第9話 社交界 Episode #4.9 The London Season
監督/Jon East 脚本/Julian Fellowes
【前回までのあらすじ】
行方不明の婚約者グレッグソンの子を密かに出産する為にイーディス
はスイスに旅立つ決意をする。メアリーに対して二人の男性からの告白
が有り、断るが心は揺れる。歌手のジャックと恋に落ちたローズだが
ジャックの方が結婚はしないと語る。一方アンナはグリーンに乱暴され
たことをメアリーに告白する。しかしその後グリーンはロンドンで
交通事故に遭い死亡する。不審に思ったアンナはベイツを問いただす
が・・・
【ストーリー】
ヒューズは思わぬ事態だとして使用人部屋へ。ロンドンの屋敷のビュー
トさんが急病で暫く仕事は無理だとして、ヒューズにロンドンまで
応援に来て欲しいとする連絡が来たのである。デイジーを連れて来て
欲しいとのこと。デイジーはローズ様の舞踏会はまず先ではないか
とするが早めに来るらしいという。アイビーにイーディスたちの食事
を任せるという。イーディスはどうしたのかと問うと8ヶ月ぶりに
スイスからお戻りになったがお疲れみたいだというと、みんな疲れて
いるという。
イーディスは私もロンドンへ行くとし、グレッグソンの職場を訪ねる
とトムに語る。トムは忙しいとするが、舞踏会から逃げられると思った
ら大間違いだという。ロンドンの屋敷は売らなかったんだねというと、
売ったとしても結局は財政難を救えなかったという。マシューには
感謝だなというトムにイーディスもマシューが恋しいと語る。
トーマスはデイジーに頼みがあるとしてバクスターさんに「報告を
楽しみにしている」と伝えてくれという。言えば分かると。
ヴァイオレットは火曜日に発つことを告げる。ロバートが宮殿の食事会
に出られるようにしてくれたという。イーディスは何時行くのかと
問うと明日だという。体型も戻ったし服を買わないと行けないと。
今後赤ちゃんの話はしないと決めたわよねというヴァイオレットは、
でもアナタの頭は”それ”のことで一杯に思えるという。ソレではなく
娘と言ってという。スイスに長居しすぎたよねというと乳離れする
まで一緒にいた方が良いと言われたという。フランス語が上手くなった
のではないかというヴァイオレットに対して話をそらすのが上手だと
いうイーディス。
1923年ロンドン・グランサムハウス。
ロバートは断れないのかというがコーラは行かなければ駄目だと
語る。レディー・ウィンボーンが演奏会と夕食に招待してくれた
のだという。メアリーはアメリカの叔母たちはいつ来るのかと問うと
大騒ぎに備えないといけないと語る。コーラは私の母をそんなに
疎んじないでと語る。ローズは会えるのが嬉しいと語る。
メアリーは会ったことがないから言えるのだという。
しかしそんなに人が来たら寝室が足りないのではないかというと、
メアリーはイーディスと同じ部屋で寝てもらうというコーラ。
最上階の使用人部屋が良いかと問われると、イーディスと寝る位
ならば屋根で寝るわと語る。
コーラはカーソンに対して頑張っている使用人の労を労いたいので
舞踏会が終わったらみんなで出かけても良いと語る。
ローズはマデリン・オルソップからクラブに行かないかと誘われて
いるとして、ロバートたちに行っても良いかという。コーラは火曜
まで大人しくしていてというが、バンド音楽を聴きたいとしてお願い
と語る。
イザベルの家にマートン卿が来る。
これから会食だが時間が早かったので時間をもてあましているのだ
という。ローズの舞踏会は行くのかと問われ招かれたけれど辞退する
というイザベラ。君が行くならば行こうかと思ったという。社交界
デビューの舞踏会なんて柄ではないという。私は退屈で堅実に人間
なのよというイザベルに堅実でも退屈できないというマートン。
ローズはマデリンとクラブへ。
マデリンはまた父がいるとし、毎週のように遭遇すると語る。
ローズは適当に手を振っておけばというが、一緒に居る人を見て
というと皇太子だという。エイスガースは皇太子殿下に娘マデリン
を紹介する。皇太子と共にブリーダ・ダドリーウォード夫人も
いた。ローズも紹介されると、皇太子はシュリンピー・フリントシャー
の娘かと問う。シュリンピーはどうしているのかと問われ、元気にして
いると語る。皇太子は去年インドに行った時にボンベイで世話に
なったという。父は手紙で殿下のご訪問を大変な名誉だと綴って
いたという。皇太子は何しろ暑くて参ったとし、彼はよく耐えられる
なというと、父の立場では文句は言えないとして、皇太子を笑わせる。
フリーダはローズに対してあなたが来てくれて良かったとし、殿下
はずっと不機嫌だったのだと語る。
ヒューズはデイジーに出発するが忘れ物はないかと語る。
トムはイーディスに気をつけてと声をかけるとロンドンで遭おうと
告げる。トーマスはトムに食事をどうするのかと問うと、昼は簡単
なもので夜はパブに行くから用意しなくても良いと語る。
ブレイクがコーラの元へ。
メアリーを誘って王立芸術院へ行こうと思っているという。
メアリーが来たら喜ぶわというが、メアリーがやってくると実は
先週から決めていたという。
アイビーはトーマスに他に必要なものは?と問うが無いという。
夕食にトムは村で食べると言っているという。大した出世だとして
トムは元運転手で本来は俺よりも下の立場だったのに、今は仕えて
ご機嫌伺いだという。アイビーはトムは偉ぶってはいないし気さくで
良い人だとするが、それでも上の人間だと語る。
レビンソン夫人がアメリカから到着。一緒に居るのはコーラの弟の
ハロルドだった。ストークさんが荷物を運ぶのを手伝ってくれる
とヒューズとデイジーは語る。
マーサは誰もいないことに憤怒するが、イーディスがやってきて
もっと遅くに着くかと思っていたのだという。カーソンに聞いたら
みんな出払っていると言われたというマーサ。旅はどうだったか
と尋ねると出発直前に侍女が辞めたのだという。
ヒューズはビュートさんが病気なので応援に来たと語る。
イーディスはハロルド叔父さんに会うのは初めてですよねと語り挨拶
する。アメリカを離れたくなかったというハロルド。今の時期のロン
ドンならば楽しめますよと語るが、君だってボクの噂を聞いている
だろうとし、舞踏会は趣味ではないと語る。しかし新しい体験も
悪くは無いというイーディス。
ジミーはマーサの従者のイーサン・スレイドの荷物運びを手伝う。
イーサンはデイジーを見て好感を寄せる。私は普段はヨークシャーで
厨房担当だという。侍女を募集しているとし、図太い人だという。
しかしヒューズはデイジーは料理長の助手で私は家政婦長だと語る。
ロンドンは初めてかと問うと海を渡るのも初めてだとしてイーサン
は感動していた。
■概要
・時代は1923年。イーディスはスイスで出産して8ヶ月後の世界。
・ローズの社交界デビューに向けて年頃の娘を持つ爵位あるもの
たちはロンドンに集まる。
・社交界デビューにはイギリスの王や王女、そして皇太子も出席する
のが伝統。
・アメリカからはイギリスの社交界のことを一度みたいとして、
コーラの母のマーサとコーラの弟で先日ロバートに世話になったハロ
ルドがやってくる。
■豪勢な演出
社交界の時のあの大名行列のような光景を見て、ロバートが改めて
グランサム伯爵としての地位や威厳があるんだなと感じる
ところだった。あの真っ赤な礼装姿を見ると、普段でも紳士的な身の
振る舞い・着こなしをしているロバートの中でも更に栄えるところ
が有る。
一方でダウントンで待っているトムは結局ロンドン行きは見合わせた
のか。トーマスは元々あの調子だからまだしも、サラがやたらと
無粋な振る舞いをして邪魔くさく感じるのは気のせいか(笑)
この人が教師とは思えないのだけど・・
ただ今回はダウントンアビーの室内を色んな角度から見せていたね。
■英国流、米国流
今回は「英国流、米国流」の流儀の違いというのを織り交ぜて
演出したかったのだろうね。またそれに関連してこのドラマに
常に問いかけられている「イギリス貴族の伝統」の是非について
描きたかったところも有るのだろう。
その違いの幾つかを簡潔に挙げてみると・・
1) 従者の扱い
カーソンはマーサの従者のイーサンに対して、忙しい時には下僕と
しての仕事を手伝って欲しいと語る。ここでは従者でも忙しい
時には下僕の仕事をするものだと。
時代の変遷による使用人たちの意識の変化がカーソンの中でも
生まれたものなのか、それともデイジーにかまけているイーサンを見て
ムカっと来たのかは分からないけど(笑)
2) 従者の呼び方
実はシーズン4に入ってから性犯罪者グリーンが常にギリンガム卿と
呼ばれることに違和感を覚えていたのだけど、今回カーソンが
イーサンのことをレヴィンソンの名前で呼んでいた。
イーサンは違和感を覚えていたけれど、カーソンはここではおつきの者
もそう呼ぶのだとして、如何にして従者と主人の関係の結びつきが
強く責任感を求められているのかが伺えるものがある。
3) 自己紹介
ハロルドが暇そうにしていた際に、皇太子と会話する機会に恵まれた。
その際にハロルドは自分の名前を先に名乗って、ハロルド・レヴィン
ソンだと語るが、皇太子からは私はそのような名前ではないと
突っぱねられていた。
■幾つかの違和感と疑問
イギリスの社交界は良いとしても、爵位あるものたちってどのくらい
の割合でイギリスにはそのような特権階級の人が居るんだろうね。
社交界デビューだということで、もう少し自分が想像したのは
似た立場の人たちが集まるだけかと思ったけど、まさか王子まで
出席する程の大事になるとは思わなかった。
あとなかなかイギリスやスコットランドなどあの辺の歴史をよく
知らないので、ローズのようなフリントシャー侯爵の娘もイギリス
で同時に社交界に出席するものなのか。そしてローズは基本的に
バイオレットの姪の娘という遠い関係にあるのだけど、それでも
グランサム伯爵が代理として出席するものなのだろうか?
せめて子供の社交界デビューの時くらいインドから出てきても良いの
ではないかと小一時間だ。
■その他
・社交界アゲイン
シーズン1で確かシビルも社交界デビューしているけれど、あの時は
どんな状況だったんだっけか。
アメリカのドラマでもセレブ系のドラマでは社交界デビューを盛大
にやるよね。
「ゴシップ・ガール」はマンハッタンで派手な社交界デビューを
行っていて、BとSがここでも争う光景が有ったのを思い出す。
・イーディスは出産していた
スイスで出産して親切なシュローダー夫妻に引き取ってもらったという。
イーディスはどうしても納得がいかず、ロザムンドと言い争い
していた。その際にイーディスは思わず
「叔母には感謝しているし生意気言いたくないが、母親の気持ちは
分からない」と語っていた。
・グレッグソンは生きて居るのか?
話によるとドイツ・ミュンヘンでの最初の晩に地元の暴漢たちと
揉めたらしいことを知る。地元で有名な茶色の服を着た物騒な集団だ
という。
1939年から始まる第二次世界対戦に於ける。ナチスドイツの不穏な
動きを想像させるね。
グレッグソンの変わりに編集長をするというのが
・ベイツの復讐
ロンドンでベイツが背広を新調することになり、その際背広は教会
に寄付することになる。しかしその前にヒューズが背広の中身を
調べているとなんと、ベイツがロンドン行きの切符を持っていた
ことが判明。
ヒューズは取りあえずアンナには言わずにこの件をメアリーに一任
する。
「もし彼が妻の復讐を果たしたのだとしても私は責める気にはなれま
せん。それが正直な気持ちです。」、果たしてメアリーの決断は?
しかしこの流れ、実はバクスターに聞かれているのかと思って
ヒヤヒヤものだった。それをバクスターはトーマスに報告するのか
どうかの選択に迫られるのかと。
・ローズはその場を明るくするが・・
天真爛漫な彼女だけど、その陰でやはり落とし穴がありそうで怖い。
今回は何と言っても詐欺師のサンプソンがやってきたことで、
彼と同席している際にニール・フォスターを見かけたローズが
テーブルの上のバッグから目を離した隙に物色されてしまった。
手紙が起こす騒動うといえば、何と言ってもメアリーがシーズン1の
頃にメアリーがオスマントルコの外交官周りの人と一晩の恋に
落ちた際の流れを思い出すね。
・デイジーに思いを寄せるイーサン
アメリカの従者のイーサンとヨークシャーの厨房助手のデイジー。
イーサンはデイジーが語るアルフレッドという人物のことが気になる。
彼はリッツの料理人として採用されたとのこと。
イーサンはカーソンに対してデイジーとリッツの話を聞いていた。
デイジーに対してイーサンはアルフレッドは「アメリカンドリーム」
を実現した人と称していたけど、「アメリカンかどうかは疑問
だけど」と語っていた。
アメリカ人は自分中心で物事を考えてしまうという性格の表れなのか。
ハロルドもイギリス文化は肌が合わないようなことを語っていたしね。
・詐欺師また登場
サンプソンが現れた。
この人から助けてくれたのがイーディスの恋人のグレッグソンだった
んだよな。サンプソンはローズの友人のマデリンの父・エイスガース
と知り合いの様で、二人とも金持ちを目にして、金を狙っている
感じだ。
ただハロルドはクールな感じで、金を目当てに近づいているので
有れば無駄だとして予め釘を刺していた。
・カーソンの休暇
使用人がみんな休みをもらえた為に、彼は自分勝手に自分が楽しみ
にしている場所が他の使用人にとっても有意義な場所だと感じて
居る様子。
ヒューズさんから、みんなの反応を聞いて見れば良いとしていたけれど、
年長者たちのエピソードは、イザベルの流れもそうだけど「退屈で
堅実」というところの共通点があるようだ。
・イーディスとメアリーはまだ仲が悪い?
「イーディスと寝る位ならば屋根で寝るわ。」
なんて酷いメアリーお嬢様(TOT)ノ
イーディスが悩んでいることを姉として聞いてあげられれば良いのに。
・トーマスの嫉妬
嫉妬するとミドリ色になってしまいますよ by Once Upon・・
トムがサラと一緒にいたことに対して、ヘンに思わないでくれと
言われたのに対して、トーマスは「私が何を思うかは私の自由です」。
トムの社会的思想・信念の問題にも微妙に皮肉っている感じはする(笑)
■使用された曲
・Downton Abbey – The Suite by The Chamber Orchestra of London
・Les Patineurs Valse (The Skaters Waltz)
Written by Emil Waldteufel
・Vienna Blood Waltz
Written by Johann Strauss
■出演者
ロバート・クローリー (Hugh Bonneville) グランサム伯爵
シビル・クローリー (Jessica Brown Findlay) 三女
イーディス・クローリー (Laura Carmichael) 次女
メアリー・クローリー (Michelle Dockery) 長女
コーラ・クローリー (Elizabeth McGovern) 伯爵夫人
バイオレット・クローリー (Maggie Smith) ロバートの母
イザベル・クローリー (Penelope Wilton) マシューの母
チャールズ・カーソン (Jim Carter) 執事
ジョン・ベイツ (Brendan Coyle) 従者
アンナ・スミス・ベイツ (Joanne Froggatt) メイド長
デイジー・メイソン (Sophie McShera) 料理人
トーマス・バロウ (Rob James-Collier) 副執事
Mrs.ヒューズ (Phyllis Logan) メイド長
Mrs.パットモア (Lesley Nicol) 料理長
ジョセフ・モールズリー (Kevin Doyle) 無職->下僕
ジミー・ケント (Ed Speleers) 新しい第二下僕、イケメン
アイビー・スチュワート (Cara Theobold) キッチンメイド
トム・ブランソン (Allen Leech) シビルの元夫
バクスター (Raquel Cassidy) コーラの侍女
LADYローズ・マクレア (Lily James) 18歳、スーザンの娘
マーサ・レヴィンソン (Shirley MacLaine) コーラの母
ハロルド・レヴィンソン (Paul Giamatti) コーラの弟
マートン卿 (Douglas Reith) メアリーの名付け親
マデリン・オールソップ (Poppy Drayton) ローズの友人、社交界
Lordエイスガース (James Fox) マデリンの父
— (Oliver Dimsdale) ウェールズの女王
フリーダ・ダドリーウォード (Janet Montgomery) 皇太子の夫人
チャールズ・ブレイク (Julian Ovenden) イブリンの上司
イーサン・スレード (Michael Benz) マーサの従者
アンソニー・ギリンガム卿 (Tom Cullen) “トニー”、メアリーの幼馴染
サラ・バンティング (Daisy Lewis) 学校の教師
LADYロザムンド ・ペインズウィック (Samantha Bond) ロンドンに住む叔母
テレンス・サンプソン (Patrick Kennedy) 詐欺師
Lordチャンバーレイン (Alastair Bruce)
ジョージ王五世 (Guy Williams) 国王
— (Pete Lee-Wilson) Porter
ティム・ドリュー (Andrew Scarborough) 代々伯爵家の土地を借地
— (Chris Cowlin) Yeoman of the Guard
メアリー王女 (Valerie Dane)
アッシャー (James Hare) 紳士
— (Anthony Milton) Club Guest Dancer
— (Scott Plumridge) ウェイター
LADY ジェーン・ラドクリフ (Gemma Rourke) ダーウェントウォーター伯爵夫人の娘
— (Evie Wray) LADY
ハロワビー卿