第1話 挙式前夜 Episode #3.1
監督/Brian Percival 脚本/Julian Fellowes
——————————————————–
*****
メアリーとマシューは恋に落ちる。ベイツもまたメイドのアンナ
と恋に落ちて結婚するが、ベイツは元妻・ヴェラの殺人容疑で
逮捕される。戦地で負傷したマシューは脊椎を損傷して普通の
性生活が出来なくなったとされるが、それでもラビニアは献身的
にマシューを支えて、マシューが奇跡的に回復した際には結婚
しようと語る。メアリーもまたリチャードと本来の気持ちを押し
殺して結婚・別々の道を歩もうとした矢先に、ラビニアはスペ
イン風邪によって倒れてそのまま亡くなってしまう。メアリー
もまたリチャードとの関係に於いて破談することになり、失意
の中、マシューとメアリーの恋は再燃し、共に歩もうとして、
マシューはメアリーに雪の降る新年にプロポーズする。
メアリーは即決する。
*****
1920年。
デイジーは自転車に乗っていた。
メアリーとマシューはシビルは式に来てくれるのかと問うが
彼らに旅費が無いので来られないみたいだという。
クローリー卿の人たちは教会で何度も式の予行練習をさせられる。
教区の牧師・トラビスではなく、ヨーク大主教をロバートが呼んだ
のである。コーラはトラビスがやるべきではないかとし、メアリー
たちもトラビスで良かったという。寧ろシピルを何とか式に呼ぶ
方法を見つけたいという。ブランソンは未だにこの街では噂の的
だから、あの男を呼ぶので有れば相応の準備と心構えが必要なの
だというロバート。イザベルはそんなロバートに大袈裟だとい
うが、マシューは母の主張を抑えようとする。伯爵令嬢と運転手
が恋を落ちるなんて村人にとっては大ニュースなんだと。
カーソンはパットナムたちが作るタルトは絶品だとして、
式の客に振る舞う食事をチェックする。使用人達はアンナは
家を人に貸すようだとして話をしていると、トーマスはアンナが
家を持っていられる法が驚きだという。ベイツが殺人罪で捕まった
時に没収されたかと思ったという。しかしベイツはアンナに
裁判が始まる前に家を譲渡しているのだという。ベイツは殺人罪
だというトーマスに対して、カーソンはこの屋敷で働くものは
みんなベイツの無実を信じている事を告げ、外で食事を取ること
になるぞとして発言を慎むよう語る。
イサベラとバイオレットとコーラは、トムとシビルが式に来る
ことに関して話をしていた。バイオレットによれば、ブランソン
がまともな人だと分かれば世間は興味を失うはずで、バイオレット
は彼を教育するという。イサベルはまだトムとは挨拶したこと
しかないが興味深い人だという。貴族の中でも彼らしく振る舞えば
良いとし、信念を持つことは大事だという。イサベラは彼らに
旅費を送ると語る。ロバートが知ったらバレるわよと忠告される。
ロバートの前にマレー弁護士から電話。
ロバートとにっては衝撃的に内容だった。明日ロンドンに直接
いく事を語る。メアリーはそれに気が付いて声を掛けるが大した
ことではないと語る。
アンナとヒューズも城に戻る。食事は列車の中で食べてきたと
のこと。式は明日の朝から最終確認が行われるという。
ワインは火曜日に届く事。しかし問題は下僕無しで結婚式を
乗り切れるのかということだった。カーソンも確かに人不足で
ある事を認めると、オブライエンは自分の甥に仕事を探して
いる人がいると語る。しかしカーソンは結婚式を前にして、
若者を教育する時間はないと語る。
オブライエンはコーラに直接頼んで甥のアルフレッド・ニュー
ジェントを雇ってもらう様頼む。コーラはロバートにも下僕の
新規採用のことを語ると、ロバートは話半分でコーラに任せる
という。明日は早朝の列車でロンドンに日帰りで行ってくると。
アンナはヴェラの家から見つけてきた住所録を持ってベイツが
収監される刑務所に面会に行く。机の裏で見つかったものだとし、
掃除していて偶然発見したという。ここに書かれている人物に
ついてどんな関係の相手なのかをメモして欲しいとアンナはベイツ
に語る。住所録と一緒にマレー弁護士に送るという。今はあなた
を救うことが一番大事だというアンナ。ベイツは同房者(クレイグ)
が出来た事を語ると、母からの教えで「余計な敵は作るな」だと
語る。住所録の件では無駄骨に終わるかも知れないが、いつか
糸口を見つけてそれを辿り無実を証明すると語る。一瞬でも
ボクのことを疑った事はないのか?というベイツに対して、
「太陽の存在くらいあなたを信じている」というアンナ。
アルフレッドがやってくる。
カーソンは下僕として背が高すぎるという。アルフレッドの身長
は185cm以上有った。ホテルで給仕の仕事をしていたが戦争から
戻ると人員削減されたという。オブライエンは採用は決定している
ので面接する必要はないというが、カーソンは面接ではないが
試用期間はまさに裁判とも言えるもので、期待に応えられないので
有れば有罪にもなるという。
マシューとメアリーは新婚旅行後に暫くはクローリー邸に泊まる
事を語る。父と寝室が同じ屋根の下だとやりずらいものかと
するが、裸の私を抱きかかえても父は気にしないという。
マシューはロンドンに行きたい訳でも家族から逃げたいと思う訳
ではないが、距離を取ってお互いのことを誰にも邪魔されずに
知りたいのだと語る。
翌朝、ロバートはロンドンにいく。
タクシーを掴まえてチャンセリー通りへ。
そこにはマレー弁護士の事務所が有り、彼からロバートにフロビシ
ャーやカランとも話をしたが、管財人である私の口から伯爵に
伝えるべきだと思ったという。今の状況は深刻であること。
ロバートは何故大金を投資したのかと問うが、マレーはそれは
事実ではなく反対を押し切って投資を決めたのはロバート自身だ
という。戦争になれば線路が拡張するので、鉄道株の高騰は誰の
目にも明らかだったこと。実際にそうなりはしたが、ロバートが
投資したのは一社に集中投資したのが問題だった。
投資したのはカナダのグラントランク鉄道で、イギリス領の主要
鉄道だからという理由だった。誰もがあの時は「買い」だと
行っていたこと。だからこそその投資に賭けたのだという。しかし
有能な社長・チャールズ・ベイズが亡くなってからというもの、
グランドトランク鉄道は破綻し、路線はカナディアン・ナショナル
鉄道が吸収することになったのだという。妻・コーラの財産の大部
分が消えたのだという。ロバートは私は諦めないとし、これまで
ダウントンを守ってきたこと。私の代で潰すわけにはいかないと
語る。屋敷を維持する資金がなければ手放すしかないとし、あの土地
を切り売りするなど対策が必要だという。しかしロバートはそれは
出来ないとし、「領地で雇用を確保し屋敷を守るのが私の勤め」だ
と語る。
ストラランは偶然街でイーディスに会うと声を掛ける。
イーディスは式の準備でうんざりしていたので出てきたことを
語る。式にはニューヨークのお婆さんも来るし、シビルも来られ
るようなことが手紙に書かれていたと語る。
モールズリーはマシューに対して新婚旅行後についてのことを
尋ねる。モールズリーとしてはダウントンで就職したいと考えて
いたのである。しかしマシューは近くで家を探すとし、君とバード
はここに残って母・イザベラの世話をして欲しいと語る。
自分達は結婚後には質素に暮らしたいのだという。
ロバートが戻るとトーマスが対応する。新しい下僕が来たこと。
意欲的で背が高い人だと語る。それを聞いたロバートはコーラに
下僕の話をすると、昨日その話はした事を語る。しかしロバート
は今は使用人を増やせる状況ではないと語る。
トーマスはデイジーが怒っているのを知って声を掛ける。
まだ私の事をパットナムが助手にしてくれないのだという。彼女
は新しいキッチンメイドを雇ってくれると約束したのだという。
トーマスは言う事を聞かせる為には仕事を放棄するのだという。
それってストライキのことなのかと問うと、オレから聞いたなんて
話すなよという。
——————————————————–
1920年春、クローリー家の家督相続の最上位に居るマシューと
メアリーが結婚することになる。紆余曲折有ったがようやく愛
する二人が結ばれようとしていることで、ダウントンアビーを
守らなければならない立場のクローリー伯爵にとっては
一安心の状況が訪れる。しかしそれぞれの中に存在する信念と
家族や貴族制度を守るものたちの間でちょっとしたイザコザへと
発展し、ついにはメアリーとマシューの結婚にも暗雲が立ちこ
めていく。更に全財産を株式で投資していたロバートは、投資先
が倒産したことで無一文になり、妻コーラの持参金を使い果たし
てしまうのだった。
結婚までの準備期間が長いと、考えるべきことが沢山有るので、
色々不安が膨らみ問題が起きるんだよな。結婚は勢いだと言われる
けど、無駄なことを考える前に早いこと身を固めてしまうというの
も一つの手。現実を無視していると言われようとも、やはりこの
二人のケースを見ていると、長いこと愛情以外のところで振り回さ
れているし、そもそも貴族同士完璧に意見が摺り合うとも思えない。
一刻も早く身を固めて欲しいところは有るよね。
あれだけ素敵なプロポーズが有ったのだから、感動が冷めないウチ
に・・とは誰でも思いそうだ。
なんと言っても初回なのでインパクトは有った。
シーズン2からの流れで見ると、一番気になっているのはメアリー
とトルコ大使の腹上死的ゴシップがどういう形でもみ消しをされた
のか気になっているのだけど、まるで触れられることも無かったな。
色んな価値感が入り乱れてきたところもまた新時代を感じさせる。
・アメリカ代表、コーラの母・マーサの登場。
・アイルランド代表、シビルの夫で、庶民階級で元従者、そして共和党
支持のブランソン。
・そして舞台は君主制の残る階級制度のイギリスが舞台であること。
三者三様の価値感が有り、舞台がイギリスだということも有り、
アメリカ人やアイルランド人にとっては完全AWAY状態での集まり
が有る。
マーサとバイオレットとイザベルくらいまで年齢を重ねると、
どんな皮肉を言い合ってもある意味許されてしまうくらいのもの
が有るけれど、どうしても長いこと貴族として生活してきたプライド
を持つものたちにとっては、受け入れがたい価値感も多く、ブランソン
のことを人としても蔑視する光景が有った。
※先日まで放送していたDlifeの「スーツ / Suits」でもイギリスの
法律事務所とアメリカの法律事務所の合併話の中で、両者が価値感
の違いを露呈することになるけれど、文化の違いを乗り越えるのは
難しいところだね。
ありのままでいることの難しさは現代社会に於いてでさえも
難しいことなので、当時の仕来り多きイギリス貴族社会の中で
それを貫くことは容易ではないことは想像が付くけど、マシュー
もまた貴族の血が流れていたとはいえ、元々は労働者階級の
人物だったということも有って、ブランソンと共に”よそ者扱い”
されることで、一種の共有感が生まれているところが微笑ましさと
共に頼もしさなんかにも繋がって居る。
アメリカのドラマに見る食事の光景には政治・政策論争をする
家族の光景の姿なんかも有るけど、ダウントンでのディナーの
席でももっと砕けて話し合えれば良いんだろうけどね。
カーソンがまた最もブランソンに対して憤る姿が有るという辺りが
意外でも有った。
イギリスとアイルランドの歴史を考えると、両者が完璧に意見が
合致するハズもない。一方では英雄だとされる治安部隊のブラッ
ク・アンド・タンズも被害者からすれば、単なる人殺しでしかない。
南アイルランドの自治は認められるけれど、依然としてイギリス
国王の支配が続くこと。マシューは「君主制は悪なのか?」と問うと、
トムは「あなた方はドイツ皇帝の統治を望みますか?」として
反論する姿が有る。
この辺は日本と韓国の関係にも通じるところが有るね。
何れエピソード的にもクローリー邸の金銭的問題は訪れると思って
いたけど、シーズン3のスタートは、まさかそんな事情からのスタート
だった。
NHKで放送していた現在のハイクレア城でも年間の維持費は国が
捻出するのではなく、相続した城主が払っていくことになるので
年間1億円以上の維持費が払えずに土地を切り売りしていることが
語られていたけど、ダウントンアビーの大ヒットである程度
そういう問題も解決していきそうなのかな。
ロバートの株価損失の穴埋めをしてくれそうなスワイヤー家の
遺産の話。元々マシューは遺産相続第三位の人物だったけど、
一人目は亡くなり、二人目もインドの紅茶畑を見に行った際に
亡くなっているであろうことを示唆する流れがある。
マシューのそばには常に遺産相続の影があり、そういう星の下に
生まれているのだろうか。この辺の金に流され続けているところ
はシーズン1の頃から変わっていないね。
■従者たちのエピソード。
貴族たちのエピソードに対して、彼らの物語は意外とほのぼのと
していて楽しめる部分が多いね。例えトーマスが意地悪だったと
しても、例えベイツに迫る怪しい同房者が出たとしても、何処か
安心して見ている自分が居る。
デイジーは自分の意見が受け入れられずにトーマスの入れ知恵によ
ってストライキを起こす。
パットモアからはデイジーの悪態に関して「性悪な双子の姉妹と
すり替わったのかい」なんて突っ込まれていたけれど、
デイジーにとってみれば、「新人は暫く雇わないと言っていたのに
下僕を雇い入れている」ことを指摘していた。
これって上述した「スーツ / Suits」での流れにも繋がるのだけど、
ハーヴィーとルイスが互いに牽制し逢う中で、ジェシカは金銭的問題
から新規のアソシエイトを雇うことを禁止したけど、ハーヴィー
が雇ったことで問題になったシーンが有ったよね。
「下っ端の赤ら顔の不機嫌女にコキ使われる」ことに関して、
デイジーとしてもコキ使う立場になりたいことを口にしていたけど、
パットモアさんは意外とその辺のことには無頓着のようでしっかり
把握しているところが有ったりするね。デイジーの行動に関して
もトーマスであることを掴んでいる感じだったしね。
ストラランが再び登場。
イーディスとしては彼に夢中って感じで相変わらずすり寄る姿が
有る。今の所は特に問題にはなっていないけど、「年齢差」の有る
二人の関係をこのまま黙って居られるのか。
またなんと言ってもオブライエンの甥っ子のアルフレッドが下僕と
して登場する。オブライエンはトーマスに、仕事を教えて早いところ
出世させて欲しいという。苦労人としてのトーマスはそんな甘い考えで
出世させようとする意図はない様だ。オブライエンとしては
マシューの従者として仕えさせたい意図が有るようで、モールズリー
と共にその座を狙っている感じがするけれど、教会でマシューとモー
ルズリーが会話するシーンをオブライエンが観察しているところが
またなんとも言えないんだよね。
※コーラの母・マーサ役のShirley MacLaine
映画「愛と追憶の日々」でアカデミー主演女優賞授賞。
多くの映画に出演している方だけど、親日家としても有名な方。
娘の名前にサチコ・パーカーとつけるくらいだからね。
■検索用キーワード
・Downton Abbey – The Suite
Performed by The Chamber Orchestra of London
・Jesu, Joy of Man’s Desiring By Johann Sebastian Bach
・Trumpet Voluntary in D, Op. 6, No. 5 Andante Largo
By John Stanley
・クライブ・プルブルック
・「使用人の居ない貴族はガラスのハンマーくらい存在価値がない」(Vio)
・レディー・ダファリン アイルランド庭園
・グレイ家当主のマートンはメアリーの名付け親
・リポンでイブニングドレスを買いましょう
・あの場でシンフェイン党を誉めるのはよくない
・強盗がわざわざ毒入りのパイを作って食べさせたりする?
・「付き添い人が病気になった」(Matt)、「意思が弱いのよ、使命を
全うしてから倒れるべきでしょ」(Mary)
・「トムを黙らせる方法はないの?」(Vio)、「あれば最初からしている」
(Rob)
・「許しても良いけど、忘れるのは無理よ」(Vio)
・「遠い親戚です。ボクのひいひいお爺さんが3代目伯爵の息子」
・「式の前の晩に花嫁と会うのは縁起が悪いのでしょ」
・「歴史と伝統が世界大戦を引き起こしたのよ。しがみ付くのは辞め
たら?」(Marth)「人の泣き所を確実に見つける人ね」(Vio)
ロバート・クローリー (Hugh Bonneville) グランサム伯爵
シビル・クローリー (Jessica Brown Findlay) 三女
イーディス・クローリー (Laura Carmichael) 次女
メアリー・クローリー (Michelle Dockery) 長女
コーラ・クローリー (Elizabeth McGovern) 伯爵夫人
バイオレット・クローリー (Maggie Smith) ロバートの母
マシュー・クローリー (Dan Stevens) ロバートの遠縁
イザベル・クローリー (Penelope Wilton) マシューの母
Mr.カーソン (Jim Carter) 執事
ジョン・ベイツ (Brendan Coyle) 従者
サラ・オブライエン (Siobhan Finneran) 侍女
アンナ・スミス (Joanne Froggatt) メイド長
デイジー・メイソン (Sophie McShera) メイド・新人
トーマス・バロウ (Rob James-Collier) 第一下僕
Mrs.ヒューズ (Phyllis Logan) 家政婦長
Mrs.パットモア (Lesley Nicol) 料理長
エセル・パークス (Amy Nuttall) 新人メイド
ジョセフ・モールズリー (Kevin Doyle) イザベルの従者
トム・ブランソン (Allen Leech) 元運転手、シビルの夫
アルフレッド・ニュージェント (Matt Milne) 下僕、オブライエンの甥
マーサ・レビンソン (Shirley MacLaine) コーラの母、アメリカ在住
ラリー・グレイ (Charlie Anson) シビルの幼なじみ、マートンの息子
Sir アンソニー・ストララン (Robert Bathurst) 右手を負傷、次女と・・
トラヴィス (Michael Cochrane) 牧師
ジョージ・マレー (Jonathan Coy) 弁護士
— (Michael Culkin) Archbishop of York
クレイグ (Jason Furnival) ベイツと同房
Mr.チャーカム (Mark Penfold) 弁護士
マートン卿 (Douglas Reith) メアリーの名付け親
リード (Lucille Sharp) マーサのメイド