第6話 さようならニール Au Revoir
脚本/Nick Thiel 監督/Sanford Bookstaver
【前回までのあらすじ】
ピンクパンサーズは世界最高の窃盗団。そこにニールとケラーが
情報屋としてそれぞれFBIとインターポールの情報屋として潜入する。
ニールはピンクパンサーズと引き替えに自由を求めるとピーターは
それを認めるが、モジーは懐疑的だった。しかし狙いは他にあると
いうニール。そんな中ピンクパンサーズの狙いは金。ダイアナは
5億ドルの資金だと語る。ニールは金をパイプで運ぶ案をウッドフォ
ードに伝える。パイプは空港から昔の郵便局に繋がっていたのである。
この場所に来るだけで金を得られることをアピールする。
モジーはもうすぐ計画が始まるのにオレがその計画に入っていない
として不満を表明。エリザベスはピーターが危険なことをしている
ことを知り、この子を一人で産んで育てるつもりはない事を告げ、
彼(息子)を何よりも優先してと語る。ウッドフォードは内通者だと
される人物を一人射殺してしまった為に人数が足りないということに
なると、解決策としてニールはピーターを潜入させる。
【ストーリー】
こいつが適任だとしてニールはウッドフォードにピーターを紹介する。
しかしウッドフォードは信用出来ないとして彼無しでやるという。
信用出来るという根拠は何なのかと問われウッドフォードはピーター
に銃を向ける。2007年にロンドンのスローン街で宝石店を襲ったと
いうピーターはあんたの2003年のやり方を見習ったのだという。確かに
2007年の件は見事だったという。逃げる時に君が運転していた車は
何かという問いかけに、ベントレーのフライングスパーだという。
しかしオレではなく運転手が運転したというピーター。信用され
たことをニールに語ると良い手本がいたからだと語る。
モジーはニールに対してピーターを紹介してなんでオレを紹介しない
のかとして興奮する。ニールは落ち着けというと、カリフォルニア産
ワインを手にするモジーを落ち着かせる。93年のカベルネフランを
飲んでやるというモジー。そんな中ケラーもやってくる。モジーは
動脈瘤が破裂する前に説明するよう求める。ブルータスみたいだと。
ニールは3千万ドルをピンクパンサーズから盗むのだとし、モジー
を紹介しなかったのは今が出番だからだという。オレは隠し球なのか
とすると、不意を突けるとして喜ぶ。お前はFBIとは距離を置いている
ので追われることはないとし、別の場所で待機して3千万ドルを頂く
のだという。JFKと郵便局の間で最適なパイプの場所を見つけるよと
いうモジー。ピンクパンサーズを裏切ったら周りの人間も危険だろう
というモジー。絶対にばれないというニール。ケラーは俺たちを
裏切るかも知れないというモジー。準備しておくというニール。
ニールはコンテナの中でスーツに身を包んだマネキン相手に38口径
の銃弾を一発撃ち込む。
ニールは家に戻るとモジーとジューンがワインで乾杯していた。
ニールはスーツ姿で帰宅するとジューンはそのスーツ、バイロンの
お気に入りだという。シンプルでエレガントだという。
ジューンはニールに古着屋で初めて逢った時のことを覚えている
かと問う。あの出会いが私の人生を感じたとして感謝しているという。
ニールは寧ろオレはあの時救いの女神に出会ったのだとして二人は
熱くハグする。また来週も同じ時間に乾杯するのかというジューン。
今夜は甥御に会うという彼女に楽しんでと語る。
出会いと言えばこれを見つけたとしてニールはモジーにカードを
見せる。クイーンのカード。公園のゲームで出会った時に使った
もので、モジーはニールにあの時5千ドル負けたのだという。その技に
驚いて家まで追って来たとし、それ以来ワインが減る一方だという。
昔はスリルが全てで金は二の次だったこと。今は5億ドルを盗もうと
している。高く飛びすぎだというモジーはイカロスみたいだと語る。
ニールは「原点に戻ろう」と語るとクイーンを頼むとしてそれを
渡す。
ニールはピーターとエリザベスに呼び出されて彼らの家に行く。
重大発表があるとしてニールにエリザベスは青色のケーキを運んで
くる。ということは赤ちゃんは男の子なのかとして喜ぶと共に
ニールは男児は苦労するよと語る。お祝いだとして男の子用の
前掛けを持ってくる。ピーターの様子から見分けたという。声は低く
肩を張り男らしさを出していたから・・と。しかしピーターは
女の子用の前掛けも用意していることをすぐに見抜いていた。
全部おみ通しだという。
ピーターがコーヒーを入れに行く間にエリザベスはニールに頼み事を
する。子供が出来たし子育てにピーターの協力は欠かせないこと。
その窃盗団は危険でしょというと、あなたを信じているが心配だという。
あの人を守ると約束して欲しいというエリザベスに、何が有ったも
守ると誓うとして、みんなオレの家族だと語る。
■今回のミッションと流れ
いよいよピンクパンサーズの作戦が決行される。
狙いは海外で消費されたドルが国内に戻ってくるところを狙った
もので、一度に運ばれてくる金は5億ドル。乱数発生機の問題、
そして輸送の問題をクリアした為に、残すところJFK空港に
潜入し運ばれて来た金の金庫を破るものが必要だった。
果たしてその作戦を阻止してニールはFBIのコンサルタントから
外れることは出来るのか。
■シーズンファイナルのファイナル
最終シーズンは全6話構成。
「ニキータ / NIKITA」の最終シーズンも6話構成だったけど、裏では
どんなやりとりが有ったのかな。視聴率が良ければ継続しようとして
いたのか、それとも6話は決定事項でそれ以上の延長は無しとして
始まったものなのか。
発表が有ったのが2014年9月。やはりニールがFBIと離れてピーター
と離れることが出来るのかというところがドラマとしての見所だろう
し、最後に残されたものなのだろう。
■レトロ調な演出
ネタ的にはフランク・キャプラ監督の名作「素晴らしき哉、人生!」
を踏襲した感じのエピソードだった。
まさにBGMではIt’s A Wonderful Lifeが流れていたけれど、何度も
自由を得ようとして得られないでいるニールは完全に現代社会の
誰もが陥る社会/会社の歯車の一つのような扱いになり、待てど
暮らせど与えられるハズもない自由に対抗する形で、希望を持ち続け
ていたのだろう。
シーズン冒頭からニールはモジーとの会話の中で、FBIは本当に
自由をくれると思うかと問うことに対して、「狙いは他に有る」
と語っていたことからも、その狙いは何処に有るんだという形で
終始視聴者を悩ませていた。勿論FBIを信用していないことは明らか
で、FBIは信用していないがピーターは信用しているという歪な構図
が有る中で、ニールはピーターとの関係を通して、案外今の状態を
楽しんでいるところも有り、彼との関係だけでなく、ニールが最も
愛するというニューヨークにしても離れがたいものとして存在して
いるので、最終的にはどういう決断を取っていくのか。
■ニール最大の詐欺
最後に仕掛けた詐欺は、ピンクパンサーズに対するものだけでなく、
FBIに対するものであり、視聴者の誰もがニールは亡くなってしまった
と考えるものの、彼の生きて居るその痕跡が次々とラストになって
現れていく。
ニールはモジーとこの計画を遂行するに辺り冒頭のセリフの中で
「原点に戻ろう」としていた。二人の原点はカード詐欺であり、
3枚のカードの中からクイーンのカードが何処に有るのか当てると
いう、まるで神隠しのような技を利用するもの。
モジーがどの段階でニールの生を知ったのかが興味深い点であり、
他人を騙すには先ず身内からということで、途中まで知らなかった
ようにも感じるのだけど、実際には最初から全ての計画を知っていた
のではないかという感じにも思える。
しかしモジーの態度を見ればピーターが必ず気がつくのは目に見えて
いるので、一年間は少なくともニールと会えないであろう流れを作り、
彼がこの世にいなくなったとする演技を続けていたのだろうけど、
犯罪者は自らの存在を証明するかのようにして、ニールもモジーも
自分の痕跡を残してニューヨークから立ち去った。
■ニールの出会いと別れ
今回はニールが別れるであろうことが見え隠れしていたので、
ジューンと乾杯する際に彼女が来週も同じ時間に・・と語る辺りは、
寂しさを覚える流れが有ったし、計画前にピーターの自宅に行って
赤ちゃんが男の子だということを発表する流れは、如何にも最後だと
いう感じがして寂しかった。古典的なトリックとして、男の子だと
いうことを見抜いていたとする流れを、ピーターが見破る辺りは
ちょっぴりホッコリするところ。
ニールは今回ジューンと初めて出会ったときの話をしたし、そして
モジーとの出会いの時の話も話題になった。
■モジー、二度目の金を盗む
出産の時にモジーって必ず金を盗んでいくな(笑)
ダイアナが出産の時、そして今回はエリザベスの出産の際に、2300万
ドルの行方が不明になった。
当時のダイアナはモジーに出産を助けてもらってこの件は黙認したし
子供にはセオという名前を付けた。
そして一年後の今回、ピーターは赤ちゃんにニールという名前を
付けたのだろうか?
■今思うと・・
今思うとあの時のニールは何かをしていた・・と思わせる作りは
上手く出来ていた。
謎のコンテナの周囲で女性と逢っていたニールの姿がルノー捜査官
に撮影されたことがあったけれど、そのコンテナの中には、冒頭での
ケラーの裏切りを想定した流れを見越した計画があり、救命士や
検視官、医師など全てニールは役者を揃えて死亡を想定していた。
興味深く作ってあるのは、今回のピンクパンサーズの流れの中でも
実は遺体を運ぶという名目で空港のゲートを通り抜けている。
■ケラーの言葉に一理ある?
ケラーはニールに対して
「汚い地下道で仲間を裏切り大金を持ち逃げするところだ。オレと
お前は同類で周囲の人間を不幸にしている」
「オレは違う。」
「ケイトは?思い出せ、哀れだ、お前のせいで死んだんだ」と。
ニールは今回の計画にパーサー役として空港に入り、フライトアテン
ダントの一人の下着を盗んで呼び止めて、彼女のカードキーを使って
セキュリティ解除を行っている。
この流れを思い出して欲しい。
シーズン5で巻き込んでしまったレベッカ・ロウのことを。
最もレベッカは盗まれることは想定のウチで、ニールに近づいたもの
だが、後々金が盗まれた流れを調べると、あのフライトアテンダント
のカードキーの入室記録が刻まれている。最もFBIが監視している
中での作戦なので罪に問われることはないのかな。
■1年後の世界
モジーが孤独に観光客相手にカード詐欺をしているをしている姿を
見て思わず泣ける。その後クイーンのカードがコンテナに置かれて
いたところを見ると、ニールに合流したのだろうけどね。
ピーターの家の外にワインが置かれていた。
宛名不明のこういう贈り物って私は怖くて飲めないけど、ニールから
のものなのかな。
ダイアナはピーターの変わりにワシントンに栄転。
ジョーンズはピーター班に残ったみたいだけど、実質的には彼に
任せている感じ。
ニールはルーブル美術館が警備を強化としていたことからも、早く
も捕まるようなことをしているのか。
■使用された曲
・White Collar Theme by Jon Ehrlich
・It’s A Wonderful Life by Rob Parton Orchestra feat. Jeff Meegan
・I Want It All by Rob Parton Orchestra feat. Alex MacDougall
・La Mer by Charles Trenet
■出演者
ニール・キャフリー (Matt Bomer) 天才詐欺師
ピーター・バーク (Tim DeKay) FBI知能犯専門チームの捜査官
モジー (Willie Garson) ニールの友人、犯罪者社会との深いコネ
ダイアナ・バリガン (Marsha Thomason) FBIピーターの部下
エリザベス・バーク (Tiffani Thiessen) ピーターの妻
クリントン・ジョーンズ (Sharif Atkins) FBI ホワイトカラー・ユニット
マシュー・ケラー (Ross McCall) 詐欺師
アラン・ウッドフォード (Gavin Lee) ピンクパンサーズ
セルジオ (Lucas Salvagno) ピンクパンサーズ
ベンソン (Peter Bradbury) 空港守衛
ジューン (Diahann Carroll) 大家
マイク (Jakob Von Eichel) ピンクパンサーズ
クロエ (Jennifer Cortese) 救命士
— (Kristin Muri) スチュワーデス
— (Rob DeRosa) ホームレス
— (Steven Ted Beckler) 検視官
— (Cory Fernandez) 検視官補佐