはまだ自分を切り裂き魔だと思って
いるのかと問うと、自分が何者か分からなくなっているのだと
いう。車から逃げた時とこれをやった時とは別人格だというウィル。
カッツは奪われたのは制服、無線、拳銃、スタンガン、手錠だ
と語る。臓器は置いていったとし、血管で臓器を枝に吊している
という。切り裂き魔ならば臓器を持ち去る筈で、ギデオンは
本物の気を引こうとしているのではないかと。カッツは森を出る
足跡があるとのことで2、3時間前のものだという。ボルティモアの
方向に向かっていると。
——————————————————–
■チルトン博士の悪事が発覚
「チェサピークの切り裂き魔」をおびき出すために利用された
感のあるギデオン。元外科医で被害者が切り裂き魔しか知らな
い殺し方をしたギデオンは、他の人には切り裂き魔に見えるもの
でも、ウィルには明らかに切り裂き魔とは違うものだと断定
していたが、ジャックがこの件を利用して本物の切り裂き魔
を揺さぶることが有った。
ギデオンが本物と似たようなことが出来たのは、当時の切り裂
き魔の事件でFBIに協力したチルトン博士がギデオンに洗脳
したことによって、類似する事件として行うことが出来た訳
だけど、その洗脳が解けたことで、ギデオンはチルトンを
法廷で訴えることにした様子。
冒頭でのチルトンはレクターの家の食事で最後の晩餐を口に
していたので観念したところが有ったのだろうか。
一番怒っているのは本物の切り裂き魔のレクターなのだろう
けど、チルトンに何もしないのは何でなんだろうか。
■自己を確立出来ない人たち
なんだかみんながみんな自分が何者なのかということに迷走
している印象も有るのだけど、ウィルがそれに悩むのは
物理的に脳に病変があるので仕方がないけど、他の人は何なの
だろうか。時にギデオンは妻とか親戚なんかを殺して今に
至るみたいな感じだけど、この人は元々殺人鬼としての素因を
持っている人なのか?洗脳される前からアホアホだったけど、
洗脳されてより自分が誰か分からずアホアホになってしまったのか。
自分を洗脳した人物(実際には診断しただけ)を殺していくこと
で化けの顔がはがれるのではなく、自分を弄んだ人を一人ずつ
殺すことで自分の本来の姿を取り戻そうとしているのか。
■ウィルがヤバイ
ジャックは前回ウィルにはいつでも止める機会が有ったのに
止めなかったとしていたけど、辞めさせなかったのはジャック
だよな。選択筋なんて当時無かったのに、なんだか都合の良い
ところで会話が回っている。
波や水によって沈められていく姿は、幻覚に現実が包み込まれて
いく様子を描いているのだろうけど、心まで支配されてしまう
ものなのか。
レクターもウィルが死んだら意味がない筈だし、ウィルが
普通の人に戻れば興味を失う。生かさず殺さずという状況を
いつまで続けられるのか。
■ウィルはギデオンになる
護送される車の中でギデオンは刑務官と同行する看護師を
殺して逃走を図った。そんなシーンをウィルの思考の中から
見て取れる流れだったけど、今更ながら何故そういうこと
が見えるのかということは今更ながら説得力はあまりない。
ウィルはギデオンの姿の中にギャレットが見える為に、
これまた複雑な構図になり、ギャレットはこの世にいない人物
なのにギデオンは実在しているという状況故に、ギデオンを
見ても状況としては複雑だ。しかもウィルが目にする鹿の
姿は一体何を意味しているのだろうか。
■もはや意味不明の領域
正直面白いのかどうかも相変わらず分からないドラマ。
ギデオンがラウンズを利用して切り裂き魔にアピールする流れ
とか、チルトンを制裁するようにして、自分のはらわたが取ら
れていくのを局所麻酔で見せるという辺りは完全なるサディスト
だなって感じだけど、それを目にしているラウンズもかなり
悲惨だね。この人PTSDにならないのかな。
ラウンズはジャックに記事を書かされたことを語ったので、
ギデオンの殺意はジャックに向かうのかとも思ったし、
ギデオンは終始切り裂き魔にアピールすることで声がかかるの
を待っているみたいだけど、いざ会うとなるとどうなるんだ
という感じ。
舌を喉から出してネクタイのようにしていたけど、嘘をついた
罰なのかとも思える中、その辺の心理はいまいち理解しづらい。
■アラーナが狙われる
そのときウィルはどうするのか?
結局レクターがギデオンもウィルも誘導してギデオンを体よく
処分させたような形だった。自分で銃を置いておいて、彼に
銃を持たせない方が良いなんてシラっとジャックに語るところが
あるけど、それでもジャックは信じて銃を持たせるのか?
■ベテリア再び
最後はレクターに対するカウンセリング。
レクターも何をしたいのか分からない。ウィルとは悩みを分かち
合うのではなく、友情の機会だとしていたけど、友情なんて
言葉が一方通行なもので、レクターが勝手に語っていることだ。
これぞナルシシズムのなせるものなのか。
■使用された曲
・Hannibal Theme by Brian Reitzell
・Prelude in C Minor by Johann Sebastian Bach
■出演者
ウィル・グレアム (Hugh Dancy) 犯罪プロファイラー
Dr.ハンニバル・レクター (Mads Mikkelsen) 天才法医学精神科医
Dr.アラーナ・ブルーム (Caroline Dhavernas) 元心理学教授のFBIコンサルタント
ビバリー・カッツ (Hettienne Park) FBI行動科学課の一人でジャッ
クの部下
ジャック・クロフォード (Laurence Fishburne) FBI行動科学課のヘッド
ジミー・プライス (Scott Thompson) 鑑識
プライアン・ゼラー (Aaron Abrams) 鑑識、ヒゲ
Dr.アベル・ギデオン (Eddie Izzard) 囚人、外科医
Dr.フレデリック・チルトン (Raul Esparza) 精神科医
フレディ・ラウンズ (Lara Jean Chorostecki) 記者
Dr.ベテリア・デュ・モーリア (Gillian Anderson) 精神科医
ギャレット・ジェイコブ・ホッブス (Vladimir Jon Cubrt) 犯人
Dr.ポール・カラザース (Todd Dulmage) 精神科医
— (Vincent Rother) PT Officer
— (Max White) Male Nurse