第1話 機関室 The Crossing
脚本/Taylor Elmore 監督/Alex Zakrzewski
【これまでのあらすじ】
クーパーはリリーに対して、妻・セレステ、娘・マギー、息子のフィン
はみんなお前に逢いたがっているという。ドーティに対してスティル
マンは君が嫌いだとし、今度部下に有らぬ疑いでもかけたら俺の手で
お前をぶちのめすというスティルマン。ミラーに対して検事のベルは
デートに誘う。例の四駆の使用記録から使っていたのはあなた(モー)
だというリリー。君の事もトランクに入れてやったという。
真相に近づいたがオレの相棒を殺そうとしたなとスコッティはモーに
激怒する。
【ストーリー】
1966年8月4日、アメリカーナ号が欧州に出向する為にフィラデルフィア
の港には見送りの客で溢れていた。ダーシーに対してグレイスはサウス
フィリーよりも大きい船だという。しかしダーシーに対してグレイスは
辞めるならば今よという。フランスで2週間のワイン三昧、しかも
この船の最後の大西洋航海だとし一生に一度の冒険になるという。
そんな中ヘンリーはダーシーに待ってくれとやってくる。
このままでは嫌だとして話し合おうというヘンリー。イニシャルを
入れたというネックレスを持ってくる。「HSからDCへ」。このくだらない
旅が終われば目が覚めるだろうとし、フィラデルフィアから出た事も
無いのに急に欧州なのかと問う。英国の女王にでもなるのかと言われる
とダーシーは待つのは辞めたのだという。
しかしそんなダーシーは船内で殺害される。
2009年
被告人の代理人・モープリチャード弁護士は法廷で原告のリリーな
質問する。あなたは実際に私の依頼人がその車に乗っているのを見た
のか。2009年5月6日、あなたの車を端から突き落としたとあなたが
主張する車に乗っていた証拠は有るのか。リリーはいいえとし、状況証拠
に基づくものだという。彼が学校の来るまで3回スピード違反を犯して
いることや、あの車が毎晩彼の自宅前に駐められているという証言。
ただしケイト・バトラーの遺体を捨てた夜は別だという。また剥がれた
塗料とヘコミが私の車に付いていた傷と一致したこと。私の後頭部の傷は
あの事故でついたものだという。書類上は学校のものでも実質彼の車
であり、みんな知っていたことだという。ワイアット判事もプリチャー
ドが言ったことで身から出たさびだと語る。
ベルはよくやったと語る。リリーはあなたが担当してくれたら良かった
のにというが検事に頼んだが軍事大学の所在地で起きたことで警察殺人
未遂は任せられないといったこと。運が良くても20年は出られない
というベル。
そんな中アメリカーナ号(別名:ビッグA)、世界最速の客船だった船から
遺体が発見される。最後の航海は66年。ジェット機の前でおしゃれな
欧州旅行の定番だったというスティルマン。スコッティは長時間の旅
はしたくないとして船酔いも大変だという。新しいオーナーが処分しよ
うとしていたところ夕べ「赤いドレス」の白骨体が発見されたという。
金目の部品はサルベージ業社が殆ど持って行ったがこの遺体が発見された
機関室は40年間手つかずだという。機関室は海軍の国家機密。
スティルマンは首を見ろと語る。
DCと描かれたネックレスはダーシー・カーティス。最後の横断中に
海に飛び込んだらしいこと。ビッグAは自殺者が多い事でも有名だった
という。自殺者は甲板にクツを残す風習で彼女が消えた朝も警備主任
が甲板でクツを発見。入港の2時間前だという。実は自殺よりも殺人が
多かったのではないかというリリー。
ミラーは検死の結果、歯の治療記録からダーシーだと確認されたという。
死因は首の骨折。機関室は簡単にはいけないところなので構造を
知っていた人の犯行ではないかというジェフリーズ。船長から警察
宛ての報告書が残されているだけで、その他は全てコレクターが持って
いるという。しかしなんてクツをなぐのか?と。ダーシーはヘンリー・
スペックに当時電報を送っているとし、”出来ない”と描かれていたという。
スペックはプロポーズの答えだと思ったらしいこと。その彼は1998年に
死亡していた。受付は午前4時4分に電報を受けていること。警備主任が
クツを発見したのが42分後。同行者のグレイス・スターンズはダーシー
を朝から見て居ないと言って居たという。
■今回の事件と流れ
・解体しようとしていた最後の豪華客船アメリカーナ号で遺体が
発見される。世界最速を誇った客船のマニアも多く、最後の出航後
は金目の物はサルベージ業者やマニアが買い取ったという。
マニアが航海日誌や乗客、スタッフの乗船リストを持っていた事も
あり、当時の関係者に話を聞いていく。
・一方リリーを殺害しようとした元海軍の軍人モーの裁判も開かれ
リリーは証言台に立ち有罪は確定かに思われたが、
■感想
いよいよ最終シーズンか。
このドラマ、大好きなシリーズで録画していたけど最終シーズンは
全てを持っていなかったので嬉しい。
個人的にはかなり大好きなシリーズだけど、やはりワンパターンな
展開は否めず、リリーの不幸なオーラが最終シーズンまでも全体を
覆い尽くしてしまいそうな勢いでちょっと怖い。
そろそろチーム内でも誰かが幸せになってくれても良いんじゃないか
って感じだけど、上手く行かないからこそ、このドラマは哀愁が漂って
いるのだろうか。
唯一ベルとミラーの関係が進展しそうな始まりだったけど、逆にリリー
はシーズンをまたいで不幸を引きずっている。
リリーは父・クーパーとようやく再会したけど、結局彼の家族との付き
合いは続けていくのだろうか?
■捜査
事件は1966年に起きた船の中での出来事だった。
船というとスティルマンだかジェフリーズは一歩海上に出れば法律の
及ばないところも有るとしてちょっぴりネガティブな意見も有ったけ
ど、逆にポジティブに考えれば船とは大きな密室のようなものなので、
乗客員名簿の中の誰かが確実に犯人ということになる。
1960年代の時代性がどんな状況だったのか知る由もないのだけど、
船では自殺が多いとする理由も時代性を考えるとなんとなく頷ける
感じで、閉塞感が漂うセリフや雰囲気が流れていた。
私からすると寧ろ60年代って希望に満ちていた時代に思えるんだけどね。
ヨーロッパの自由な雰囲気を満喫してきた人にとって、旅の終わりの
寂しさは想像している以上に現実的なものとして大きく写ったのかな。
「女性解放運動家じゃあるまいし、私たちはフィラデルフィア人、
フランスはフランスよ」と語るグレイスの姿が印象的だった。
60年代後半にはヒッピーたちが脱社会的な思想・思考をもって
行動を起こしている事情もあるけど、ドラマ「MAD MEN」が60年代
の広告業界の中で仕事や家庭に於ける女性の役割なんかを見ると、
ニューヨークという都会で有って上流の階級で有っても女性の立場の弱さ
というのは見て取れるものが有るよね。
■船の中の乗客
正直あんまり出会いらしい出会いもない感じだったので、犯人は限ら
れていた。
「タイタニック」にみるように等級の違う船室のもの同士ではなかなか
出会いって無いのかな。3等船室と1等船室の違い。
一番怪しく感じたのはこの船を当時ギブズ汽船として運営していて、今でも
飲食業として現存しているギブス一族関係の体面性だったりするのだろうけ
ど、あまりギブス家の事情は深く掘り下げては居なかった。
過剰にギブス家のことを守っている感じのするジェフリー・マニング
の動向次第って感じがして注視して見て居たけどね。
被害者が男性・タッカーと知り合ったのはアメリカに寄港する一日前の
ことで、しかもダーシーがプロポーズされたのは寄港する2時間前のこと。
船の電報を使って死亡推定時刻をズラすというトリックは英国のドラマ
だったかでかつて見たような気がする。
■現実と現実逃避
正直今回の被害者のダーシーが現実を見据えているとは思えないし、
そして保守的な彼女の親友のグレイスもまた現実を見て居るとも
思えなかった。
ただダーシーの方が固定された観念からは随分と外れていたところも
有ったので、この人ならばどの町で住んでも順応できそうな感じはした。
結局家庭の問題で、グレイスはダーシーと家族になりたがっていて、
チェスターの従兄弟のヘンリーと結婚することで一生友達以上の家族
として暮らしたいのかなと思っていたけど、話を聞くとグレイス家は
既にチェスターとは別れているし、ダーシーの結婚を見てチェスターが
心変わりしてくれるのを待っているという役柄だったようだ。
ダーシーがあの海の男と一緒に行っても幸せになったかどうかは
分からないけど、哀しいことに彼女の死によって少なくとも2人の男性
の心は宙ぶらりんって感じになってしまったね。
■その他
・リリーとモーの対決
司法制度がまるで役に立たないという構図。弁護士に裁判官が全て
海軍によって構成されて、モーの保釈金はそうとう減額になり、裁判
までも8ヶ月(5月5日)というスパンがある。その間リリーはまた恐怖
との戦い。
最後にリリーはモーを尾行していたけど、果たして彼女自身が正義の
鉄槌を下すのか。
スティルマンがシーズン6のラストでは部下に手を出したら黙って居ない
としてご立腹だったけど、彼がリリーの為に何かしてしまいそうで怖い。
「仕事に専念して忘れるんだ。無理してでも。ヤツに報いを受けさせる」
・ウィングチップって幾らくらいするの?
ヴェラってあんまりファッションに無頓着だったけど最近、意外と
変わっていく姿が有るよね。ジェフリーズに話を聞いて良い店を
尋ねていた。
・ベラとミラー
ミラーがベラベラ会話している中でベラが口を塞ぐようにしてキスして
いた。こういうシーンって多いけどタイミング的には難しそう。
・親友を失っても生きてこられた
彼女は不安と向き変えず、ダーシーが居る事で何とか精神を保っていた
みたいだけど、結局彼女は今の今まで生きてきている。
タッカーもまた結婚していないみたいで、あの時のダーシーとの出会いは
そうとう今でも心に響いているようだ。
船には伯爵夫人と描かれていた。
■使用された曲
・I Got a Woman by Ray Charles
・What’d I Say by Ray Charles
・What Would I Do Without You (Single) by Ray Charles
・Careless Love by Ray Charles
・We Don’t See Eye to Eye by Ray Charles
・Hide Nor Hairby Ray Charles
・Drown In My Own Tears by Ray Charles
■出演者
リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から
カーティス・ベル (Jonathan LaPaglia) 地方検事補
A.J.ピリチャード (Loren Lester) モーの弁護士
ワイアット (Dougald Park) 判事
2009年
モー・キッチェナー (Daniel Baldwin) リリー殺害未遂容疑
グレイス・スターンズ (Anita Gillette)
ジェフリー・マニング (Stephen Mendillo) ギブズの給仕長
タッカー・ベントン (Michael Nader) “デューク”
コッター・ドイル (Tracey Walter) ベルボーイ
1966年
グレイス・スターンズ (Ashley Johnson) ダーシーの幼なじみ
ダーシー・カーティス (Erin Chambers) 被害者
タッカー・ベントン (Peter Porte) “ウィルクスパール公爵”、ギブズ汽船
ジェフリー・マニング (John Churchill)
— (Jolene Andersen) 社交界の女性、ダーシーをお忍びと勘違い
コッター・ドイル (Ryan Carr) キッチンスタッフ、泥棒で捕まる
ヘンリー・スペック (Nick Warnock) ダーシーにプロポーズ
— (Wayne Allsop) V.I.P Guest
チェスター (Cooper Barnes) グレイスの婚約者
ダーネル (Rafael Francisco) 捜査官
ムリロ (Michael Ironside) Commandant
— (Jennifer Lynne Johnson) First Class Passenger
— (Heather Rose) Pedestrian
— (Dan Van Wert) Police Officer
ミルドレッド・ギブズ () “ミリー”、タッカーの婚約者